モモブトトゲバカミキリ | 蝶・カミキリ・昆虫を楽しむ!(九州・沖縄を中心に)

西表島の他のドウボソカミキリ類とか、普通種とか(2017.5.24)

西表島で島暮らし中の自由人です。
昨日石垣島から知人が同宿に入って来られ、事前の石垣採集でも虫が居なかったとの弁。
僕は3月中旬からこっちで採集してんだから、知ってますよ^^

以前のブログ記事で、イマサカドウボソカミキリやイシガキシロスジドウボソカミキリが今年は極めて
少ないことを記述しました( え?普通は採れない?)。
では、他のドウボソ類はどうか。

カスリドウボソカミキリとか、

オオシマドウボソカミキリとか。

前段の珍品ドウボソ類と同様、これらもチョー少ない・・・
カスリドウボソは見栄えのする大型種なので昨年並みに採れればとても楽しいのですが、さすがに
毎年そういうわけにはいきませんね。
オオシマドウボソは近年急激に各島から姿を消しているので懸念が益々高まりますねえ。

一方、こちらはポティネ属の最普通種タテスジドウボソカミキリ。
普通種だからでしょうか、これだけは幾らでも落ちてきます。

普通種ではありますが、石垣産よりやや白っぽい感じがするので少しは標本を持っておいた方が
良いかもね。白っぽいと言っても亜種レベルで異なる波照間産とは事情が異なりますが。

普通種繋がりで他の種類も少し紹介しておきましょう。暇だし^^
これは特に出すまでも無いモモブトトゲバカミキリですが、アングル的に「トゲバ」状のエリトラが上手く
撮れたのでアップ。
沖縄のエラブモモブトトゲバもこうだったっけ。

普通種と言えば、来年から沖縄本島を主体に奄美を含めて周辺の島々をやり込む予定なので、
比較検討用に八重山のSybra属やRopica属、サビ、トゲバ類などの普通種が必要なので今更ながら
これらの採集に勤めています。
今年は虫が居ない中でもこうした普通種はそれほど個体数は少なくないので、こんな年はいつもは
気に掛けないこれらに向き合うのも良いかもしれません。
普通種だけにいざ必要になった場合にタトウに無い、という事態を防ぐとしましょう。

ホスト限定種で割と数が居るのがこれら。
オオハマボウの葉を齧るヒメスジシロカミキリ。

カラスウリ類の生蔓に居るタイワンヨスジシラホシサビカミキリ。

普通種としてしまうのはちょっと気がひけますが、ついでにこれも。
与那国産とは異なり、「ヨツスジ」模様がはっきりと発現する西表島のヨツスジカミキリ。

昨年は割りと居ましたが、ちょっと良いモノはことごとく少ない今年の西表島。
本種も例外ではありません。
今後暫く西表での長期滞在は無くなるだろうから、昨年もう少し頑張って採っておけばよかったかも。

そうそう、これも出しときましょう。
何のことは無い石垣島産と同じとされる普通種、イシガキウスアヤカミキリ。
1タトウくらい採って気付くことは、明らかに石垣では見られない斑紋パターンが認められることです。
三角形の外角に位置する3♀にご注目。写真が明るく斑紋が見え難いですが、これまで死ぬほど
石垣産を叩き落してきた僕がちょっと驚いたくらい。


下の2♂も同パターンですね。全体に対する割合は極めて低いですが、石垣ではまず見られません。

ウスアヤカミキリも南西諸島に広く分布し、各島で変異が見られるのでコレクションの対象としては
極めて重要な存在です。
ゴマフカミキリ類なども同様ですが、僕は勤めてこうした千差万別に変異する種類を細かく採り集める
ようにしています。

馬鹿にしたり面倒なので採らない人も多いのですが、後々後悔するのがいわゆる「普通種」です。
さて、あなたはどうしますか^^

マメ科植物の枯れ枝が好きなモモブトトゲバカミキリ(2013.5.14)

ギンネムは海岸線の荒地に群生していて、ほとんどこれのみで辺りの植生を構成することも多い
マメ科植物です。

そしてこの植物にはカミキリをはじめ甲虫類が全くと言って良い程付きません。
なので、僕ら採集人はそんな植生を見ると思わず舌打ちするんですね。

ところが、例外的にこれに好んで集まるカミキリが居ます。
それがモモブトトゲバカミキリです。

モモブトトゲバは八重山では普通種と言え、特に波照間島では多産します。 
波照間の海岸部にはギンネムが繁茂しており、この枯れ枝をビーティングするとモモブトトゲバが
バラバラと落ちてきます^^

ギンネムの細い枯れ枝で並んで交尾している二組のペア。
(写真はいずれも波照間産)

どうしてギンネムには本種ばかりが多いのだろうと不思議に思っていましたが、ひょんな事から
その理由が分かりました。
波照間にはマメ科のクロヨナも多く、この枯れ枝からも同様に本種が多く落ちたのです。
すなわち、本種はマメ科植物を好むカミキリだったわけです^^

本種の大きな特徴として挙げられるのは体が大変脆いこと。
採集時はもちろん、展足時にも注意して扱わないと触角の数節は直ぐに破損してしまいます@@
まあこれはトゲバカミキリの仲間に共通した困った特質とは言えるのですが。

普通種の割りには、気付くと完全標本が全く無かったというケースが多い厄介な種類です。

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