雑虫 | 蝶・カミキリ・昆虫を楽しむ!(九州・沖縄を中心に)

波照間島に来ています(2023.4.26)

石垣島を離れ現在は波照間島に来ています。波照間に来るのももう6~7年振りになります。
成果が大きく上がる島ではないですが、独特なのんびりした風情があって好きな島です。

平坦な島なので分布する昆虫の種類はそう多くはありません。ただ日本最南端(有人島としては)
なので特化している種類も多く、普通種でも石垣・西表と比べると「何か違うな・・・」と思わせる
ものによく出会います。
カミキリで言えばシブラ属・ロピカ属のような最普通種にもそれが言え、石垣・西表ではもう摘まむ
ことのないこれらも一通りは回収したくなります。

昔から「何か変だな」と思っていた中にアトモンチビカミキリがありますが、最新のカミキリ図鑑で
僕の名が付く新亜種となりました。よって波照間産カミキリの特産亜種は3種に増えました^^
ハテルマアトモンチビの♀を2パターン挙げておきます。


稀ですがネットの上でダイブ体勢を取ることがあるのもこの仲間の特徴。本亜種でもこれが見れて
ラッキーです。繰り返しになりますがこの体制はなかなか見れないんですよ。

そしてアトモンチビのくせに意外と数が少なく、居ない所には全く居ないし居る所でもポンポン
落ちるものではありません。

かつてこの島に通うようになったきっかけの一つ、イマサカドウボソも健在でしたが、今年は発生が
悪いのか、時期が早いのか、あるいは数そのものが減ったのか殆ど得られませんでした。


もう一つのドウボソ、ハテルマタテスジドウボソは白化の進んだ亜種となります。白帯がより白化
すると言うよりは地色が薄くなるため全体的に白っぽく見えるようですね。

石垣でも感じましたが波照間でもススキの量が減る傾向にあるようです。ススキ食い昆虫の発生に何か
影響がないか注意の必要がありそうです。

三つ目の亜種、ハテルマイシガキゴマフ。波照間では農地回りの間伐はよく行われるものの、これには
殆ど見られません。雑多なビーティングで数を稼がなくてはならず、結構厄介な普通種です^^
この傾向は石垣でも与那国でも同じなのでカミキリ屋さんならこの感覚をお分かり頂けると思います。
僕は大のゴマフ狂いで、本種のマイコレ追加が今回の目的の一つだったのでビーティングにせっせと
勤しみました。恐らく今回の八重山採集で最も熱心にビーティングしています^^

冒頭のように亜種ではないですがこの島のものはそれなりに特化していると感じるものが多いので
参考までに幾つか写真を挙げておきます。

アヤモンチビ

タイワンチビ

ハヤシサビ

ワモンサビ(擬死装い中^^)

海岸線にハマボウが多いものの何時も少ししか採れないヒメスジシロ。

僕はクルセイダーバグと称しているカメムシの美麗種。ハマボウの実に付き今回の波照間ではそこそこ
見られました。石垣等でも採っていますが単発が多かったのでまとめて確保でき喜んでいます。

さて、明日は最後の島に向けて波照間を発ちます。

遂にミカンツノカメムシを採る(2023.4.21)

あまり採集をしないことに決めている今回の八重山ですが、採集に出たら出たなりにやはり何らかの
収穫があります。
十数年前から是非採りたいと思っていた虫が何となくやっていた林縁のスウィーピングで採れました。
ミカンツノカメムシです^^

八重山にはミカンキンカメというのも居ますが、それとは違いますよ^^
ミカンキンカメはキンカメ類の変わり種でやはり八重山に分布しますが、これは長期遠征時代に
採集済みです。

ミカンツノカメは本土に何種類か居る大型ツノカメ類よりひときわ大きく、ツノは写真の通り湾曲した
巨大なもの。今は亡き石垣の虫屋さんの標本箱で見て以来どうしても欲しかった虫で、僕にとっては
間違いなく今回の八重山での最大成果と言えます。

本種は本当になかなか採れず、現在はポイントも特に無いため奇虫が好きな虫屋の難関の一つと
言えましょう。思い掛けなく十数年来の夢が今回叶いました。

緑系のカメムシ標本の変色は避けられないのですが、少しでもそれを防ぐため本個体は冷凍処理して
みたいと思います。

ラデンキンカメムシ(2021.11.29)

ラデンキンカメムシ・・・
奄美大島を離れる二日前、偶然に見れた!

これまで見なかったのに、奇跡だ^^

3種のルリゴキブリ(2021.3.3)

僕はゴキブリ類のなかでは唯一、美麗種として知られるルリゴキブリのみをコレクションの対象と
しています。
ところで国産ルリゴキブリって3種類が存在することを知っていますか?

日本に於いてルリゴキブリ属のゴキブリは従来、石垣島および西表島に生息するルリゴキブリ
Eucorydia yasumatsui 1種のみが知られていました。しかし昨年11月、新たに2種のルリゴキブリが
新種として記載されました。これは35年振りとなるルリゴキブリ属の新種記載となります。

実はこれまで奄美群島や与那国島でもちょっと変わったルリゴキブリ群がそれぞれ知られていましたが、
要はそれらが新種として認識されたということになります。
勿論、僕は3種ともに採集済みです^^

まずはタダルリゴキブリ。
僕は石垣島、西表島ともに採集していますが、より原生林の残る西表島の方がやはり多い印象です。
かつて八重山へ長期遠征を行っていた時分に何度か当ブログで言及しているのでご参考に。

(参考)石垣島のルリゴキブリ
(参考)西表島のルリゴキブリ

次に、ウスオビルリゴキブリ Eucorydia donanensis
与那国島にのみ生息し、腹部は紫色で上翅に不明瞭な黄赤色の帯状紋を持ちます。近いことから
斑紋を除くと石垣・西表産によく似ています。より少ない印象でしたね。

そして、アカボシルリゴキブリ Eucorydia tokaraensis
宇治群島家島、吐噶喇列島悪石島、奄美群島奄美大島、徳之島に生息し、明瞭な黄赤色の3つの紋を
持ちます。沖縄群島を飛び越すほど離れているためか、八重山の2種とはちょっと雰囲気が異なります。
比べると体はやや大きく、ルリ色というより黒色味が強い印象があります。
ここ3年で僅か2頭しか採っていないので相当少ないものと感じています。

ルリゴキブリと言えば超有名な美麗昆虫で、一般に嫌われるゴキブリの一種でありながらそれを
超越した人気を誇るコレクターアイテムとなっているのは周知の事実ですね。
さて、3種とも自力採集したことがある人は日本で何人ほどいるのだろうか。

奄美大島のルリゴキブリ(2019.6.23)

ここ数日の奄美大島は正に梅雨真っ只中、終日雨が降り続いています。
今年の奄美は虫が全くと言って良いほど居ないことに加えて、この時期にも拘らず何故か涼しく、
暑く感じる日がほぼありません。去年の今頃は蒸し暑くて冷房のお世話にならなければ過ごすことは
不可能でしたが、今年は扇風機すら殆ど使わなくて済んでいます。今日なんか、ちょっと梅雨寒。

基本的に虫が居ない、低湿度なのでさらに虫は採り難い、そして治りきらない右腕の故障。
虫採りしなくて良いのでとても楽チンな6月です^^

今日はスウィーピングで採ったルリゴキブリを紹介します。
ゴキブリ類の中で唯一コレクションしている珍・美麗種です。

(参考)西表島産ルリゴキブリ
本種の魅力をしっかり語っています^^

これまで僕は奄美以外では与那国、西表島、石垣島で採っています。
確固とした採集法が無いのでいずれでも多くは得られませんでしたが、奄美での採り難さは別格ですね。
折に触れて書いている様に今年は右腕を故障したので時期に殆どスウィーピング、ビーティング等が
出来なかったこともあり僅か1頭しか採れませんでした。あれほど手数を出した昨年でさえも1頭・・・
少なくとも八重山地方と比べれば数は少ないようです。

石垣島産と西表島産が無紋であるのに対し、奄美産は写真の様に鮮やかな赤褐色紋が発現します。
実は与那国産も少しは赤褐色紋が認められるのですが奄美産のようなドギツサはありません。
ルリゴキ・コレクションのアクセントとしてとても映えるのでもっと数が欲しいところです。

これも、来年の課題だな。
(課題だけが増えて行く・・・)

母親(母虫)の無償の愛にホロリ(2019.5.27)

出来れば今月12日の「母の日」に投稿したかった記事です。
題すれば母親の「無償の愛」といったところでしょうか。
本題はもう情緒表現バリバリでいきましょう^^

空梅雨、加えて虫の発生が悪い奄美の林内を徘徊していると、垂れ下がったアカメガシワの葉裏に
何か虫が留まっているのに気付きました。
ホストのアカメガシワの葉裏で卵塊を産み、守り、育てるアカギカメムシの母親の姿です。
かつて夏の屋久島でも出会った光景です。

(参考)
屋久島における卵塊を守るアカギカメムシ
7年前、当ブログを始めた年の記事です^^

上記リンクでも分かるように屋久島の母虫の色合いは通常タイプの紅い個体ばかりでしたが、ここ奄美で
出会った母虫達の色彩は薄い色合いのものばかりで一定の相違点があるようです。
それ以外は全く同じで、卵から孵化したばかりの幼虫群の上にドッカと陣取り、突いたり引っ張ったり、
幾らしようが決して其処から離れようとしない母虫の意思の堅さに再び深い感銘を受けました。

評すれば単なる「本能」で片付けられる行動ですが、人間ならここはセンチメンタルになっても
仕方がない場面でしょう。
むしろ、そうならない方が僕は人としては信じられない。

それから1週間後、再び件の親子の様子を覗いてみると・・・
既に幼虫達は巣立ってしまった後でした。現在アカメガシワは幼実を付けており、子供達は吸汁のため
そっちへ移って行ったのです。

驚いたのが、母虫は今もなお子供達が居た場所で陣取り続けていたことです。
写真の様に一部の母虫は脱落していましたが、半数ほどは卵の抜け殻を守り続けているのです。
虫を見ていて心が揺さぶられることはまずありませんが、この場面だけはジーンと来ますね。
我が子が巣立った後も無償の愛を与え続ける。まるで人と一緒じゃないか。
迂闊にも、ちょっとウルウルしてしまった自分が居ました。

虫もたまには大事なことを教えてくれます。
母親は大事にせんといかん。

死の番人(ムシ)^^(2019.2.6)

死の番人ならぬ、死の番をするという虫。シバンムシ。
虫屋には聞き慣れた名前ですが、その虫屋にしても実物を見る機会というのはそう多くありません。

図鑑を見ると意外と多くの種類が図示されており、未記載も多いとのこと。
スウィーピングやビーティングといった一般的な採集ではほとんど引っ掛かってこないため、実際には
地面に接した朽木や枯れ枝に生息しているケースが多いと推察します。
僕の場合、この仲間はカミキリ等の羽脱を狙って確保した木材から羽脱することがたまにあります。

で、今回這い出て来た死番虫。5ミリ弱程度。
沖縄本島にてアマミクスベニカミキリ幼虫を狙ったシバニッケイの枯れ枝から羽脱して来ました。

まあ、なんと面白い造形美だこと^^

調べると図鑑の図版に近いものがありました。それはイシガキトサカシバンムシで、分布域を見ると
石垣島のみが示されており、解説に「タブノキの枯れ枝より出た♂のみが知られる」とあります。
図示はされていませんが、同じ解説文によると近似種としてナミモントサカシバンムシというのが
居るようで、分布は九州・沖縄本島とあります。前種が沖縄に分布していないとは言えませんが、
同様にクスノキ科のシバニッケイの枯れ枝から出たことも考慮すると、本個体はナミモントサカで
良いでしょう(トサカもあるしね^^)。

シバンムシの中にも食指の動くものがあるので機会があれば意図的に探してみたいと思います。

アマミマルカッコウ、多過ぎ@@(2018.5.17)

さすが奄美大島、「アマミ」を冠したアマミマルカッコウムシがかなり発生しています。
いきなり多数が湧き出てきた感じ@@

この極めて特異な異形カッコウ、大きさもそこそこで大好きなので頑張って採っています。
手前の丸っこいのが本種。ハムシじゃないよ^^

本種はエリトラの色に変異があるようなのでもう少し集めてみますか。
フィットを掛ければイッパイ採れるだろうけど、他力本願採集はあまり好きじゃないんだよなあ。
そんなにはいらないしね。

「アマミ」を冠したアマミモンキカミキリも発生を始めました。
意外と早くから出現するんですね。
逆さまの黄色いお顔に「こんにちは^^」。

梅雨入りしたはずなのに採集日和が続き、早くも疲れモード。
ナイターまでやる元気はありましぇん・・・
どうせこの時期にやってもキマダラヤマカミキリがせいぜいだしね。

まだアレとかアレも採んなきゃ。
体が幾つあっても足りない時節に入っています。

神秘! 西マレーシアのカマキリ達@@(2017.11.25)

先般の予告通り、暇を見つけて西マレーシア(キャメロン・ハイランド)で入手したカマキリ達を
標本箱にディスプレイしたのでお目に掛けたいと思います。
一般のカマキリの枠を突き抜けて、神秘的な虫の「何か」と形容して過言ではないでしょう。

なんでこーなるの!
一昔前の欽ちゃん(若者には分かるまい)よろしく飛び上がりながら叫びたくなります。
コレだから東南アジアの虫(究極の南虫^^)は止められません。
箱を覗く度にニヤニヤ出来ます^^

別箱のコレクションですが、これもまたスゴイですなあ・・・
苔蒸した小枝、がコンセプトでしょうか。

これなんか、一体ナニに擬態しようとしたんだか・・・
ジャパニーズ・ゴジラか?!

2000年代初頭、何度も現地標本商を訪れ数年掛けて集めた代物達です。
普通種は何時行っても幾らでも在りますが、ジャングルの本当の珍品はそんな中でやっと1頭を
見出せるかどうかというのが常でした。
手にして15年ほどしてようやく箱に並べることが出来たそうした虫達。
こんな奴らがあとダンボール数箱分あります^^

これら奇虫の里を最後に訪れたのはもう8年も前のこと。
そろそろまた行きたくなってきたなあ。
来年からの新たな五か年計画に盛り込むことにしますか^^

西マレーシアのカマキリの標本作成開始^^(2017.11.5)

現在行っているオークション出品のために膨大な在庫を確認していると、いつも遭遇するのが
「いつか作ってやろう」と思っているマイコレ用にストックしている面々。
その「いつか」はなかなか訪れないのでありますが^^

でも、今回は一念発起。
とりあえずこれだけは箱に収めようと引っ張り出したのがコレ。
西マレーシア産、キャメロンハイランド周辺で捕獲されたカマキリ達です。

カマキリに限らず柔らかい虫を嫌う虫屋・コレクターも多いのですが、チッ、チッ。
ホント、分かってないよなあ(いや、ずっと分からないで良いです^^)。
この造形美、色彩、神秘さ、擬態の妙・・・
ある意味見ていてこれだけ引き込まれる虫もなかなか居ないと思いますね。

現地で僕が懇意にしている標本商において、自ら選別して入手したものなので思い入れは格別。
そこでは大型の乾燥機を使ってカマキリやバッタ、ナナフシ等の標本を乾燥させており、かなり
標本本来の色合いが残った優良なコレクションが入手出来ました。

いつかは現地に長期滞在し、これらの自然態を見たり採集したりしたいと思っていますが、一体何時に
なることやら。でも、興味深い他の分野の虫も多く存在するので必ず実現させます。
便宜も色々と図って貰えるしね^^
その時は現地の様子を独自サークルの中で動画配信等する予定です。

上の写真のカマキリ達、標本箱に展開したらまたお目に掛けましょう^^

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