もう一つのタケ依存性ヒゲナガゾウムシ(2022.5.21) | 蝶・カミキリ・昆虫を楽しむ!(九州・沖縄を中心に)

もう一つのタケ依存性ヒゲナガゾウムシ(2022.5.21)

タケ(竹)依存性のヒゲナガゾウムシとしてはササセマルヒゲナガゾウが知られています。
割と大型で横幅のある丸っこいヒゲナガゾウで、採集人が殆ど行うことが無いタケ類のビーティングを
行うと場所によっては得ることが出来ます。
甲虫好きの虫屋さんであってもササセマルに巡り合ったことの無い人は多いと思います。

そして、この他にタケ依存性のヒゲナガゾウがもう一種居ることをご存知の方はどれほど居られる
でしょうか。「え、そんなヒゲナガゾウが居るの?」と思われる方が殆どと思います。
保育社の甲虫図鑑の解説を読むと、タケ依存性のヒゲナガゾウはササセマル以外に見当たりません。
しかし、僕のフィールドの一つ(熊本のある一画)には確実にそれが居るのです。

それがこれ。これまでに採った最大ペアを図示します。

保育社の甲虫図鑑で調べると、体形と斑紋パターン的にはケマダラヒゲナガゾウに最も似ています。
図版が良くなくケマダラよりは体色が濃いようですがイマイチ分かり難いですね。
本種の最大の特徴はケマダラと同様の広がった符節ですが、そうなったのは進化の過程でツルツルとした
タケの樹皮に上手く掴まるために発達したものと思われます。
参考のため同様に符節が広いササセマルのペアと本種(上とは別個体)を並べてみます。

これら2種のヒゲナガゾウはなかなか落ちて来ませんが、マイ・フィールドでは運が良いと日に2種を
同時に得られることがあります^^

図鑑のケマダラの解説をかい摘むと「符節第三節は強く広がる。中ノ島と沖縄に分布する」とあります。
ケマダラと本種が同一かどうかは別として、同形態からケマダラもタケ依存性と思われます。
ケマダラの解説にはタケ依存性についての言及が無いので、図鑑作成時にはこうした生態が分かって
いなかったのでしょう。

実はかなり前から本種の存在には気付いていたのですがサンプル数が足りず、今春それなりに個体数を
採集出来たので紹介する次第です。
図鑑の分布はよく塗り替えられるのでケマダラそのものかもしれないし、あるいは別亜種・別種に
なるのかもしれません。少なくともタケ依存性という生態に関しては初の知見になると思います。

この5月にビーティングで落ちてきた写真。上がササセマル、下が本種です。
いずれも広がった符節が目立ちますね。


ちなみに以下の写真は早春に枯れ竹から割り出した場面で、完全に竹食いであることが分かります。

そして、先日撮れた奇跡の一枚(三枚か^^)。
偶然にも自然状態で本種が枯竹に留まっている場面を捕えることが出来ました。



広がった符節で枯竹の樹皮にしっかり「貼り付いて」いるのが分かりますね。
うーん、イメージ通りで大満足^^
こんな場面、まず拝むことは叶いません。よー見つけた、ジブン。偉い!

僕は一応ヒゲナガゾウ・マニアですが数ミリの極小種は正直好みではありません。
本種は平均すると10ミリ近くはあるので楽しんで調査に励むことが出来ました^^
引き続き発生期間等も調べてみようと思います。

もっと詳しく知りたい事や
理解できなかった事などございましたらお気軽にご連絡下さい。

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