クロキスジトラカミキリ | 蝶・カミキリ・昆虫を楽しむ!(九州・沖縄を中心に)

今年は複数が採れたクロキスジトラカミキリ(2017.8.22)

カミキリ屋さんにとって、キスジトラカミキリと言えば初夏には平地や低山帯では伐採木や
倒木などに幾らでも居るし、夏の山地帯ではノリウツギなどを掬うとバラバラ入るといった
超普通種という印象の強いものと思います。

僕も10年ほど前までの四半世紀は関東で暮らしていたのでこのトラカミキリの普通種振りは
強く頭に刷り込まれています。
ただ僕の地元の九州ではそこまで多いものではなく、関東近辺の体色がかなり黄色っぽいのに対し、
そこそこ地色が濃くなる特徴があります。

そして屋久島の本種は黄色の斑紋を除きほとんど「真っ黒」で、これがクロキスジトラという
亜種名の所以ですが、黄と黒のコントラストが美しいとともに珍品というイメージも手伝って
屋久島特産種(亜種)の中でも特に人気が高いようです。

今夏、3年振りに咲いた吹き上げポイントのリョウブの花に来た本種

屋久島では基本的に伐採を行わないのでトラカミキリ類が這い回るポイントが無く、勢いリョウブや
ノリウツギといった夏の花に訪花しているものを掬い採るという方法しかありません。
屋久島では従来、ヤクネキ等の吹き上げポイントに点在する数本のリョウブの花で採れるのですが、
これらの花は二年に一度しか咲かないので、必然的にクロキスジトラの採集チャンスも二年に一度と
いうことになっていました。

ところが、昨年「咲くはずだった」ポイントのリョウブが何らかの理由で咲かなかったことから、
一昨年、昨年と二年に渡り採集チャンスが失われており、もしかしたらこの先永久にポイントの
リョウブが咲かずクロキスジトラも相当な珍品になってしまうのではないかと悲観的な見解を
唱える人も居ました。

僕も大いに心配していたのですが、件のリョウブは今夏3年振りに満開となり皆の心配は杞憂と
なりました。
残念ながら時期的には皆が集う「海の日3連休」の頃までは花に虫が集まらなかったのですが、
その後に満開となってからはある程度クロキスジトラも集まってきたので遅目に屋久島入りした人は
殆ど本種を採集しておられるのではないでしょうか。

僕は長期間屋久島に滞在したので久々に二桁ほどを採りましたが、半数は運悪く破損個体でした。
何故か本種は完品率が極めて低く、採集しても高確率で落胆させられる虫です。
いずれ材を当ててビカビカの標本をたくさん並べたいものです。

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