切り残されたクワの葉裏のムネホシシロカミキリ(2012.6.9) | 蝶・カミキリ・昆虫を楽しむ!(九州・沖縄を中心に)

切り残されたクワの葉裏のムネホシシロカミキリ(2012.6.9)

一昨日(7日)はソボコブヤハズから転戦し、クワ畑跡地でムネホシシロカミキリを採ってきました。

ここは自宅からでも30分あれば行ける郊外の平地で、以前は養蚕が盛んだった地域です。
僕が中高生の頃にはまだ何か所もクワ畑が残っていました。

現在は養蚕農家が一軒も無いのでクワ畑も潰され、そこでは他の作物が作られています。
クワの木はその跡地に伐採され残ったものや、畑の境目に植えられたものが点々と僅かに残るだけ
となっています。

不思議なことにムネホシシロは自然林のクワにはほとんど見られず、主として人為的に植えられた
クワに依存する種類なのです。

こうした傾向はトラフカミキリ、キバネアラゲカミキリ、クワゾウムシ、ハラグロオオテントウ等にも
見られ、どれも九州では近年クワ畑の衰退とともに姿を消していっている虫達です。
これらのクワの消滅とともに、いずれ極めて採集し難くなるのは明らかなので、
今は努めてこれらの標本を残しているところです。

ムネホシシロカミキリも今はまだ毎年採集することが出来ていますが、それも僕が昔からのポイントを
幾つか知っているからに過ぎません。
もし、今にでもこれらのクワが皆伐されてしまえば、一瞬で来年からは採れないカミキリになって
しまうわけです。

まあ、とりあえずここ数年でそんなことにはならないと思いますが、「ある事」が行われていないと
多くを採集することはできません。
そのある事とは、クワの枝の間伐です^^

実は今年、畑の整備の一環でマイポイントのクワの大木の枝がかなり切られており、採取していた
それらの伐採枝から本種が少なからず羽脱していたのです。

こんな良い年はもう無いかもしれないので、どうせなら野外品も採っておこうというわけです。
野外で活動しているシロカミキリ類はスレると見る影もありませんが、今なら発生初期の
美しい個体がまだ多いはずです^^

午前中、高標高のソボコブのポイントでは雨だった天気も、ここは全くの平野部なので晴れており
気温も25℃を超えています。

目標は伐採枝が転がっている真上のクワの木です。
張り出した枝先の葉を丹念に見ていくと・・・
予想通りポツポツと食痕があります。

その葉裏を丹念に見ていくと、やはりムネホシシロがペタッと止っています^^



シロカミキリ類は高い位置の葉裏に居るのでどうしても逆光下での撮影になるし、体が白いので
露出を高めないと「見え」ません。ちょっと見難いですがお許しを^^

下の写真では二頭が並んで葉を後食しています。
このように複数個体が寄り添っているケースは南西諸島のイツホシシロやムツボシシロで
よく見かけますが、本種に関しては珍しい場面です。

予想通りスレたり破損した個体は未だほとんど居ないようですが、ほぼ全てが前胸やエリトラに
緑色掛かった部分が見られます。
この現象は野外で採集したオオシロカミキリ等にも見られますね。

これはホストの葉を齧った後に動き回る際、葉の液体成分が体表に付着するためで、
以前に狭い容器内で飼育した時は傷だらけの葉の中に隠れるので驚くほど緑色になりました@@

今回は汚れの少ない綺麗な個体を10頭ほど選んで摘まんできました。
材から羽脱させた純白の個体には及びませんが、少し野外で活動したクリーム色の強い
ちょっと緑掛かった個体も味があって良いですね^^

近場でオオシロも採ってこようかな^^

もっと詳しく知りたい事や
理解できなかった事などございましたらお気軽にご連絡下さい。

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