キュウシュウハネナシサビカミキリ | 蝶・カミキリ・昆虫を楽しむ!(九州・沖縄を中心に)

今年は少しは採れたキュウシュウハネナシサビカミキリ(2017.8.17)

カミキリ屋さんにとって、サビカミキリ属(Pterolophia)の中のハネナシサビカミキリ亜属(Pseudale)
と言えば沖縄のオキナワハネナシサビカミキリや奄美のオオシマハネナシサビカミキリといった
割と行き易い島々の種類がまずは頭に浮かぶと思います。
これら一般的な種類なら採集したことのある人は多いでしょう。

しかし、頭に「九州」を冠するキュウシュウハネナシサビカミキリを実際に採ったことのある人は
それほど多くはないと思います。
キュウシュウ云々とは言っても、実は九州本土では相当な高山帯で1頭のみが採れているだけと
思われ、主な分布域は屋久島~トカラ諸島ということになります。

蛇足ですが、九州本土寄りに主な分布圏が無いのは明らかで、「キュウシュウ」ハネナシサビと
いう名称はちょっとどうなのかなと思います。高山帯で採れたという1頭も、もし産地間違いなど
でなければ全くの別種のような気がしてならないのですが・・・

僕は夏の屋久島では昨年始めて採りましたが、今年は虫の発生が全般的に良かったことに関連
するのか5頭ほどが採れてちょっと驚きました。
ただ例年、僕ほどこの時期にビーティングをしたり、細かく虫を探したりする人は居ませんし
例年そうですが今年も他の人が採ったという話は聞きませんでした。

(参考)
昨年の夏、ルッキングで見つけたキュウシュウハネナシサビ♀

今年も採れたのは全て♀で半数は破損しており、生き残り感が強いものでした。
以前に一度だけ訪れたGWの屋久島で♂を採ったことがあり(この時はオオキハネナシサビと
されていた)、本来の出現期はせいぜい6月一杯といったところなのでしょう。

いずれ5~6月の屋久島でも本格的な採集を試みたいと思っているので、個体数の確認や詳しい
生態調査等はその時までお預けです。
ハネナシサビカミキリ亜属の中でも大型種で白紋も大きくクッキリとしてカッコイイ種類なので
コレクション欲も沸きますね。

幾らでも居るフタモンサビカミキリ(Ropica属)に混じって落ちてきますが、慣れないと
見逃してしまう人が居るかもしれません。
右がキュウシュウハネナシサビ♀、左がフタモンサビ♀です。

いずれ初夏の屋久島で新鮮な個体をたくさん採りたいものです^^

キュウシュウハネナシサビカミキリ、7月の屋久島の意外種(2016.8.9)

この7月の屋久島で意外だったカミキリの一つがキュウシュウハネナシサビカミキリ。
殆どの方には馴染みの薄い種類とも思うのでちょっと取り上げます。

今年の屋久島は7月中旬から参戦。
いつもこの時期の平野部は既に夏枯れが進み、食指の動く種類はことごとく発生が終わっていたり
末期でスレスレ、ボロボロ・・・
暑い中で必死でビーティングしても良い思いはほぼ出来ないのが常です。

林縁にちょっと良さそうなソダがあったので、ほとんど気乗りはしませんでしたが他にやることも
無かったのでネットも持たず車を降りてみました。

どれどれ、どうせ何も居ないだろうて。
一応ぐるーっとルッキングしてみると・・・

あれ、なんで屋久島にクワサビが居るの?
(ボリューム感のある形態、大きな白紋にそう思った)

上から良く見ると独特の下膨れ体形。これってPseudale亜属じゃん・・・
そうか、キュウシュウハネナシサビだ!
(上部からの写真は撮り忘れました。ごめんなさい。)

屋久島産の本種は実は僕にとっても馴染みは薄く、当個体以外では30年ほど前のGWに
1♂しか採ったことがありません(当時はオキナワハネナシサビか、とされていた)。
現在は三島、トカラ列島のものと同種になっていますが、この仲間は島毎に変異を見せるので
もう少し細分化しても良いのかもしれませんね。

ところで屋久島産のキュウシュウハネナシサビってあまりピンと来ないんですが、時期には
多いのかしら。
少なくともここ何年も通っている7月の屋久島では初めて採ったし、他の採集者が採ったという
話も聞きません。大きな♀でしたが、ほぼスレも無くそうした意味でもちょっと驚き。

個人的には意外だったのでネタにしてみました。
なお、九州高地(パキタが採れたともされるブナ、モミ・ツガ帯@@)で得られた本種というのは
なんかマユツバですね^^(海浜性のものが紛れ込んだのでなければ、たぶん別種でしょう)

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