サツマニシキ | 蝶・カミキリ・昆虫を楽しむ!(九州・沖縄を中心に)

久々に多産した屋久島のサツマニシキ(2017.8.19)

今夏は屋久島において多くの虫が比較的多産しましたが、本邦最美麗蛾の一つ、サツマニシキも
久々に多く発生して目を楽しませてくれました。
 
メルマガ49号でも詳しく書いたとおり、今年はネキ・ポイントのリョウブの花が3年振りに
開花したのも本種を目にする機会が多かった理由の一つと言えます。
サツマニシキはリョウブの花を好んで訪れるからです。

下は2013年夏、リョウブの花を訪れたサツマニシキ(遠目注意^^)

これは今シーズン、林縁で見つけ思わず採集しそうになったサツマニシキ。
例によって展翅道具等も無いので諦めましたが・・・


久し振りに泡を吹く姿が見たくなり、リョウブの花に来ていたヤツを手に持ったところ。
ぶくぶく、ブクブク、BukuBuku・・・

以前、石垣島で♀を捕まえた際には翅の付け根以外に脚の先端部からも泡が吹き出してビックリ
したことがありましたが、今回は同様に♀なるも泡は翅の付け根部分からしか噴出しませんでした。
亜種が異なるほど産地が隔たると体の構造も違ってくるのだろうか・・・

(参考)
脚の先端から泡を出した石垣島産の♀

本種は4亜種に分かれていますが全ての亜種のビカビカ標本を持っている人なんて居るのかしら。
いずれはその全ての飼育を目論んでいますが、材料集めも含め相当大変そう。無理かな?

与那国で美しい昼蛾達に遭遇(2014.3.7)

もう三日連続で寒い雨天が続いている与那国島です。
宿ではまだ度々ストーブが活躍中^^

今日は美蛾を中心とした一群、「昼蛾」のお話です。

先日林内で採集していると、シャツの裾にオキナワルリチラシが留まっているのに気付きました。
本種はサツマニシキと並び、我が国で最も「昼蛾」らしい様相を醸しています。
後者と異なり、本種は夜間ライトに寄って来る事もままあります。

(参考)石垣・屋久島のサツマニシキ

指に留まらせたりして暫く遊んでみます^^
後翅はこのように煌びやかな青鱗で彩られています。
触角の表面や頭部、前翅の一部や付け根等にも同様の色合いのアクセントがあり、これはこの手の
美しい昼蛾のほぼ共通の特徴になっています。

それにしても後翅の純白さが際立ちますね。九州産辺りとは何か異なる気がする・・・
サツマニシキも本州西部から琉球列島にかけて4亜種ほどに分けられているし、たぶん本種も
全国的にはそれなりの変異があるのでしょう。

美蛾への想いは尽きないなあ・・・
僕の昼蛾に関する最大の夢は、何時の日か「オオサマアゲハモドキ」を飼育することなんですよ^^
♀標本を見ると、どの個体も腹部は巨大で卵を一杯抱えていそうです。人工採卵は恐らく難しくないと
睨んでいますが、さぞかし巨大で変わった幼虫なんだろうなあ。

そんな妄想に耽っていたら、オキナワルリチラシは緑の前翅とアクセントを伴った純白の後翅を
羽ばたかせながら、ひらひらと優雅に飛び去って行きました。

一方、こちらは蝶採集の際、林縁のやや高い所を飛んでいたクロツバメ。
食樹は与那国ではアヤミハビル(ヨナクニサン)も食っているアカギですが、それがたくさんある割には
クロツバメ自体の姿は何故かほとんど目にしません。これは石垣等でも感じるところです。

頭・胸部および腹節の鮮やかな「赤」は一種の警戒色で、虫体を摘むと強烈な不快臭を放ちます。
これも美蛾たる多くの昼蛾に備わる特徴のようです。

後翅の色合いには変異があり、宮古島産は緑っぽく趣がまた異なるものでした。
日本産はタイ産等が全体的に黒っぽい中でとても美しい個体群です。

そう言えば与那国で昼蛾に出会ったのは今回が初めてだ^^

サツマニシキのブクブク^^(2013.1.13)

蛾はもっぱら夜間に活動する種類がほとんどを占めますが、ごく一部に昼間に活動する一群が
居ます。

いわゆる「昼蛾」として一括りにされる連中ですね。
昼蛾は世界各国に多くの種類が知られており、何故か美麗な種類が極めて多いグループです。

それ故かファンは意外と多く、蝶に興味は無いが昼蛾は好きで集めているという「昼蛾コレクター」は
結構多いような気がします。
かつて出版された昼蛾の図鑑もかなり話題になりました。

さて、我が日本にも少ないながら昼蛾にカテゴライズされる種類は知られています。
その中でも最も美しいのがサツマニシキです^^

地名(サツマ)はともかくとして、「ニシキ(錦)」と命名した人、チョー偉い^^
日本ならではの味わい深いネーミングで、実にこの日本最美蛾の特徴を捉えていると思います。

さすがに注目度が高いと見えて4亜種に細分されており、本州から八重山に向かって白化が
進むことが知られます。

決して珍品ではなく、この仲間は生育が斉一で羽化が一斉に行われることから、生息地では
食樹のヤマモガシがある一画でまとめて見られる場合もあります。
羽化直後のビカビカの時期だったらウハウハですね^^

昨夏の屋久島には割と多く、リョウブの花に吸蜜に訪れる個体を幾つも見ました。
残念ながらスレの時期に入っていたので採集はしませんでしたが。
位置が高く、かつ逆光になるのでちょっと見難いですがお許しくださいませ。

本種でよく知られているのが、捕えられた際に胸の両側、主脈の付け根辺りから噴出させる
泡状の体液、いわゆる「ブクブク」です。

人間の皮膚に付いても特に害は無いのですが、不快臭はするし、息で吹き飛ばしてもなかなか放出が
止まらないので採集時にはちょっと厄介ですね。

下は数年前の春に撮った八重山亜種のブクブク。
八重山亜種は白っぽくてこれまた味のあるグループです^^


次は昨夏、屋久島で撮った屋久・種子亜種のブクブク^^
何度も吹き飛ばしていると、終いには泡も出尽くしてしまいました。

これぞ本当の「バブル崩壊^^」
(この言葉もいつの間にか古くなったなあ)

サツマニシキの場合、新鮮な個体が採れるかはタイミング次第ですが、今年は八重山亜種の
採集チャンスは結構ありそうで楽しみです^^

あっ、よく考えたら採集チャンスが無いのは沖縄亜種だけだ^^

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