草原に出現する九州のモモグロハナカミキリ(2012.6.18) | 蝶・カミキリ・昆虫を楽しむ!(九州・沖縄を中心に)

草原に出現する九州のモモグロハナカミキリ(2012.6.18)

東京に住んでいた頃、福島県桧枝岐村や長野県松本市(旧梓川村)等でよく採集したのが
モモグロハナカミキリです。

殆ど訪花することのない不思議な生態のハナカミキリで、森林の木漏れ日が薄く差す林縁の草に
しばしば止っていたものです。
採集に疲れた昼下がり、休息も兼ねて本種をルッキングで探すのが好きでした。

本種は九州にも分布していますが、これがとても変わっています。

まず特筆すべきが出現場所です。
信州や関東、東北等では森林を生息地とする一方、九州では灌木を交えた草原地帯のみに現れます。
森林で採れた例は他県も含めて私が知る限りありません。

また、形態も本州産とはとても異なっています。
前胸の長さに比べて相対的にエリトラが短いので、かなり寸詰まりに見えます。
本州産を見慣れた人は相当に違和感を覚えるのではないでしょうか。

そしてその珍品度です。
同様に草原と関係の深い珍品の代名詞たるムナコブハナカミキリと比べ、遥かに採れません。
確たる採集ポイント、採集方法がないため、実質的に偶然に得られた例が殆どだと思われます。
居ることが分かっているのに採れないという意味では、九州産カミキリの中でもトップクラスの
珍種と言えるでしょう。

出現期が5月下旬~6月中旬と短い上、その時期に草原で採集を敢行する人は限られます。
その時期に草原でムナコブハナを狙う人は居るのですが、ムナコブハナの有名ポイントでは
殆ど採れないのです(採れても1シーズンに全員で1頭程度)。

まあ、殆どの採集者にとって本種は掴みどころのない珍種なのですが、幸運なことに僕はポイントを
持っています^^
偶然に見つけた場所ではありますが、それも草原王国に住む恩恵でしょう^^

さて、今年は今月上旬に一度ポイントに行ったのですが、初めての生態写真を撮ることが出来ました。
九州産モモグロハナが野外で撮影されたのは恐らくこれが初めてと思います^^

本種の確実なポイントとは言っても、必ず採ることができるわけではありません。
見つけたとしても日に1~2頭。勿論見る事すらかなわない日もあります。
その日も2時間ほどじっくりルッキングして、ようやく発見した個体でした。

本種を見つける際は何故か足早に動いている場面が殆どで、この時も葉上を素早く歩いている
ところに一か八かカメラを近付けました。
するとヤツはそれに気付き、触角を突き立てて「ヒュッ」と飛んで行ってしまいました(泣)。

露出やピントを合わせる間もなく1枚を撮るのがやっとでしたが、構図は悪いものの奇跡的に
ピントが合っていました(そんな撮り方をしたら普通は絶対に合わない)。
その代わり、貴重な1頭を逃すという大きな代償を払う結果とはなりましたが・・・

今年撮った写真の中で恐らく最も重要な1枚です^^

実は昨年までの数年間はムナコブハナが不調だったため、この時期は本種の探索に
傾注していました。
その結果数ペアを採集することが出来、多少心の余裕が出来ていたんですね^^
それがなかったら逃がす公算が大きい生態写真など撮ろうなんて思わなかったでしょう。

この日はその後、幸運にも別個体(♂)を見つけ無事採集することが出来ました^^

ネットの中の本種です。
本種はちっともじっとしていないので、なんとか見れる写真はコレだけでした。

今年はムナコブハナに専念したので本種は1頭しか採る機会がありませんでしたが、
念願の野外での写真が撮れたのでラッキーでした^^

将来は幼虫期の生態にも迫ってみたいと思いますね。
♀は容器内でも結構簡単に卵を産むので、人工飼育も可能と踏んでいます^^

もっと詳しく知りたい事や
理解できなかった事などございましたらお気軽にご連絡下さい。

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