ヨシノキシタバ | 蝶・カミキリ・昆虫を楽しむ!(九州・沖縄を中心に)

九州高山帯のヨシノキシタバ(2017.8.29)

数日前の月齢が良い頃、九州山地高山帯のナイターに行ってきました。
狙いはカトカラ(シタバ蛾種群)の中でも人気の高いヨシノキシタバです。

本種はブナ食いからも分かるように基本的には北方地域のカトカラなのですが、九州にも拘らず
マイポイントでは何故かほぼ例年姿を拝むことが出来ます^^
僕も首都圏在住中に何度もトライしたことがあるので事情はよく知っているのですが、本州でも
割と確実とされる産地(もちろんブナ帯)でも数は少なく、灯火に飛来しても単発の珍品というのが
蛾屋さんの一般的な認識です。

九州のブナ帯というのは本州に比べれば極めてチンケなものですが、マイポイントでは何故か
比較的密度が高いのです。条件さえ良ければまず外すことは無いくらいかな^^

しかも本州産に比べて一回り大型であるだけではなく、♀の変異が多いことに加えそのハデハデしさが
強烈ときています。
本州の蛾好きの友人から標本を懇願されることが多いのですが、当然と言えば当然の代物なのです。

本種を目的にしたナイターは年中行事なのですが、どうも九州本土の虫の発生具合(真夏の虫の)は
あまり良いとは言えない状況で、今年のヨシノキシタバは殆ど幕に来てくれませんでした。

そうした中でも来てくれた♀。


本種はカトカラの中でも美しい上、唯一♂と♀の斑紋様式が異なっており、それも魅力の一つと
なっています。
♂はそろそろ破損やスレが目立ち始めていますが、♀は丁度ビカビカの時期でラッキー^^
(♂は撮り忘れました・・・)

他に来たカトカラで面白いのがシロシタバ。
本州の蛾屋さんは見向きもしない(?)駄カトカラですが、九州では極めて珍品。
新鮮なるも残念ながら左前翅にカケがあるので採集せず。

これも面白いジョナスキシタバ。
九州産は少ない上、白化しており本州産を見慣れているとかなり異様に見えます。
当個体は黒帯紋が発達しているのでさらに異様。

今年は都合で真夏のカトカラ・ナイターには一度しか行けませんでしたが、離島生活予定の来年も
8月は地元(熊本)で過ごすつもりなので続けてしっかり狙うことにします^^

初秋の珍品カトカラ、ヨシノキシタバ(2014.9.3)

9月に入ってもどうも天気が安定しませんね。
気温もちょっと低温傾向で、出撃のタイミングを計るのが難しいです。

そうした中、昨晩は九州脊梁山地の高地帯でもなんとかナイターが出来そうだったので、空模様を
気にしながら夕刻から出発しました。

自宅からポイントまではクネクネ山道を二時間ほど。車では行けるものの九州では秘境扱いの場所です。
所々雨が降った跡がありその後の天気の崩れも気になります。
現場に着いたのは午後7時過ぎ、もう真っ暗になった頃でした。

ここは標高1,500メートルほどはあり、今回は悪天のため山塊が厚い霧に終始覆われていました。
運良く雨粒は落ちていないようで道路は濡れていません。なんとか屋台はひろげられそうです。
気になるのは気温。特に今回は低く、ライトを点灯した時点で既に20℃を若干切っていました。

低温なので甲虫は最初から諦めていましたが、ことのほか蛾は多く集まって来てくれました。
とりあえずホッと胸を撫で下ろします。
今回最大の狙いは九州カトカラの珍品、ヨシノキシタバなのです。

ヨシノキシタバはブナを唯一のホストとする、いわゆるブナ帯に固有のカトカラです。
国産カトカラでは唯一雌雄の斑紋が異なる種で、単純に美しいことからとりわけ人気があります。
僕も関東各地でナイターをやっていたので分かるのですが、実は本種、かなり少ないカトカラです。
一晩に採れても数頭で、カトカラの帝王と呼ばれ珍種扱いもされるムラサキシタバよりも遥かに
少ないものでした。

九州はブナ帯が薄いので基本的に高山性の昆虫相は貧弱です。
ただマイポイントでは、毎回ヨシノキシタバが高確率で飛来するんですよ^^

点灯後暫くして支柱に留まった♂。
これはまだ展翅出来るほどの鮮度を保っています。

この♂は前翅に亀裂が入っていますね。
9月に入るとやはり♂は翅にほぼ切れ、欠けがあって殆どはスルーせざるを得ません。

一方、♀はほとんど全てがビカビカ^^
本州産の♀の斑紋はほとんど一様のようでしたが、九州産はかなり変異があります。
特に金色掛かったある意味「毒々しい」斑紋は見事の一言です^^
また九州産は本州産に比べると明らかに大型で、一層の魅力を感じますね。


昨晩のナイター、開始数時間は蛾の飛来も良くヨシノキシタバもポツポツ姿を見せましたが、次第に
気温が下がり、午前零時には冷たい強風が吹き始めたのでやむなく閉店しました。

晩夏のカトカラナイター(2012.8.17)

昨晩から今朝にかけて、地元熊本の高地帯でこの時期に現れるクワガタや美麗蛾カトカラの
ナイターを行ってきました^^

ここは言わば私のホームグラウンドですが、九州脊梁山地でも比較的アクセスし易いことから
九州各県から採集者がやってきます。

早朝から高速を使ってやってくる彼らには長距離の山道も、地元民にとっては楽なもの。
午前はスポーツジムで汗を流した後、午後2時頃からナイターのみに向かうという贅沢さです^^

そろそろ日も傾いた昼下がりにゆっくり到着。
九州では珍しい手付かずの原生林が連なります。

他では見られないような巨木や立ち枯れもゴロゴロしています^^

いつもなら林内各所にライトフィットを仕掛けるのですが、今日は主にカトカラ狙いのプチナイター
なのでやりません。
点灯時間まで野鳥のさえずりを聞きながら、涼しい風に当ってうたた寝です。
うーん、ぜいたく^^

今日は月齡もバッチリ。午後7時頃からナイター開始です^^

いつものように点灯直後からキュウシュウオニクワガタがポツポツ飛来してきます。

♀ばかりですが、キュウシュウヒメオオも幾つか飛来。秋にはこれだけを採りに来ようかな。

今日は午前0時を回って気温がかなり下がったからかカミキリの飛来は少なく、コバネとヨコヤマ
ヒゲナガが1♂ずつ来ただけでした。

点灯後1時間程して、今日本命のヨシノキシタバ♂が現れました。
発生初期でビカビカの個体です^^
カトカラはこのように「矢尻」状に留まるんですよ。

まだ早いかなと思ったものの、気の早い♀も出現。


本種はカトカラの中では唯一、♂と♀の羽の模様が異なる種類です。
珍品度も手伝って毒々しげな♀の美しさには魅了されます。結構変異もあるんですよ。

ブナ食いの珍品、かつ美麗カトカラである本種の人気は高く、本州以北のコレクターにとって
大型かつ美しい九州産は喉から手が出る程欲しいものでしょう^^

早朝まで粘り、♂♀併せて二桁近くを得ることが出来ました。
本州の高地帯でも一晩に採れるのはせいぜい数頭ですから、大成果と言えます^^

他に現れたカトカラです。
まずは同じブナ食いのエゾシロシタバ。今年は結構多いようです。

次いでケヤキ食いのジョナスキシタバ。
本州産に比べて白化傾向が見られます。結構珍です。

月齢が良いのでこの日は一夜を通して大量の蛾が集まりましたが、例年は結構多い遇産蛾が
ほとんど見られず、ちょっと寂しい気がしました。
ただ、ナイターはその時の気象条件等で飛来する顔ぶれが結構変わるので、これらは次回に期待
したいですね。

月齡が良いうちに、あと数回はナイターをしてみようと思っています。

そろそろ此処ではソボセダカコブヤハズカミキリ(クロコブ)の新成虫も出始めるので、
そっちもやらなきゃな。

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