キバネニセリンゴ | 蝶・カミキリ・昆虫を楽しむ!(九州・沖縄を中心に)

高地性サペルディーニが集まるマイ・オヒョウ^^(2013.2.3)

カミキリのサペルディーニ族(Saperdini:トホシカミキリ族)のほとんどの種類は、後食のため特定の
植物の葉を訪れることが知られています。

フチグロヤツボシならホウノキとか、ムネモンウスアオならヤンバルアワブキ、ムネモンヤツボシなら
サルナシ、ジュウニキボシならセンノキ、イッシキキモンならクワ類といった風ですね^^

葉の裏から主脈を齧って線状の食痕を付けるタイプ、葉の表に留まって不定形な穴を空けるタイプなど、
その食べ方にも幾つかのパターンがあります。

すなわち、植物の種類および後食痕を組み合わせると、そこにある種のサペルディーニが潜んでいる
という格好の目印となるのです。
カミキリ屋さんはその事をよく知っていて、採集の一助としているわけです^^

そして、何種類ものサペルディーニを誘因する採集者にとっては有難い植物もあります^^
その代表がオヒョウやハルニレ(いずれもニレ科)です。

採集者の多い関東近辺なら、これらの枝先を掬うとニセヤツボシ、シナ、ハンノアオ、シラホシキクスイ、
ヒゲナガシラホシ、カツラ、クロニセリンゴ、セミスジニセリンゴ、シラホシなど多種のサペルディーニを
採集することが出来ます(場所によってはラミーなんかも来る^^)。

ただ元々は寒冷地に多い植物であり、本州以北では何処にでもあるので採集にも使い易いのですが、
九州の採集地において良い木を見つけるのは非常に厳しいです。

そうした中で、僕は地元の高標高地点にマイ・オヒョウを数本持っています^^
この一画を見つけるのに相当苦労しましたが。

去年の秋、落葉が進んだ頃のマイ・オヒョウの一つ。
今年の夏も頑張ってサペルディーニ達を集めてね^^

これを丁寧に掬うと、キバネニセリンゴ(シラホシキクスイの代置種)、コジマベニスジ(カツラ一型)、
ハンノオオルリ(ハンノアオ亜種)、クロニセリンゴ(九州では珍)、セミスジニセリンゴ等を結構恵んで
くれます^^

近くでは大珍品のシナ九州亜種もナイターで採っているので、上手くすればこれに集まってくるでしょうし、
熊本では2頭しか採れていないヒゲナガシラホシも記録地がこの近くなので、いずれ採れると期待して
います。

後食のために特定の植物に集まるカミキリは他にもかなり多く、ここでは十分に語り尽くせないため、
面白い生態も含めていずれ種類毎に解説を加えていきたいと思います。

お気楽な原生林採集+プチナイター(2012.5.20)

昨日は私が「庭」にしている九州山地の原生林に行って来ました。

九州は本州と比べると原生林の割合が低く、九州山地ならこの辺りまで来ないと森林性の
昆虫がなかなか採れません。

なので、九州各地から虫屋がよくやってきます^^
夏~秋の週末は大抵誰か来ているので外すのですが、この時期はGWを除くとまず誰も
来ません。土曜ではあるものの、天気が崩れる前にこの時期の探索に行ってきたというわけです。

地元の特権を生かし、午前10時頃にゆっくり到着します^^
ここは標高が1,500メートルほどと九州の採集地としては相当高い所なので、当日のように
曇りだとまだかなり冷えます。

早速、暗い原生林に入り込みます。
ここには太い倒木や湿気を帯びた小枝が多く転がっており、ルリ、ニセコルリ、ヒメオオ、オニ、
ツヤハダのクワガタ類、ソボセダカコブヤハズなどのカミキリ、そして森林性昆虫類の良い採集地と
なっています。

ニセコルリの新芽採集には遅いので、手ごろな朽木をひっくり返していくと産卵したばかりの♀
および産卵マークが現れました。
この方法で♂も幾つか見つかり、新芽が終わると♂も朽木の周辺に移動することが分かります。


朽木の表面にはツノクロツヤムシも結構見られました。

立ち枯れも多く、雑虫もいろいろと活動しています。

実は倒木下部の暗い部分で交尾中のソボセダカコブヤハズも居たのですが、位置が悪く
写真を撮ろうとしたら谷底に落っこちてしまいました(泣)。
どうも僕はコブとのカメラ相性がよくありません。これまでにも撮影中にかなり落っことしています。

ちょっと古いのですが、こんなブナ巨木が倒れていると様々な雑甲虫の絶好のポイントとなります。
これ位の量があればここで1時間は遊べますね^^

じっくり細部をルッキングしたり丁寧にビーティングしたりすると、高山性のゴミダマ、ナガクチキ、
コメツキ、オオキノコ等面白い甲虫類が色々採れます。
まあ、珍しいのは単発が多いのですが^^

ビーティングで落ちたトゲムネツツナガクチキ。
これはヒットです^^
ここは熊本なので図鑑で言うヒゴツツナガクチキかも@@

もう少し気温が高いとヒメオオクワガタ等も倒木をよく歩いているのですが、さすがに今日は
居ませんね。

午後4時頃になると林内が相当暗くなって視界が利かなくなってきたので外に出ます。
そして葉上性のカミキリを狙ってみようとポイントに向かいます。

まだ早いかなと思ったのですが、オヒョウやハルニレの枝先を掬うとクロニセリンゴをはじめ、
キバネニセリンゴ、カツラ(チチブニセリンゴ型)が少数入ります。
これらのカミキリは種類も数も本番はまだこれからですね。

午後7時からナイター開始。
この時期にも拘わらず、思ったより蛾の種類が結構出ていたのは意外でした。

ゼフの展翅ジゴクに陥っているので^^、蛾は厳選して採ります。
狙っていたアマギシャチホコは来ませんでしたが、エゾヨツメの♀が二つ採れたので満足です^^
さすがに寒すぎて甲虫はオオキイロコガネが来たくらいでしょうか。

午後10時には遂に雨が降り出し、新手の虫も来なくなったので撤収。
気温は12℃でした。寒っ。

ここは僕にとっては庭なので、これから毎月何度かは調査に来たいと思います。

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