阿蘇のクロシジミなど(2018.8.17) | 蝶・カミキリ・昆虫を楽しむ!(九州・沖縄を中心に)

阿蘇のクロシジミなど(2018.8.17)

せっかく年に一度の地元採集の機会があったわけなので、その際に確認した幾つかの蝶についても
ちょっと触れておきましょう。
僕が昆虫少年だった頃に比べれば随分と蝶の個体数は減りましたが、阿蘇の広大な草原においては
注意を払えば今も十分にこれらを観察することが出来ます。

最盛期は過ぎましたが夏の時期、最も阿蘇草原に特徴的な蝶の一つはクロシジミでしょう。
全国的にかなり局所的になってしまった本種も、ここ阿蘇草原では未だあちこちで見ることが可能
となっています。

路傍でチラチラとしている蝶を見て、直ぐクロシジミだと気付きました。
もうこの時期は写真の通りお腹の細っそりとした(産卵済みのため)♀しか居ません。

暫く見ていると、傍に居たクロオオアリがちょっかいを出し始めました。
クロシジミも逃げる様子は無く、両者が共生関係にあることがよく判ります。クロシジミは産卵を
促しているように見えましたが、近くにアブラムシのコロニーは無いし、第一に卵を既に産み尽くして
いる状態では何も起こりません。

近くの灌木枝先のアブラムシ・コロニーを探してみると、クロオオアリが何頭もアテンドしており
傍にパラパラとクロシジミの卵が産卵されているのが分かります。
そしてよく見ると、時期的に卵は既に孵化してしまっているようです。

逆光でよく分からなかったのですが、デジカメを近づけて接写してみたのが下の写真。
アブラムシ・コロニーの左側に、孵化したばかりのクロシジミの初齢幼虫が何頭も固まっているのが
分かります。

もしかするとクロオオアリが世話をし易いように当該幼虫を一か所に集めているのかもしれません。
あるいは幼虫が自発的に集合しているのかもしれないし、よく分からん。
いずれ本種はじっくり飼育してみるつもりで、地元にあっては何時でも飼育材料の確保は容易いでしょう^^

林道を歩いているとオオムラサキの♀が割と低くを飛びスギの枝先に留まりました。
これも逆光で分かり難い。もうちょっと低い所に留まってよ・・・

オオムラサキは随分減ったなあ。この辺りは食樹エノキが多いので未だ大丈夫でしょうが、樹液の出る
クヌギが昔ほどは無いし、なんだかんだ言って開発が進み環境は悪化するばかりなのが原因でしょう。
この辺りではミズイロオナガシジミとか、キマダラモドキ、スジグロ・ヘリグロチャバネセセリなども
殆ど居なくなったしなあ・・・

また路傍では湿った部分で阿蘇でも局所的なヒメシロチョウが数頭給水していました。
時期的に未だ♂しか出現していないようです。

阿蘇での分布は食草ツルフジバカマの分布から東部に偏る傾向があり、祖母山近辺には多い場所が
あるのですが、それ以外の所ではあまり目にしません。この日は数頭一度に見れたのでラッキー
でした。

ヒメシロチョウは中国地方の産地が喪失したので中部地方から九州まで一気に分布の空白が出来て
います。
環境の変化に相当弱い種類なので未だ地元では健在と言ってもちょっと注意しておくべき蝶です。
いつまでも優雅にチラチラ飛ぶ姿を見ていたいものです。

(参考)6年前の記事です^^
地元のヒメシロチョウ多産地における採集風景

なお本日早朝(フェリーの名瀬港着は朝5:00)、奄美大島の自宅に戻りました。
これからの時期は僕にとって未知の世界、晩夏以降の奄美大島を堪能していきます^^

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理解できなかった事などございましたらお気軽にご連絡下さい。

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