ヒコサンヒゲナガコバネカミキリ | 蝶・カミキリ・昆虫を楽しむ!(九州・沖縄を中心に)

やはり明日から鹿児島へ・・・(2012.5.10)

本日出したメルマガには、近々鹿児島へ行く予定は無いと書いたのですが、ふと思い立って明日から
1泊の予定で行ってくることにしました^^

ケブカトラカミキリや低地のキュウシュウトガリバホソコバネカミキリの発生状況等を見てきます。
やや気温が低いのがちょっと気掛かりですが・・・

本当は大分の黒岳にカエデの花を掬いに行こうと考えていたのですが、天気は良いものの大分方面は
かなり気温が低いようなのでパスすることにしました。
それに黒岳の天気はまったくアテになりませんし・・・

なお、羽脱のピークを迎えているベニハンノキカミキリ、及び羽脱し始めた阿蘇の極小イタヤカミキリの
材箱も積んでいかなければなりません。

二日も管理しないで放置すると、羽脱した個体同士が材箱の縁などで噛み合いをし、全く使い物に
ならなくなってしまいます。
持って行った現地では何かと億劫ですが、これくらいはしないと美しい標本は残せません。

なお、先日のヒコサンヒゲナガコバネカミキリ採集行には、ベニハンノキを福岡まで連れて行きました^^

下の写真は先日鹿児島から幾つか生かして持ってきたモンキタマムシの後食風景です。
本種の出現期間はほぼGW頃までとされており、1exのみ死亡しましたが、それ以外はまだまだ元気です。

次は以前のブログ記事でも触れた阿蘇の「極小」白イタヤの脱出口です。
指ほどの太さの幹(枝ではありません^^)ですから、いかに成虫が小さいかお分かりになると思います。
今日までに3頭が羽脱しています。

では、ブログは二日ほどお休みすると思います。

九州の春の風物詩、ヒコサンヒゲナガコバネカミキリ(2012.5.9)

7日(月)から8日(火)にかけて、福岡県にヒコサンヒゲナガコバネカミキリを採りに行って来ました。

本種はかつて福岡県の英彦山塊でしか分布が確認されていなかったことから、
採集者の名前をとって「モロルクス・アダチイ」と名付けられました。
現在は属名も変わり、ホソツヤヒゲナガコバネの九州亜種Glaphyra nitida adachiiという位置に
収まっています。

産地も増え、種から亜種へと降格となったことからかつてのようには騒がれなくなりましたが、
九州で春季に狙うべき珍種カミキリとしての位置付けは今だ変わりません。

さて、熊本市の我が家から高速を使わなければ、九州北部に近い英彦山まで約3時間半の道のりです。
東京にいた頃とは違い、九州に帰ってからは高速を使うことがほとんどなくなりました。
特に「どこまで走っても千円」という有難い割引制度が無くなってからはほぼ使っていません^^

7日は午前8時頃に現地に着いたのですが、強風と時折り霧が出るという悪天に
その日は諦めて翌日に賭けようと思ったほどでした。ただ気温はすでに14℃とかなり上がっていました。

そしてカエデの木を見上げて舌打ちすることになります。
「なに、終わってる?」

なんと、ポイントに20本ほどあるカエデの花が全く散ってしまっているのです。
先般、鹿児島でサツマスギノアカネトラを狙った際、狙い通りにハクサンボクの花が多少遅れていたので
この地のカエデも多少遅れているだろうとタカを括っていたのですが・・・
5月に入って季節の進み具合も例年に追いついてきたようです。

「なんとか咲き残りの花はないか」とカエデの木を1本1本丁寧に見ていきます。
すると、やや日当たりの悪い位置にある1本のみがなんとか散りかけの花穂を垂らしていました。
天は我を見放さず^^

運良く風も多少落ち着き、日差しも時折り顔を出すようになりました。
気温もさらに上がり、今回は肌寒く感じることが全くありません。
(特に高目の気温が続いたことも今回の勝因の一つだと思っています^^)

見ていると、午前9時位から咲き残りの花に虫が集まり始めました。
一通り掬ってネットの中を覗くと、多くのヒナルリハナ、キバネニセハムシハナ、トゲヒゲトラ、
ヒメクロトラ、シロトラ、ホタル、フタオビヒメハナ等の普通種ピドニアのカミキリ、およびコメツキ、
ゾウムシ、その他の微小昆虫が結構入っています。

それらに混じって、九州北部にしか見られない「黒筋ピックニセハムシハナ」もたまに入ります。
この型は英彦山や大分九重山系等には見られるものの、中部の熊本まで南下すると関東等で
見られるような通常の無紋となります(でも熊本産の方がはるかに珍品^^)
黒筋ピックは本州の友人に頼まれているので丁寧に摘まみます。

「この花、結構まだ使えるじゃないか」
期待は高まります。

そして午前10時頃からやっとGlaphyraが入り始めました。
もちろんコジマヒゲナガコバネです。
これから午後2時くらいまで、花を一通り掬い終わるとコジマは2~3頭入るようになりますが、
ちょっと注意すべきことがあります。

それは、「真っ黒のコジマ」が居ることなんです。
真っ黒で小型の個体はヒコサンヒゲナガコバネとかなり紛らわしいんですね。
(もちろん慣れた人はその場でも分かるようになりますが)

Adachiiの採集は、「掬っても掬ってもコジマのみ」という地獄からは逃れられないのですが、
ウンザリのピークに差し掛かった時、遂に小さくて、黒くて、触角が短くて、さらにエリトラが細長く平滑で
やや「青味のある」個体が入りました。

Adachiiは上の特徴を満たせばまずビンゴです^^
コジマで真っ黒の個体はそれほど多くないので、初心者の方は英彦山でエリトラが黒いGlaphyraを
採ったら5頭に3頭(少なくとも2頭)はAdachiiだと思ってください^^

嬉しいことに、Adachiiはそれからも5頭ほどの追加があり、最終の個体が採れたのは午後2時位でした。
Glaphyraは比較的遅い時間帯まで訪花するカミキリと言えます。

今日の勝因は気象条件が良かったことに加え、花が残った木が1本だけだったのでそれに虫が集中した
ことが挙げられるでしょう。

・・・・・・

そしてこの日はポイントで車中泊しました。
夜は近くの野外トイレに電灯が点くので見回るとオオキイロコガネを3頭拾うことができました^^

なお、ここは標高が8百メートル程はあるのですが、夜はほとんど寒さを感じませんでした。
やはり連日、山の中が暖かく保たれていたことが良かったことは間違いありません。

・・・・・・

明けて8日はドン曇り。予報では昼過ぎにようやく雲が取れてくるとのこと。
でも高めの気温が続き期待も高まります。

しかし、やはり日光が多少とも射さないと虫の集まりは悪いようで、普通種にしても前日ほどの集まりは
見られません。

ちなみに前日と合わせて集まったカミキリは、単発も含めて前段の種類を除きミヤマルリハナ(今年はド不作)、
ヘリウスハナ(野外で採れるのは珍しい)、キンケトラ、アカネトラ、イシヅチヒメハナ等でした。

黒筋ピックも昨日ほどは入らず、コジマさえ入りません。
ただ、昼前にようやく天気が好転して日差しが現れてきました。

風が止み、揺れがおさまった枝先に日光が当たって虫が一斉に集まってきます。
Adachiiはこの瞬間のみに現れました。

しかも4つ^^
天はまたも我に見方せり。

しかし、お昼を過ぎると虫の数は急激に減り、ヒナルリやキバネさえほとんど入らなくなりました。
前日は午後3時頃までは比較的虫が集まっていたのに・・・
やはり午前中のコンディションがずっと悪かった場合は、虫の活動にセーブが掛かるのでしょう。

午後1時半には全く虫が入らなくなったので網を収めました。

折角ですので、私がカエデの花を掬う場合に気を付けている点をお話しておきます。
その木の枝ぶりにもよるのですが、外側を一通り掬ったら外からは救えなかった部分の枝を
内側から掬うのです。

まず、木の根本に立って上を見上げます。
そして竿を思い切り伸ばして空いている空間にネットを差し入れ、可能な限りその近辺の枝を
掬うようにします。

普通ライバル達は一通り掬い終わると別の木に行ってしまいますが、こうした丁寧な作業を
行うことにより、採りこぼしを少なくして他の人に差を付けることができるわけです。

また、Glaphyra等のように飛翔力が弱い小型種は強風を避けて木の内側に溜まっていることも多く、
この戦法で成績を上げる事ができます。
ただ、Adachiiはかなり陽光を好むのでこの限りではないことも付記しておきます。

今年、英彦山ポイントの最後のカエデの花を散らせたのは私でした^^

気象条件もそうですが、Adachiiに関してはもう一つのポイントがあると私は思っています。
これについてはメルマガに書きますね^^

ヒコサンヒゲナガコバネカミキリ採集から帰ってきました(2012.5.8)

先ほど福岡県の英彦山から熊本市の自宅に帰ってきました。

Adachiiは、まあ採れました^^

まだ明るいうちにフチグロトゲエダシャクの餌のヨモギ、そしてゼフ幼虫の餌のアラカシを
近所から採ってきて、さらに餌換えをしなければなりません。

詳しくは明日以降、記事にしていくので暫くお待ちください。
次のメルマガもそろそろ発刊しますね。

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