長崎・野母崎の佐多サビカミキリ(ノモザキサビカミキリ)(2017.6.10) | 蝶・カミキリ・昆虫を楽しむ!(九州・沖縄を中心に)

長崎・野母崎の佐多サビカミキリ(ノモザキサビカミキリ)(2017.6.10)

昨日・一昨日と、長崎県の野母崎へゆったりとした旅を楽しんできました。
狙いはもちろんサタサビカミキリ野母崎亜種(ノモザキサビカミキリ)です。

奄美大島へ出立する前の数日間の晴れ間をどう有効に使うかを思案したところ、直ぐに本種が
頭に浮かびました。
来年度から九州を離れるとこの先10年はこの時期に九州本土で採集することが無くなるかも
しれないと考えた際、この案はとてもグッド・チョイスだったと思います。

本家の鹿児島県・佐多岬のサタサビは二十数年前の会社員時代に二年ほど通い、材採集により
数十頭は羽脱させていることから(何故か手許には1ペアしか残っていないが^^)野母崎亜種も
渇望していたものの、この時期はいつも遠征に明け暮れているためなかなか長崎方面へ
目を向けることは叶いませんでした。
そこに降って沸いたような数日間。これはもう行くしかないでしょ^^

思い返すと長崎市内を訪れるのは小学校の修学旅行以来、実に40余年振り。
同じ九州管内とは言っても、用事が無いと(採りたい虫が居ないと)なかなか足を延ばさない
ものです。地図上では僕が住む熊本と長崎はかなり離れていますしね。

ところが、なんと僕は良い所に住んでいるのでしょう^^
九州のド真ん中なので各地に行き易いのは勿論ですが、自宅から10分の港からフェリーに乗れば
長崎の島原半島まで1時間(高速フェリーなら30分)で着いてしまうのです。
そこから野母崎まで約100キロですから、楽も楽、ちょっくら行ってくるってな感じなのです。
実は近いところほどなおざりになっているという典型だったわけ。

で、出航を待つ愛車。
奄美に行ったり、屋久島に行ったり、来年は沖縄にも連れていかれるしでこいつも大変だ。

フェリー内部は大変ゆったりで、遠征中に溜まっていた月刊むし等を読んでいたらあっという間に
島原半島に着いちゃいました。高額の30分の高速フェリーじゃなくても余裕、余裕。

さて、島原半島に降り立つと目前には有名な雲仙・普賢岳がそびえ立っています。
ウンゼンルリクワガタ、ウンゼンセダカコブヤハズカミキリなどなど、面白い種類が色々居ますね。
手軽さを考えると、実は僕ん地の隣の山みたいなものなんですよ^^

反対方向にちょっと走るとかつてのトゲムネミヤマカミキリの産地がありますが、本種は最近の
知見ではほぼ絶えたとされています。未だ近くで発生が確認されているとの噂も絶えませんが、
マユツバでしょう。僕は数ペアは確保しているので本種をことさらに追及することはしません。

長崎市内に入ります。
虫とは関係ありませんが、僕のノスタルジーにちょっとお付き合い下さい^^
小学校の修学旅行の思い出は、長崎市は「坂」の多い町だったなあという程度でしたが、ここまで
凄いものだったとは。

運転していて「走り難いなあ」と感じるのはひとえにこの地がリアス式海岸であること。
リアス式の長崎湾に沿って長崎市街地が発展しているので、山肌に家を建てるしかないのです。
平な部分を探すと車道以外は無いと言っても過言ではありません。
山腹の急斜面にまで市街地が広がっているのがスゴイ・・・

山肌に家々が累々と張り付いています@@
圧迫感がハンパない・・・

お墓も山肌に・・・

山肌に張り付く家々をバックに路面電車も走ります。
九州で路面電車が走るのは地元熊本市と鹿児島市、そして長崎市の三か所。
これのせいでますます圧迫感が強まるわけですが、路面電車に慣れた僕がそうなのですから
長崎市街を始めて車で走る人は生きた心地がしないんじゃないかしら。

これね、観光の面からは風光明媚という見方もあると思うんですよ(無いか。優雅じゃないもんな)。
ただ東北大震災や熊本地震を体験してきた「今」の時点で考えると、災害の起き易さの上では
極めて重大な事象であると思うんです。もし熊本地震並みの甚大な揺れがこの地を襲ったら・・・
そう考えると町中を走るのも恐ろしかったわけです。
お住いの方々の心中は如何ばかりなのだろうか。恐らくは達観されているのでしょうね。
部外者はこれ以上の口はつぐみましょう。

長崎市を過ぎると、各地のどこにでもあるような海沿いのひなびた田舎を延々と走ります。
そして海を見ていると、眼下にいきなり飛び込んできたのは・・・
「!」

「軍艦島だあ~!」

不覚なことに、世界文化遺産の軍艦島がこの地から展望出来ることを全く知りませんでした。
遠望ではありましたが一度見てみたかったのでとても感激した次第。
でも軍艦島の造形って、長崎市内の街並みに通ずるものがあるなあと、思いませんか?
建造の文化にも地域性があるんでしょうね。

以上長々と書きましたが、虫とは一切関係無い部分でした。
これからようやく虫の話に入ります^^

人の話ではノモザキサビカミキリはかなり多産型の種類とのこと。
ただ初めての場所というのは不安が付きまといます。従来の記録は6月下旬から7月上旬が多く、
時期もちょっと早いかもしれません。

しかし不安は直ぐに払拭されました。
暗い環境にポイントを定めます。

じっくりと臨床を見回して最良の落ち枝を探します。
「おお、これだ」

静かにビーティングネットを差し入れてそっと叩くと・・・
「おるやん」

ネットの左上と右下の隅に1頭ずつ、ペアが落ちているのが判ると思います。
正に最初の一叩きで落ちたという構図です。

確かにサタサビですが、言及されるようにちょっと体が細いように感じます。
それに数を採って感じるのは小型個体が多いことで、かつて羽脱させた佐多岬産サタサビは
全体的にもう少し大きかった記憶があります。

佐多岬のサタサビは成虫採集をしたことが無いので、いつか多数採って並べてみたいですね。
材採集では多いカミキリではないなという印象でしたが、ノモザキサビと同様にツボを得れば
成虫採集でもそれなりに採れるような感じがします。まあやるにしても10年後かな^^

林を出て海を見下ろすと、佐多岬の眺めと実にそっくり。


ノモザキサビを採っているとたまに落ちるのはオオヒョウタンキマワリ(長崎方面限定種)。

本種も前から採りたかったのでそこそこ採れて感激。
これで南西諸島の近縁種も生息環境や採り方が分かり有意義でした。

林内では他に副産物は殆ど居らず、カミキリはアトモンチビくらい。
これは各地産を集めているのでちょっと嬉しい(一応「本土」最西端産^^)。

1頭だけ落ちたトガリシロオビサビ。5~6年ぶりに採った^^
こんなに白かったっけ。場所柄かなあ。でも面白い。

結果的にノモザキサビは十分に採れたため、二日目は昼前には採集を終え帰宅の途に就きました。
10年後位に再度九州定住になってももう行かなくて良いかな^^

小学生時代にも戻れたし、軍艦島も見れたしで、充実の「遠征の合間採集」でした。

もっと詳しく知りたい事や
理解できなかった事などございましたらお気軽にご連絡下さい。

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