蝶 | 蝶・カミキリ・昆虫を楽しむ!(九州・沖縄を中心に)

雪降る日にテングアゲハを愛でる(2025.2.7)

今冬は珍しく低温が続いており、九州:熊本の平地でも今日で3日連続で雪が降りました。
僕が子供の頃の冬には雪がチラつくのが普通でしたが、雪を殆ど見なくなっていた近年では
珍しい年ですね。
子供の頃でも積雪はせいぜい5センチ程度でしたが、小さな雪玉で雪合戦をしたり黒い小さな
雪だるまを作ったのは良い思い出です。

こんな寒い日にテング箱を久し振りに見てみました。
オウゴンテングはベトナム北部・南部、海南島および中国大陸の4亜種あります。
♀が在るのはベトナムの2亜種のみですが、海南島の♂は3つあります。
そう言えばシンカイ亜種は♂の赤ラベルもありますね。
テングのタイ北部産はシンガポール駐在員時代に集めたので結構在り、あとはインド、ラオス、
ミャンマー産くらいかな。

1箱ですが、それなりに集めたかな。
自分のレベルでは十分です^^

「山」シルビアシジミ飼育を開始。今季オークション出品も開始(2024.10.4)

秋のレピ飼育の一環として、阿蘇のシルビアシジミに取り組み始めました。
下の写真は母蝶採集のためポイントへ向かう途中で撮った現在の阿蘇連山。秋めいてきた草原では
ススキの穂が目立つようになっています。

現在は母蝶からの人工採卵が終了した段階で、孵化した初齢幼虫の摂食が既に確認出来ます。


現在は産地でのホストのミヤコグサを摂食していますが、食い尽くされた後はスナップエンドウ等の
優れた代用食で大型の低温期型に育てていきます^^

九州のシルビアシジミは北部県及び南部県では海岸線や大河河岸のような低地で発生していますが、
中部の熊本県では何故か海岸地域などの低地には見られず逆に阿蘇高原周辺の草原に分布します。
いわゆる九州では唯一の「山」シルビアと言え、近年は生息地が極めて限られるため貴重な存在です。
僕が通っているポイントでも当方が地元に戻った直後の10数年前と比べると驚くほど減っており、
今回は母蝶の確保にかなり苦労しました。

母蝶の数が少なかったため得られた卵はあまり多くありませんでしたが、九州の山シルビアは益々貴重に
なって行くので大事に育てたいと思います。次は代用食に切り替える頃に途中経過を報告します。

なお、今月から今季(~来年3月)のオークション出品を開始します。一回目の出品は今週末頃、終了日は
13日(日)となり、その後は従来のように2週間毎に出品を繰り返します。
近年の傾向として出品数を次第に減じており、今季以降も踏襲することになります。当方の出品に
御興味をお持ちの方は当該サイトを時期に覗いて頂けると幸甚です。

全都道府県採集プロジェクト:鳥取県(キマダラルリツバメ)(2024.6.15)

「全都道府県における採集(現時点での未採集地域)」の第二弾は鳥取県のキマダラルリツバメです。
一月半前の第一弾、愛媛県:フタスジカタビロハナカミキリ(通称キマル)に次ぐものですが、
今年は梅雨入りが遅れていることもありバタバタすることもなく余裕を持って臨むことが出来ました。

第一弾が「キマル」、そして今回が「キマルリ」。
これは全くの偶然で決して狙ったわけではありません。気付いたときは我ながら本当に驚きでした@@

中国地方の未採集地域としては九州に近い方から山口、島根、鳥取、岡山と結構残っていましたが、
鳥取だけはキマルリというターゲットも決めていたことから真っ先に取り組みました。
熊本から鳥取までは車で約8時間。特に帰路がキツかったのですが初めて山陰道や松江自動車道など
未知の道路を走れたり、いずれ観光で行きたい出雲大社の近くまで迫れたりと虫以外でも貴重な体験が
出来て有意義でした。
キマルリについては全く情報を持っていなかったので、今回は素直に知人の虫屋さんを頼りました。
お陰様で目標が達成出来て感謝の意に堪えません。本当に有難うございました。

一度は自力で採ってみたかったキマルリ。どんな飛び方をしているのか。どんな環境でどの時間帯に活動
するのか。そして少しで良いので自らの生展翅で綺麗な標本を作る。夢がまた一つ叶いました^^
キマルリ好きな蝶屋さんは多いので人によっては「今更感」のある種類かもしれませんね。
僕が四半世紀暮らした東京の近くだと福島の産地が有名で蝶好きな友人は通っていましたね。
僕も興味はあったのですが甲虫中心だったことや、タイミングが合わず結果的に「通り過ぎてしまった」
ままの存在でした。還暦を機に始めた「全都道府県における採集(現時点での未採集地域)」は
こうしたものもついでに一つひとつ潰していくプロジェクトで、ホント良いタイミングで始めたと思います。
全都道府県を旅行したことにもなりますしね。老後には打ってつけのイベントだと思います。

僕が「キマルリ的」なものを採った唯一のケースは、かつてシンガポールで暮らしていた際にふらりと
出かけた隣国マレーシアのジョホール州低山に於いて。雑蝶をホイホイ採りながら田舎道を進んでいると、
頭上からチラチラと不規則に舞い降りて来て下草に留まったシジミチョウが居ました。
目前だったのでじっくり観察出来たのですが、濃い黄色の裏地に鮮明な茶色の虎柄、長く細い四本の尾凸。
羽化直後のキマルリ近似種と直ぐに分かったのですが、その優雅なたたずまいに一発でKOされましたね。
キマルリを採ってみたいとの願望が消えなかったのは、その時の感動が頭の隅に引っ掛かっていたから
と思います。虫屋にはこのような一生モンの記憶の断片が多過ぎてある意味困りモノではありますね^^

前置きがとんでもなく長くなりました。
鳥取のキマルリは松林や桜並木で発生していることが多いのですが、今回僕の採集ポイントは後者です。
キマルリは夕刻の活動時間帯以外は付近の梢や幹に潜んでいるので、不活発な時はゼフィルスのように
叩き出すしかないのですが、これがかなり非効率。採集した二日間は連日最高気温が30℃越えの
雲一つない晴天日。風がややあって湿度が高くなかったことで大汗をかかずに済みましたが、幾ら叩いても
殆ど飛び出さないので疲労感、悲壮感がどんどん増してきます。

叩き出しで運良く飛びたたせるとあまり広範囲に飛び回ることなく直ぐに近くの梢に留まるので、狙いを
定め掬い採ることが出来ます。ただ込み入った場所に入ってしまうことも多いし、やってみて分かったのは
テキは思いのほか小さくかつ素早く飛び回るので目で追うのが困難です。僕の視力は両目併せて0.7しか
ないので慣れないうちはちょっと苦戦しました。ちなみに、0.7でメガネも掛けずよく虫採りの成果を
上げられますねと驚かれるのですが、僕の場合は乱視が上手く補っているため動体視力が人並み以上に
良いようです(なお飛翔ネキダリス決戦の時だけはメガネを掛けて臨んでいます^^)。

唯一写真を撮れた個体(と言うか、他にも撮れる個体は居たが撮る前に採った^^)。もっと近くに
留まってくれれば良いのに・・・
でも綺麗な尾凸が4本揃った新鮮個体だ^^

少しでも成果を上げるにはこの叩き出し戦法を執るしかないのですが、西日が傾いて来るとある時間帯から
お待ちかねの「テリトリー活動」がはじまります。これもゼフと同様に梢の先を飛び回ったり、場合によっては
2頭、3頭が追いかけっこする状態となります。
ただ、この時の飛翔は実に早く不規則なのでこの場合も目で追うのが一苦労。テリ張りでは一しきり飛ぶと
必ず何処かに留まるのでそれを見計らって掬い採れば良くかなり楽なことも分かりました。
やはりキマルリはこの活動時間帯が醍醐味で、これを堪能出来たのはこの上無い幸せでした。

尾凸が4本揃ったまあまあの♂。

ちなみに本種は日本一エレガントな蝶と言え、長く糸のように細い尾凸は四本存在し、尾凸の最端部の
白色部分まで完全に残る完璧な個体の割合はとても小さいものです。見ていて分るのは不規則に飛び
いきなり込み入った梢に突撃するように着地、無造作に飛び立つのでその際に翅を枝葉に打ち付ける
回数は相当なものでしょう。
尾凸が二本存在する蝶は多いですが、本種は四本ですからね。破損し易さは比較になりません。
本種の完全個体の価値は極めて高いと言えます。

また、一つ感じたのはこの「ゴールデンタイム」は極めて短いということです。テリ張りの良い時間は
せいぜい20~30分程度ではないでしょうか。大きく捉えると活動時間帯は1時間程度はありますが、
その中で複数飛んでいるのが頻繁に目に入るのはせいぜいそんなモンです。この30分程を一番良い
ポイントの前で有効に使う必要があるのは初採集者として結構キツイものがありました。
♀も基本的に叩き出しでしか採れませんしね。実際に手を下して知れることは多く、つくづく実践は
大事と思いますね。

採集適期の時間帯はせいぜい1時間かよ~という感じでしたが、二日採集出来たのでまあ満足です。
あとはゆっくり尾凸の揃った新鮮な個体だけ生展翅して楽しみましょう^^
なお僕は特段、キマルリ屋になるつもりはありません。本種はギフと同様に結局産地集めに終始します。
規制で採集出来なくなった、居なくなったポイントは数知れず。産地集めは不幸の極み(個人的見解)です。
永い虫屋人生で学んだのは、虫を楽しむにはコンプリートを目指さないこと。これです^^
コンプは図鑑を作る人にでも任せておけばよい。修羅の道が楽しいと言うのならそれまでですけどね。
とは言え、採集が楽しいのが分かったのでまたいつか採りたくなるかもしれませんが(伯耆大山等でも
採集したいし^^)、僕の中のキマルリはとりあえずこれで一旦終了です。

今年から始めた全都道府県採集プロジェクト。今シーズンは2か所回りましたが、このような要領で年に
2~3か所を楽しく遂行していければと思います^^

5月の虫採り、暫くブログ更新お休みのお知らせ(2023.5.23)

今月上旬に八重山から地元に戻って以降、あまり意味のない採集へ出る回数を減らすことに成功
しつつあります。特に地元の場合、しょっちゅう同じ場所へ行き同じものを狙っても面白くない
ですからね。

5月は低山原生林での採集、九州山地でのウツギ花掬い、ハラグロオオテントウの観察や、迷蝶の
ホソオチョウを見つけたり、初めての甑島(下甑島のみ)で時期の虫を採ったりしました。








遂に本日から九州北部(地元を含む)は梅雨に入りました。台風2号の影響も加わりとりあえず雨天が
6月上旬まで続くようです。
なお、やんごとなき事由により6月から暫くブログ更新をお休みします。
再開までごきげんよう。それぞれの虫採りを楽しんでください^^

シルビアシジミ飼育準備など(2022.8.29)

相変わらずの平地での灼熱地獄を逃れるため、山間部へ1時間半ほどのドライブに出ました。
平日の昼間なので全くストレス無くすーいすい^^ 
阿蘇の高原は未だ青々とした夏色を纏(まと)いながらも、吹き抜ける風は明らかに涼しさを伴い
秋の訪れをそこはかとなく感じさせるものでした。

今日の目的は秋に行う予定の阿蘇産シルビアシジミの食草ミヤコグサを確保すること。
九州のシルビアは北の福岡や南の鹿児島・宮崎の沿岸部や大河川敷には多産する所も在るものの、
中部の熊本には何故か少なく、僕は阿蘇の産地しか知りません。
その阿蘇でも全く一般的ではなく、分布は局所的な上とても薄いものです。ミヤコグサもまず
目にすることはありません。
僕の知るポイントでもミヤコグサは少なく、可憐な黄色い花のおかげで見つけるのは容易いものの
株が小さいので余り量を確保出来ません。

なんとか10株ほど掘り取りました。採卵用なのでとりあえず数はこんなもので良いでしょう。
幼虫は孵化後スナップエンドウ等の代用食で飼育することになります。

シルビアは幾つかは飛んでいるものを確認しましたが、数が少ない時期だし、美しい低温期型を得る
ための飼育には未だ早いです。採卵用♀の適期はあと1カ月ほど後でしょうか。

ところで、腰を屈めながらミヤコグサを掘るという作業を草原の中で行い、車に戻って作業用ズボンを
短パンに履き替えたところで右手の人差し指の付け根に違和感を感じました。
其処に目をやると、なんと「ヒル」が付いているじゃあ~りませんか!
「うわっ!!」と叫びながら叩き落とします。

同じような形状でも尺取虫など蛾の幼虫なら驚き慌てふためくこともありませんが、コヤツは別です。
急いで噛まれていないか体中を調べましたが何処にも被害は無く安堵します。
恐らくズボンを履き替えた際に足元に付いていた奴が指に乗り移ってきたものでしょう。
阿蘇のように牛の放牧が盛んな地域では、乾燥した夏の草原にもこのようにヒルが居るんですよ。
鹿や猿が多い屋久島や放牧地帯の阿蘇など、ヒル天国を採集地として持つと大変です@@

出来上がった採卵用鉢。平地は未だ暑いので多少はヘタるかもしれませんが、日陰で管理するので
枯れることは無いでしょう。少しは成長すると良いな。

関係ありませんが、庭で生育中のヤエヤマネコノチチ。奄美から抜いて来たもので、既にその時の
1.5倍の大きさには成長したかな。別に2鉢あるのでもうこの時点でフタオチョウを10頭は
飼えるでしょう。

フタオは現地で結構飼育したけどアパート暮らしだったので切り枝飼育で大変でした。
数年後にまたあの楽しい幼虫を飼って遊ぶとしましょう^^

夏の草原の蝶、ヒメシロチョウ、ツマグロキチョウ(2022.8.14)

夏の阿蘇の草原に蝶を採りに行って来ました。ターゲットはヒメシロチョウおよびツマグロキチョウです。
阿蘇とは言っても東部の端、「奥阿蘇」と呼ばれる祖母山に近い地域で、熊本でも大分や宮崎との県境に
近くとても行き難い地域です。

ヒメシロはホストのツルフジバカマの分布に制限を受けており、阿蘇草原の中・東部から奥阿蘇にかけて
生息が知られます。草原王国と言っても何処にでも見られるわけではないんですね。東に行くほど分布は
濃くなるというイメージです。

実は僕の母方の里が奥阿蘇のさらに奥(祖母山にかなり近い所)に在るので、小さい頃からこの地には
馴染みが在りました。その頃と比べると虫はとても少なくなりましたが、上記2種の蝶は相変わらず其処に
居て、童心に戻って楽しく蝶掬いを楽しみました^^

阿蘇のヒメシロはまだまだ多いと言われますが相当減りましたね。ツルフジバカマも殆ど目に付きません。
広島のように絶滅することはまず無いと思いますが、既に目前に幾つもが飛んでいる状況ではないので
留意はしておく必要があるでしょう。分布が限られるツマグロも此処では存分に数を拝めて幸せでした^^

そうそう、50年近く前はこの斜面の奥にピーマン畑があり、親戚の農家のピーマン収穫を手伝いながら
当時は結構居たゴマシジミと戯れたものです。現在は誰も農業を営む者が居ないので此処も耕作放棄地
となり、草に阻まれ立ち入ることも出来ません(下の写真)。もっともワレモコウは既に無く、一帯から
ゴマも消えて久しいです・・・

ゴマとは違い消えてはいませんが、ヒョウモン類、スジグロ・ヘリグロ・ミヤマのチャバネセセリに   
ギンイチモンジセセリ、キアゲハやカラスアゲハと言った草原に多い蝶達も相当に減り、今日はほぼ
目に付きませんでした。
蝶が居ない、少ない草原。50年前を知る人間にとっては一抹の寂しさを感じる一時ではありましたね。

さて、今回ヒメシロは♂♀共に新鮮で採集適期、ツマグロは新鮮な♂が殆どというタイミングでした。
秋に時間が在ればヒメシロの第4化(最終化)、さらにツマグロの秋型を採りに再来しようと思います。

そして草原の一画には風物詩の牛が草をはむ風景が在ります。秋には糞虫採りに近場を訪れるので、
今秋狙う予定のシルビアシジミと共にこれらのついで採集は可能でしょう。

高原が涼しくなるまであと半月~1カ月。秋の採集も楽しみですね^^

九州山地の春の蝶には遊んでもらえず(2022.4.11)

九州と言えど甲虫採集には未だ早いので、九州山地の高標高地域へ春の蝶を確認しに行って来ました。
九州にギフやバシロは居ないので、春の蝶と言えばスギタニルリ辺りに限られるでしょうか。
僕はなんでも屋なので全く問題ありませんが、九州で蝶しかやっていない人はツマンナイでしょうねえ。

ところで、九州のスギタニは大きくて裏面が白い亜種となっています。
九州北部と南部には多産地が知られていますが、中部の九州山地の辺りには何故か多くないようです。
僕はこれまで九州の蝶にはあまり時間を割いて来なかったので未だ1カ所でしか採っていませんでしたが、
今日は別の所で探してみようと考えました。

本州に居た頃何故かスギタニに狂った数年間が在り、出現期は春の一時に限られるが渓谷に行けば
ウジャウジャ居る蝶としてスリ込まれています。そこで前から目を付けていた九州山地(熊本)の渓谷に
行ってみました。
高温の晴天、午前10~正午頃に水辺を探したもののなんと数頭しか現れません。


「あれれ、やはり九州中部では少ないということなのか・・・」
鮮度としては良いものも悪いものもあり、時期を外しているわけでは無いようです。ただ♂がこんなに
少ないんじゃ♀なんて採れないよなあ。

ポカポカ陽気の中、数は少ないものの他の蝶も時折姿を見せます。
越冬後のテングチョウやタテハ類、ウラギンシジミに混じってミヤマカラスアゲハやツマキチョウ、
トラフシジミなどがチラチラして、小春日和の高揚感を高めてくれます。

九州のミヤマカラスの飼育もペンディングのまま永年経ってしまったなあ。

狙ったスギタニはほぼ採れず新産地を見つけた程度に終わりましたが、既知多産地でウジャウジャ
採っても仕方ないしね。スギタニはいずれ九州山地産の♀から人工採卵して飼育してみたいと思います。
カミキリ採集に良いカエデの木の発見も出来ましたし、今日も良い運動になりました^^

2産地のフタオチョウ(2022.1.15)

オークション出品のために別々の標本箱から取り出したフタオチョウの♂。
たまたま手元にあるので並べて撮ってみました。
左が沖縄本島産(7月採集)、右が奄美大島産(6月採集)です。

沖縄産は規制前の標本(面識のない人の採集品)ですから色あせが進んでいますね。これは黒系の
蝶標本の宿命なので仕方のない退色です。奄美産は昨年に自ら採ったもので新鮮そのもの。

今の奄美に何故本種が居付いたのか、その理由は誰にも分からないし誰も断言は出来ません。
もし「私が〇〇産を放しましたあ!」と名乗る人が居ても、確固とした証拠にはなりません。
そんなことはどうでもよいのですが、それより左と右、同じ夏型なんだけど何か違いが大きいように
感じるのは僕だけだろうか・・・
だから何かを言いたいわけではないけれど。

ちなみにオークションサイトを覗いて見ると、それぞれ別々の方が既に入札しておられます。
このまま推移すればこれら2♂は遠く離れてしまうわけで、一時は一人のコレクターの元にあっても
別個の運命を辿って行くんですねえ。
一期一会ではないけれど、僕のコレクションは四方八方に飛んで行っています。
僕のやり甲斐の一つは、多くの人の標本箱に自分の標本を飛ばすこと、です^^

奄美での最後の虫観察、ツマベニチョウの諸々(2021.11.27)

奄美で最後に係った虫、ツマベニチョウについて知見を記しておきます。
秋が深まった頃から11月下旬の現在まで野外での発生状況を見ていろいろ知ることが出来ました。
この時期のツマベニは成虫では最終化が活動、そして来春の第一化となる卵・幼虫が同時に居て、
越冬蛹が出現する時期となります。

11月中旬の奄美は最高気温こそ20℃はあるものの朝晩は暖房器具を使い始める頃です。
晴れた昼の時間帯には成虫が飛び、幼虫がギョボクの葉を摂食している場面も見られますが、
朝晩は肌寒いし寒風が吹きすさぶ場面も多くなってくる(冬の離島あるある)ので、ツマベニの
ような大型種が活動するにはそろそろ微妙な時期に入ってきていると思います。
ここ数年見た感じでは、少なくとも11月一杯は温かい時間帯にツマベニは飛んでいました。
12月に入っても生きている個体が居るのは間違いありませんが、沖縄や八重山とは違うので
厳冬期に飛んでいる蝶はさすがに居ません。
つまり今飛んでいるツマベニ成虫世代が死に絶えた段階で越冬蛹に切り替わるわけです。

9月下旬からツマベニ最終化を得るべく動き始めたので、前回記事以降の観察状況をまとめて
おきたいと思います。

(参考)ツマベニ前回記事

10月中旬頃から最終化の蛹の最盛期になり、一時は多くの蛹を抱えていました。
基本的に成葉裏面の主脈で蛹化するので、大部分は「おぶり紐」と尾端の葉との付着部をそのまま
利用して葉の一部を切り取り台紙に接着剤で張り付けています。

やむなく「おぶり紐」を切らざるを得なかった蛹は、こうして台紙に直接腹部を貼り付けました。
台紙と垂直になるように貼っても、斜めに貼っても羽化状態に差異はありませんでした。
ちなみにツマベニは羽化成虫が蛹殻に垂れ下がって大きな翅を伸ばすタイプです。地面に転がした
蛹では羽化は出来るものの体が重過ぎるのか壁をよじ登れなかったり、登れても垂れ下がる体制が
取れないと翅が伸びず羽化不全になってしまいます。
綺麗な標本を得るには自然状態に近い羽化環境を作ることが大切です。

蛹を貼り付けた台紙をクリップでネット内に固定してやると羽化はほぼ100%上手くいきます^^

今月上旬位までは天敵の活動も活発で、見ている横からスズメバチのアホが幼虫を食い千切りダンゴに
し始めるので追い払うのに躍起になっていました(ぷんぷん)。

蛹の色についてですが、前回記事の段階で黄色型が混じり始めました。最初はこれが越冬蛹の
デフォルト色かな、と思ったのですが、他の緑色の蛹と共に時期が来ると羽化しました。

ちなみに葉が茂っている時期に枝で蛹化するケースは極めて稀ですが、枝で蛹化する場合は確認した
限りでは全て黄色型になりました。


また緑と黄色の中間色の「黄緑」の蛹も一つだけ見ることが出来ました。

最後に11月最下旬の今の様子です。
成虫も未だ飛んでいるので卵も散見されますし、勿論幼虫(若齢~終齢)も居ます。


ただこれからますます気温は下がるのでこれらの成長速度は遅くなります。現段階で少なくとも
終齢幼虫は確実に蛹になれるでしょうが、卵や若齢幼虫は一体いつまで生き延びれるのか・・・
幾ら奄美大島の冬と言っても、12月以降の厳冬期に生身の幼虫が生存出来るほど甘くは無いでしょう。
ギョボクの葉も無くなってきますし。
下の写真は葉がまばらになった枝先で寒風に晒される終齢幼虫。この時期最低気温は10℃近くまで
下がります。なにか哀愁が漂うなあ。

例えばイワカワシジミの場合、少なくとも厳冬期までに全ての幼虫は老熟し寒い中でも蛹になるか前蛹の
形で冬をやり過ごすものも居るようですが、はたしてツマベニの幼虫もそんな能力を持つものなのか・・・
やはりギリギリのところで蛹になれない幼虫は★ってしまうような気がします。
残念ながら僕は数日後に奄美を発つので12月以降の幼虫達の行く末を確認出来ません。
まあ、著名な種類なので既に奄美での詳細な越冬態は確認されているのでしょうけどね。

最近では幹をウロウロしている終齢を度々見ることから、越冬蛹になる終齢幼虫は恐らく木を離れて
蛹化するケースが多いのでしょう。

終齢が幾つか居た木(葉がほぼ散ったもの)を調べても全く蛹が見つからないので近くを探すと
電柱のケーブルを覆う黄色のプラスチックカバーの上で一つ見つけました。木からここまで
約3メートルの天敵の居る悪路を歩行しなければなりません。それほどの危険を冒さないでも
元々居たギョボクにも蛹化に適した小枝が幾らでもあるのに変な生態ですね。
他の同様の木を見ても小枝や幹に越冬蛹は全く見つかりませんでした。

またこの時期の終齢幼虫には寄生蠅の卵が付着したものが多く見られます(以前は全く見なかった)。
寄生されたり過酷な厳冬期を経る中で生存率はガクンと落ち、春型の数は一気に減るのでしょう。
自然の摂理ですね。

手持ちの蛹は全て一回り小さなものばかりになりました。羽化兆候も現れないのでこれが越冬蛹でしょう。
残念ながらあまり数を確保出来ませんでしたが、第一化の標本は全く持っていないので来春まで大事に
管理したいと思います。ちなみに春型は当然小型で前翅先端がかなり尖るとされています。
これはこれで楽しみだ^^

これが奄美で記す最後の虫採集・観察記となります。
この4年弱の間、気になっていた様々な虫達に触れることが出来てとても幸せでした。
暫くは奄美(群島)の虫達から離れますが、そのうちまたやりたくなるでしょうからその時は別の視点から
再度此処の虫達を追ってみたいと思います。

野に放ったアカボシゴマダラ幼虫の今(2021.10.29)

秋に入った頃、アカボシゴマダラのハラボテ♀が採れたので「飼育してみるかあ」と安易に採卵セットを
組んだところ、これまた安易に産卵してくれました。

孵化後に若齢幼虫を暫く飼っていましたが、以前の記事のとおり引っ越し前に越冬幼虫を作成する暇など
無い、そして来春に飼育再開するメドも立たないことに気付き(最初から分かっていたはずだが^^)、
潔く飼育を断念。

2~3齢になったところで近所のクワノハエノキにホッチキスで留まっている葉ごと付けてみました。
ラクな放(幼)虫です^^

で、2週間ほど経った現在の様子がこれ。かなり大きくなったなあ。
恐らく4齢ですが、現段階で本土のタダゴマダラの越冬幼虫(エノキの落ち葉に張り付いている奴)の
サイズより一回り大きくなっています。

10月最下旬の奄美はそこそこ気温も下がってきましたがクワノハエノキの葉は未だ青々としています。
アカボシの越冬前の幼虫は更に大きくなるのだろうか、あるいはこの辺りで摂食を止めるのか。
自分はほぼ1カ月後に奄美を去りますが、幼虫がどうなっているのか確認しておきたいと思います
(覚えていれば^^)

いずれにしても、将来のアカボシ飼育のシミュレーションが簡単に行えました。
無駄ではなかったかな。

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