キイロイトヒゲカミキリ | 蝶・カミキリ・昆虫を楽しむ!(九州・沖縄を中心に)

キイロイトヒゲカミキリ。ちょっと思い出深い奄美特産種(2017.6.19)

キイロイトヒゲカミキリ。
可憐で気品のある奄美大島特産カミキリとして知られます。
一般的には珍種の部類ですが、今年の奄美では割と良い成績が出ています^^

プラオリア属6種の中では屋久島・鹿児島大隅半島南部のクロモンヒゲナガヒメルリカミキリと共に
特異なグループを形成しており、触角が太く短く、その各節に明暗部を持つのでダンダラ模様となります。
ホストはアワブキ科のヤンバルアワブキで、クスノキ科をホストとする他の華奢なグループ4種とは
一線を画しています。ちなみにクロモンヒゲナガヒメルリのホストはシキミ(シキミ科)ですね。

ヤンバルアワブキはあちこちにありますが、無闇に掬ってもなかなか入ってきません。
生息環境にかなり煩い種類です。

なお、本個体は撮影中に逃げました・・・(泣)
どうです、この徹底した現場主義。本来の虫の臨場感は室内容器などからは伝わってきません。

本種も前回記事のアマミモンキカミキリと同様、殺虫したら直ぐにクッションを敷いた別容器に
収納した方が良いです。プラオリア属は特に触角が痛み易いし、明るく美しい体色を損ねる危険性も
ありますからね。

なお、僕には本種に関してちょっとした思い出があります。
本種の存在が知られたのは30年近く前の6月下旬。たまたま僕もその場に居合わせました。
若い頃は真面目に(?)仕事をしていた僕はなかなか遠征に行けず、現役時代唯一の奄美遠征でした。
奄美を離れる前日にキイロイトヒゲの存在を知ったため僅か数頭しか採れず悔しい思いだった記憶が
蘇ります。

本種を採っていた数人が口を揃えて言っていたのは、「ハゼのような木のスウィーピングでプラオリアの
Newを採った」でした。つまり、誰もその植物がヤンバルアワブキだと同定出来なかったのです。
当時からアマミモンキは人気だったので皆そのホストのハゼは良く知っており、同様の「羽状複葉」の
特徴からそうした表現になったのでしょう。

そこで僕がヤンバルアワブキと同定しその場に居た皆に伝え、キイロイトヒゲ発見の全容が明らかに
なったというわけです。
今、キイロイトヒゲを採れるのは僕のおかげ・・・とは言いませんけどね^^

なお、個人的にはプラオリア属6種のうち未採集はこれまた奄美特産のアマミルリホソヒゲのみ。
プラオリア属は地域地域に固有なグループなので、自ら全種を採ったことのある人は極めて少数でしょう。
今回僕は達成出来るかもね^^

植木市で目に付いたカミキリ等のホスト(2013.2.25)

地元では、冬になると幾つかの大きな植木市が開催されます。
今日は庭いじりの好きな両親を連れてその一つに行って来ました^^

まあささやかな親孝行の一環ですが、僕としては蝶の飼育に使えそうな苗木があれば買ってこようという
プチ企てもありました。

ただ、やはり庭木向けの種類ばかりなので、虫の趣味に使えそうなものは殆ど無いというのも経験から
知っているのではありますが。

思った通り購入したくなるものは無かったのですが、虫屋(特にカミキリ屋^^)として目に付いた種類が
幾つかあったので、ご参考までアップしておきます。

ハイノキ。
九州ではモウセンハナ、ジャコウホソハナ、クロソンホソハナ等、やや得難いハナカミキリのホストです。
屋久島ではこれらに加えトガリバホソコバネ等も利用していますし、次種も含めハイノキ科の樹木には
小型種のカミキリがかなり付くので虫屋の知識としては欠かせない一群です。

クロキ。
ハイノキ科の中では南方地域で最も注意すべきものでしょう。
上の種類に加え、沖縄ではリュウキュウモウセンハナをはじめとしたハナカミキリ類、ニセコゲチャサビ、
各種グラフィラ属等、実に様々なカミキリのホストとなります。

近年ではオキナワナカボソタマも採れるのが確認されていますし、九州では冬季に花芽を蓄えるので、
サツマシジミの食樹としても重要です。

ソヨゴ。
モチノキ科の樹木はトゲウスバカミキリのホストとして知られていますが、多産地として有名な四国では
これが主なホストとなっています。
ソヨゴの南限は屋久島なので、採り難い大隅産、屋久島産スピニも当然食っているでしょう。
アオマダラタマムシも好んでモチノキ科をホストとして利用しています。

シキミ。
独特の芳香があり、クロモンヒゲナガヒメルリ、キイロイトヒゲカミキリのホストです。
毒性が強いらしく、僕も鹿児島の大隅半島でクロモンヒゲナガヒメルリ目的で散々材採集を行った後に、
これにやられたと思しき症状を患ったことがあります。扱いには注意すべき樹木かもしれません。

シマトネリコ。
南方ではアメイロカミキリの系統(広義の)が結構ホストとして利用しています。

レッドロビン。
カナメモチとオオカナメモチの交配によって育成された品種で、近年は都会の公園等でもルリカミキリが
手軽に採集できる庭木として親しまれていますね。場所によってはリンゴカミキリも利用しています。

リョウブ。
ホストとしてはあまり重要ではありませんが、花は夏の訪花性カミキリを狙う格好のポイントとなるので、
この樹肌は必ず覚えるようにしましょう。

以上、少ないですが採集の一助にでもなれば幸いです^^

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