与那国島のクビナガハムシの一種について(2013.7.31) | 蝶・カミキリ・昆虫を楽しむ!(九州・沖縄を中心に)

与那国島のクビナガハムシの一種について(2013.7.31)

当ブログの読者さん(ハムシ屋さん^^)から一つ話題を頂いたので、本日はそれに触れたいと思います。

まずはこの写真からご覧下さい。
今年6月下旬、与那国島で採集した美しいハムシです。

これは元々日本には分布していなかったクビナガハムシの一種(Lema trivittata)で、本邦に居ることが
広く知られるようになったのは、恐らく与那国島の昆虫ブロガーが同島産の生態写真を紹介して以降の
ことと思います。

本種は宮古島および西表島でも昨年見つかり、某昆虫月刊誌にそれぞれ記録が出ていました。
この論文を見ると台湾では既に2010年に見つかっており、2012年にも記録されているようです 。

これによると、本種は本来アメリカとカナダにしか分布していないため台湾(そして宮古・西表)産は
移入されたもので、この一帯に一気に広がったとされています。
そして本種が見られたナス科ホウズキ属の植物はアメリカから輸入されたとあります。
(それと共に本種も移入されたとは言及していない。まあそう言いたいのかもしれないが。)

僕が今回与那国で採集したものは、内陸部でオキナワサビカミキリを狙ってリュウキュウチクを
叩いていた際に2頭が落ちてきたものです。
タケ類はホストではないため、近くの畑あるいは草地で発生していたものが偶然に留まっていたと
考えられます。

前段のブログでは確か海岸線のあるナス科植物にたかっていたとありましたので、すぐ傍の畑に
ナス科のあるものが栽培されていたのかもしれません。
いずれにしても与那国では全島的に広がっていると考えて良いでしょう。

実は、僕はこのハムシの写真を最初に見た時、ある考えが頭に浮かびました。
僕は20年近く前にオーストラリアに1年間駐在員として赴任していましたが、その際にこれを10頭位
採った記憶があったのです。

採集した際は上の写真のように鮮やかな色彩でしたが、亜硫酸ガスで締めたにも拘らず乾燥の過程で
薄汚れた褐色となってしまったのは今回も同じです。
ただかなり以前の事ですし標本も何処に行ったか不明なので本種だったか証明の方法がありません。

沖縄や台湾への侵入ルートを考えても、北アメリカからよりも豪州を経由したルートの方が物流的にも
すっきりすると思うんだけどなあ。

なお、上記の論文を見ると与那国産はまだオフィシャルな記録が無いようです。
ということは、僕が持っている1頭(落ちた2頭のうち1頭は撮影中に逃げられた^^)を発表すると
与那国初記録となるのかしら・・・

もっと詳しく知りたい事や
理解できなかった事などございましたらお気軽にご連絡下さい。

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