ツノクロツヤムシ | 蝶・カミキリ・昆虫を楽しむ!(九州・沖縄を中心に)

ツノクロツヤムシ、九州の山奥で活動中(2014.10.8)

秋から冬にかけて九州高山帯の採集でよく目にするのがツノクロツヤムシ。
九州在住の甲虫屋さん(特に朽木性甲虫が好きな人)にとっては馴染み深い虫です^^

九州や四国限定の虫なので、本州以北の方々にはあまりピンと来ない虫かもしれませんね。
東南アジア方面には種類も多いので、多くの人からは「ああ、あっちの虫ね」、てな感じで見られて
いるのでしょう。
でも、それが我が国にも一種だけ、しかも九州・四国の高標高のみに居ることが何か面白いと思う
のです^^

適当に朽ちた倒木や立ち枯れの一部を壊すと・・・
このように坑道の中で、数頭単位のコロニーを作って活動しています。

右端の赤っぽい個体は最近羽化したテネラルの新成虫です。
蛹は真夏に見られ、今の時期にはコロニー当たり1~2頭の赤いヤツが見られます^^

以前、下界に下して飼育したことがありますが、冷蔵庫の中でずっと(確か数カ月)生きていました。
平地では冷蔵庫の中でしか飼えないので、クワガタやカブトムシ類のような「ペット虫」としては機能
しませんね。
しかも大体は朽木中のトンネルの中に居るので姿も拝めないし。

10月初旬、標高1500メートルの高標高の原生林内では甲虫類はほぼ姿を消しました。
そんな中、苔生した立ち枯れの表面を歩いていたツノクロツヤムシ。

横にかしいだ朽木の浮き上がった樹皮を取るとその下にも。

いよいよ紅葉が始まった九州の高山では、ツノクロツヤムシがまだ元気に活動中です^^

どちらかと言えばオジャマ虫のツノクロツヤムシ(2012.10.19)

高地帯のマイポイントで朽木を削ってツヤハダやキュウシュウヒメオオ等を探している時、
こんな虫居なきゃいいのに・・・、とオジャマ虫扱いしてしまうのがツノクロツヤムシです^^

もう居るわ居るわ、大げさに言えば削る朽木全てから出てくるような感じです。
これも「こんなに居なきゃ良い虫なんだけど・・・」の典型なんですよ。

ツヤツヤしていて、他種にはない扇形のツノがあって、クワガタチックな触角を持っていて、
結構ボリュームを持った割りとカッコイイ体型と言うか、むしろ虫屋受けするフォルムですよね。
ああ、もったいない^^

空洞になった坑道の中で二頭以上のファミリーで暮らしており、この時期には成虫になったばかりの
茶色の個体もよく見られます。


硬い木からボロボロになった木まで、幅広い環境に適応しているのがこれほど個体数が多い
理由でしょうか。

ただし、それもブナ帯の上部限定の話。
ツノクロツヤムシはそれ以下の低標高には全く分布していません。

九州と四国の高地帯にしか分布しておらず、この仲間では最も北に分布する種類としても
本来は貴重な虫のはずです。

でも、高山帯でツヤハダや他の珍甲虫を探していて「ツノクロツヤムシ地獄」に陥る身からすると、
とてもそんな有難い虫には思えない・・・のは本州以北の人には理解できるでしょうか^^

存在感があまり無いのか、東京にいた20数年間、本州の虫屋さんと九州の虫の話をしていて、
一度も話題に出てきたことはなかったですねえ(それも凄い話だ^^)。

10月中旬、最高気温が15℃以下まで下がった野外で活動している個体がいました。
コブヤハズ類を除いて他の甲虫ではあまり無い光景ですね^^

お気楽な原生林採集+プチナイター(2012.5.20)

昨日は私が「庭」にしている九州山地の原生林に行って来ました。

九州は本州と比べると原生林の割合が低く、九州山地ならこの辺りまで来ないと森林性の
昆虫がなかなか採れません。

なので、九州各地から虫屋がよくやってきます^^
夏~秋の週末は大抵誰か来ているので外すのですが、この時期はGWを除くとまず誰も
来ません。土曜ではあるものの、天気が崩れる前にこの時期の探索に行ってきたというわけです。

地元の特権を生かし、午前10時頃にゆっくり到着します^^
ここは標高が1,500メートルほどと九州の採集地としては相当高い所なので、当日のように
曇りだとまだかなり冷えます。

早速、暗い原生林に入り込みます。
ここには太い倒木や湿気を帯びた小枝が多く転がっており、ルリ、ニセコルリ、ヒメオオ、オニ、
ツヤハダのクワガタ類、ソボセダカコブヤハズなどのカミキリ、そして森林性昆虫類の良い採集地と
なっています。

ニセコルリの新芽採集には遅いので、手ごろな朽木をひっくり返していくと産卵したばかりの♀
および産卵マークが現れました。
この方法で♂も幾つか見つかり、新芽が終わると♂も朽木の周辺に移動することが分かります。


朽木の表面にはツノクロツヤムシも結構見られました。

立ち枯れも多く、雑虫もいろいろと活動しています。

実は倒木下部の暗い部分で交尾中のソボセダカコブヤハズも居たのですが、位置が悪く
写真を撮ろうとしたら谷底に落っこちてしまいました(泣)。
どうも僕はコブとのカメラ相性がよくありません。これまでにも撮影中にかなり落っことしています。

ちょっと古いのですが、こんなブナ巨木が倒れていると様々な雑甲虫の絶好のポイントとなります。
これ位の量があればここで1時間は遊べますね^^

じっくり細部をルッキングしたり丁寧にビーティングしたりすると、高山性のゴミダマ、ナガクチキ、
コメツキ、オオキノコ等面白い甲虫類が色々採れます。
まあ、珍しいのは単発が多いのですが^^

ビーティングで落ちたトゲムネツツナガクチキ。
これはヒットです^^
ここは熊本なので図鑑で言うヒゴツツナガクチキかも@@

もう少し気温が高いとヒメオオクワガタ等も倒木をよく歩いているのですが、さすがに今日は
居ませんね。

午後4時頃になると林内が相当暗くなって視界が利かなくなってきたので外に出ます。
そして葉上性のカミキリを狙ってみようとポイントに向かいます。

まだ早いかなと思ったのですが、オヒョウやハルニレの枝先を掬うとクロニセリンゴをはじめ、
キバネニセリンゴ、カツラ(チチブニセリンゴ型)が少数入ります。
これらのカミキリは種類も数も本番はまだこれからですね。

午後7時からナイター開始。
この時期にも拘わらず、思ったより蛾の種類が結構出ていたのは意外でした。

ゼフの展翅ジゴクに陥っているので^^、蛾は厳選して採ります。
狙っていたアマギシャチホコは来ませんでしたが、エゾヨツメの♀が二つ採れたので満足です^^
さすがに寒すぎて甲虫はオオキイロコガネが来たくらいでしょうか。

午後10時には遂に雨が降り出し、新手の虫も来なくなったので撤収。
気温は12℃でした。寒っ。

ここは僕にとっては庭なので、これから毎月何度かは調査に来たいと思います。

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