ツヤハダ | 蝶・カミキリ・昆虫を楽しむ!(九州・沖縄を中心に)

お気楽な原生林採集+プチナイター(2012.5.20)

昨日は私が「庭」にしている九州山地の原生林に行って来ました。

九州は本州と比べると原生林の割合が低く、九州山地ならこの辺りまで来ないと森林性の
昆虫がなかなか採れません。

なので、九州各地から虫屋がよくやってきます^^
夏~秋の週末は大抵誰か来ているので外すのですが、この時期はGWを除くとまず誰も
来ません。土曜ではあるものの、天気が崩れる前にこの時期の探索に行ってきたというわけです。

地元の特権を生かし、午前10時頃にゆっくり到着します^^
ここは標高が1,500メートルほどと九州の採集地としては相当高い所なので、当日のように
曇りだとまだかなり冷えます。

早速、暗い原生林に入り込みます。
ここには太い倒木や湿気を帯びた小枝が多く転がっており、ルリ、ニセコルリ、ヒメオオ、オニ、
ツヤハダのクワガタ類、ソボセダカコブヤハズなどのカミキリ、そして森林性昆虫類の良い採集地と
なっています。

ニセコルリの新芽採集には遅いので、手ごろな朽木をひっくり返していくと産卵したばかりの♀
および産卵マークが現れました。
この方法で♂も幾つか見つかり、新芽が終わると♂も朽木の周辺に移動することが分かります。


朽木の表面にはツノクロツヤムシも結構見られました。

立ち枯れも多く、雑虫もいろいろと活動しています。

実は倒木下部の暗い部分で交尾中のソボセダカコブヤハズも居たのですが、位置が悪く
写真を撮ろうとしたら谷底に落っこちてしまいました(泣)。
どうも僕はコブとのカメラ相性がよくありません。これまでにも撮影中にかなり落っことしています。

ちょっと古いのですが、こんなブナ巨木が倒れていると様々な雑甲虫の絶好のポイントとなります。
これ位の量があればここで1時間は遊べますね^^

じっくり細部をルッキングしたり丁寧にビーティングしたりすると、高山性のゴミダマ、ナガクチキ、
コメツキ、オオキノコ等面白い甲虫類が色々採れます。
まあ、珍しいのは単発が多いのですが^^

ビーティングで落ちたトゲムネツツナガクチキ。
これはヒットです^^
ここは熊本なので図鑑で言うヒゴツツナガクチキかも@@

もう少し気温が高いとヒメオオクワガタ等も倒木をよく歩いているのですが、さすがに今日は
居ませんね。

午後4時頃になると林内が相当暗くなって視界が利かなくなってきたので外に出ます。
そして葉上性のカミキリを狙ってみようとポイントに向かいます。

まだ早いかなと思ったのですが、オヒョウやハルニレの枝先を掬うとクロニセリンゴをはじめ、
キバネニセリンゴ、カツラ(チチブニセリンゴ型)が少数入ります。
これらのカミキリは種類も数も本番はまだこれからですね。

午後7時からナイター開始。
この時期にも拘わらず、思ったより蛾の種類が結構出ていたのは意外でした。

ゼフの展翅ジゴクに陥っているので^^、蛾は厳選して採ります。
狙っていたアマギシャチホコは来ませんでしたが、エゾヨツメの♀が二つ採れたので満足です^^
さすがに寒すぎて甲虫はオオキイロコガネが来たくらいでしょうか。

午後10時には遂に雨が降り出し、新手の虫も来なくなったので撤収。
気温は12℃でした。寒っ。

ここは僕にとっては庭なので、これから毎月何度かは調査に来たいと思います。

熊本産ツヤハダクワガタの幼虫埋め込み(2012.4.8)

今日は先月に熊本の高地で採ったミナミツヤハダクワガタの幼虫の埋め込みを行いました。

まず、小型コンテナの底に寄生していた朽木くずを数センチ敷き詰めます。
そして芯となる大きな朽木の塊を置いたら、隙間を隈なく朽木片と木くずで埋めてしまいます。
その上に幼虫を播いたのが写真です^^

蓋をする前にさらに細かな木くずで幼虫を覆ってしまい、下に潜りやすくします。
幼虫は堅い部分を求めて移動するので、最後には芯材に集中的に入ることになります。
そしてこのコンテナを採集した場所に避暑に出すわけです。

標高1,500メートル近辺に生育するツヤハダを平地で飼うのは不可能です。
東京にいた頃、群馬県の武尊山で採ったツヤハダ幼虫を北区で飼育したことがありましたが、
真夏に跡形もなく溶けてしまいました・・・

やはり失敗の経験から学ぶことは多いですね^^

埋め込み用の朽木片からも7~8頭の幼虫が出てきたりして・・・
こんなことなら朽木片をすべて回収してくればよかった。
山中を縦横無尽に徘徊したのでポイントには二度と辿り着けないのです(泣)。

なにしろ九州のツヤハダ亜種は生息環境が狭い上に個体数が少なく、当てるのがかなり難しいのです。
本州の高山帯なら適当に赤腐れ材を探していれば必ずツヤハダの食痕に当たりますが、
九州ではまず大きな赤腐れ材自体を見つけることが困難なんですね。

今回はそこそこ採れたから良かったものの、それでも二日間で三桁以上の朽木を調査して
ツヤハダが入っていたのはわずか1本のみ。
成虫はようやく3ペアほどでした。

もう暫くは採りに行く気がしません・・・

これと同じ装置をもう一つ作ります。
こいつらが順調に親になってくれれば、当分はツヤハダを忘れられるな。

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