オモト岳に登ってみた。平久保へ行ってみた(2023.4.14) | 蝶・カミキリ・昆虫を楽しむ!(九州・沖縄を中心に)

オモト岳に登ってみた。平久保へ行ってみた(2023.4.14)

面倒なので今回は止めておこうかな、と思っていたオモト岳登山、そして最遠方の平久保へ行って
来ました。オモト岳・平久保双方に其処にしか見られない虫が居るのですが、かつての長期遠征時代に
採集済みなので本来ならもう行く必要はありません。登山はキツイし、平久保は片道1時間と遠い・・・

止めておこうと思いつつ、そこは深い思い出の残る場所ではあります。採集はしないまでもかつての
活動の足跡を辿る意味合いも今回の旅にはあるのでやっぱり行ってきました^^

まずはオモト岳。沖縄県最高峰とは言うものの標高はたかだか530メートル弱。しかし急傾斜が
多く亜熱帯雨林のジメジメした暑さで大汗をかくこともあり疲れてイヤなんですよ。それにかつては
殆ど休むことなく登っていましたがもうじき還暦の身には結構堪えましたね。
登山口から少し登ると斜面の大崩壊でポッカリ出来た空間があります。かつて長期遠征初期にこれが
起こり、登山道が崩落しこの空間も瓦礫で裸地状態でしたがあれから10数年は経つので山肌が
すっかり木々で覆われています。

再び林内の山道を歩きます。この辺りは以前も撮ったことがあったなあ。


 
エッチラオッチラ、休みを入れながらゆっくり登っていきます。
此処が最も急坂が長く心臓破りのポイントだったな。40~45度が数十メートル続きます。

ルッキングのみで虫を探しながら登りますが全く虫の息吹を感じません。前記事で述べた石垣の
甲虫の不調は此処でも顕著のようで、ヤンバルアワブキにムネモンウスアオやイワサキキンスジ
といった葉を齧るカミキリの食痕は全くありません。立ち枯れにサキシマコブヒゲの姿も無し。
今春の虫の発生が悪いと言うより本当に虫が居なくなったのかもしれません。まあ以前のように
真剣には探していないんですけどね^^
オモトの虫も不調なのは想定内だったし、かつて十分楽しんだから特に構いません。
気付いたのは僕が石垣に来なくなったこの6年の間に、掬い易いヤンバルアワブキが登山道沿いに
ほぼ無くなったことで、この山の魅力が一つなくなりましたね。

頂上近くになるとリュウキュウチクが登山道の両側に繁茂し歩き難くなります。

そして視界がぽっかり開けると「オモト岳頂上へ」の看板の残骸があるはず・・・なのですが
丁度電波塔の工事をしているようで簡易な張り紙となっていました。

そこから10メートルも行くと遂に頂上の標石がありました。賽銭箱って前もあったっけ。
リュウキュウチクが繁茂し、標石に登らないと展望が利きません。一応登って撮った写真が下。
長期遠征していた頃、頂上一帯の竹が一面刈られていたことがあり、その際は極めて素晴らしい
眺望でありました。



 

ということで今回は記念に一度だけ登ったオモト岳ですが、カッコウムシspが結構採れて
喜びました。これは図鑑に無い種類ですが僕は今のところオモトの一画でしか採っていません。
かつてから存在は知っていましたが、虫の少ない今期に結構得ることができ満足でした。

オモト岳に行ったからにはやはり平久保にも行かねばなるまい、となります。
ただ昔の採集地を見るだけのために1時間もドライブするのは酷なので、平久保の手前の明石部落
にある明石食堂のソーキ蕎麦とかけて訪れることにしました。 

実は一つ悲しい事実を知ることになります。平久保の近くに吉野という小さな部落がかつて
在ったのですが、なんと廃村となり地図からも消えていました。もう35年位前になりますか、
吉野バス停の傍のテイカカズラ群落からイシガキトガリバサビカミキリが採れたのですが、これを
知っている古い虫屋さんには感慨深い出来事なのではないでしょうか。僕が長期遠征をしていた
最後の頃に確か人の住んでいる1軒と道脇に廃屋がありましたが、バス停共々無くなっていました。
 
前の記事でも触れたように観光客がとても多く、こんな奥地にも拘わらずレンタカーの数がハンパ
ではなく明石食堂の周りには名物のソーキ蕎麦を目当てのレンタカーがひしめいていました@@
前から有名だったけど、この状態は異常じゃなかろうか。開店前に着いたので30分程度の順番待ちで
入れましたが、客の殆どが日本人のようでした。やはり日本の観光需要は日本人で満たさなきゃ。

かつてはススキサビやイシガキトガリバサビ、ヤエヤマフト北部型などのカミキリを採ったポイントを
確認しながらドライブします。そうだ、ここで当時は未だ殆ど採れていなかったイマサカドウボソが
落ちて狂喜したんだったな、とかね(後記注:イマサカを採ったのは35年位前の初石垣の時でした)。
当時ススキサビはほぼ採れなくなっていた頃で、僕が大量に再発見をしてまたポピュラーになったような
ものでした。写真の場所は特に多かったエリアですが農道が貫通して環境が変わりススキ原がほぼ
無くなっていました。

ここに限らずススキの減少は顕著で、ススキサビは各段に採り難くなったのではないかな。僕はもう
マイコレ分はあるので良いけどね。あの頃は多い一画を見つけるまで探索を続けられたけど、今はもう
やりたくないかな。

ただ平久保の美しい海岸線はかつてのように其処にありました。

今にして思うのは、オモト岳にしてもここ平久保にしても若い頃にやり込んでおいて本当に良かったと
いうことです。今風に言えば44歳でセミリタイアを果たし45~55歳の気力も体力もまだ充実していた
10年間を本格的な虫採集に費やすことが出来ました。
ムネモンウスアオが最も採り易かった「三本アワブキ(当時僕が命名^^)」は既に無いし、平久保に
在ったススキサビの楽園は消失の危機が訪れつつあります。

今年4月上旬の石垣の採集地ではオールド虫屋もヤング虫屋もかつてほどは目に付きません。
虫屋人口は確実に減っています。
若い虫屋さん達には虫が未だなんとか採れるうちにかつて僕が体験することが出来た喜びや満足の
気持ちを味わって欲しいと思います。

もっと詳しく知りたい事や
理解できなかった事などございましたらお気軽にご連絡下さい。

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