トラフカミキリ | 蝶・カミキリ・昆虫を楽しむ!(九州・沖縄を中心に)

トラフカミキリ、健在^^(2015.7.10)

昨日、屋久島行きのフェリー会社にTELしてみると台風9号の影響で欠航。
しかも現地の天気は今日・明日共に雨。 こんな状況では慌てて行っても仕方ありません。
状況を見ながら動けるのもスローライフの強みというもの^^

ということで、地元郊外へ1時間勝負のトラフカミキリ採集に行って来ました。
悪天の屋久島とは逆に地元熊本はここ連日、晴天に加え35℃超えの猛暑日@@
トラカミキリ類の採集には絶好の条件ですが汗はダラダラ、頭はクラクラで過酷でした。

九州のトラフはもう風前の灯ですからね。頑張って採っておかねばなりません。
僕にしても知り得る唯一の産地は高校時代から大事に見守ってきた一カ所の桑畑跡地です。
ただ一昨年、最良のご神木をはじめ数少ないクワの大木がほぼ全て伐採されてしまったので激減して
しまったのではないかと心配していました。

(参考)
クワご神木が伐採された一昨年の様子

この一画にはもう細目のクワしか残っていないのですが、1本1本をじっくり見回ってみると・・・
オッ、居た!

とりあえず今年も姿を見ることが出来たので一安心です。
次の写真の右側には住宅が映っていますね。このエリアには宅地化が迫っているのです。
冒頭に「1時間勝負」と書きましたが、クワの本数もその程度しか無いというわけなんですよ。
ただこれらは広範囲に分散しているので全てのクワが切られてしまうまであと数年は掛かるでしょう。
それまでに可能な限り多くの標本を残しておく必要があります。

念を入れてじっくり探すと予想よりは多くの個体を確認することが出来ました。
鮮度は良くタイミングはバッチリだったようです。
ペア連結の状態で産卵中の♀も幾つか確認出来ました^^


九州のトラフカミキリ、今や明らかにサタサビ(野母崎亜種ね^^)などより格上の珍品です。
事情が許せば屋久島行きの前にもう一度採集に行って来たいと思います。

トラフカミキリ発生確認調査、台風8号直撃前に^^(2014.7.8)

梅雨の悪天続きで今年は諦めかけていたトラフカミキリ確認調査ですが、今日は運良く低地一帯に
晴れ間が広がったので急遽行って来ました。

昨日は地元熊本に8万人レベルの避難勧告が出るほどの豪雨、そして今まさに沖縄地方は台風8号
による暴風雨が吹き荒れています。
明日は九州全域が暴風雨の勢力範囲に入るので今日の晴れ間は奇跡ですね^^
九州も夕刻になってそろそろ風が強くなり台風の予兆が出始めています。

いやあ、今日はメチャクチャ暑かった!
午前11時には車の外気温度計が38℃で振り切れていましたから・・・
1週間前まで居た石垣の日差しもここまで突き刺すような強烈さはなかったぞ。
数日前に九州は涼しいとほざいた前言はあっさり撤回します^^

トラカミキリ類の採集には絶好の日和ではありますが、問題なのがますます悪化する地元における
トラフカミキリの生息環境です。
昨年の調査時にはポイント周辺で最も良好なご神木のクワが伐採されてしまい、今年の発生状況を
憂慮していました。

予想はしていましたが、ポイントに着いて各所を確認するとやはり発生木の伐採はさらに進んで
いました。
現場はかつての桑畑が他の作物に転用され、かろうじて伐採を免れた逸出木が点々と僅かに残る
一帯なのですが、そうした木々も宅地化等の邪魔になるので結局は切られてしまう運命にあるのです。
やはり此処もあと5年はもたないだろうなあ・・・

というわけで、昨年までは採集数を控える保全型の採集を行っていましたが、今年からはシビアな採集に
切り替えることにした次第です。
どうせ数年内には此処の個体群も絶滅してしまうわけですからね。

切り残された木々を丁寧に見て回ると、極少ながら点々とトラフカミキリが見つかり胸を撫で下ろします。
とりあえず今年は大丈夫だったか・・・



手の届かない頭上にも。

畑脇にあった高さ50センチ程度の上部が伐採された小木の表面を見ると、穴が開いており
中で何かが動いています。
近付いて見ると、丁度トラフカミキリが羽化脱出しようとしているところでした^^

トラフカミキリの羽脱の様子です。




ということは、これから羽脱して来る個体もまだ居るということですね。
ここ数年は毎年7月上旬に調査しているのですが、昨年見た分は結構スレや破損が多かった一方、
今年の個体はほぼ全て鮮度が良く、やや発生が遅れていることになります。
今冬の甚大な寒波は盛夏を迎えようとする今に至るまで虫の発生に影響を与えているということ
なのでしょうか。

そのせいか、採集数は予想をやや下回りました。
時間があれば数日後にあと一回採集を試みたいところですが、明日からは台風の影響を受けるので
スケジュール的に今年はもう無理でしょう。

それにご神木をはじめとして大木がほぼ伐採されてしまったので、採集個体が急激に小型ばかりに
なってきたような気がします。

以前にも書きましたが九州のトラフはもはや極めて厳しく、此処が潰れれば確実に複数を確保出来る
唯一のポイントを僕も失うことになります。
本種に関してはもうホントにうかうかしてはいられないぞ。

雨の狭間に活動するトラフカミキリ(2012.7.7)

今年は地元のトラフカミキリを見に行く機会が無いのではないかと焦っていましたが、
昨日、何とか雨が上がる時間帯があったので郊外の産地までダメ元で行って来ました。
ダメで元々、と思わせるほど、今年の梅雨は酷いんです(泣)。

何しろ7月に入ってからも、雨が降らない日は1日たりともありません。
山間部がダメなのは当然ですが、平地のトラフカミキリ採集でさえチャンスがなかなか無いとは・・・

今回の場合、辺りが雨で濡れていて気温が低ければアウトです。
高温を好むトラカミキリの仲間はまずそんな日は物陰に隠れて出てきません。

幸い今日は昼を回った時点で30℃と汗ばむ気温だったため、雨さえ暫く止んでくれればトラフは
必ず活動しているという自信がありました。

トラフカミキリが居るのはマイフィールドにしている平地のクワ畑跡地です。
ここには伐採され残ったクワの中木が点々とあり、トラフをはじめムネホシシロ、キバネアラゲといった
カミキリ、そしてクワゾウムシやハラグロオオテントウ等のクワ依存性昆虫達が細々と残っています。

僕の知る限り地元でまだ確実にトラフが採れる場所は此処をおいて無いのですが、福岡の虫友に
聞いても状況は殆ど同じ、鹿児島に至ってはカミキリの大御所がもうトラフが採れる所は無いと
嘆いておられました。
このように九州のトラフは何処よりも早く居なくなってしまうのかもしれません・・・

さて、トラフは6月下旬からこれらクワの樹幹に現れます。
ただ、その個体数は少なく、忍耐強く何度も探し回らないとなかなか見つかりません。

小雨が降ったり止んだりする中、ヤブ蚊に刺されながら汗だくとなってクワの木を1本1本丹念に
見ていきます。

すると、何とかポツリポツリと見つかりました^^
「今年も居て良かった・・・」というのが正直な気持ちでしょうか。
トラフがまだまだ居る地域の人には分からない心境でしょうね。



7月上旬なのでスレた個体はほとんど居ませんが、交尾中のペアが居たのでそろそろ産卵期
かなと思っていると、もう産卵している♀も見つかりました。


来年以降の事も考えた結果、今年は大型の1ペアだけ持ち帰ることにしました。
このポイントはいつまでも大事にしたいものです。

切り残されたクワの葉裏のムネホシシロカミキリ(2012.6.9)

一昨日(7日)はソボコブヤハズから転戦し、クワ畑跡地でムネホシシロカミキリを採ってきました。

ここは自宅からでも30分あれば行ける郊外の平地で、以前は養蚕が盛んだった地域です。
僕が中高生の頃にはまだ何か所もクワ畑が残っていました。

現在は養蚕農家が一軒も無いのでクワ畑も潰され、そこでは他の作物が作られています。
クワの木はその跡地に伐採され残ったものや、畑の境目に植えられたものが点々と僅かに残るだけ
となっています。

不思議なことにムネホシシロは自然林のクワにはほとんど見られず、主として人為的に植えられた
クワに依存する種類なのです。

こうした傾向はトラフカミキリ、キバネアラゲカミキリ、クワゾウムシ、ハラグロオオテントウ等にも
見られ、どれも九州では近年クワ畑の衰退とともに姿を消していっている虫達です。
これらのクワの消滅とともに、いずれ極めて採集し難くなるのは明らかなので、
今は努めてこれらの標本を残しているところです。

ムネホシシロカミキリも今はまだ毎年採集することが出来ていますが、それも僕が昔からのポイントを
幾つか知っているからに過ぎません。
もし、今にでもこれらのクワが皆伐されてしまえば、一瞬で来年からは採れないカミキリになって
しまうわけです。

まあ、とりあえずここ数年でそんなことにはならないと思いますが、「ある事」が行われていないと
多くを採集することはできません。
そのある事とは、クワの枝の間伐です^^

実は今年、畑の整備の一環でマイポイントのクワの大木の枝がかなり切られており、採取していた
それらの伐採枝から本種が少なからず羽脱していたのです。

こんな良い年はもう無いかもしれないので、どうせなら野外品も採っておこうというわけです。
野外で活動しているシロカミキリ類はスレると見る影もありませんが、今なら発生初期の
美しい個体がまだ多いはずです^^

午前中、高標高のソボコブのポイントでは雨だった天気も、ここは全くの平野部なので晴れており
気温も25℃を超えています。

目標は伐採枝が転がっている真上のクワの木です。
張り出した枝先の葉を丹念に見ていくと・・・
予想通りポツポツと食痕があります。

その葉裏を丹念に見ていくと、やはりムネホシシロがペタッと止っています^^



シロカミキリ類は高い位置の葉裏に居るのでどうしても逆光下での撮影になるし、体が白いので
露出を高めないと「見え」ません。ちょっと見難いですがお許しを^^

下の写真では二頭が並んで葉を後食しています。
このように複数個体が寄り添っているケースは南西諸島のイツホシシロやムツボシシロで
よく見かけますが、本種に関しては珍しい場面です。

予想通りスレたり破損した個体は未だほとんど居ないようですが、ほぼ全てが前胸やエリトラに
緑色掛かった部分が見られます。
この現象は野外で採集したオオシロカミキリ等にも見られますね。

これはホストの葉を齧った後に動き回る際、葉の液体成分が体表に付着するためで、
以前に狭い容器内で飼育した時は傷だらけの葉の中に隠れるので驚くほど緑色になりました@@

今回は汚れの少ない綺麗な個体を10頭ほど選んで摘まんできました。
材から羽脱させた純白の個体には及びませんが、少し野外で活動したクリーム色の強い
ちょっと緑掛かった個体も味があって良いですね^^

近場でオオシロも採ってこようかな^^

ハラグロオオテントウとムネホシシロカミキリ材探し(2012.5.1)

夕刻から雨という天気の中、数時間の隙間時間を利用して「クワに付く虫」の状況を
見に行ってきました。
ここは自宅から30分ほどのクワの木が僅かに点々と残るポイントです。

私の住む熊本に限らず、鹿児島など九州では養蚕が全くと言って良いほど廃れてしまったので
クワ畑がまるでありません。
東京に居た頃に感じていましたが、関東などの方がよほどクワ畑は残っています。
クワの木で採れるカミキリと言えばトラフカミキリですが、九州ではこのトラフが
もうほとんど採れません。九州各県の友人も嘆いているところです。

マイポイントも私が高校生の頃まではクワ畑が結構あり、トラフをはじめムネホシシロカミキリ、
キバネアラゲカミキリがそこそこ居ましたし、大き目のクワの幹にはクワゾウムシが相当這っていました。
クワキジラミと関係の深いハラグロオオテントウも必ず得ることができました。

ところが、私が東京で過ごしていた四半世紀のうちにクワ畑は全く無くなり、
これらの虫達も切られ損なった畑の脇にわずかに残るクワでなんとか世代を繰り返している状況です。
採りに行って「ボウズ」ということもしょっちゅうです。

今日はまず、昨年見つけた河川の脇に残る数本のクワを調査しました。
クワ畑が無い以上、これらの虫は大きな河川脇に自生するクワで探すのも一手です。

枝葉を見始めて十数分、ようやくハラグロオオテントウが見つかりました。
この日本最大級のテントウムシ、なぜか一度に採れる数はほんの数頭です。
単発のケースも稀ではありませんし、クワキジラミがたくさんいても幼虫も数匹しか見られません。
毎年発生する木もほぼ限られていて、今日も結局この1頭しか見つかりませんでした。
今後、幼虫や蛹を見つけたらブログにアップしたいと思います。

雨が降る前にクワ材も採らなければならないので、かつてクワ畑があった一画に向かいます。
ムネホシシロやキバネアラゲは河川敷のクワではほとんど採れず、畑地に生えたクワを好むようです。
毎年、農家が畑脇の枝が伸び過ぎた雑木の枝打ちをするので、上手くするとクワの枝も切られ、
さらに上手くするとこれらのカミキリがその枝に産卵することがあります。
よって、こうした状態の材を探しに行くわけです。

昔はこんな「運任せ」の方法を取らずとも満足に採れたのに・・・

ポイントに着くと今年は「運良く」枝が刈ってあり片付けられずに残されていました。
雨が降りそうなので農作業をする人もいません。

これは良いタイミングで来たぞ、と思いながら材をほじくるも、あまり良い枯れ枝はなく、
カミキリの食痕もほとんどありません。
ダメだったか・・・、と諦めかけた時、蛹室の中から見慣れたシロカミキリの蛹が現れました。
危なく切っちゃうところでした(汗)。コイル状に巻いた長い触角が特徴です^^
♂特有の長い前肢も分かると思います。

写真からは分かりませんが、シロカミキリ属は樹皮下を雲型に広く食べた後、
材部に入って蛹室を作ります。
樹皮下食痕の量と食入口から勘案すると、まあ10頭位は出るでしょう。

キバネアラゲはヌルかも・・・

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