オオシマミドリカミキリ、ノッペラボウの幼虫そして蛹(2020.4.15)
オオシマミドリカミキリと言えばかつては夏の奄美大島を代表した著名な大型・美麗種で
伐採が盛んな頃は多い種類であったことから、往年に奄美で活躍したカミキリ屋の自宅を
訪れると本種の詰まったタトウが必ず二つ、三つは在ったものです。
(往年・・・伐採が盛んだった頃の奄美って、もう半世紀も前なんですね@@)
しかし、伐採が全く無くなった今日にあってはその価値観は随分と変わってしまいました。
近年夏の奄美を訪れ、アマミホソコバネカミキリは多数採れてもオオシマミドリは見ることさえ
なかったという方は多いことと思います。
4~50年前の超普通種のイメージがなかなか払拭されない本種ですが、今は全く甘くないカミキリ
という現実は受け入れる必要があると思います。熊毛諸島のヤクシマミドリにしても、もっと言えば
本土のオオアオカミキリにしても、ホストのツバキ類やクルミ類の程好い枯れ木や伐採木が無ければ
実は採り難いものという事実を鑑みれば、オオシマミドリも同様の状況にあることをイメージ
出来易いのではないかと思います(オオシマミドリも含めこれらは同グループ)。
僕はと言えば、さすがに現地に住んでいますからね。いきなり本土から遠征に来る人に比べれば
其処此処のポイントを発見し易いので毎年の取りこぼしはありません。
ただ油断してマイコレを殆ど作ってこなかったことから、奄美最後の今年はなんとか累代飼育を
成功させたいと考えているところです。
下の写真は林縁に在ったクロバイ(ハイノキ科)枯れ木の辺材部に作った蛹室に居た終齢幼虫。
他のカミキリの幼虫に比べ、前胸の紋が消失した純白のノッペラボウであるのが分かりますね。
暫くすると蛹化態勢に入り、ブヨブヨとした透明感のある前蛹状態となりました。
実はここからが他のカミキリと比べて変態速度が極めて遅く、蛹になるのに半月は掛かったのでは
ないでしょうか。個人的には初めての体験でした。
蛹はとてもスマートな典型的なカミキリ亜科の形態。なんとなくトラカミキリ類の蛹の脚や触角、
体の全てを長くしたような感じですね。
本来本種は野外では6月中旬頃からの虫。自宅内管理での材からはそれより通常約1カ月前には羽脱
してくるので、来月中旬にも新成虫が材から這い出して来るでしょう。
大きい奴が幾つか出ることを期待するとともに、前段の様に今回は累代にも励みたいと思います。
(たくさん出れば^^)
もっと詳しく知りたい事や
理解できなかった事などございましたらお気軽にご連絡下さい。