西表島での活動を終え、6月に日付の変わった本日、中継地の石垣島へ戻ってきました。
ここで数日過ごした後、一旦地元九州は熊本へ帰還します。
3月中旬から始めた一連の八重山遠征(沖縄本島にもちょっと寄りました)ですが、ここで前半戦の
終了となります。
当ブログではお馴染み。貨客フェリーでレンタカーと共に島を渡るの図^^
虫屋でこんなことを頻繁にやっているのはまあ、僕くらいなもの。
西表へ車で入るほどの長期滞在はとりあえず今年で一旦終了の予定ですが。
そして今遠征の後半戦は愛車をフェリーに載せ、奄美大島、次いで屋久島に入ります。
最終的に地元へ戻るのは8月に入った頃になると思います。
本日のおまけ。
今年は西表島でもなかなか採れなかったイシガキツツクビカミキリ。
もともと採り難い種類 ですが、虫の少ない今年は格段に厳しかったなあ。本年のは貴重品です。
ついでにコレ(イシガキフサヒゲカッコウ)も。
山中で何千回スウィーピングを重ねたことか。地道な採集作業の勝利です^^
これでフサヒゲ状のカッコウムシがすべて揃いました。いずれラインナップを写真紹介しましょう。
では本日はこれで。
石垣島でも何かブログ更新が出来ると思います。
雨が降らなければ、だけど。
(予報は連日雨マーク・・・)
タグ : イシガキツツクビカミキリ, イシガキフサヒゲカッコウ
カテゴリ : カミキリ, 雑虫
一昨日から夏風邪をひいてしまい調子が悪いです。熱はほぼ無いのですが、喉の痛みと酷い鼻水、
なにより頭がボーッとして何事もはかどらない。
例年のように半年近くの遠征中に4~5㎏太ってしまい(どうしても食物が高カロリー品に偏るので
不可避の現象)、この時期は集中的にジムに通い一気に減量するのですがそれも中断。
風邪だけにエアコンも控えなければならず、これが結構辛いものがあります(泣)。
来月からのオークションや秋分の日(東京大手町フェア)の準備等にもかからなければなりませんが、
気は焦るものの体が付いて来ない状態。
まあボチボチやりますが、ここまでヒドイ夏風邪は初めてなのでどうも対処がイマイチなんだなあ・・・
さて、時期的に地元の夏も本番で、一時の虫の端境期。
遠征後半の虫の話を続けます。
7月末から屋久島の高山帯を徘徊するとたまに目に付くのはヤクシマクロギリス。
クロギリスの仲間は個人的にやっていない直翅類の中で、ほぼ唯一の「要捕獲」グループです^^
異常過ぎるほどに長い触覚!(左触覚なら、実際は写っている部分の倍の長さはある)
何というカッコ良さでしょう・・・
先日のキガシラハサミムシと同様に、奇虫の条件とは思いもよらぬ見栄えを目の当たりにしたとき、
ド肝を抜かれる・・・という体験が出来るかどうかだろうと思います。
それに加えてカミキリ張りにマンディブルが巨大で、この凄さは標本にしないと分からないもの。
直翅嫌いの人でも、隠れクロギリス・ファンは結構多いのではないかと睨んでいます^^
このグループが面白いのは形態に加えてその分布。八重山にヤエヤマクロギリス、沖縄にヤンバル
クロギリスが居て、何故か奄美・トカラをすっ飛ばして屋久島高地に本種が居るのです。
このヘンの神秘さも魅力ですね。ライトを点けて見回る屋久島の高山帯も神秘的だし^^
関係ありませんが、最近直翅関係の大図鑑が出ましたが、なんでしょ、あの高価さ@@
あの5分の2とか、5分の3程度なら購入も考えましたが・・・
かつての蛾の大図鑑も超高価でなかなか売れなかったけど、最終的には完売の後に増刷された
経緯があります。柳の下、再現なるか^^
カテゴリ : 雑虫
本土域を離れた各離島での楽しみの一つが珍奇雑虫。
屋久島のキガシラハサミムシはその最たるものと言って良いでしょう。
正直ハサミムシ類は自分のターゲットでは無いのですが、本種だけはド・ストライクの虫です^^
樹上性の本種、一般にはなかなか目に付かずこれまでの遠征でも採れて1~2頭でした。
今季の屋久島は虫が少なくターゲットとするものが殆ど無かったため、真面目にルッキングで
探してみると場所によっては意外と居ることが分り嬉しい発見でした。
ヤクスギの樹皮表面に留まった♂。
独特の巨大なハサミ、そしてカラフルな「黄頭:キガシラ」のため居れば発見は容易。
ツヤ消しのエリトラや漆黒の基本色もとても良く、バランスの取れた「美虫」です^^
まったく、なんちゅうハサミでしょうね。
まるでクワガタのマンディブルのよう。造形美の一つですなあ。
ちなみに挟まれると結構痛いです。
こっちは♀。顕著な♂のハサミと比べると全く見劣りします。
♀は特に少ないようで初めて遭遇しました。
あなたも記念に挟まれてみては?
カテゴリ : 雑虫
ゴキブリの中で唯一、採集・コレクションの対象としているルリゴキブリ。
1センチ程度の丸っこく可愛い恰好をしており、フォルム感は絶妙^^
何と言ってもルリ色に輝く光沢は何とも言えません。
動きもツツツ、ツツツと走っては止まりを繰り返し、「魅せる」技を持っています。
シャカシャカと猛スピードで走り去るだけの茶色くデカイ連中とはこうした部分でも一線を画す
存在なのです。
珍種の部類に入り暗いジャングルの中で得られることが多いため、有名な割にはなかなか出会う人は
少ないようで標本が出回ることもほぼ無いようです。
僕は石垣島ではこの数年間でトータル5~6頭程度しか採っていないと記憶します。
その珍種たるルリゴキブリ、ここ西表島では意外と出会う確率が高いです(僕だけ?)。
イワカワシジミ幼虫が穿孔するクチナシの実を探していたら、偶然に枝に留まっていた本種。
ジッとしているところを見つけるのは稀ですね。
この手の虫は走り回っていてくれないとなかなか目には留まりませんので。
これは林内をビーティングしていてネットに落ちた本種。
このようにして採るとネット上を走り回るのでまず撮影は出来ないのですが、たまたまこの個体は
固まってくれたので十分に堪能させてもらいました^^
1シーズンに10頭以上採れるなんて思えない虫だったけど、今回の西表島ではもうこれだけタトウに
並んでいます^^
ただこれも良いポイントを見つけることが出来たからで、ジャングルだらけの西表島といっても
何処ででも採れるわけではありません。
来年以降は西表での長期滞在は出来ないかもしれないので、もうちょっと頑張って数を
増やしておきたいと思います。
(不完品率がやや高いのが玉にキズ・・・)
カテゴリ : 雑虫
西表島の原生林でベニボシカミキリの来そうなオキナワウラジロガシの古大木を見ていると、
たまに出会うのがオキナワスカシバ。
珍しいとも言われているようですが、そうでもないような^^
僕は毎年複数回は目にしますね。勿論しょっちゅう出会う虫でもないのですが。
現ステージは蝶・蛾の現地での生展翅が出来る状況にないためいつもスルー。
ハグルマヨトウ等と共に、早くたくさん展翅したい沖縄の蛾の一つではあります。
前種とは全く関係はありませんが、西表島で結構目に付くのがこれ。
日本最大のムシヒキアブ、メスアカオオムシヒキ。
オオバギの葉上に留まる♀。♂はやや小型で青いので、赤っぽい♀とは一見して区別出来ます。
石垣島では草原に近い環境でよく見ていましたが、西表島では原生林内のやや開けた小道や
ちょっとした空間によく居ます。
優雅に上下に大きく揺れながらダイナミックに飛ぶ姿には結構感動します。
本種の悪食さを現したのがコレ。
なんで♀同士が連結しているんだろうと近づいてみると・・・
なんと、共食い。ブスリとやられた方は息も絶え絶えでした。
自分と同じ大きさのもの、しかも同種に襲い掛かるとはスゴイ@@
何の因果で同士討ちしなきゃいかんのか・・・
虫も大変だねえ。
カテゴリ : 蛾, 雑虫
今回の波照間遠征でミスジクビボソハムシの発生地を確認する事が出来ました。
本種は近年沖縄地方に国外から侵入してきた北米原産の美しいハムシで、波照間島でのオフィシャルな
記録は僕が昨年共著で発表した1例しかありませんでした。
この時にミスジクビボソハムシという和名を提唱したところで(発案は共著の方です^^)、それまでは
Lema spと呼ぶしかなかった本種がかなり身近な存在となったと思います^^
存在自体は有名になった本種ですが、実は未だあまり一般的ではありません。
その原因はホストがなかなか目に付き難い植物だからで、ちょっと探した程度では大抵見つかりません。
しかも植生の変化にとても敏感な植物で、毎年同じ所に自生してくれないことも本種を採集し難い物に
しています。
現に僕が昨年石垣島で見つけていた繁殖地も、今年来島してみると綺麗さっぱりホストが無くなっており、
とても驚いた次第でした。
(ただ別途に新たな発生地を見つけて事無きを得ましたが^^)
さて、波照間島で見つけたホストのセンナリホウズキ。
相当に食痕が在るのが分かりますね。
ざーっと見回すと、直ぐに交尾個体が目に付きました。
ホントに美しいハムシだなあ^^
典型的な本種の繁殖株で、次々と見つかります。
葉裏には幼虫、加えて卵塊も見つかります。
今の時期にはステージが入り乱れていることが分かりますね。
波照間産は今度何時採集出来るか分からないのでちょっと多めに摘んでおきました^^
この場所の個体群もたぶん次回は見られないでしょうし。
来年からは八重山から軸足を別に移すので本種を楽しむのもとりあえず今回が最後になるかな。
余裕があれば、地元に戻る際に飼育材料を持ち帰りたいと思います^^
タグ : ミスジクビボソハムシ
カテゴリ : 雑虫
今年は採れないな・・・と半ば諦めていたルリゴキブリが採れました^^
林縁を適当にスウィーピングしていたら入ったもので、なかなか確実な採集法が無い虫です。
他にもゴキブリ類は色々と目にするのですが、僕が狙っているのは本種だけ。
コレクターとは実に不真面目なのだ^^
ついでに面白い形態の雑虫の蛹が採れたので紹介しますね。
さて、これは何でしょう?
はい。羽化したのはコレです。
オオナガシンクイ。モヒカン刈りのような頭部の形が面白くありませんか^^
もう一つ面白いのはエリトラの翅端です。左右それぞれが大きな突起状に出っ張っています。
勉強不足なので分からないのですが、野外で数を採るとこの突起が在るものと無いものがあるので、
恐らく性標なのでしょう。
特段に珍しくはない雑虫ですが、とても面白いので実際手にとって見て下さい^^
タグ : ルリゴキブリ
カテゴリ : 雑虫
八重山での写真を整理していたところ出て来たシリーズ。
ガガンボとアブです。
一般の虫屋さんには興味の薄いグループですね。まあ僕もそうです^^
大型で綺麗な種類が目に付いたりするとアミに入れたりはしますがいつの間にか何処へやら。
展翅する時間もないし標本になることはまずありませんね。
石垣島でのこと。立木に出来たウロを覗こうとすると、そこに溜まった木屑フレーク(古くなって分解され
湿った土くれとなったもの)の上で激しくポンピングするデッカイ蚊のようなものがいました。
近付くと大型のガガンボが腹部末端をトンボの産卵のように何度もそれに突き刺しているのです。
ガガンボの幼虫と言ったら水中で生活するものとばかり思っていたので意外でしたね。
多湿で餌が潤沢にあれば色んな環境で適応出来るのでしょう。
とにかく激しい産卵行動だったのが印象的でした。
蛇足ですがガガンボに刺された人って居ます?
僕は幼少の頃、電灯の前でフワフワ飛んでいた大型ガガンボを、それとは知らず大きな蚊と思い
面白がって両手で捕えたところ、刺されてしまったことがあるのです。
あのジカッとした激痛は今も忘れません。
三つ子の魂、百までと言いますが、どうもガガンボは苦手だなあ。
次も同様に西表島のジャングルで湿った土くれに産卵していたもの。
ベニボシカミキリの発生源である大径のオキナワウラジロガシ立ち枯れの下に、土くれと化した
古い木屑が溜まっていたのですが、大型美麗アブ(有名な種類だが名前忘れた)がその上に留まって
何かしています。
良く見ると腹部を曲げてそれに何度も突き当てています。産卵行動です。
前段のガガンボのような激しい産卵行動ではありませんが、土くれに産卵するアブというのも自分に
とっては意外なものでした。
同様にこうした環境で育つアブの幼虫も居るんですね。
アブの幼虫と言えばやはり幼少の頃、沼の表面で蠢いていた長いシッポを持ったウジ虫を見て以来、
これもなんとなくニガテな虫になっちゃったなあ。
以上、人気虫ではありませんが(一部の虫屋さん、失礼^^)、生態の一環としての報告でした。
カテゴリ : 雑虫
天気予報を見ると、九州地方は1カ月ほど続いた重たい前線の影響からようやく抜けつつあるようです。
昨日の雨から一転し、本日午前、少なくとも平野部は気持ち良いほどの晴天が広がっています。
ここ1週間ほどは野外に出ても深刻な雨に祟られることはないでしょう。
一つ厄介なのが少し気温が下がってしまっていることです。
これから秋物が最盛期となりますが、山間部ではやはり気温が低いと虫達の活動は鈍くなってしまうので
もう2~3℃は高くなって欲しいのですが・・・
ただ今週末について言えば、僕はメルマガの執筆と発行に加えオークションの締切および再出品、
そして発送準備とてんてこ舞いなので本格的な秋物狙いは週明けからとなりそうです。
ここ二日ほどで天気の更なる安定と気温の戻りを期待したいですね。
さて、7月に行った屋久島の写真を整理していると面白い虫が出てきたので紹介します。
キガシラハサミムシです。
正直僕はハサミムシの仲間の採集およびコレクションは全くやっていませんが、本種だけは例外です。
その理由は写真を見て頂けると一目瞭然だと思いますが、なんと素晴らしいハサミなのでしょう!
試しにちょっと自らの指を挟ませてみましたが、思ったより痛かったですよ。
決して「ダテバサミ」ではないようです^^
ハサミを含む体全体が漆黒で、頭部後縁に鮮やかな黄帯のアクセントがあります。
奇虫好きのコレクターにはたまらないでしょう^^
しかも数が少なく、一回の遠征で採れてもせいぜい1~数頭と僅かなものです。
樹上性とのことですが、あれほどスウィーピングやビーティングを行っているにも関わらず、まず
入ってきません。
本当に純粋なる樹上性なのか、ただ単に少ないのか・・・
ハサミムシ如きですが、本種についてはいろいろと解明したいなあ(標本もいっぱい欲しい^^)。
タグ : キガシラハサミムシ
カテゴリ : 雑虫
今月も10日頃まではそうでもなかったのですが、梅雨前線もいよいよ八重山に座り込んだようです。
どうもあと1週間程度はまともな採集は出来そうもないですね・・・
このようにハデに雨マークが出ていてもこれまでは好転することが多かったのですが、ここ暫くの
雲の動き、雨の降り方を見ていると長雨に悩まされた昨年前半によく似ていて嫌な感じ。
仕方が無いとは言え、こうもまともに採集が出来ない日々が続くとまいっちゃいますね。
もう随分治まってきましたが、今シーズンは一時酷い腰痛に悩まされたので良いリハビリ期間には
なるかな。
そんな時期、野外で見た雑虫で写真を撮っていたものについて幾つか紹介します。
まず、梅雨に入る前から路傍で目に付く虫、いやどう見てもセミですね^^
本土でセミと言えば基本的に樹木にくっ付いているものですが、イワサキクサゼミはこうした草本植物の
上で数頭が固まって活動しています。
とても鈍いセミで指で簡単に摘めますし、飛んで逃げることもありません。
これは♂二頭が共鳴している場面ですが、他種と同様に1頭が鳴き始めると複数が合唱を始めます。
時期的に発生はほぼ終了で、歌声の主役は低山帯で合唱するツマグロゼミに代わっています。
これはとても変わった体型のコブナナフシ♀。
本種はナナフシでは異質の存在で、コノハムシに近いともされるようですね。
他種と異なり暗い場所のビーティングでたまに落ちてきます。
普通ナナフシはこういう場合、「木の枝」であることを放棄して^^、素早く歩いて逃げようとします。
石垣や与那国にはとてつもなく巨大な種類が居るので写真に残したいのですが、動きが早いので
まあ撮れない撮れない^^
でも本種は違います。すなわち、こうなります。
「ピーン^^」
つまり、徹底して木の枝への擬態を捨てないんですね。
まあ、他種と異なり動きが極めて鈍いのでこうするより仕方が無いのかもしれませんが^^
ヤエヤマエボシハゴロモ。
ヤメテ、笑いが止まらない^^
手のひらサイズの大きなバッタ、タイワンクツワムシ。
南方にしか居ないのかと思っていましたが、与那国以北、少なくとも中部辺りまではずっと居て
北上傾向もあるとか。
そう考えると特段取り上げるまでもない虫ですが、実は僕は大きなバッタや特徴あるナナフシには
ちょっと興味があるんですよ。
これらは自分で採集したり標本を作ったりする対象ではないのですが、シンガポール駐在員時代に
東南アジア産の素晴らしさに気付き、仲良くなった現地標本商からちょこちょこと集めていました^^
面白いものについてはオフにでも紹介しますね^^
バッタ、ナナフシ、カマキリと言えばほとんどの方は興味が無いと思いますが、美麗かつ奇抜な種類の
内臓を抜いて綺麗に展翅・展足を施し急速乾燥させた標本は本当に素晴らしいですから。
僕は老後、東南アジア某所に数年は移住する予定ですが、こうした虫達とも合間見えることが出来るので
とても楽しみです^^
タグ : イワサキクサゼミ, コブナナフシ, タイワンクツワムシ
カテゴリ : 雑虫