キボシフナガタタマムシの一つのホスト(2017.2.5)
図鑑などの図版プレートで大抵はタマムシ部門の1番目か2番目に図示される(分類体系上)ことや、
日本離れした体形や紋様、そして生態などで一風変わった種類として知られるのがわが国では
八重山特産のキボシフナガタタマムシ。
僕はこれまで石垣島を皮切りに波照間島、そして西表島でお目に掛かっています。
ほぼ初夏以降の虫なので、GW頃だとよほど運が良くないと行き会わないのですが、5月下旬以降だと
生息地ではかなりまとまって見ることが出来るタマムシです。
こんな奴ですね(かつてのオークション出品写真を援用^^)。
うーん、展足もバッチリ(自画自賛の多いブログ注意)
成虫はハマゴウの葉や花に集まりそれらを後食するのですが、幼虫のホストとしては文献を調べても
ほぼ知られていないようです。
昨年5月の西表島で名前の分かる樹木の伐採枝に産卵している本種を確認しているのでご紹介します。
ポイントを探しながらドライブしていると、農地の脇の広場にガジュマルの幹や枝が刈り棄てられている
一画がありました。農村地域ではよく見られる光景です。
海岸線のこうしたカンカン照りの広場にあるソダなどには、雑虫も含めカミキリですらほぼ何も居ない
というのがセオリー。八重山では5月も中旬を回ると特にこうした場所では虫枯れが始まり、その状況にも
拍車が掛かってきます。
この時も「やっぱり何も居ないな」と車に戻ろうとすると、枝の側面で何かがツツツ・・・と動くのが
見えました。
その独特の動き方から、タマムシだなと思いながら近付くと材上ではほぼ見ることの無いキボシフナガタ
タマムシです。
♀のようなので少し観察していると、産卵管を樹肌に突き当てながら気に入った場所を探しています。
そして程なく樹皮のささくれ部分に産卵行動を始めました。
「ホストの一つ、発見^^」
虫枯れの時期に海岸線での調査を細かくやる人もまず居ないので、こうした虫の生態解明にも
時間が掛るものです。
沖縄や八重山定住時にはそうした観点からも周年の調査は欠かせないだろうなあと思った次第。
発表されていない各種の虫の生態をいろいろと知れて楽しそうでもあります^^
なお石垣島でも虫枯れの海岸線の伐採地にて産卵行動中の本種を見ていますが、樹種は不明でした。
(参考)石垣島で確認したキボシフナガタタマムシの産卵行動
本種に関しては波打ち際の砂浜にヒョロッと生えたハマゴウの柔らかい花弁を後食に集まる場面や、
ハナムグリのようにエリトラを閉じたまま下翅だけを出してハマゴウの周りを滑空する様子を
動画に撮ったりもしているので、機会があればいずれ紹介したいと思います。
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理解できなかった事などございましたらお気軽にご連絡下さい。