大珍品、九州のオオムツボシタマムシ(2022.5.17)
ムツボシタマムシ属はタマムシの中でも人気が高いグループですが、その中でも際立つ大型種が
オオムツボシタマムシです。
最新のタマムシ図鑑で調べると、本州・四国・九州そして対馬・屋久島に分布し、珍品度は★三つ
とのこと。これは個体数の比較的多い関西辺りでの評価でしょうね。
ちなみにこの図鑑にオオムツの写真はデータと共に4個体出ていますがいずれも愛知県産です。
何故全て愛知産なのかは分かりませんが、1ペアは愛知産で良いけれど、他は対馬・屋久島産とか
九州や四国のものを収録すべきじゃないかなあ。無精したのでなければ、本州産以外の標本が如何に
集め難いのかの証左となるのでしょう。
オオムツと言えばイメージでは関西~中国地方に分布の中心地があるような感じかな。その流れで
対馬や四国・九州に居るのは分かるような気がします。驚くのは屋久島で、昔の伐採時代に採れて
いたのでしょうか(ちなみに保育社4分冊の甲虫図鑑では分布域に対馬・屋久島の記載が無い)。
僕は近年屋久島へは10回は行っていますが、とても現代にオオムツが採れる環境が在るとは思えません。
屋久島で採れればオオチャイロハナムグリ級のニュースかも。
では九州での採集状況はどうか。屋久島に居る(ことになっている)のだから、九州にもそれなりに
居るんでしょうと関西~中国地方の分布のノリで思う人が居るかもしれませんが、さにあらず。
実は大珍品なのです。少なくともこの数十年間、明らかな採集記録が出ているのは熊本県の某所のみと
思われます。
こんな大型種が枯れ木や立ち枯れ、伐採木を歩いていたら採集者なら絶対に見逃しません。
他のタマムシ類と比べて卓越した敏捷性があるわけでは無いし、採り損ねても同定したことにはなる。
ところが目撃記録さえ聞かないのです。こんなに採集者が多い九州なのに・・・
恐らくオオムツはかつて、九州北~中部の低~中山帯に局所的には居たのでしょうが、元来本州の様には
多くなく原生林の消滅と共に姿を消していったのではないかと思います。
ただ、運良く僕の低山帯のフィールドには原生林が残っており、其処にはまだ居てくれたと^^
先日、其処で採ったオオムツです。時期的にフライング気味で、本格的な発生は未だ暫く後でしょう。
参考まで、これも先日に羽脱した奄美大島のアマミムツボシタマと比較してみましょう。
改めてその巨大さにア然・・・
勿論オオムツはマイフィールドでも個体数は多くないのですが、今回は運良くコナラの枯木の
樹皮下に幼虫の食痕を見つけることが出来ました^^
樹皮下にはやや大きくなった幼虫も確認出来ました。当該木及び食痕が新しいことも勘案すると、
恐らく新成虫が羽脱するにはあと1年は掛かると思われます。
今年羽脱するものが居ないかの確認のため、少し切り取って材箱管理してみたいと思います。
もっと詳しく知りたい事や
理解できなかった事などございましたらお気軽にご連絡下さい。