カトカラ | 蝶・カミキリ・昆虫を楽しむ!(九州・沖縄を中心に)

南東45度の技^^(2013.3.3)

僕は好きな虫は1箱主義で集めています。
相当ベタなコレクション・バカですが^^

甲虫なら個々の大きさがそれほどでもないので、大型種でも標本箱に多くの個体を収納出来て問題は
無いのですが、大型の蝶や蛾となると話が違ってきます。

大型アゲハ類やオオムラサキ、ヤママユガ類をはじめ、1頭で大きな面積を取ってしまう種類となると、
普通の収納方法ではあまり多数を入れられません。
これは1箱に多種の大型種を交えて詰め込む際にも悩む問題です。
そこで、標本箱のスペースを出来るだけ有効に使うため、色々と頭を捻ることになります^^

僕の場合、小型種ならいわゆる「斜め刺し」というポピュラーな方法で、前後に重ねることで詰め込む
方法を取ります。

すなわち、標本を「南」の方向(手前)に45度前後傾けることでどんどん重ね刺ししていくわけです。
比較的よく見かける収納方法ですね。

一般的な「斜め刺し」収納の例はこちら

大型種の場合も普通はこの方式を取る人が多いのですが、標本箱スペースをもっと効率的に使いたい
(言葉を換えると欲深な^^)僕は、ここでもう1アクションを加えます。

つまり、南に傾けつつ、さらに「東」の方向(右側)にも倒していくんですね。
(簡単に言えば右下に傾けて行く)
こうすることで前後の重なりに加え、左右にも重ねていくことが出来るわけです^^

言わば「南東45度」の技です^^

その収納風景を見ていただきましょう。
長野県産ムラサキシタバです。

本種はカトカラ界きっての最大かつ美麗種で、最もシンボリックな位置付けにあります。
珍品度もかなり高く、本種を得る事が蛾屋になりたての人の夢になることが多いようです。
僕もこれだけを狙って、秋の信州等に何度足を運んだことか・・・

膨大な種類を誇る蛾界の中でも「帝王」と形容され、他の人気種と一線を画す種類ですが、残念ながら
九州以南には分布していません。
基本的に「南虫」を扱う当ブログにはちょっと場違いの感もありますが、まあ良いでしょう^^

通常の斜め刺しのシロシタバと比較してみてください。
遥かに多くの個体を収納できることがお分かりと思います^^

なお、シロシタバは本州では大凡品ですが、九州では相当な珍品となり、僕もこの5年間で九州で
採った本種は最下段の1ペアのみです(いずれも熊本産)。

ところで、これって左利きの人の場合はどうなるんだろ。
どうでもいいけどちょっと悩むな。

美蛾の極致、クロモンシタバ(2013.1.30)

虫屋さんでもほとんどの人が不得意な、「蛾」。
既知種だけでも蝶の数十倍はあり、採集・コレクションの対象としてはこの上無い対象なのに
全く関心を示さない虫屋さんが多いのは実に残念。

あなたがもし蝶屋さんなら(もちろん甲虫屋さんでも^^)、楽しみの分散の意味で目を向けてみては
いかがでしょう。
蝶は各地で採集に規制が掛かる種類が多くなっていますが、蛾にはそれがまずありません。
誰に文句を言われること無く、好きなだけ採集できるのですから、ホントやらない手は無いと思います。

まあ、おせっかいはほどほどにしておきましょう^^

さて、数千種の国産蛾の中で、美しさで群を抜いている種類の一つがクロモンシタバです^^
上の写真が♂、下が♀です。


虫の美しさの定義にもいろいろあると思います。
どの角度から、どういう好みを持って、どんな視点で見るかでまた違ってくるので、「美しい」を
共有するのって難しいんですよね。

蛾の模様の魅力とは蝶には無い奥深さだと個人的には思っていますが、このクロモンシタバは実に深い。
一般に国産蛾の翅の基調色はダーク系なのですが、本種は根本的に違います。

グリーン掛かったシックなクリーム色の前翅は実に見事。
オシャレなパステルカラーはとても蛾の翅とは思えません@@
moth green(とんでもない当て字^^)とは本種のためにあるような言葉だなあ。

そして墨汁が少し滲んだような後翅の「逆ハの字」。
まるで力強い「書」を感じさせます。

ビビッドな「ヨーロピアンテイスト」と奥深い「和テイスト」が混在している非凡な種類なんですね^^
前翅サイドには「枯れ葉」の一部に似せた擬態色をまとい、これも和洋折衷の配色を醸しています。

南方系の準遇産蛾であり、「何時でも何処でも」採れる種類ではなく珍品度をそれなりに保っている。
そういう所も良いです^^

国産の蛾の中で、本種ほどスクリーンに飛来した際に胸がときめくものも他に無いように思います。
僕にとってはやはり特別な蛾ですね^^

さて、本種も年に1度あるか無いかの「大フィーバーの夜」に現れるケースが多いのですが、
3年前のそんな夜に多数飛来したクロモンシタバ達です。


本種がこれほどまとめて飛来したのは僕のナイター史上この時だけで、完品のみ採集しました。
この時はラッキーにも滅多に採れないヒロオビクロモンシタバも1頭だけ混じっていました。
(標本箱右下の個体。ただし琉球ではクロモンシタバより多いらしい)

なお、左の2列は近年北上傾向が顕著で各地で採り易くなったツキワクチバです。
普通種になったとは言え、幻想的ないわゆる「月の輪」にはいつも目を奪われます。

魅惑の「月輪」の写真はこちらから^^

今年の夏~秋も、大フィーバーの夜に当たりたいものですねえ。

その時はこれらの大型南方系蛾ばかりではなく、カトカラやその他多くの美麗・珍品蛾が乱舞して
一睡も出来ない狂喜したオールナイトになるのです^^

晩夏のカトカラナイター(2012.8.17)

昨晩から今朝にかけて、地元熊本の高地帯でこの時期に現れるクワガタや美麗蛾カトカラの
ナイターを行ってきました^^

ここは言わば私のホームグラウンドですが、九州脊梁山地でも比較的アクセスし易いことから
九州各県から採集者がやってきます。

早朝から高速を使ってやってくる彼らには長距離の山道も、地元民にとっては楽なもの。
午前はスポーツジムで汗を流した後、午後2時頃からナイターのみに向かうという贅沢さです^^

そろそろ日も傾いた昼下がりにゆっくり到着。
九州では珍しい手付かずの原生林が連なります。

他では見られないような巨木や立ち枯れもゴロゴロしています^^

いつもなら林内各所にライトフィットを仕掛けるのですが、今日は主にカトカラ狙いのプチナイター
なのでやりません。
点灯時間まで野鳥のさえずりを聞きながら、涼しい風に当ってうたた寝です。
うーん、ぜいたく^^

今日は月齡もバッチリ。午後7時頃からナイター開始です^^

いつものように点灯直後からキュウシュウオニクワガタがポツポツ飛来してきます。

♀ばかりですが、キュウシュウヒメオオも幾つか飛来。秋にはこれだけを採りに来ようかな。

今日は午前0時を回って気温がかなり下がったからかカミキリの飛来は少なく、コバネとヨコヤマ
ヒゲナガが1♂ずつ来ただけでした。

点灯後1時間程して、今日本命のヨシノキシタバ♂が現れました。
発生初期でビカビカの個体です^^
カトカラはこのように「矢尻」状に留まるんですよ。

まだ早いかなと思ったものの、気の早い♀も出現。


本種はカトカラの中では唯一、♂と♀の羽の模様が異なる種類です。
珍品度も手伝って毒々しげな♀の美しさには魅了されます。結構変異もあるんですよ。

ブナ食いの珍品、かつ美麗カトカラである本種の人気は高く、本州以北のコレクターにとって
大型かつ美しい九州産は喉から手が出る程欲しいものでしょう^^

早朝まで粘り、♂♀併せて二桁近くを得ることが出来ました。
本州の高地帯でも一晩に採れるのはせいぜい数頭ですから、大成果と言えます^^

他に現れたカトカラです。
まずは同じブナ食いのエゾシロシタバ。今年は結構多いようです。

次いでケヤキ食いのジョナスキシタバ。
本州産に比べて白化傾向が見られます。結構珍です。

月齢が良いのでこの日は一夜を通して大量の蛾が集まりましたが、例年は結構多い遇産蛾が
ほとんど見られず、ちょっと寂しい気がしました。
ただ、ナイターはその時の気象条件等で飛来する顔ぶれが結構変わるので、これらは次回に期待
したいですね。

月齡が良いうちに、あと数回はナイターをしてみようと思っています。

そろそろ此処ではソボセダカコブヤハズカミキリ(クロコブ)の新成虫も出始めるので、
そっちもやらなきゃな。

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