クロマダラソテツシジミ | 蝶・カミキリ・昆虫を楽しむ!(九州・沖縄を中心に)

9月18日(火)夜、今期オークションの初出品を行います(2018.9.16)

いやいや、忙しさに首が回らなくなってきました。いえね、残念ながら採集に忙しいという事では
ありません。これからは僕にとって唯一の仕事の時節。オークションや昆虫フェアのための準備に
追われることになります。
もちろん採集も行うので、採集と仕事を両立させなければならないシーズンに入って行くわけです。

今日の主題の一つは告知です。オークション等にご興味の無い方には申し訳ない次第です。
今期初のオークション出品を今月18日(火)の夜に行います。詳しくは出品画面に表示しますが、
一連の基本的な流れは例年の様に以下の通りとなります。週始めに出品、週末日曜日の夜に落札終了、
その翌日からカウントして二日以内に取引ナビを頂き、金曜日までにご入金を頂くという流れです。
当方は基本的に在宅なので、上記をスムーズに行うため御連絡を頂けば直ちに返信します。
なお郵送費の値上げが2年前に行われましたが、据え置きは今期も引き続き行わせて頂きます。

でも毎年、オークション一回目の出品と東京大手町インセクトフェア(今年は10月11日開催)
(※後日記述:正しくは10月8日(体育の日)開催です。失礼しました)の準備が重なりいつも
この時期はてんてこ舞いの日々になりますねえ。まあ事業はそういうものだし、半年以内の労働で済み、
しかも在宅で出来るので泣き言を垂れている場合ではないですね^^
(利潤も極小だけど@@)

告知だけではナンなので、近所で採れる蝶の普通種の写真でも挙げておきましょう。
その普通種とは、外来種のクロマダラソテツシジミ。
この蝶、すっかり我が国に居ついちゃいましたね。珍種ならもっと注目されるのでしょうが、
かなりの普通種というデフレ体質のため近頃では誰も注目しなくなった感があります。

幼虫の集団に食われたソテツの若葉。堅い成葉はダメで、柔らかい新芽のみが餌となります。

多くの終齢幼虫はソテツの「ボール」の部分のヒダ内で集団で蛹化します。
「ボール」って? これです、雌花。この直上に新芽が出るわけ。

これを知っていると、蛹の採集が非常に楽です。何故か寄生率は甚だ低いですね。
飼育の労をとる必要が無いので、とても効率的にサンプルを集めることが出来ます。
殆どの蛹が羽化してくるので、採集は展翅出来る数に抑えるようにしましょう^^


でもね、普通種ではあるものの客観的には「美蝶」ではあると思うんですね。ブルー系のシジミの中でも
ケッコウなイケメンと思いますよ、僕は。変異は特に無いものの(あるかも?)季節型はあるし、
正直低温期型の♀は見事です。♂も決して悪くありません。
冬になる直前に「奄美大島産」の低温期型の標本もしっかり作っておきましょう^^

僕のコレクションとして標本箱に入れる判断の一つは珍種なのか、普通種なのかという珍品度の
基準だけではなく、「集めて楽しい」というコンセプトがあるので直感的に何らかの「美しさ」を
感じられるものは何でもアイテムとなります。あくまでも僕の場合ですが。

クロマダラソテツシジミだけではなく、イシガケチョウやテングチョウ、アカタテハなどの超普通種達も
こちらに居る間にしっかり展翅してコレクションを充実させていきたいと思っています。

探し易いシジミチョウ3種の幼虫・蛹(2014.5.22)

石垣島に長期滞在しているとは言っても、甲虫類や雑虫等の採集や展足に支障を来たすため
蝶の採集・飼育は涙を飲んで諦めているところです。

日々の活動の中では蝶の幼虫や蛹をことさらに探すことはやっていないのですが、これらは
特段時間を掛けなくても見ることが出来るシジミチョウ達です。

まず、近年南西諸島に定着した感のあるクロマダラソテツシジミ。
春は殆ど見ないのですが、今の時期になると草原や路傍など様々な場所で群れ飛んでいます。

こんなに居なきゃ良い虫なんだけど・・・の典型。
カミキリ界で言えばラミーカミキリと言ったところかな(あ、このたとえ良いな)。

植樹ソテツの若葉を食い尽くそうかという終齢幼虫の群れ。
かつては地元熊本で低温期型を喜んで飼育したものでしたが、完全に飽きました^^



産卵中の♀。卵も幾つか見えますね。

飼育の手間を省くにはこのように新芽が新たに食い尽くされたソテツ株を探すのも良いです。
枯れた葉柄の内部や幹の亀裂や窪み等、至る所で蛹をたくさん発見出来ます^^
群生する割には寄生は少ないようです。


次いでアカメガシワの花穂や蕾、新芽を食べるタイワンクロボシシジミ。
時期には銀色の紙吹雪が舞っているような風景を見ることもある多産型の蝶です。

残念なのは普通種ゆえにきちんと採って展翅したことがほとんど無く、綺麗な標本が何時まで
経っても出来ないこと。
実はこれも低温期型は素晴らしい変異を遂げるし、シーズンを通してビカビカの飼育品を並べたい
願望を昔から持っているもののついぞ実現しません。
これこそ本当に老後の楽しみになりそう。

幼虫を探すのは簡単で、成虫の多い一角のアカメガシワの花穂や新芽を調べれば、このようにその場に
擬態した幼虫を見つけることが出来ます。小さいので最初はなかなか見つからないかもしれませんが、
目が慣れると次々に見つかります^^ 以前人工採卵を行ったこともありますが容易でした。


以上の2種はこちらではヤマトシジミより遥かに多い蝶です。本土では最も目に付くヤマトにウンザリ
している蝶屋さんが多いと思いますが、この2種はその感覚を凌駕するものです。

逆に、ほとんど見る事が無いのがイワカワシジミです。
これまでに飛んでいるところをまともに見たのはほんの数える程度という珍しい蝶です。

でも、それは成虫の話。
実は、幼虫や蛹はあっけなく見つけることが出来ます。

今の時期は食樹のクチナシにたくさんの実が生っており、それを見ていくと横っ腹に大きな穴の空いた
ものが結構目に付きます。
これがイワカワシジミの幼虫が穿孔している目印となるのです^^


多くは中身を食べ尽くされ空っぽになっているのですが、片っ端から調べると割と高確率で幼虫
を探すことが可能です。
今回はタイミング的に蛹しか見つかりませんでした。幼虫の写真が撮れず残念でしたが、飼育の手間が
省けて良かったかも^^

このようにカラになったクチナシの実の内部を利用して蛹化しています。
蛹になってもアリがアテンドしているんですね。


春には花で幼虫を採っていた人がいましたが、探し難いと思いきやそれなりには採れるようでした。
ただその時期に本土に持ち帰っても餌の確保に困窮するのではないかと思うのですが・・・
現在は良い代用食でもあるのかしら。知っている人がいたら教えて下さい^^

以上のシジミチョウは短期間の滞在でも片手間に十分探せますので、是非挑戦してみてくださいね。

蝶・カミキリ・昆虫を楽しむ!(九州・沖縄を中心に) TOP » クロマダラソテツシジミ