ソボコブヤハズカミキリ | 蝶・カミキリ・昆虫を楽しむ!(九州・沖縄を中心に)

珍品、九州中部のヨコヤマヒゲナガカミキリ(2018.8.13)

月齢が良いので一年振りに地元の好採集地・九州山地で盛夏のナイターを行ってきました。
天気も良く、薄っすらとガスも掛かり久し振りに多くの虫がスクリーンに集まる楽しい夜を
過ごしました^^

キュウシュウオニクワガタやヨシノキシタバをはじめとするカトカラ(シタバガ類)、その他の
雑多な虫達が集まる中、日付が変わる頃に待望のヨコヤマヒゲナガカミキリ(♂)が飛来しました。
自分の背後から飛んで来て、丁度見ていたスクリーンの部分にフワッと留まる瞬間を目撃^^

九州のヨコヤマヒゲナガは北部のS山で多数得られるのであまり価値ある物とはされませんが、
少なくとも僕の地元の九州中部(阿蘇山系以南の九州山地)ではそこそこの珍品です。
とても小型の個体群で斑紋パターンも明らかに九州北部産とは異なります。
九州南部の個体群も含め、九州全般の本種はいずれ再検討されるかもね。

他にソボコブヤハズカミキリの♀も2頭ナイターに飛来、もとい「歩いて」来ました^^
セダカコブ系は発生パターンが個体によってまちまちで、秋にならずともほぼ周年新鮮な個体が
見られます(もちろん新成虫は秋が最も多い)。

九州とは言え標高が千メートルを超えると深夜過ぎにはかなり低温となり新手の虫は来なく
なることが多いです。この日は午前3時半が限界と判断、暗い中で撤収作業を行いました。
また来年のこの頃に来たいものです。

九州脊梁山地の黒いソボコブヤハズカミキリ(2012.6.8)

6月6~7日の二日にかけて、熊本の山奥へセダカコブヤハズカミキリの最南端の亜種である
ソボセダカコブヤハズを採りに行って来ました。

越冬コブ採集は前2回のフクチコブヤハズに続き3回目(たぶん最後^^)となります。

今月に入って梅雨前線が九州に近付いており(南部は既に梅雨入り済)、その影響で熊本も
連日悪天が続いています。
週間予報を見ると、その二日間だけにポッカリと晴れマークが。
これは行くしかないでしょう^^

採集に向かったのは私の庭たる原生林。この一帯はポイントさえ押さえていればソボコブをはじめ
九州では珍しい様々な森林性昆虫が採集できる場所です。

標高が1,500メートルに近いので、6月に入ったとは言えまだ多くの種類は期待できないでしょう。
今回はほぼコブに絞った採集となりそうです。

1日目。

前日は終日雨だったため、その影響で少なくとも午前中は採集にならないのは分かっていました。
そこで、まだ行っていなかった熊本産ツヤハダクワガタ幼虫の山上げ(避暑^^)を実行。

じっとりと濡れた林内を物色し、生育に良好な場所を選んで容器の設置完了です。
上手くいけばこれで秋にはツヤハダ長者だ^^

正午前には日差しが出て周りが乾いてきたので、目に付いたミズキの花を掬います。
でもネットの中はトゲヒゲトラ、駄ピドニア等のオンパレード。

摘まみたくなるのは熊本では珍品のカラカネハナくらいしかいません。
時間帯が悪いとは言え、九重方面とは異なりやはり九州山地のミズキはあまり使えませんね。

それでも何度か掬っているとヘリグロホソハナ九州亜種が入りました。
材からは相当出してきましたが、野外で成虫を採ったのは初めてです。
英彦山のヘリウスハナ成虫といい、今年は真面目に採集をしていることの証でしょう^^

午後になり、手にはビーティングネット、背中にはフィットトラップ゚用の水(1.5Lペットボトル3本)を
しょって未だ乾ききっていない林内に踏み込みます。

立ち枯れの表面では、ルリクワガタ♂がこの時期でもまだ活動していました。
そう言えばここではニセコルリはまだ多いけど、タダルリは随分減ってきたなあ。

洞のある立ち枯れに近付いた時、ブーンという羽音と共に大きな甲虫が飛んできて
その根元に止りました。
見るとムラサキツヤ(orミヤマオオ)ハナムグリです。
拾い上げたものの、ツルッと滑って飛んで行ってしまいました(泣)。

屋久島や鹿児島のものは完全にムラサキツヤだと分かりますが、これまで九州脊梁山地で
採集したものはどうもそれとは異なった個体がいるようです。
九州でのこのグループは疑問点が多く、特に九州山地以北のものは注意が必要と思います。

林内を歩き周り、良さそうな立ち枯れや倒木を探します。
それらをじっくりと見ていくと、立ち枯れの樹皮が剥がれて影になっている部分にソボコブが潜んでいる
のを見つけました。

昼間にも係わらず、比較的日光が当たる部分で見つかったものも結構いました。
雨の翌日で林内が湿っており、かつ今日の午前中は曇りで林内が暗かったためでしょう。



じっくりとコブを探していたらあっという間に3時を回ってしまい、慌てて準備を始めます。
今夜原生林内を徘徊するためのベースキャンプとなるナイター設備一式を林内に運び込むのです^^

いやー、大変でした。
原生林の取り付きまでは車道から数百メートルは離れています。
そこまで発電機、安定器、支柱、水銀灯(ソケット含む)、幕や留め金等を運ばなければなりません。
しかも今回はフィットを数か所仕掛けるので、バットや光源類も必要です(フィット水は運搬済み)。
追加のガソリンは諦めました・・・

これらを全て林内に運び込むのに3往復掛かりました@@
もちろん平坦な道ではなく、岩ゴロゴロの沢を上って行くのです。
こんなことする奴なんて絶対いないよなあ。

気付くともう夕方。
慌ててマイ・オヒョウのポイントへ向かい、キバネニセリンゴ、クロニセリンゴ、セミスジニセリンゴを
数匹ずつ掬い、すぐに食糧や水、残りの電灯類を持って林内に上がりました。
ここまででもうヘトヘト。

まだなんとか明るい内にフィットを仕掛けてナイター設備を組み立てます。
そしてハラにメシを流し込み、林内の探索開始です。

この林内は慣れているとは言え、起伏も多いし足を踏み外すと滑落する箇所も多いため
5~6か所にカンテラを灯しました。
かすかに左奥にも光が見えるのが分かるでしょうか。

発電機のガソリンやカンテラ類の電池が切れるのが午前0時頃。
それまでの数時間、林内を歩きに歩きました。
斜度40度の斜面を数百メートル上がったり下りたり・・・
沢を奥まで詰めたり戻ったり・・・

夜間に見つけたソボコブ達です(フラッシュ使用)。



これはラッキー^^

夜行性の雑虫にも期待しましたが、まだこの時期は色々な種類が活動するには早過ぎるようで、
たいした種類には遭遇しませんでした。

ナイターにはコブ、そして多くのオオキイロコガネやビロウドコガネ類が来た程度でしたが、
蛾ではウスマダラカレハが2♀飛来しました。

講談社の蛾類大図鑑によると、その時点で日本で4例しか採れていません。
現在でも恐らく九州で数例目でしょう。蛾コレクションに良いアイテムが加わりました^^

そして、午前0時前にはもうグッタリ。
ガソリンが切れる前にこっちの体力が切れてしまいました。

あとは光源類に頑張ってもらいましょう。
車に戻り、爆睡。

2日目。

まだ暗いうちに寒さで目が覚め、朝食を頬張ります。
そして何とか視界が利く明るさになるのを待って林内に入って行きます。
ああ足が棒のようだ・・・

昨夜活躍してくれたカンテラの一つ。
有難うね。

ちなみに、この谷の傾斜は前段に触れたように40度はあります。こんな感じ。
ここを上がったり下りたりするわけです^^

写真では上下感覚が分かり難いですが、途中から見上げた場面と、

見下ろした場面です^^

フィットの一つです(このランタンはこの時点でも灯りが点っています)。
山のように入った蛾やジョウカイ等の中に・・・


ソボコブの姿が^^

こっちのフィットにも入っていました^^

前夜活動していたコブも幾つか発見(まだ暗いのでフラッシュ使用)。

こんなことをしていたら午前8時前には雨が降り始めました。
予報では本日までは天気が持つはずでしたが、高山ではやはりアテにはなりません。

急いでナイター設備等を解体して車まで運び降ろします。
前日は合計4往復ですべてを運び上げたのに、今日はなんと2往復で済ませました。
(手とザックがちぎれそうでした・・・)

本当は午前のミズキの花でヨコヤマトラを狙っていたのですが、雨は何とか上がったものの
9時半時点で気温は12℃。花は濡れているしこれではどうにもなりません。

まあソボコブにはそこそこ会えたしヨシとしましょう。

そして帰路の途中にあるムネホシシロのクワ畑跡地に向かったのでありました。

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