フクチコブヤハズカミキリ | 蝶・カミキリ・昆虫を楽しむ!(九州・沖縄を中心に)

梅雨前の南限フクチコブヤハズカミキリ(2012.6.2)

6月に入り、梅雨の足音が聞こえてきました。
梅雨前線が停滞したら暫く採集に出られない日々が続くので、この時期はいつも焦ります。

昨日の天気予報は終日曇り。ただ、気温が高目だったのであえて採集を敢行しました。
梅雨に入る前にできるだけフィールドに出ておきたいですからね^^

遅くなるほど天気が悪くなるようなので、まずは阿蘇方面でタマムシやハムシ、そして葉上性の
カミキリを狙った後、夜は南限のフクチコブヤハズを採ろうという計画を立てました。
雨さえ降らなければ天気が悪くてもコブは大丈夫でしょう。

連日の採集で疲れが溜まってきたので、今回は朝の渋滞が終わる頃に出発。
ポイントには午前9時過ぎにゆっくり到着です。
採集地に近いと本当に楽だなあ。

阿蘇山の周りはこの時点で重い雲が垂れ込めています。

ただ、気温が高いので虫達は活発ではないものの、十分活動はしているようです。
最盛期を迎えたサビナカボソタマムシやハムシの珍種等は問題なく採集、写真撮影できました^^
これらの詳細はまた別記事で詳しく報告する予定です。

阿蘇山麓の森林と草原が交わる牧野では、熊本の風物詩である赤牛(褐毛和種)がのんびりと
横たわり草を食んでいます。

少し早いかなとは思いましたが、センノキの葉をスウィーピングするともうジュウニキボシカミキリが
数頭入りました。本種はこれからが本番でしょう。
阿蘇にはセンノキが多いのですが、九重にも居るナカネアメイロは未発見で今後の課題です。
カエデノヘリグロハナは環境的に無理でしょう。

面白かったのは同時にタテジマカミキリが入った事で、本種をこれほど内陸の高地で採ったのは
初めてです。普段は目立たないカミキリですが、ウコギ科の植物を上手く利用して実際は広く
分布しているのでしょう。

ミズキが目に着いたので何気なく掬うとクロキモンが1頭入りました。
これも阿蘇で採ったのは初めてです。熊本では九州山地方面と北部の渓谷にしか居ないと
思っていましたが、意外と分布は広いようです。

そしてもう一つの発見がニセシラホシがミズキに結構集まっていることです。
本種は草原地帯の林縁の低いサワフタギによく見られるのですが、ミズキの高い枝先に集まっている
のは意外でした。
数か所で10頭近くが網に入ったので、ミズキの葉も後食しているのでしょう。

ヌルデ小木の葉裏にはヨツキボシが何頭も止って主脈を齧っていました。
ヌルデと言えばイッシキキモンの食樹ですが、本種は近年本県から姿を消しています。
唯一の産地だった場所がこの近くにあるので、盛夏に一度探しに来てみようと思います。

午後3時過ぎ、一気に北部のフクチコブヤハズの南限産地に向かいます。
阿蘇のポイントからだと1時間半程度で移動できます^^

まだ明るいうちに「マイ倒木」や「マイ立枯れ」でコブが居る事を確認(当たり前ですね^^)。


そして夜7時半頃からナイターを行いながら原生林の中を徘徊します。
南限フクチコブもやっぱり夜の方が探し易い^^
(いずれもフラッシュ使用)




予想通り、ナイター幕にもコブが飛来・・・じゃなかった、歩いて到着^^

フラッシュは使用していますが、先月30日のブログ記事の大分県黒岳産フクチコブヤハズと
この産地の色合いが異なるのが分かりますか?
端的に言えば、オーソドックスな黒岳産フクチコブは茶色味が強く、南限産地は薄い茶色ながら
灰白色が強くなります^^

この両者、採っていてある違いに気付いたので、その件についてはメルマガに書きますね。

うーん、越冬明けのフクチコブはもういいかな。
でも面白いし、またやるんだろうなあ。今度は・・・

 

南限フクチコブヤハズカミキリと阿蘇草原の物色(2012.5.24)

昨日は悪天に向かうという予報の中、南限のフクチコブヤハズに会いに熊本北部の渓谷へ
行って来ました^^

九州中北部のフクチコブヤハズと中南部のソボコブヤハズは、大まかに言えば阿蘇の草原一帯
で分断されます。
本日行く産地は阿蘇より北にありますが、実は阿蘇の南方に半分が原生林で覆われた山があり、
そこにもコブが居ます。人によってはそれが南限のフクチコブとされることもありますが、
僕がそこで採れた20個体あまりを確認した限り黒いソボコブです。
ですので、僕は暫定的にこの渓谷で採れるフクチコブを南限としています。

さて、ここには我が家からゆっくり走っても1時間半で到着します。
山は既に雲で覆われて林内の視界は良くありません。

遊歩道を歩きながらブナ等の立ち枯れや倒木を探しますが、そうなかなか良い木には
巡り合いません。それにやはり夜以外はコブは物陰に隠れているケースが多いんですよね。
でもじっくり探せば昼間にも採れないことはありません。
ですから、コブが居る産地に採集に行く時には物陰を照らす懐中電灯を持って行きましょう^^

しかし、写真を撮ろうと探す時ほど居ないものですね。
いつもなら運が良いと2~3コはすぐ見つかるのですがなかなか姿を現しません。

林道脇の大きなブナ立ち枯れの後ろを覗きこんだ時、やっと居ました。
でもまた目が合うパターンだ・・・

すぐ後ろは谷底だし今回は殆ど近付けません。それにコブはかなり敏感で、すぐに落ちてしまうのです。
ズームアップしてもこの程度・・・

撮影後、自分が崖から落ちないか、そしてコブが落ちないか、冷や冷やしながら手を伸ばして
なんとか御用にしました^^

この林道には去年の夏にカスガキモンカミキリの♀が幾つか止っていたシデの枯れ枝があります。
その時の写真です。

少し樹皮を剥いでみると食痕が現れました。予想通りに産卵してくれたようです^^
でも幼虫はまだ小さく、親になるのは来年以降です。
持って帰るか、残しておくか・・・ ちょっと悩むなあ。

実は今日はもう一つの目的があります。
それは初夏の阿蘇草原の様子を確認しておくこと。
予報では明日から4日程悪天が続くので今日しかチャンスがありません。

直ちに渓谷を離れ、峠を経由して阿蘇方面へ回ります。
うーん、1日に何か所も回れるなんて、つくづく良い場所に住んでいるなと感じます^^

峠付近はカシワの疎林となっていてハヤシミドリシジミが結構います。
今夏は母蝶から採卵してみよう。
大分の飯田高原のカシワ林からムモンベニ、チャバネクロツツ等のカミキリが姿を消して
久しいですが、今となっては熊本の北部一帯のカシワ林で採るしかないのかもしれません。
(ただ、未だ多産地は見つかっていない)

少しマニアックですが、草原性のハムシやゾウムシ等にも面白い種類が多く、虫屋の中には
それらの絶好の採集地である阿蘇に通い始めている人もいます。
僕も大いに興味を持っているのですが、なかなか手が回らない(苦笑)。

1~2時間草原の中をビーティングして、虫達の発生状況が大体掴めました。
面白い種類はまた個別に紹介しますね。

そして最後にこれが発生し始めた事を確認して帰路に着きました^^

蝶・カミキリ・昆虫を楽しむ!(九州・沖縄を中心に) TOP » フクチコブヤハズカミキリ