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宮古群島のカミキリ特産亜種など(2024.4.23)

前記事では今春の八重山・宮古群島遠征のうち、終盤に訪れた宮古群島におけるカミキリ特産2種の
成果について記しました。今回は同地域に5種ほど存在する特産亜種などの採集成果について述べます。

宮古群島特産亜種のうち、最も採り易いと思われるミヤコアヤモンチビカミキリは宮古島および
海橋が架かる3属島(伊良部島、来間島、池間島)でのビーティングにより全ての島で得ました。
本種については特段に言及する事項は無いので写真のみに留めます。
(下地島は実質的に伊良部島と繋がっているため無視します)

ミヤコキボシは時期的にやや早いので材で採るつもりでしたが、3つの島で既に成虫で採集、
加えて伊良部島では材も採れてある程度の数は確保出来ました。
クワ幼木の葉を齧っていたミヤコキボシ。茂っている部分に数頭が隠れています(宮古島産)。


樹皮下に食痕のある枯れたばかりのクワ枝の一部を割ると、蛹室の中に蛹が現れました(伊良部島)。

宮古諸島は駆け足採集でしたが、ススキを叩く暇を捻出しサキシマウスアヤ(宮古諸島亜種)も得ました。
ススキは広範囲にあってもブーメが多く生息している一画を探し当てるには経験を必要とします。
今回は本種にあまり時間を割きたくなかったため深追いはしていません(宮古島産)。
なお同様にススキをホストにするタテスジドウボソ、オオシマドウボソも同時に得ました。
これらはまた各島で次回も狙います。

長い脚でネット上で踏ん張るミヤコイシガキゴマフ(伊良部島産)。時期的に未だ十分に数は出揃って
いない時期ですが、今年の発生は早いようで伊良部島及び池間島ではそこそこの数を得ました。

宮古島で脚の長いタイプが発見された当時は「クモ(蜘蛛)メソサ」と呼称されていましたね。
新種として記載された名はアシナガゴマフ。当時、宮古にはアシナガゴマフとイシガキゴマフ宮古亜種が
居ることになっていて、ゴマフ大好きな僕としては採りたくて仕方ありませんでしたねえ。
信じられないことに社会人になってからは「仕事命」だったので遠征など夢の夢でした。
今ではアシナガ型も宮古亜種の一形態として整理されましたが、実物を見ていると未だ何か引っかかる
部分はあるかなあ。

林縁を叩いて落ちた擬死を装うペア(池間島産)。本亜種は脚が長くなる傾向が強いこと以外に、
脚が長い♂ほど腹端が細く長くなりエリトラからはみ出すなど体型にも違いがあり(このことは新図鑑
には触れられていない)、腹面の雰囲気も異なります。ホント、不思議な亜種です。

もう一つのゴマフカミキリと言えばオキナワゴマフ宮古亜種。これはさすがに未発生でしたが材を探し
蛹を数頭得ました。本種は初回の宮古来訪の折り材から10頭ほど羽脱させていますが現在2ペアしか
残っていません。今回は良い材が無く次回に持ち越しです。生息域は把握しており、まあ余裕かな。

ヤンバルアトモンチビ宮古亜種は、実は未だ精査が済んでおらず採集品に含まれているか不明です。
宮古亜種の採集は困難ではないので、個体数が増える5月頃に行った際にたくさん採ります^^

そして図らずも3属島で採れたシロスジドウボソ。これらは嬉しかったですねえ。
伊良部島産。

来間島産。

池間島産。

基本的に何処も違いは無いですが、いすれも多くはありませんね。特に島が小さくサトウキビ畑と
ギンネム林が殆どの来間島の採集は困難です。でも僕はドウボソ系に強い^^
大体の感覚は掴んだのでいずれそれなりの宮古群島ポティーネ・コレクションを作れるでしょう。
5~6月頃に来ればイマサカドウボソが居そうな感じもありました。

宮古群島では今回訪れた島々のほかに飛行機・船で渡る多良間島に訪れる必要があります。イシガキ
ゴマフの多良間特産亜種が居るし、ドウボソ系にも興味があります。宮古群島と石垣島のほぼ中間に
位置するため、他にも多少は特化している種類が居るような気がします。

また今回早出の物が幾つか採れましたが、ミヤコアオドウガネやミヤコイシガキシロテン、ミヤコオオ
ハナムグリといった宮古特産コガネも時期に十分採りたいですね。
僕はコガネ類のコレクションはもう殆ど断捨離済ですが、何故か宮古諸島の数種には昔から強い興味が
あるのです。なので一度は5~6月に遊びに来たいですね^^

石垣島は遊びに行ったつもりでも虫の種類が多いのでつい採集に出てしまいますが(もうやらなくて
良いのに^^)、宮古諸島は平坦で疲れないし狙うべき虫もそうは居ないので良い遊び場になりそう。

また行くぞお~
暑いけどね(^^;)。

宮古島の特産カミキリ2種、マイコレ再構築ほぼ完遂(2024.4.20)

現在は春の八重山・宮古諸島遠征を終え地元へ戻りゆっくりしています。宮古諸島での採集品の
展足・整理も随分捗ったので、宮古諸島での採集成果を二回に渡り簡単に整理しておきます。

1回目は、ミヤコリンゴおよびミヤコルリボシの2種の宮古特産カミキリについて述べます。
これら2種については特に採集の困難性は無く、15年近く前の初回宮古島採集の際にそれぞれ3桁を
採り十分な数を確保していたハズでした(今回の宮古来訪は人生二度目)。
ところが、手持ち数を確認した所ところ、なんとミヤコリンゴは2♂1♀、ミヤコルリボシは2ペアが
タトウに残っているだけでした。これら2種はシンボリックな形態および意外と採集者が宮古諸島に
訪れ難いことから結構人気が高いようで、次第に在庫が崩壊して行ったことが窺えます。
(大きな声では言えないが)採るのが面白く前者は確か2百頭位は在ったんだけどなあ・・・

まず、前回にミヤコリンゴを主に採り廻った地域を車で流します。本種はリンゴカミキリ属の中で
も採り易い多産型の種類で、ホストのタブの葉裏を見ると主脈に多くの食痕が見出せます。
「おお、今回もそこそこ居そうだな」と葉裏を見ていくと、ポツポツ成虫の姿を確認出来ます。

本土のタダリンゴと同様に木下に近付くと「フワーッ」とゆっくり舞い降りて上昇していくのでそれを
ネットで掬い採ります。これがなかなか面白い^^
近場のイシガキリンゴもホストはタブで同じなのに、どうしてこんなに個体数が違うのだろう・・・

顔(正確には頭部)も橙色の特異なリンゴです^^

枝先や葉をじっくりとルッキングしていくと交尾ペアも発見出来ました。昆虫雑誌などでもリンゴ類の
交尾写真はまず見ませんね。当ブログでは以前にオキノエラブリンゴの交尾写真もアップしています。

本種は宮古島以外の群島では最も大きい伊良部島の記録しかないようですが、後日訪れた来間島でも
複数採集出来ました。次回来訪時に時間が在れば他の島でも探してみようと思います。

一方ミヤコルリボシは前種に比べ自然度のより高いエリアにしか居ません。宮古島は平坦な島なので
林が薄く、それなりに探さねばならず前種ほどは簡単ではありません。
また、前回来訪時の十数年前はルリボシ系サペルディーニの冷凍処理の重要性を僕自身が深く
認知していませんでしたが、今なら美しい標本を作ることが出来ます。

とりあえず前回本種をかなり採った場所に辿り着き、後食跡を探しますがなんと全く見つかりません。
本種もそれほど難しい種類ではないのですが、前回居た場所で採れないと多少の不安が頭を過ります。
暫く時間を掛けて数カ所で食痕を見つけましたが、かなり古い。食痕の量はそこそこ有るものの成虫の
姿が全くありません。「こりゃ外したか(遅かったという意味)・・・」

カレンダー上では前回とほぼ同じタイミングですが、今年の季節の進み具合は早かったようで発生は
既に終末を迎えていると判断出来ました。
ただ全然居ないはずはないので、丁寧に辺りを見回すと「プーン」とルリボシ系サペルディーニ独特の
飛翔をした虫が傍の葉に留まりました。静かに近付いて見るとやはりミヤコルリボシ。
♂なので全く遅いわけではなさそう。ホッと胸を撫で下ろします。

一頭見つけると目が慣れてきたのか、食痕のある各場所で少しずつ追加することが出来ました。
古い食痕のある葉に留まる本種♀。

前回は合計で3桁は採ってタカを括っていた本種ですが、時期を外すとそれほど簡単ではありませんね。
もちろん完全に外したワケではないので時間を掛けた結果、マイコレ分ならほぼ十分といった程度には
採ることが出来ました。
また別の島でも食痕を確認したので(虫は居なかった)、次回にリンゴと共に宮古以外の島々でも
探してみたいと考えています。昔の記録で多良間島か池間島のどちらかでは(記憶が曖昧^^)
ルリボシ系ではなく正にイワサキキンスジ様の斑紋を持つ個体が採れているのでその再確認もしたいと
思いますね。

いずれにしても春の宮古群島にはまた来訪するので必要以上に採る必要はありません。今春の特産2種の
捕獲はほどほどにしておきましょう。
次回も両種の面白いハンティングを楽しむために^^

春の宮古群島、虫は多いが疲れた。地元へ帰還します(2024.4.16)

現在、人生で二度目の宮古島に来ています。最初は15年近く前、仕事をリタイアしたのを機会に
春の八重山を一通り回った際、宮古島のみに数日訪れました。狙いは宮古特産のミヤコリンゴ及び
ミヤコルリボシのカミキリ2種。それぞれ3桁ずつ採って安心していたのですが、手持ちを調べると
なんと前者は3頭、後者は2ペアしか残っていないことが分かり愕然。
虫って一体何処へ行っちゃうんでしょうね^^
それに後者は冷凍〆の標本を作るという新たなミッションも加わったので、いずれにしても春に
再来する必要がありました。それに時間の関係で2種以外の虫は何も採ってなかったしね。

今回の狙いは前述2種のマイコレ補充分を確実に採ること。そして4~5種のカミキリ宮古亜種を
採ること(数は問わない)、さらに1回目の宮古来訪時には未だ海橋が架かっておらず行けなかった
伊良部島、来間島および池間島の3属島を訪れること、さらにさらに、3属島で採集を行い
それぞれでミヤコイシガキゴマフを採ること(数は問わない)という極めて欲を張ったものです^^

ゴマフ命の僕は宮古群島でミヤコイシガキゴマフを集めることが昔からの目標で、やっとその
取り掛かりのタイミングが来ました。島のゴマフ類の発生はこれからなので未だ十分な数は得られない
だろうということで、今回はどちらかと言うと下見の位置付けです。ついでに、特産亜種の方はほぼ
全て得られるだろうと目論んでいました。

結果を先に言うと、本命2種についてはマイコレ分は十分過ぎるほどは採ったし、3属島での採集も
実現、数の多い少ないはありますが念願のミヤコイシガキゴマフも3島で得ることが出来ました。
全ての島でとはいきませんでしたが、宮古諸島特産亜種のミヤコアヤモンチビ、サキシマウスアヤ、
ミヤコキボシもそれぞれゲット。極少数しか羽脱しないであろうミヤコヤエヤマゴマフの材も一応
採りました。なお近年記載されたヤンバルアトモンチビ宮古亜種は発生がもう少し後と思われますが、
今回採ったアトモンチビの中に含まれているかもしれないので地元帰還後に精査したいと思います。
今回採っていなかったとしても、いずれ5月頃にゴマフ狙いで訪れるつもりなのでその際に余裕で
採れるでしょう。

今回特に嬉しかったのは3属島の全てでシロスジドウボソを採ることが出来たことで、宮古群島の
ポティーネ・コレクションの幅が一気に広がりとても喜んでいます^^
むしろ宮古島そのもので採っていないのが面白いですね。また船でしか行けない多良間島産もゴマフの
特産亜種と併せて狙う必要があり、宮古群島での採集はこれから楽しめそうです。
ただ、それぞれの島が平坦で特産種、亜種が少ないのであまり時間を掛けるつもりはありませんけどね。

虫が多く楽しめた宮古諸島ですが、実は心底疲れました。各島は採集し易くはあるもののお互いに遠く、
全てが未知の領域なので気疲れするし、最も堪えたのは暑さですね。昔、マレーシアの低地の山中で
急性の熱射病により動けなくなったことがありましたが、それに近い感覚がありました。
「老い」のせいでもあるでしょう。毒蛾幼虫が極めて多く数百カ所刺され痒みに悶絶したのも一因です。
(ビーティングではじけたものが体中に飛んでくる@@ 激しい痒みに夜中に何度も起きた)
早速地元へ帰還し、疲れ切った体を休め心身ともに回復を目指します。

宮古諸島関係の採集記事は帰還後にアップしますね。

1日にヤエヤマヒオドシハナを3♀採集! そして今春合計4♀!!!(2024.4.13)

本日石垣島を発ち、次の目的地へ向かうためこれが石垣における最後の記事となります。
前回記事の中で「石垣島の春の飛翔虫でパラナスピアも今後取り組む必要が無くなった」旨の
話をしましたが、その種明かしとなります。

石垣島での初回記事(三つ前)で採集初日(3月31日)にパラナスピアを6♂採集したことにサラッと
触れています。
1日に6♂も採ったの? と驚いてくれた方もおられたと思いますが、実はウソを付いていました。
6頭のうち半数、なんと3頭が♀だったのです!!!
こんなことあんの?

最大♀の脚が1本途中で欠落していますが問題ありません。珍品の、特に特大個体はたとえ不完品
でもその価値を減ずることはあり得ない(マイコレの場合)ので僕は全く気にしません。
不完の極珍種ネキ♀の超特大個体と同様です。想定し得なかったものが手中に存在する。
そのことが全てです^^

前回記事で8連小型ケースに生きたまま入れた写真を載せたので目ざとい人は気づいたかもね^^
なにしろ超大型にしてあの横幅ですから。
もう5年以上前、かつて八重山で長期遠征を繰り返していた頃に通算で3♀を採っていたのですが、
♀の所持数は一気に倍の6♀になってしまった@@ 

僕は本種の超大型♂を数頭マイコレにしており、あと幾つかはそれらに匹敵する個体が欲しいと
渇望していました。今回ひときわ大きな奴がネットに入った瞬間、「特大♂ゲットだぜい!」と
呟きながら中を覗き込んだ瞬間、存在自体を忘れていた(=想定などしていない)♀を見出し狂喜。
♀はイレギュラー中のイレギュラー。それが同じ日に3回も起きるなんて・・・これぞ奇跡!

今春の石垣島遠征はこのパラナスピア3♀のみで十分過ぎる成果なのですが、奇跡はこれで終わり
ませんでした。その二日後に別途3頭を採ったのですが、うち1頭がまた♀だったのです!
なんと今春4頭目、一気に4♀・・・奇跡の上って何???

長く採集をしていると「伝説的」な成果を上げてしまうことが度々ありますが、間違いなく
今回もそれの一つに加わったと思います。今回だけは自画自賛して良いでしょう。

前回記事で春物飛翔虫への取り組みは完結としましたが、このことを念頭にした表現です。
さすがにパラナスピアの♀を通算で7♀も採ればもう十分過ぎます。
勝ちです、勝ち。大勝利^^

今後の石垣島で狙わない虫(カミキリ中心に)(2024.4.9)

滞在している石垣島は3日程前から雨の期間に入りました。加えて昨日からは気温も下がって
来たので虫採りの気分は完全に消沈しています。石垣島での採集歴が浅い人であれば雨でも
低温でも出かけて行くのでしょうが、こちとらベテラン中のベテラン。
悪条件の中で不快な思いをしながら虫を見つける必要はもう全くありません。
それに今春の石垣遠征は最初の5日ほどで十分な成果を上げることが出来ており、余裕で残りの
旅程を過ごしている状態。

宿でゴロゴロしていますが(離島の宿でマッタリするのもまた格別なものがある^^)、暇なので
今回は趣向を変えて、今後の石垣島において狙う虫ではなく敢えてもう狙わない、無視する、
あるいは積極的に挑まない種類達を備忘の意味も兼ねて整理したいと思います(普通種を除く)。
ちょっと悪ノリ気味になるかもしれませんがお暇な方、暫しお付き合い下さい^^

まず、今の時期に最盛期を迎えているもの。つまり春物で今後は狙わない種類を挙げます。
真っ先に言及するのはオオヒゲブトハナムグリです。これは以前のアタリ年にウン百頭採ったり、
その前後にもちょこちょこ採っていたのでもうお腹一杯。春の八重山における本種の占める割合は
とても大きいですが、これをやらなくて済むのは極めて優れたアドバンテージです。
毎日これの飛翔を求めて林内に入っていく採集者らを尻目に余裕で他種に時間を割けるのですから^^
ちなみに本種の大発生はこの十年程無く、恐らく今後も無いと考えています。

次にヤエヤマヒオドシハナカミキリ。春の雰囲気の中でこれを掬い採るのは至高の楽しみですが、
もう敢えてやらなくて済む状況になりました。詳しくは後日の当ブログで。

春の飛翔虫は上記に加えマツダクスベニカミキリがあるのですが、前記事のように材採集による
成虫獲得にメドが立ちそうなのでこれすらやらなくて済むことになります。
あと狙うべき飛翔虫の範疇にタイワンベニボタル(パラナスピア♂より得難い大型美麗種)が
ありますが、これまでで10頭程度は標本が溜まったのでこれも終了と。

わー、本当に春の飛翔虫は完全に引退なのかあ・・・ ちょっと(実はかなり)寂しい。

時期的に今居るが、もう採らない(採らなくてよくなった)もの。
ススキサビカミキリ。発生地が遠く、春は端境期でスレた無残な個体が殆どなのでやっても無駄。
マイコレも充実。
タイワンツツサビ。特殊な手間の掛かる採集法が必要で時間・労力が勿体ない。マイコレも充実。
アオヒメコバネ。成虫は狙ってもまず採れない。2回ほど材採集で当てておりマイコレ構築終了。
イシガキケブトハナ。良好なマイ・ポイントを持っているが他種と同様に安易に手放していたので
マイコレが崩壊しつつあった。昨春分と今春で再構築ほぼ完了。
イシガキフト。出始めで居ないことはないが数が採れないので積極的にはやりたくない。
マイコレも作成済だし、♀の明瞭な白帯型のみ注視する。そう言えば石垣北部個体群と南部?の
赤っぽい型は未トライなのでこれは何時かやらねばなるまい(材でも可能)。
イシガキリンゴ。積極的に探さないと数が揃わぬ厄介なリンゴ。昨春と今春は本種に時間を十分に
割いたのでマイコレ再構築ほぼ完了。
トラニュース2種。西表島の春にやる方が遥かに楽。石垣産ももう少し欲しいのでペンディング。
ヤエヤマクロスジホソハナ。石垣島では既に望み薄。石垣産の標本は幸運にも数頭持っているため、
機会があれば西表島で探すとしよう。
山頂ブーメ、ついでにアサヒナヒラタチビタマ。マイコレ作成済。前者は採集禁止になったし、
きついオモト登山はもうやりたくない。体力のある比較的若いうちに散々登っておいて良かった。
スジホソハナムグリ。かつて、ある年に当たって(それ以降殆ど採れていない)数十頭採ったが
気前良く放出したのでかなり減った。でももう良いでしょう。
ムネモンウスアオ。末尾で後述。

今の時期には居ない、材採集でも狙えるがやらないもの。
フタツメイエ。クロヨナ大木が伐採された際に特大個体を数ペア採集済。持ち帰れる程度の大きさの
材からはどうせ大型個体は出ないのでやる必要はなかろう。
ヤエヤマコゲチャヒラタ。ひょんなことから特大~大型を3ペア入手済。屋久島~大隅半島、対馬で
実績を積んでおりホストも同じで方法は熟知しているが、労力を考えるとやりたくない。
イシガキトガリバサビ。これも西表島産を含めマイコレ作成済。
ヒロオビオオゴマフ。かつて長期遠征を繰り返していた頃に特に山中で頑張って採った。
今後やらなくて良いようにと特大ペアを幾つか残してある。
コゲチャフタモンヒゲナガ。ヒロオビオオゴマフと同様。
ニッポンムネヒダヤマ。西表と併せスレの無い美個体を数ペア所持。終了。
サキシマニセクワガタ。パランドラを含む広義の原始的な種類は何故かあまり好きではない。
標本は一応あるし材採集は実力より運に左右されるのでやりたい気が湧かない。
暗い性格の虫は嫌いでもある。断捨離の対象。
カタモンビロウド。材とは関係ないが(厳密にいえば材でも狙える)、かつてこれを採るのが
楽しみでやり過ぎた結果、完全に飽きた。標本も大量に処分したが十分なマイコレ所持。
コゲチャトゲフチオオウスバ。これも材採集とは関係ないが♀を入手したので終了。
ケシ・チビ類。マイコレは少ないが数個体ずつ所持。好みではなく断捨離で良いんじゃない?

以上、採る必要のないものを挙げてきましたが、逆にやるべきものも少し整理しておきます。
まず、材採集をやり難い大型種や敢えて成虫で採りたいものは、旬の時期に来たいと思いますね。
これまで盛夏~秋~冬~3月上旬に来たことが無いし、4月中旬~6月初旬のベタな時期に
こだわりの種類を狙いにまた来てみても良いなと思います。イシガキビロウドやキンケビロウドの
追加はその時に得る予定だし(ビロウド類は材から羽脱させてもエリトラが上手く固まらない上、
触角も上手く伸びない)、他にもヤエヤマドイ追加など幾つかのミッションあり。

カミキリ以外でも以下のように必要な種類があります。
タテスジ・ヤエヤマメダカ・クビナガなどハンミョウ類。単純に放出し過ぎ。見事にマイコレ崩壊中。
サキシマアオカナブン。標本はまあ在るが、夏に来島したことが無いので時期の蝶や蛾と合わせて
一度はやりたい。
キボシセンチほか幾つかの糞虫。長期遠征時代に時間の関係で全く出来なかった。初夏に次回
行けば最優先の一つ。なお殆どのコガネや糞虫は断捨離済(興味の対象から外した)。
ミツテンコメツキモドキ。なぜかこだわりを持つ雑虫。かつて初夏に数回遠征していた際、
1か所のみで若干数を得ていたが現場を確認したところ環境が大きく変わっていた。今も居るのか。
ミカンツノカメムシ・ミカンキンカメムシなど珍・美麗カメムシ。前者は昨春偶然に採集。ポイントや
採集法は無いが追加熱望。後者は秋に新成虫を狙えるはず。秋の迷蝶とセットでやろう。
蝶・蛾。書き尽くせないので割愛。機会があれば別記事で。
ふむふむ、こうして整理してみると春はともかく別時期に石垣に来続けることは必須なのね。

話を戻します。
いずれにしても冒頭のように「春物飛翔虫」を今後やらなくて済むので春の負担は一切無くなりました。
春独特の雰囲気の中で、のんびりと散策しながら欲しかった蝶や蛾の完品(や飼育材料)を採ったり、
気が向いたら交換用のカミキリや甲虫種を採ってみたり、運動代わりにノコ引いて材を採ってみたり。
狙わずともネット持って歩いていたらパラナスピアくらいは入るでしょうし。
全然ガツガツしない春の八重山。最高だね^^

最後にムネモンウスアオカミキリについて触れます。本種は2010年代中盤の数回の遠征でかなり
採っているのですが、♂や小型♀は結構手放したのでもう少しマイコレが欲しいところです。
ちなみに今春数回話した方が10年ほど前にも某所で僕と会ったそうですが、丁度その時僕が目前で
ムネモンを採っていたそうです(その方は今春ムネモンを1ペア採ったとのこと)。
自分は忘れていても、人のその後の行動に影響を与えている事って結構あるんですよね。

前段のように春の石垣の虫はほぼ採り尽くしたので春にはもう来なくて良い状況にありますが、
それでは寂しいのでまた来るために採らずに何か残しておこうと思います。
それをムネモンと決めました。
つまりムネモンは敢えて採りません(偶然に勝手にネットに入ってくれば別ですが^^)。

なお本種は材採集でも狙えるのですが、羽化成虫は幾ら上手く生かし続けても自然個体のようには
綺麗に発色しないことを確認済なので材で採ることはしません。

だから春に来るしかないよねえ~
今後も春に来続ける消極的なオチを捻り出し駄文を終えます^^

(翌日追記)
雨上がりの半日採集の今日、偶然にネットに入ったムネモンウスアオ♂。
こんな感じで春の石垣にも来続けます^^

ルフェッセンス、マツダクスベニ材など(2024.4.6)

昨日、ムモンチャイロホソバネカミキリ(ルフェッセンス)が採れました。
石垣島ではなかなか採れないのでとても嬉しい成果となりました^^

本種は西表島では割合多く、1日に数頭採れることがあるし、生態写真もよく撮影されます。
ついでに言うとオキナワホソバネ八重山亜種(チビニュース)も西表島の方が遥かに多く、狙えば
1日に必ず数頭は採れます。石垣と西表の共通種は多く、それらの殆どは頭数において石垣が西表を
遥かに凌駕しますが、こと2種のトラニュースに限って言うと逆転現象が見られるわけです。

石垣のチビニュースもこんなに採れるの、と驚かれる方もおられると思いますが、普通は採れません^^
そして今春のものは全て大粒揃いでちょっと「チビ」とは言い難い嬉しいものとなっています。
出来れば♀が欲しいところ。

イシガキリンゴもこうタトウに並んでいる場面は珍しいですよね。ガキリンゴは今春目標の一つですが、
積極的に狙い採りしている成果です。今回「ガキリンゴが採れない」と言われていた方が居られましたが
島のリンゴの中では奄美大島のアマミリンゴに次いで少ないのでそれほど甘い虫ではありません。

メリオノエダ(ヤエヤマモモブト)はガキリンゴ採集の副産物ですね。タブの梢を見ているとプンプンと
例の独特の姿で飛翔しています。時期的に個体数が少ない上(殆ど♂)、あまり食指も動かないので
積極的にはネットしていません。

ガキリンゴと同様、この数年で片付けようと思っているのがマツダクスベニカミキリ。
春の飛翔虫の中では最も少なく、見ることが出来ない年の方が多いとても厄介な虫です。
そこで、沖縄や奄美のアマミクスベニの要領で材採集により成虫を得ようという算段です。

あまり幼虫を取り出したくはないのですが、材採集の過程で幾つか割り出してしまった幼虫。
この時期は来春に成虫として羽脱する1.5~2センチの中齢幼虫が元気に動き回っています。


本属の幼虫は非常に過酷な状況で生育するため、アリや寄生蜂に侵される割合が極めて高く、
せっかく食痕のある材を探しても大半はもぬけの殻のハズレを引くことになります。確実に幼虫の
入った良好な材を得るには一体何本のニッケイ材を探さなければならないか・・・


僕は沖縄と奄美を含め、日本で最も本属の材採集をしていると思いますが、マツダクスベニ幼虫の方が
アマミクスベニより死亡率は高いと言えます。
また本種は来春まで約1年間生かし続ける技術や苦労に加え、本土の冬場を持ち堪えさせる工夫も
必要になるのでそれなりの標本数を揃えるのは時間が掛かるかもしれません。

そして今年やってみたのがアデクの材に入っているサキシマトゲヒゲトラ探し。
とても小型で見付け難いので蛹と新成虫を1頭ずつ得たに留まりましたが、材も少し採ったので後日
幾らかは羽脱してくるでしょう^^

さて、カミキリではあと何を狙おうかな。

春の八重山、石垣島で採集開始(2024.4.1)

昨日から石垣島で採集を開始しました。
まずはこの時期の石垣恒例の飛翔虫から取り組んでみることに。

まずオオヒゲブトハナムグリですが、2月の気温が高かったことから既に2月から出始めたようで
もう♀が採れていたようです。しかし3月が低温続きだったことからオオヒゲブトは姿を消し、
3月に遠征してきた虫屋の成果はボロボロだったとか。
そして3日前から再び採れだし一昨日が極めて良く一人で40頭程度を採った人も居たとか。
僕はその翌日(昨日)から採集を始めたのですが、オオヒゲブトのポイントから外れた場所に
居たのでその飛翔はほぼ見ずでした(オオヒゲブト狙いの人によるとあまり居なかったらしい)。
オオヒゲブトそのものは以前、1シーズンのみでウン百頭採っているのでもう必要ではありません。
ただネットを振り回して追いかけるのは面白いので少しは遊んでみようかな、という程度。

で、昨日に採った虫は以下のとおりです。

パラナスピア6♂とトラニュース(八重山チビニュース)2♂が見えますね。
他にはイシガキケブトハナの様子を見に行って1♂2♀、ついでにクサギの幹を這っていた
大型ヤエヤマムネマダラトラ3頭、それに加えてイシガキリンゴが3頭でした。
イシガキリンゴって、あまり採れないんですよ(多産型リンゴではなく昔も多くはなかった)。




今日は気温が低い上に風も強かったので材を重点的に採っていました(成虫はチビニュース♂を
採った程度)。
昨年は成虫を5頭程採ったイシガキフト、今期は幼虫を探してみると、シイ半生の枝から大型の
幼虫が出てきました。もう野外活動する成虫が蛹室内でスタンバイしている時期ではありますが、
本種は出現期間が長いためこれから蛹化する幼虫や蛹も混在しています。


ヤエヤマフト(通常型)の標本手持ちが意外と無かったことから今回は本種もまじめに探すことに
していましたが、やり始めから結構採れ二桁には届きました。この分なら追加も容易でしょう^^
下はタブ枯れ枝に作られたヤエヤマフト幼虫の詰め物。幼虫は上記イシガキフトに酷似するのであえて
取り出しませんでした。あとはマツダクスベニのニッケイ材を4~5本採ったくらいかなあ。

あれ、遊びの八重山のハズなのに二日も真面目に採集していますね^^
本当に暫くのんびりするので(採集も一応しますが)更新は5日程空くかもしれません。

そうだ、石垣牛も堪能しなきゃ。

ぼちぼちブログ投稿を再開します^^(2024.3.29)

約10カ月振りのブログ投稿になります。
皆さん、お元気ですか?

僕はブログ休止中に還暦を迎え、虫との付き合い方も従来とは変えていこうと画策していました。
これまではやり過ぎた。今後は楽にやって行く。
簡単に表現すればこういうことですが、節目の歳でこの事に気付けたのはある意味幸運でした。
大方の人には何のことか分からないでしょうねえ。ただ、個人的には大事な気付きだったと思います。
これについては今後も言及する機会があると思うのでこれ位にします。

気楽にやるのでね、今後このブログは備忘的な簡単な内容になると思います。
ご関心のある方だけたまーに覗いてみてください^^

天草地方へ遊びに行った際にカゴノキから割り出したベーツヤサカミキリ。


恒例の阿蘇マイポイントのベニハンノキ前蛹。食樹ヤシャブシは新芽が萌え始めています。


来月は昨年から6年振りに再開した春の八重山へ「遊び」に行きます。
この時期に採りたいものは全て採集済みなので何もプレッシャーが無い中、地元の虫が始まる前に
「南の島でのんびりする」がテーマです。今後は年1回、春~初夏の八重山遊びを恒例にしたいですね^^
数日置きになると思いますが、何が居た、くらいの記事は書こうかなと思います。

5月の虫採り、暫くブログ更新お休みのお知らせ(2023.5.23)

今月上旬に八重山から地元に戻って以降、あまり意味のない採集へ出る回数を減らすことに成功
しつつあります。特に地元の場合、しょっちゅう同じ場所へ行き同じものを狙っても面白くない
ですからね。

5月は低山原生林での採集、九州山地でのウツギ花掬い、ハラグロオオテントウの観察や、迷蝶の
ホソオチョウを見つけたり、初めての甑島(下甑島のみ)で時期の虫を採ったりしました。








遂に本日から九州北部(地元を含む)は梅雨に入りました。台風2号の影響も加わりとりあえず雨天が
6月上旬まで続くようです。
なお、やんごとなき事由により6月から暫くブログ更新をお休みします。
再開までごきげんよう。それぞれの虫採りを楽しんでください^^

与那国島のヤギホソコバネオオハナノミ(2023.5.8)

採集に没頭しない「楽チン八重山ツアー」から地元に戻り数日が経ちます。
最後に訪れた与那国島の終盤に採った甲虫の展足が完了したので、注目すべき1種について報告
しておきたいと思います。

数十年振りに採った与那国のヤギホソコバネオオハナノミ♀です。

採集したのは与那国島での最後の採集日。曇天かつ強風の吹く最悪の採集条件でしたが、林縁の
枯枝を叩いたところ本種が落ち、同時に羽ばたいて飛び去ろうとしたので慌てて掴み採りました。
あれだけの強風でネットに直接落ちたのも奇跡ですが、風に飛ばされなかったのも幸運でした^^
写真のとおり不完品ですが、採集時に破損させてしまったものと思います。

本種を初めて採ったのは今から30~35年程前の初回か二回目のGWの与那国島でのことでした。
何を叩いたのか今では忘却の彼方ですが、初めて見る変わった虫が一画のビーティングで合計7~8頭
(よく覚えていない)落ちました。
とても素早く半数は飛んだり走り去りましたが、残りを押さえ摘まみ採りなんとか毒瓶に放り込みました。
小さく素早い上にとても脆いようで、慌てて処理したためほぼ全てが不完品となってしまいました。

捕獲したのは確か4頭、小型で全体に黒色のもの及び大型で頭部が橙色のものがあるのでそれぞれ
♂♀と判断出来ました。現在は1ペアのみ残っています。

その後何度も与那国を訪れましたが、再度本種と巡り合うことはありませんでした。
ホソコバネオオハナノミ類はカミキリ(等)の幼虫に寄生することが知られ、極めて稀なグループです。
10年程前に沖縄本島南部の小さな付属島で別種が大量発生したケースが発表されましたが、与那国で
僕が以前に遭遇したのも同じような場面だったのかもしれません。

僕は石垣島でこの仲間の生態の一部を掴んでいます。
(参考)ヤエヤマフトカミキリの幼虫に寄生するホソコバネオオハナノミ

上記の石垣産や沖縄、宮古に居るものとは異なり、ヤギは形態がかなり異なり1cm弱と小型です。
生態も一部異なると思いますが稀であることや他の甲虫の幼生に寄生することは同じでしょう。
また昨年でしたか西表島でも発見されたようなので石垣島にも居るかもしれません。

与那国のヤギに2回遭遇したり、石垣のホソコバネオオハナノミの幼生期を見たり、僕は当グループに
かなり縁がありそうです。とりあえず次は沖縄あたりの奴をやってみましょう^^

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