全都道府県採集プロジェクト:鳥取県(キマダラルリツバメ)(2024.6.15)
「全都道府県における採集(現時点での未採集地域)」の第二弾は鳥取県のキマダラルリツバメです。
一月半前の第一弾、愛媛県:フタスジカタビロハナカミキリ(通称キマル)に次ぐものですが、
今年は梅雨入りが遅れていることもありバタバタすることもなく余裕を持って臨むことが出来ました。
第一弾が「キマル」、そして今回が「キマルリ」。
これは全くの偶然で決して狙ったわけではありません。気付いたときは我ながら本当に驚きでした@@
中国地方の未採集地域としては九州に近い方から山口、島根、鳥取、岡山と結構残っていましたが、
鳥取だけはキマルリというターゲットも決めていたことから真っ先に取り組みました。
熊本から鳥取までは車で約8時間。特に帰路がキツかったのですが初めて山陰道や松江自動車道など
未知の道路を走れたり、いずれ観光で行きたい出雲大社の近くまで迫れたりと虫以外でも貴重な体験が
出来て有意義でした。
キマルリについては全く情報を持っていなかったので、今回は素直に知人の虫屋さんを頼りました。
お陰様で目標が達成出来て感謝の意に堪えません。本当に有難うございました。
一度は自力で採ってみたかったキマルリ。どんな飛び方をしているのか。どんな環境でどの時間帯に活動
するのか。そして少しで良いので自らの生展翅で綺麗な標本を作る。夢がまた一つ叶いました^^
キマルリ好きな蝶屋さんは多いので人によっては「今更感」のある種類かもしれませんね。
僕が四半世紀暮らした東京の近くだと福島の産地が有名で蝶好きな友人は通っていましたね。
僕も興味はあったのですが甲虫中心だったことや、タイミングが合わず結果的に「通り過ぎてしまった」
ままの存在でした。還暦を機に始めた「全都道府県における採集(現時点での未採集地域)」は
こうしたものもついでに一つひとつ潰していくプロジェクトで、ホント良いタイミングで始めたと思います。
全都道府県を旅行したことにもなりますしね。老後には打ってつけのイベントだと思います。
僕が「キマルリ的」なものを採った唯一のケースは、かつてシンガポールで暮らしていた際にふらりと
出かけた隣国マレーシアのジョホール州低山に於いて。雑蝶をホイホイ採りながら田舎道を進んでいると、
頭上からチラチラと不規則に舞い降りて来て下草に留まったシジミチョウが居ました。
目前だったのでじっくり観察出来たのですが、濃い黄色の裏地に鮮明な茶色の虎柄、長く細い四本の尾凸。
羽化直後のキマルリ近似種と直ぐに分かったのですが、その優雅なたたずまいに一発でKOされましたね。
キマルリを採ってみたいとの願望が消えなかったのは、その時の感動が頭の隅に引っ掛かっていたから
と思います。虫屋にはこのような一生モンの記憶の断片が多過ぎてある意味困りモノではありますね^^
前置きがとんでもなく長くなりました。
鳥取のキマルリは松林や桜並木で発生していることが多いのですが、今回僕の採集ポイントは後者です。
キマルリは夕刻の活動時間帯以外は付近の梢や幹に潜んでいるので、不活発な時はゼフィルスのように
叩き出すしかないのですが、これがかなり非効率。採集した二日間は連日最高気温が30℃越えの
雲一つない晴天日。風がややあって湿度が高くなかったことで大汗をかかずに済みましたが、幾ら叩いても
殆ど飛び出さないので疲労感、悲壮感がどんどん増してきます。
叩き出しで運良く飛びたたせるとあまり広範囲に飛び回ることなく直ぐに近くの梢に留まるので、狙いを
定め掬い採ることが出来ます。ただ込み入った場所に入ってしまうことも多いし、やってみて分かったのは
テキは思いのほか小さくかつ素早く飛び回るので目で追うのが困難です。僕の視力は両目併せて0.7しか
ないので慣れないうちはちょっと苦戦しました。ちなみに、0.7でメガネも掛けずよく虫採りの成果を
上げられますねと驚かれるのですが、僕の場合は乱視が上手く補っているため動体視力が人並み以上に
良いようです(なお飛翔ネキダリス決戦の時だけはメガネを掛けて臨んでいます^^)。
唯一写真を撮れた個体(と言うか、他にも撮れる個体は居たが撮る前に採った^^)。もっと近くに
留まってくれれば良いのに・・・
でも綺麗な尾凸が4本揃った新鮮個体だ^^
少しでも成果を上げるにはこの叩き出し戦法を執るしかないのですが、西日が傾いて来るとある時間帯から
お待ちかねの「テリトリー活動」がはじまります。これもゼフと同様に梢の先を飛び回ったり、場合によっては
2頭、3頭が追いかけっこする状態となります。
ただ、この時の飛翔は実に早く不規則なのでこの場合も目で追うのが一苦労。テリ張りでは一しきり飛ぶと
必ず何処かに留まるのでそれを見計らって掬い採れば良くかなり楽なことも分かりました。
やはりキマルリはこの活動時間帯が醍醐味で、これを堪能出来たのはこの上無い幸せでした。
尾凸が4本揃ったまあまあの♂。
ちなみに本種は日本一エレガントな蝶と言え、長く糸のように細い尾凸は四本存在し、尾凸の最端部の
白色部分まで完全に残る完璧な個体の割合はとても小さいものです。見ていて分るのは不規則に飛び
いきなり込み入った梢に突撃するように着地、無造作に飛び立つのでその際に翅を枝葉に打ち付ける
回数は相当なものでしょう。
尾凸が二本存在する蝶は多いですが、本種は四本ですからね。破損し易さは比較になりません。
本種の完全個体の価値は極めて高いと言えます。
また、一つ感じたのはこの「ゴールデンタイム」は極めて短いということです。テリ張りの良い時間は
せいぜい20~30分程度ではないでしょうか。大きく捉えると活動時間帯は1時間程度はありますが、
その中で複数飛んでいるのが頻繁に目に入るのはせいぜいそんなモンです。この30分程を一番良い
ポイントの前で有効に使う必要があるのは初採集者として結構キツイものがありました。
♀も基本的に叩き出しでしか採れませんしね。実際に手を下して知れることは多く、つくづく実践は
大事と思いますね。
採集適期の時間帯はせいぜい1時間かよ~という感じでしたが、二日採集出来たのでまあ満足です。
あとはゆっくり尾凸の揃った新鮮な個体だけ生展翅して楽しみましょう^^
なお僕は特段、キマルリ屋になるつもりはありません。本種はギフと同様に結局産地集めに終始します。
規制で採集出来なくなった、居なくなったポイントは数知れず。産地集めは不幸の極み(個人的見解)です。
永い虫屋人生で学んだのは、虫を楽しむにはコンプリートを目指さないこと。これです^^
コンプは図鑑を作る人にでも任せておけばよい。修羅の道が楽しいと言うのならそれまでですけどね。
とは言え、採集が楽しいのが分かったのでまたいつか採りたくなるかもしれませんが(伯耆大山等でも
採集したいし^^)、僕の中のキマルリはとりあえずこれで一旦終了です。
今年から始めた全都道府県採集プロジェクト。今シーズンは2か所回りましたが、このような要領で年に
2~3か所を楽しく遂行していければと思います^^
もっと詳しく知りたい事や
理解できなかった事などございましたらお気軽にご連絡下さい。



