ススキサビカミキリのホストに関する一考・その一(2013.6.21)
これはメルマガ(南虫ニュース)かSIC通信に書こうかなと思っていたのですが、取っ掛かりに過ぎない
こともあるのでブログネタにします。
一般の方もご参考にしていただければと思います^^
ススキサビカミキリのホストに関する一考・・・
本種に関しては今はまだ採集の方に力点を置いているし、現地に周年を通して住むことが出来れば
材採集や飼育によって真相を突き止めるのも容易なのですが、今はそれが不可能です。
以下に僕がこれまで現場で得た事実の一部を述べますが、「だからススキサビのホストはコレだ!」と
現段階で言うつもりは無いことを予めお断りしておきます。
以前月刊むし誌にススキサビカミキリに関する報文が出され、その中でホストに関する疑問が
投げかけられていました。
曰く、「ススキ」サビとは言うけれど、本当にホストはススキなのか?
そして、採集現場付近に多いアカメガシワの枝を放置し後に回収、しかしススキサビの羽脱はなかった
というものでした。
その報文を見た時、僕が思ったのはこうです。
「第二ポイントで採っていればそう考えるわな」
僕のススキサビへの想い入れは深く、もう何処にも居ないと騒がれていた時分にもコツコツと
採集ポイントを開拓していました。
そのおかげで今では数カ所の独自ポイントを持っています^^
実は近年、地元の採集人のある行為のおかげで、その一つが他の人の目にも触れるようになって
きました。
そこが僕の言う第二ポイントです。
当地はアカメガシワ等の潅木の茂る場所で、その周りをススキが帯状に取り巻くように生えています。
現在一部の人に知られつつあるススキサビのポイントとは大体この場所を指し、件の報文の舞台と
なった所も環境の描写から其処であるのが分かります。
確かに、その場所で周りを見回すと、「ススキサビのホストって本当にススキなのか?」と疑問が
沸いてくるほど雑木が生い茂っており、筆者さんが面食らわれたのも十分理解出来ます。
僕も始めの頃は純粋にこの件を考えた事はありました。
でも、今ではこれまでに得た事実から、真相は案外単純なのではないか、との心境に至っています。
実は第二ポイントはススキの量が少なく、正直なところ場所が広い割にはススキサビの密度はそれほど
濃くありません。
潅木が多いこともあって他の雑多なSybraやRopica、タテスジドウボソ、ワモンサビ、シモフリナガヒゲ、
リュウキュウヒメ、ヨナグニゴマフ等の普通種がゴマンとおり、そこで採れるカミキリの大部分を占めます。
勿論ススキをホストとするウスアヤもたくさん居ます。
このことは前段の報文の「放置したアカメガシワからのこれらの羽脱」と一致しています。
また、こういう事実があります。
ここに限らず、北部におけるススキサビの分布域の潅木類をビーティングして本種が落ちて来た事は
一度もありません。
北部には他にヤエヤマフト石垣北部亜種やイシガキトガリバサビ等狙うべき珍種カミキリも居るため、
僕は徹底的に木々の枯れ枝や枯葉、ツル類等も散々引っ叩いてきました。
しかし、ススキサビが採れた事は一度も無く、他の採集者がこうした方法で採った話も聞きません。
すなわち、ススキが全く無い所でススキサビが採れたことは無いのです。
そして重要な話をしましょう。
僕が独自のポイントを幾つか持っていることは前段で触れましたが、ススキサビが最も多い場所、
僕が第一ポイントと呼んでいる一画にはほぼススキしかありません。
ほんの数本の細い潅木(樹種は控えるがアカメガシワではない)しか無いためウゾウムゾウは殆ど
居ない上、ウスアヤもあまり落ちず、どちらかと言えばススキサビの方が多いくらいです。
僕はこうした所が本種の本来の生息環境ではないかと考えています。
もし本来のホストがススキではなく、例えばアカメガシワ等の樹木であるなら、ススキサビの個体数は
第二ポイントの方が圧倒的に多いはずです。
「じゃあ、もうホストはアレで決まりじゃん!」
そうした声も聞こえてきそうですが、そうも言い切れないかもな、というのが今の僕の心境です。
それは本種を幾つか人工的な環境(最低限の^^)で飼ってみての感じなのですが、それについては
写真も含めまた後日お話しますね^^
もっと詳しく知りたい事や
理解できなかった事などございましたらお気軽にご連絡下さい。