Oberea | 蝶・カミキリ・昆虫を楽しむ!(九州・沖縄を中心に)

阿蘇のホソキリンゴは小型の個体群(2013.2.6)

昨日に続き、地元のオベレア(Oberea:リンゴカミキリ属)をもう1種紹介します。
主にマメ科の植物をホストとするホソキリンゴカミキリです。

全国的に普遍なオベレアと言えますが、地理的変異が大きいようでコレクションの対象としては
面白い種類だと思います。

また九州では屋久島や対馬に極めて近縁なものが居て、進化の度合いを見極めるのも
結構難しいですね。

地元熊本の阿蘇にも面白い個体群が居り、そこでの本種は一様に小型となります。
講談社のカミキリ大図鑑plate95に阿蘇産の本種が図示されていますが、殆どの個体が同様に
極めて小さく、やや寸詰まりに見えます。

エリトラの暗化も顕著で、熊本の平野部や九州脊梁山地で採れるものとは総じてちょっと異なる
という感じを持っています。

「早朝ビーティング」で落ちた個体。
図鑑の写真とそっくりです^^

(参考)
早朝ビーティングのススメ(2012.6.20)

ひょっとしたらひょっとするかな。
今度暇な時にじっくりと調べてみよう^^

さて、阿蘇の灌木を交える草原では、本種はハギやフジをホストとしており初夏の頃に得られます。
草原の小さなハギの葉裏に留まった阿蘇産のホソキリンゴです。
一枚を撮ったところで、ヤツはすぐこちらに気付きサッと葉表に移動しました。


本種は特に敏感なオベレアで、傍を通ると不意に飛び立つのですが、かなり低い位置を生活圏に
しているので採集は割と楽な種類です^^

本種とも暫しのお別れだなあ・・・

ミヤマキリシマの小さな葉に留まるソボリンゴカミキリ(2013.2.5)

大分と宮崎の県境に位置する祖母山(1,756)は、その山麓を地元熊本県にも大きく張り出しており
関係3県の昆虫相に極めて大きく貢献しています。
全国的にも、頭に「ソボ」を冠する幾つかの昆虫の名前でよく知られていますよね^^

そうした昆虫の中で最も認知度が高いのがソボリンゴカミキリでしょう。
とても綺麗でカッコ良く、個人的には特に好きなオベレア(リンゴカミキリ属:Oberea)の一つです^^

全国的にはあまり産地は多くないと思いますが、居る所では数がまとめて採れるケースが多いことから、
やや珍品度が押し下げられている可哀想な(?)カミキリという気がしています。

九州各県で記録があり、確か地元での初記録は最も遅かったと記憶しています。
でも、今ではある産地のおかげで、九州では本県がソボリンゴを最も採り易い所となっています^^

ソボリンゴのホストは各種のツツジ科植物なのですが、本県某所の観光地には同科のミヤマキリシマの
大規模な群落があり、本種はそこで割と発生しています。
もちろんタダリンゴのように無数が得られるわけではありませんが、時としてミヤマキリシマに害を与える
として県から調査が入ることもあります。

面白いことに、地元では他に九州脊梁山地の入り口でわずか2頭が採れているだけなんですよ。
この事からも極めて局所的な分布なのが分かりますね。

さて、前から確認してみたかったのが、ソボリンゴがミヤマキリシマの葉にどのように留まっているか
ということでした。
と言うのも、ミヤマキリシマの葉はソボリンゴの虫体に比べて極めて小さいからです@@

近年有名になった大分県九重や神奈川県箱根のソボリンゴは、葉が大きなタイプのツツジを
食べるので食痕も目立ち実に見つけ易いです。
従って葉裏に留まっている写真も撮り易く、しばしばそうした生態写真を見る事があります。

しかし葉が無数にあるミヤマキリシマでは一体何処に留まっているのかが分かり難いため、
ルッキングで本種を探す人もまず居ないと思われます(しかもミヤマキリシマ自体も無数にある^^)。

6月のある日、ミヤマキリシマの群落の中で丁寧に探したところ、枝先の下面に留まる本種を
幾つか発見することが出来ました^^


小さすぎる葉には隠れられないものの、やはり裏面に留まるというオベレア独特の習性は
同様ですね^^

オベレアは他にも多種が居ますが、これほど小さい葉に依存する個体群の存在を知らなかった
カミキリ屋さんも多いことでしょう^^

今度は夕刻の活動時間帯に葉表に留まった♂と♀です。
♂エリトラの黒い縁取りの力強さが素晴らしい^^


初夏の風物詩として毎年少しづつ採集していましたが、今年から数年はターゲットを大きく変えるので
その姿を拝むことは暫く出来なくなります。

ちょっと寂しいかも。

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