シロシタバ | 蝶・カミキリ・昆虫を楽しむ!(九州・沖縄を中心に)

九州では大珍品のシロシタバ、来た^^(2015.8.27)

台風15号襲来の直前、九州脊梁山地の高標高地点へ晩夏のナイターに行って来ました。
正直なところ月齢は「半月」とコンディションは既に良くないのですが、ここでのナイターは当たると
結構面白い虫が来るので年間に何回かはやっておかねばなりません。

僕の場合は極めて守備範囲が広く、甲虫でも蛾でも何でもイケルのでたとえハズレでも獲物が無いと
いうことはまずありません^^
ただ、今年は全般的に虫が少ないので少々腰の重い出動ではありました。

日没頃、ライトフィットを掛けながらポイントへ到着すると、九州とは言えど時期的にもうかなり涼しく
なってきていることに気付きます。ブナ帯という高標高でもあるため気温計を見ると20℃を切りそうです。
そして点灯。
・・・

うーん、やはり虫が集まってこないなあ。
半月もしっかり煌々としてやがるし。
いくら半月でも多少は虫が来るものなのですが、今日は本当に何も来ません。
蛾すらチラホラ程度。どうやら今日は最悪の貧果になりそうだな・・・

22時頃、今日は早仕舞いしようかと思っていると思いがけず濃霧が発生してきました。
これが上手く月を隠してくれた上に空気の動きも感じられるようになってきました。
「おやっ、こりゃ良いカンジじゃない?」
実はこうなってくると虫が集まり易いんですよ^^

予想通り、それまでは数匹しか居なかったカトカラ最普通種のゴマシオキシタバがポンポンと飛来し、
そしてやっと狙い目のヨシノキシタバも遂にやって来ました。
「オッ、来た来た! ビカビカの♀だーい^^(実はちょっとだけ欠けている)」
デジカメと毒ビンを持って慌てて駆け寄ります。

ヨシノは美しい珍品の上に(九州ではさらに珍品)♀では変異が多く、採集欲をそそられるものです。
僕は本州でも数個体を採っていますが間違いなく九州産は本邦最美で、最大個体群でもあります。
下の♀は極めて白帯が発達した珍しい型です^^

ヨシノに照準を合わせていると、ドデカイ蛾が半透明のスクリーンの反対側にぶつかりました。
裏面が一瞬見えましたが間違いなくカトカラです。
「うわあ~ シロシタバだあ!」
急いで裏側に回るとヤツは地面に留まっていました。
「逃げるなよ、エイッ!(カシャッ)」

ヨシノよりさらに珍品のシロシタバの撮影、捕獲に成功した瞬間です^^
本州では晩夏から秋にかけて幾らでも居る本種ですが、九州産は大珍品であって2~3年に1頭の
虫なんですよ(僕もやっと3頭目)。当日最大のヒットとなりました^^

濃霧と大気の動きは1時間程で終了しましたが、この間に当地では数年振りのキマエコノハを見ましたし
(採集出来ず)、下のようにネジロフトクチバあるいはツキワクチバ、ヤクシマヨトウ等の近年ほぼ土着
しつつある準遇産蛾も姿を見せました。

甲虫部門としては、ようやくキュウシュウオニクワガタが幾つか来ています。
やはり今年はオニクワも少ないなあ・・・
ちなみに、これは♂ですがナイターに来るのは♀の方が遥かに多いです。

キュウシュウヒメオオの♀も来ていました。本種の♂はまずナイターには来ませんね。
九州高山帯でも近年は極めて少なくなっています。

おや、コバネの♀だ。
このカミキリ、大好きなんですよねえ。ラッキー^^

地面ではオオオサムシも幾つかチョロチョロしています。転がった大きなヤマミミズの死体には
見向きもせず、ナイターに来た蛾を咥えて盗み去ろうとしているようです。逃がさじ^^
平野部のものよりかなり小型で、九州山地南部亜種(クマソオオオサムシ)に含まれるものです。

暫く忙しい一時でしたが、濃霧が去り日付が変わる頃になると新手の虫がほぼ来なくなりました。
気温も15℃近くまで下がっています。
今回のナイターはこれで終了と判断し、就寝。

翌朝はフィットを片付けながら下山しましたが、殆ど良い虫が入っていません。
ここまで虫が少ない年も本当に珍しい・・・
唯一良かったのが人生二頭目のクリイロカッコウムシ。高校時代に九州山地で採って以来です。

地味なカッコウムシですが九州では珍品、講談社の図鑑では九州が分布域に入っていないので
記録が殆ど無いのでしょうね。

今後は月齢がもっと悪くなるし虫の発生も悪いので、今季の高地ナイターはこれで終了です。

初秋、九州高山帯のカトカラ(その2)(2014.9.5)

先日は九州のカトカラの中でも僕が好んで狙っている珍種、ヨシノキシタバを紹介しました。
今回は同夜のナイターに訪れたその他のカトカラ数種について記します。

まずは九州カトカラの中でも極珍のシロシタバ。
「え~、 シロシタバが珍品~?」と言うなかれ。
本州でシロシタバと言えばちょっと高い山に秋に行くとダムやコンビニ等の灯火の下にボタボタ
落ちている印象が強いですよね。

ところが、です。
九州まで南下すると極端に少なくなり、1シーズンに1頭見れるかどうかという代物になるのです。
ヨシノキシタバよりも遥かに珍品なんですよ^^
カトカラは基本的に北方系の虫なので九州に種類も数も少ないのは仕方ないのですが、カトカラの
帝王たるムラサキシタバが身近に産しないというのは寂しい限りです。蛇足ですが。

九州では一昨年以来のシロシタバ。
壁に留まるとすぐにクルッと180度回転して下向きになることが殆どなので、上を向いた場面は
珍しいですね。

次はケヤキ食いのジョナスキシタバ。
九州産は白っぽくなり本州産とは趣をかなり異にします。また本州産と比べると型も大きいですね。
数も多くなく、コレクターさんは是非欲しいものでしょう^^

ミズナラを食樹とするエゾシロシタバ。
本州のミズナラ帯には掃いて捨てるほど居ますが、これも九州では比較的少ないです。

そしてヨシノキシタバと同じホスト(ブナ)を持つゴマシオキシタバ。
これはさすがに九州にも多いですね。ブナ帯では最も多数が集まるカトカラです。

普通種ながら本州では黒化型等の変異が結構楽しめる種類なのですが、何故か九州における
変異幅は小さく、いつも無視を決め込んでいます。

南東45度の技^^(2013.3.3)

僕は好きな虫は1箱主義で集めています。
相当ベタなコレクション・バカですが^^

甲虫なら個々の大きさがそれほどでもないので、大型種でも標本箱に多くの個体を収納出来て問題は
無いのですが、大型の蝶や蛾となると話が違ってきます。

大型アゲハ類やオオムラサキ、ヤママユガ類をはじめ、1頭で大きな面積を取ってしまう種類となると、
普通の収納方法ではあまり多数を入れられません。
これは1箱に多種の大型種を交えて詰め込む際にも悩む問題です。
そこで、標本箱のスペースを出来るだけ有効に使うため、色々と頭を捻ることになります^^

僕の場合、小型種ならいわゆる「斜め刺し」というポピュラーな方法で、前後に重ねることで詰め込む
方法を取ります。

すなわち、標本を「南」の方向(手前)に45度前後傾けることでどんどん重ね刺ししていくわけです。
比較的よく見かける収納方法ですね。

一般的な「斜め刺し」収納の例はこちら

大型種の場合も普通はこの方式を取る人が多いのですが、標本箱スペースをもっと効率的に使いたい
(言葉を換えると欲深な^^)僕は、ここでもう1アクションを加えます。

つまり、南に傾けつつ、さらに「東」の方向(右側)にも倒していくんですね。
(簡単に言えば右下に傾けて行く)
こうすることで前後の重なりに加え、左右にも重ねていくことが出来るわけです^^

言わば「南東45度」の技です^^

その収納風景を見ていただきましょう。
長野県産ムラサキシタバです。

本種はカトカラ界きっての最大かつ美麗種で、最もシンボリックな位置付けにあります。
珍品度もかなり高く、本種を得る事が蛾屋になりたての人の夢になることが多いようです。
僕もこれだけを狙って、秋の信州等に何度足を運んだことか・・・

膨大な種類を誇る蛾界の中でも「帝王」と形容され、他の人気種と一線を画す種類ですが、残念ながら
九州以南には分布していません。
基本的に「南虫」を扱う当ブログにはちょっと場違いの感もありますが、まあ良いでしょう^^

通常の斜め刺しのシロシタバと比較してみてください。
遥かに多くの個体を収納できることがお分かりと思います^^

なお、シロシタバは本州では大凡品ですが、九州では相当な珍品となり、僕もこの5年間で九州で
採った本種は最下段の1ペアのみです(いずれも熊本産)。

ところで、これって左利きの人の場合はどうなるんだろ。
どうでもいいけどちょっと悩むな。

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