サビナカボソタマムシ | 蝶・カミキリ・昆虫を楽しむ!(九州・沖縄を中心に)

サビナカボソタマムシ、ミヤマナカボソタマムシ(2015.6.21)

長雨の合間を縫って、比較的近場のポイントへ二種のナカボソタマムシ(coraebus属)を探しに
行って来ました。

行先は阿蘇方面。
これらは森林部というよりは草原が山肌を覆う疎林地帯に息付くタマムシ達です。

所々にヤマボウシの木があり、ちょうど今は一見すると花と見紛う総苞片が目立つ時期です。
正直サビナカボソタマムシの時期にはやや遅いのですが、枝先を丁寧に救うと「コロン」とネットの中に
落ちる姿が見えました^^

齧り跡が付いた総苞片に摑まっている格好です。

やっと♀が幾つか採れただけだったので、やはり発生末期なんでしょうね。

一方背の低いサワフタギの葉を丁寧に探していくと、青く光って美しいミヤマナカボソタマムシを
見つけることが出来ます。

タマムシは敏感なので近付くと直ぐ動き出すため拡大写真を撮るのが難しいんですよねえ。
カメラを近付けると飛んで逃げる個体も多いです。
それに風も強いので葉が揺れてなかなかピンが合いません(泣)。

このポイントのサワフタギは背が低いので、手掴みで採ることが出来てとても楽しいんですよ^^
時期的には最盛期のはずですが今年は少ないかな。

二種とも3年振りに会えたのでテンションが上がった日でした^^

阿蘇の山々に暫しのお別れ(2013.1.19)

特段何かを狙っての採集というわけではないのですが、昨年11月以来となる阿蘇方面へドライブを
してきました。

これから約半年の間、阿蘇を訪れることが出来なくなることから、言わば一時のお別れを告げるという
意味合いでしょうか^^

昨年ムナコブハナカミキリを結構採ったポイントの山肌は、寒風にさらされ既に雪化粧となっています。
朝日が斜めから差し込んで撮り難い・・・

クロカタビロオサムシ(九州では珍品)やゴミムシ類を掘り出そうにも、凍った大地はピッケルを全く
受け付けません。 まあ、これは予想通りです^^

クロカタビロオサはホントに変なオサムシで、希に大発生をすることで知られます。
ただ、そのメカニズムがよく分かっていません。
僕も東京の端っこの方で大発生に遭遇したことがあり、数日の間になんと5百頭を得た事が
あります@@

東京産だと「南虫」にならない(^^)のでとりあえずは当ブログの対象外として触れませんが、
面白い概念も含むのでネタが枯渇したら(それはまず無いけど^^)紹介するかもしれません。

また、この辺りのゴミムシは結構面白いと踏んでいて、以前僕が関東平野等で懸命に掘っていた
種類がヒョコッと採れたりしています。
ツヤキベリなんかも居たりして・・・  これは絶対ムリか^^

ムナコブの生態の一端でも調べようと機会があればいろいろやっているのですが、中には同じ事を
考えている人もいるようで、「僕がやろうとした事」を先にやった跡があってちょっと驚きました。
でも上手くはいかなかったみたい。

僕も試してはみたのですが、やはり期待したような成果は都合よく現れませんねえ。
もっと手強いキュウシュウヌバタマハナの方も芳しくありませんでした。
ヌバタマの方は、かつて知人がある樹木の伐根痕から「掘り出した」という話もあるのですが・・・
個人的にはちょっと眉つばなんですよねえ。

本当に厄介な連中だ・・・

話変わって、カルデラから見通した阿蘇連山の今の山並みです。
夏は青々とした草原が目立つ山々なのですが、ご覧の通り冬枯れしています。
頂上付近の草原の地中には、昨日採集禁止となったばかりの(従って採られる心配の無くなった)
ダイコクコガネが、スヤスヤと眠っていることでしょう^^

冬の阿蘇ってなかなかイメージし難いと思いますが、こんな感じです。
しかし、今日は大気が煙っていてクリア感が出ないなあ。実に残念。

一部には有名なオオムラサキのポイントに寄ってみると採集者が既に入っているようで、最も安易な
場所の食樹エノキの根元では越冬幼虫を探した跡がありました。

人が探した後なのでちょっと時間が掛かりましたが、ようやく幾つかの幼虫に出会えました。
なお、右端の1頭はゴマダラチョウです。
今年は飼育が出来ないので、マイポイントも含めこれ以上の探索は行いませんでした。

この辺りでは数種類のゼフィルス類も採卵出来るのですが、同様に今年は飼育が出来ないので
観察も含めてパスです。
ダイコクと同時に採集禁止種になったものもあり、ただただ残念です。

そして最後にサビナカボソタマムシのポイントに寄ってみることにしました。
そこに生えている食樹ヤマボウシの周りはヤブが濃く、シーズン中は根元に近付けないからです。

御神木の幹に開いたサビナカボソの脱出口です。
タマムシ独特の円でも楕円でもない独特の形状(強いて言えば変形三角形)をしています。

考えれば、サビナカボソやミヤマナカボソ等を採る機会はここ数年は無くなるんだなあ。
ちょっと寂しい気はするけど、これまで散々採ってきたからまあ良いか。
暫く寝かせておけば更に採り易くなるかもしれないし^^

じゃあ、バイバイ、阿蘇の山々。
そしてそこに住む虫達。

また夏に来るからね^^

ヤマボウシの花とサビナカボソタマムシ(2012.6.6)

梅雨直前の阿蘇草原での楽しみの一つがこれ。
満開のヤマボウシに集まるサビナカボソタマムシです^^

九州では今まさに発生のピークを迎えたところで、ヤマボウシの大きめの木がまとまって
生えている所を探せばかなりの確率で出会うことが出来ます。

僕は何か所かポイントを持っていますが、その中の一つに目の高さで本種を観察できる
素晴らしい一画があります^^
これまで生態写真をじっくり撮った事がなかったため、今回半日を費やして本種と顔を
付き合わせてきました。

「サビナカボソタマムシはヤマボウシの花に来る」とはよく言われる事です。
それは間違ってはいませんが、多くの人が花の蜜を求めて集まっていると勘違いしているようです。

正解は、「花を包んでいた総包片を後食に来る」、です^^

ヤマボウシは満開になると遠目から真っ白に見えるほどになりますが、実はアレは花ではなく、
つぼみを包んでいた総包片(葉の一部)なのです(実際の花は小さな球状であまり目立たない)。

サビナカボソタマはもちろん緑の葉も食べますが、柔らかいこの総包片が大好物なのです。

サビナカボソタマがヤマボウシの花に来ている「絵に書いたような」写真が撮れました^^
4枚の総包片のうち、上下の2枚に後食痕があるのがお分かりでしょうか?

別の場面ですが、新しい花の総包片を今まさに齧ろうとしている個体です。
これも良い写真だなあ(自画自賛^^)。

意外と低い位置で交尾しているペアがいました。
この日は曇りで気温もあまり高くなく不活発だったため、かなり近くまで寄ることが出来ました^^


本種にも幾つかの変異パターンがあり、このような深紫の個体に出会うと唸ります。

梅雨前の南限フクチコブヤハズカミキリ(2012.6.2)

6月に入り、梅雨の足音が聞こえてきました。
梅雨前線が停滞したら暫く採集に出られない日々が続くので、この時期はいつも焦ります。

昨日の天気予報は終日曇り。ただ、気温が高目だったのであえて採集を敢行しました。
梅雨に入る前にできるだけフィールドに出ておきたいですからね^^

遅くなるほど天気が悪くなるようなので、まずは阿蘇方面でタマムシやハムシ、そして葉上性の
カミキリを狙った後、夜は南限のフクチコブヤハズを採ろうという計画を立てました。
雨さえ降らなければ天気が悪くてもコブは大丈夫でしょう。

連日の採集で疲れが溜まってきたので、今回は朝の渋滞が終わる頃に出発。
ポイントには午前9時過ぎにゆっくり到着です。
採集地に近いと本当に楽だなあ。

阿蘇山の周りはこの時点で重い雲が垂れ込めています。

ただ、気温が高いので虫達は活発ではないものの、十分活動はしているようです。
最盛期を迎えたサビナカボソタマムシやハムシの珍種等は問題なく採集、写真撮影できました^^
これらの詳細はまた別記事で詳しく報告する予定です。

阿蘇山麓の森林と草原が交わる牧野では、熊本の風物詩である赤牛(褐毛和種)がのんびりと
横たわり草を食んでいます。

少し早いかなとは思いましたが、センノキの葉をスウィーピングするともうジュウニキボシカミキリが
数頭入りました。本種はこれからが本番でしょう。
阿蘇にはセンノキが多いのですが、九重にも居るナカネアメイロは未発見で今後の課題です。
カエデノヘリグロハナは環境的に無理でしょう。

面白かったのは同時にタテジマカミキリが入った事で、本種をこれほど内陸の高地で採ったのは
初めてです。普段は目立たないカミキリですが、ウコギ科の植物を上手く利用して実際は広く
分布しているのでしょう。

ミズキが目に着いたので何気なく掬うとクロキモンが1頭入りました。
これも阿蘇で採ったのは初めてです。熊本では九州山地方面と北部の渓谷にしか居ないと
思っていましたが、意外と分布は広いようです。

そしてもう一つの発見がニセシラホシがミズキに結構集まっていることです。
本種は草原地帯の林縁の低いサワフタギによく見られるのですが、ミズキの高い枝先に集まっている
のは意外でした。
数か所で10頭近くが網に入ったので、ミズキの葉も後食しているのでしょう。

ヌルデ小木の葉裏にはヨツキボシが何頭も止って主脈を齧っていました。
ヌルデと言えばイッシキキモンの食樹ですが、本種は近年本県から姿を消しています。
唯一の産地だった場所がこの近くにあるので、盛夏に一度探しに来てみようと思います。

午後3時過ぎ、一気に北部のフクチコブヤハズの南限産地に向かいます。
阿蘇のポイントからだと1時間半程度で移動できます^^

まだ明るいうちに「マイ倒木」や「マイ立枯れ」でコブが居る事を確認(当たり前ですね^^)。


そして夜7時半頃からナイターを行いながら原生林の中を徘徊します。
南限フクチコブもやっぱり夜の方が探し易い^^
(いずれもフラッシュ使用)




予想通り、ナイター幕にもコブが飛来・・・じゃなかった、歩いて到着^^

フラッシュは使用していますが、先月30日のブログ記事の大分県黒岳産フクチコブヤハズと
この産地の色合いが異なるのが分かりますか?
端的に言えば、オーソドックスな黒岳産フクチコブは茶色味が強く、南限産地は薄い茶色ながら
灰白色が強くなります^^

この両者、採っていてある違いに気付いたので、その件についてはメルマガに書きますね。

うーん、越冬明けのフクチコブはもういいかな。
でも面白いし、またやるんだろうなあ。今度は・・・

 

初夏の草原のハムシ採集(2012.5.31)

友人のハムシ屋、コメツキ屋から九州の虫を頼まれていることもあり、天気は悪いものの
自宅から40分ほどの灌木を交えた草原へ昨日行って来ました。

ここは近い割にはかなり良い虫が色々と採れるスゴイ所なのですが、今日はとりあえず
ハムシの話です^^

ハムシにも湿地性、草原性、森林性などいろいろなパターンがあって面白いですね。
近年は僕も割と精力的に採るようになって来ました。
もう少しタレント性の高い種類が多ければ良いんですけどね^^

さて、ここは草原の代名詞である阿蘇からはかなり離れているので、分布する虫達も大分異なり
その点でも面白い所です。

草原の中を抜ける小道を歩きながら周りの草本、木本を叩きます。

サルトリイバラからはお馴染みのフタホシオオノミハムシに交じってカタクリハムシが落ちます。
カタクリハムシは前者に比べて少ないのですが、今回は割と発生数が多いようです。
僕も好きなハムシだし、今年はたくさん送ってやれそうです^^


路傍にひっそりと生えたギボウシの葉裏には綺麗なナガトビハムシがいます。
ここでは結構採れますが、食草がちょっと特殊なので何処でも採れるというわけではないようです。

以上3種は保育社甲虫図鑑のハムシplate38の最後に並んで図示されていますね^^
図鑑では年数の経った標本なので違いが良く分かりませんが、生きている時の色彩はいずれも
鮮やかで美しいです。

普通種が多いですが、注意すると他にも色々なハムシ類があちこちから見出せます。




ここでは美しいキガシラアオアトキリゴミムシもよく落ちてきます。
本種は樹上性ですが、本来こうした草原の中に生える灌木に多いのかもしれません。

作りモノのような美しいコロギスがいました。
茶色の種類は何種も見ますが、緑色のものは初めてです。
標本に残せないのが惜しい・・・

そしてここにはサビナカボソタマムシが割と採れるヤマボウシのご神木があります。
花のガクが開いて丁度良いタイミングなので、枝先を丁寧にスウィーピングしていきますが
今回は1頭しか採れませんでした。
時期はバッチリなので天気が良ければ5~6頭は採れる良い木です^^


半日の採集でしたが、この時期のハムシ採集を十分に堪能できました。

次回は阿蘇草原に今私が最も注目している珍奇なハムシがいるので、それを紹介しますね^^

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