カミキリ | 蝶・カミキリ・昆虫を楽しむ!(九州・沖縄を中心に)

ノブオフトカミキリ、ウスイロフトカミキリの材採集(2017.3.21)

「春の嵐」とはまさに八重山のためにある言葉でしょうか。もう慣れっこですが夜半からまたもやの
暴風雨となりました。
雨は一段落したものの何時また本降りになるか分からないので今日も出撃は望み薄です。
数時間でも採集に出れたという意味では一勝一敗程度。一勝二敗以下の昨年よりは良いものの、
あまり記憶の無い虫の居ない与那国を体験しています。

与那国島に来て二度目の採集日和となった昨日は、ノブオおよびウスイロの二種の与那国特産
フトカミキリの材採集を行ってみました。

昨年も感じていましたが、二年前に与那国を直撃した台風の影響は未だに色濃く、これらの生息する林は
甚大な強風でなぎ倒されたり枯れ込んだ木々が多く見られます。
そのせいか二種のフトカミキリの幼虫が入った材はこれまでで最も探し難い状況となっていました。
併せて虫の発生数自体も少なく感じました。

林が痛んだせいか歩き易かった林床には小潅木やサルカケミカン、サルトリイバラなどのイバラ類が
繁茂してなかなか奥へ進めません。
昨年までの羽脱標本は後先考えず放出していたけど、虫の少なさと併せてここまで苦労が多いと
今年のものはおいそれと手放せないなあ。

ノブオフトは材採集では探し難く例年少ないのですが、特に今年は時間が掛かりました。
やっと出てきた中齢幼虫。

本種は基本的に生きているシイの半枯れ部分に食入するので切り落とした枝が完全に枯れると生存率が
極めて悪化します。これもたぶんダメ・・・かな。

と思っていると、今度は蛹が現れました。
 

本種の早い奴は4月中旬には野外に出るので、今頃探すと前蛹や蛹もよく出てきます。
ただ、特に蛹だと傷付き易く死亡する確率が高くなるため、嬉しくはあるものの逆に溜息を付きたくなる
側面もあるのです。ハンドリングもメンドイしね。

 

そして、これも苦戦しているウスイロフト。
僕はかなり得意にしている種類なのでタカを括りながら探したのですが、意外になかなか見つからず
相当焦りました。

そして、先端部が仰々しい木屑で詰められた枯れ枝が見つかりました。
「やっとあったか・・・」

その部分を少し切り取ると、フトカミキリ類の幼虫特有の何も詰めていない坑道が現れます。

さらに割り込むと・・・
じゃーん、ウスイロフト幼虫の登場。


 
一応終齢のようですが、小型の♂になりそうな体形です。
ウスイロフトの最大級の♀は全てのフトカミキリの中で最も巨大なので、大型♀の終齢幼虫が出てくると
「おおーっ」と歓喜の声を挙げてしまうのですが、今回は未だそうした場面に出くわしません。
ノブオフトと同様に、ウスイロフトも不作というのは間違いないようです。
マイコレ分だけはしっかり採っとかなきゃなあ。

次回から与那国のフトカミキリ類は採り易い成虫採集に切り替えようと考えています。

カミキリ数種の幼虫・蛹を確認(2017.3.19)

何時もの八重山の春らしく、天気予報は外れまくり。晴れが続くかと思えばまた雨になる。
相変わらず天気は良くありませんが、晴れ間にカミキリ数種の材採集をしてきました。

まず、ヤシ科のクロツグの枯れ枝に付くヨツスジカミキリの幼虫。
食痕のある枯れ枝の樹皮を剥ぐと、終齢幼虫が現れました。

この幼虫はなかなか背面が見える体制を取ってくれない(常にひっくり返っている)ので、いつもツラが
撮り難く苦労します。

反り返った時に、エイッ、パチリ。
こんな顔です^^

細枝中に作った蛹室内に居る前蛹の様子。

本種は分類的にウスアヤカミキリに近く、成虫は形態的にもいわゆる「ひょっとこズラ」なところが
似ていますが、周年発生でいつも様々なステージが材中に混在している特徴も同様です。

材を幾つも分解すれば蛹や新成虫も出てくると思いますが、後の管理が面倒なので材を追加採集する
だけにしました。

次いでこれも得意なサビアヤカミキリの材を探してみます。
今年は竹に食痕があまり見つからずちょっと焦りましたが、いきなりサナギ・ビンゴの材に当たりました。
枯れ竹の上部を取り除くと、蛹の頭部が見えます。

カミキリ屋さんでもサビアヤの蛹をまじまじと見る機会はそう無いでしょうから、一旦取り出してみましょう。
まず腹面から。

側面から。
デッパな面構えがよく分かりますね^^
そしてツルツルした竹にしっかり留まるための強靭なアンヨも発達しています。

前蛹も出たので、幼虫の頭部・前胸を参考までにアップしておきましょう。
カミキリの材採集をする人でも、本種を採ったことのない人は多いと思いますので。
お分かりのとおり、幼虫も蛹もかなり黄色味が強いです。


林縁のシマグワの枝が恐らく強風で折れ、途中で引っ掛かっています。
見るとカミキリ幼虫の食痕だらけのようです。

太い部分にあるのはヨナグニキボシの食痕。
樹皮下を食った後、材中に食入した穴が分かりますね。

細枝はどこもかしこも食痕だらけ。

蛹室に居るのはハヤシサビカミキリの蛹。いっぱい居る^^

こちらは様々なカミキリの脱出口と、ワモンサビカミキリ幼虫。

残念ながら、これだけたくさんのカミキリのマンションとは言っても全部が普通種。
永年与那国に通う僕はもう採りません。
ただ普通種でも島毎に大抵はどこかしら特化しているものなので、八重山初心者のうちは丁寧に
拾っておいた方が良いです。

こうした美味しい材を見つければ一網打尽という例をご紹介しました^^

虫の発生が遅れる与那国島(2017.3.17)

昨日の午後、青空が顔を出してようやく雨も乾いたので始めて採集に出てみました。
常宿で借りたバイクで慣れ親しんだポイントの幾つかを回ってみます。
滞在している祖納の集落(三つの集落の中で最も大きい)の様子を小高い丘から。

八重山各地ではちょっとした伐採などがあるとカミキリのSybra属やRopica属などといった普通各種は
春先から割りと落ちるものなのですが、あちこちの枯れ枝を叩いても全く落ちない。
「あれれ、まだ早いのか・・・」
昨日まで低温が続いていたので仕方ないんだろうなあと思いながら叩き続けると、やっとフタホシサビ、
サキシマヒメ(リュウキュウヒメ八重山亜種)、そして小さなヨナグニゴマフが落ちました。



昨年秋からずっとオークション活動で採集に出る暇が無く、今年初めて採る虫達です。
普通種であっても生きた虫に出会えるのは嬉しいもんです^^

クワ科樹木の枯れ枝に特産種ヨナグニジュウジクロが留まっていました。
羽脱したばかりと思しき大きな♀^^

いつものポイントを叩いても全く落ちなかったので早々と今回は諦めていましたが、本種もこれからが
発生の本番かも。

ヨナグニウスアヤが落ちるいつものポイントを叩くと・・・
今年も居ました^^

湿気の多い古い枯れ枝などがゴシャッと固まったコキタナイ一画を叩くと・・・
ズビロキマワリモドキ類などのゴミムシダマシも共に落ちることがあります。
ゴミダマ類は島毎に特化するものが多く、かつては与那国をはじめ各島で種類も含め多数がビーティング
ネットに落ちたものですが、近年はカミキリなどと一緒で昔ほどは落ちなくなってきましたねえ。
せっかく図鑑も出たのにね。

落ちたウスアヤのエリトラの斑紋はほとんど綺麗なものばかりでスレた個体はほぼありません。
こうした状態を見ても虫の出が遅れ気味であるのが分かります。
これは初めから想定していたものなので特段のショックはありませんが、残りの滞在期間においてちょっと
作戦の練り直しが必要のようです。

昨晩からまた暴風雨となり、雨は上がったものの午前は全く採集になりません。
午後は好転を期待しましたが雨脚も強くなり、今日も丸一日潰れる事となりました・・・

西表島のブラウンなヤエヤマフトカミキリ(2017.1.20)

3月からの長期遠征のシミュレーション・シリーズ。
今日は西表島のヤエヤマフトカミキリをちょっと考えてみます。

ヤエヤマフトカミキリと言えば、八重山で最も安易な石垣島で初夏から適当に採集していれば
大体引っ掛かってくるので一般的にはあまり気にされない部類にカテゴライズされていると思います。
それに体色が暗いグレーで面白く無く、カミキリ屋受けするフォルムの割にはパッとしない感じも。

ただ石垣島の北部にはかつて亜種とされていた体色がややライトブルーの美しい一群がおり、
あまり数も採れないことからそれなりの評価が与えられているようです。
僕もこっちばかり狙ってきましたが、この一群がどの程度まで南部で採れるかというのが
個人的な次の研究材料です。

そして昨年から採り始めた西表島のヤエヤマフト。これがまた変わっていて面白いですねえ。
ピカピカの♀です^^

一見して石垣島産とは異なるブラウン色を呈しているのが分かりますね。
石垣産を見慣れていると(大体の人はそうなので^^)かなりの違和感があります。
ベニボシカミキリ狙いで初夏に西表島に入るカミキリ屋さんも結構居ますが、なかなかこっちまでは
手が回らず採りこぼしている人も多いようです。

うーん、良いなあ。
ブラウンのヤエヤマフトカミキリ^^

フトカミキリ類はスレ易く、そうなると見る影も無いので集中して発生初期に狙う必要があり、
ポイントの少ない西表島では数を採るのは結構大変。
去年採ったものはほとんど残っていないので(何故だ?)、箱に並べられる程度は再捕獲して
おかなきゃな、と計画しているところです。

宮古島で採れた記録は遇産としても、波照間島産は採りこぼしておりとても残念。
西表産とはまた違った変異を持っているかもしれず、これは数年後の八重山・沖縄定住時に
じっくり狙うことになりそうです。

九州では珍品、マダラゴマフカミキリが羽化(2016.12.23)

暮れも押し迫る中、自宅の容器の中で九州では珍種のカミキリがひっそりと羽化しました。
それは、マダラゴマフカミキリ。
先月下旬、大分県九重山で開催された九州虫屋連絡会の際に、原生林の中での散策で枯れ木より
蛹を割り出していたものです。

本州の一部では、コナラ林(二次林)の住人でもあったことが判り多数が採集されてかつての
珍品の座からあっけなく滑り落ちたのは記憶に新しいところです。
かつて僕も福島県舘岩村のコナラ林において、相当の数を採集して驚喜したものでした。
が、九州においてはそうした環境では見つかっておらず、未だに原生林色の濃い、かつ極めて
局所性の高い珍種という位置付けは全く変わっていません。

九州では大分の九重山系および祖母・傾山系で多少は採れているものの、その他では僕の郷里の
熊本で僅かに1頭が採れているのみです。
その熊本産も厳密に言えば九重山系に関連の深い阿蘇山系の南部の渓谷でポツンと採れており、
九州中部の九州脊梁山地では記録がありません。
このことからも九州に於いては極めて局所的なカミキリということが言えるわけです。

これが羽脱した九州産マダラゴマフカミキリ。
かなり小さい印象ですが、九州では初めて採った^^

ここが本種の蛹を採集した環境。
(参考)先月下旬の九州虫屋連絡会参加の様子

オーソドックスに「イヌシデ」(本種のホストとしてよく知られる)の直径十数センチの幹
(地面に倒れたもの)の樹皮下近くに作られた蛹室内の蛹。
複眼が色付き始めており、冬を越して暖かくなったらすぐに羽化するであろうことが見て取れます。


たぶん本種だろうと確信はしていましたが、ちゃんと羽化してくれて良かった良かった^^
蛹を取り出すと、ハンドリングによっては傷付けてしまい死に至らせるケースが結構ありますから。
成虫も含めて追加が得られそうな感触を得られたのも大きな収穫でしたね。

再来年から予定している九州本土での重点採集活動がますます楽しみになりました^^

カミキリの幼虫や蛹が材の断面に見えたら・・・(2016.12.10)

昨年4月の沖縄本島におけるベニモンゴマフカミキリを例に取り、材採集中に材の断面にカミキリの
幼虫や蛹が出現したときの簡単な対処法をご紹介します。
応急的な措置ですが、カミキリに限らず様々な材性甲虫その他に使える方法なので是非ご多用を。

これは沖縄北部においてミカン類の枯れ枝から出現したベニモンゴマフ成虫。
拡大してみると(写真をクリックのこと)、人間のように頭部に「つむじ」があって面白い^^

発見されたときはとてもセンセーショナルで、当時は皆こぞって採りに行った珍品でした。
採り方が分ってからは普通種扱いになっちゃいましたね。特に最近の価値のデフレ傾向は酷い・・・
評価は下がっても、エエ虫です^^

材を削って出た幼虫。
のけ反っていますが^^、これぞゴマフ特有の顔。

蛹も出るのだ^^

上の写真のように幼虫の坑道を破壊してしまった場合は別として、材を輪切りにした際に
断面にこのように坑道が現れることがあります。

幼虫の尾部が見て取れますね。時期には蛹が現れることも勿論あります。
ちなみにゴマフの幼虫は樹皮下を食った後に材部に入りますが、老熟した幼虫の食痕は
このようになります。

で、この幼虫入りの材を持ち帰る際の簡単な対処法がこれ。

誰でもリュックに忍ばせているティッシュを少し千切って指先でクルクルと丸め、隙間の無いよう
坑道に詰め込んでやるわけです。
これで幼虫に物理的な刺激を与えることは全く無くなり、安心して運搬することが出来ます。
この方法は単純なだけに色々とアレンジも出来るでしょう。

時間の余裕があれば、この上からビニールテープ等で補強をしておけばアリバチ等の天敵が
さらに侵入し難くなるので重要種の場合はやっておくと良いでしょう。
慣れないうちは幼虫を取り出して管理するより、元々居た坑道を利用して飼育を行った方が
良いです。

ただ、材に天敵が潜んでいることも多いので、慣れてきたら材をそのまま使うか、人工的に
飼うか(様々な方法があるので折に触れて紹介します)を状況に応じて使い分ける必要があります。

カミキリの材採集は簡単に始められるので、経験の無い方は是非やってみて下さいね^^

2017年長期遠征のイメージトレーニング開始(2016.12.2)

今年もいよいよ師走に入りました。2016年も残すところ一カ月。
やり残したこと、悔いが残るもの、それでもやり終えなければならないことなど、皆さんも色々と
頭を過ることと思います。

僕なんかボンノウの塊ですからね。採れなかった虫達を恨みつつ悶々と・・・
年末は行く年来る年を見て、しっかりと百八つのカネの音でこれらを払わねばなるまいて。

さて、師走を迎え来年の足音がしっかり聞こえてきたこともあり、ちょっと早い気もしますが
来春からの長期遠征のイメージトレーニングを始めたいと思います。
前から触れているように、近年では来シーズンで南西諸島への長期遠征を一旦終える予定と
していることから、悔いの無い数カ月としなければなりません。
そのためにも確実にモノにしたい種類についてのシミュレーションは欠かせないというわけ。

まずは初っ端に入る与那国島からいきましょうか。
今日は僕が得意ともする同島特産のノブオフトカミキリを取り上げます。
時期にアップした写真とカブるかもしれませんがそこはお許しを。

まず、半生の枝から出た中齢幼虫。
枯れかけの枝だとウスイロフトがたまーに混じるので紛らわしいのです。

下は全くの生枝を食う終齢幼虫。黄色味が強く、これは完全にノブオフトです。
こんなのがたくさん採れれば苦労はしないだけどなあ。しかしなかなか採れない・・・

さらに都合の良い蛹。勿論、こんなのほぼ皆無・・・

危なく切っちゃうところだったノブオフト幼虫の頭部。何処に居るか全く予測不能。

もうすぐ蛹化する、体皮がしわしわになった前蛹。
この状態は結構ハンドリングが難しく、移動中は特に奇形の蛹になったりするので厄介なのです。

羽化した美しい成虫(♂)。
来年もしっかりと目を楽しませて貰おう。今から楽しみだ^^

オークションでは人気のためポンポン出していたら自分の分が全く無くなっていて、ビックリ@@
そしてションボリ。
しっかり挽回して、今度は確実に箱に収めなきゃ(汗)。

超巨大なヤエヤマムネマダラトラカミキリ(2016.11.13)

たまたま目の前に石垣島のとある場所で採ったヤエヤマムネマダラトラカミキリが幾つかあるので、
今日はこれを取り上げてみます。
取り上げた理由は、八重山亜種の中でもとにかく超巨大だから^^

「ええ、こんなの居るのお、八重山亜種ってホントに本土産と同種?」
これが超巨大ヤエヤマムネマダラトラを現地で見た時の第一印象でした。
まずは単独で写真に収めてみます。


一見して本亜種としての特徴は見て取れますね。併せて言えば色調もかなり明るく感じませんか?
ちなみに、西表産の本亜種を幾つか組み合わせて撮ってみましょうか。

西表産はとりあえず大小2ペアを選んでいます。もうちょっと大小の幅はあるけど大体こんなもの。
ところが面白いことに件の石垣産、押し並べて巨大な個体ばかりなんです@@
特段に巨大個体を選んだのではなく、その付近で採る個体群は大体この程度の大きさなんですよ@@
(個体数は多くはない。)
さらに不思議なのは、そうした超巨大個体が出現するのはある地域だけで、石垣の他の殆どの場所では
上の西表産程度の変異が見られるのみです。

そして、これらに広島産の本土亜種を加えてみましょう。スケールも入れてね。
こーんなに違うんだから。


 
元々トラカミキリ系は大小の変異は大きい方で、本種の本土亜種の中でもその傾向は見られます。
トラカミキリは同種でも大小さまざま。
本件はその常識のレベルを超えちゃった例ではないでしょうか。

なお広島産を採った際にお世話になった知人によると、その場所のムネマダラトラは皆その程度の
チンケな個体ばかりと言われていました。ホスト(幼虫の食べ方も含む)、出現場所の雰囲気、
そして出現期など、八重山産と本土亜種とはまるで異なっていました。

体の厚みが決定的に違うので、深度合成して写真を撮っても下のようにピント合わず^^

亜種以上の違いがあるのではないか。
そうした「?」の部分の話はとりあえず此処では避けておきましょう。

本種に関しては、少なくとも特異的な個体群が出現する場所があると言えそうな気がしています。
数をあまり見ていない沖縄産や奄美産ももっと欲しいですね。
あ、八丈亜種もいつか採りに行かなきゃ・・・
本種の全国的なコレクションは実に面白そうです^^

ナンキコブと四国南西部コブを比較したりなんかして(2016.11.3)

11月に入り一段と冷涼な気候となってきましたね。
九州平野部でも遂に毛布を被らなくては寝られないほど朝晩は冷えるようになりました。
こうなるともう活動中の虫もほぼ居なくなり、今年の採集シーズンも終わったと言えますね。

今後はもう少しして「冬」の雰囲気が出て来たら、越冬中の成虫採集に出てみることにします。
詳しい計画はメルマガで触れますが来年までは南西諸島の長期遠征を続けるので、今冬までは
カミキリの材とかゼフ越冬卵などの飼育材料を抱えることが出来ないため勢い成虫で越冬する
タイプの虫しか狙えない状況が続きます。
これはこれで種類も結構あるので楽しいんですねどね^^

オークションの合間を見ながら、やっと自分の標本を作り始めています。
ここ四半世紀ほどはほぼ自らの標本を作製してこなかったのでとんでもない量のタトウや三角紙を
抱えていましたが、ようやく標本を作る気になってきました。
とりあえず目の前にあったタトウを開き、軟化展足したりアセトンで油抜きをすべき個体を選んだり
しているところ。

当ブログを始めて4年目となりますが、思えば自らのコレクションという意味での標本写真は
ほとんど載せたことが無かったように思います。まあ標本自体を作らなかったので当たり前か。
作ってきたのはオークションのためのものばかり。
よって今後は、標本作成時に多少は面白いかなといったものが出てきた折にそれらコレクションの
写真等も公開していこうと思います。

今日はたまたま開いたタトウ(中身は上の写真)に面白いものが入っていたのでちょっと
お目に掛けたいと思います。
紀伊半島の真正ナンキコブヤハズカミキリと一部で物議を醸した四国南西部の「シロナンキ」とか
いう奴です。

まずこれは紀伊半島産の真正ナンキの野外採集品で頂き物。採集者さんはしきりに「小さくてゴメン」と
言われていましたが確かに小さい^^(今度は大きい奴、お願い!)
でも、ナンキコブの特徴が十分過ぎるほどに発現した良個体です。感謝感謝。




これでもか、というくらいに翅端が張り出し(特に♀)、トゲの長さも十分。
これぞ「ナンキ」ですねえ。自ら採集に赴くのがとても楽しみです^^

次はナンキコブの特大飼育個体。上の野外品と♂♀同士を並べてみると翅端のトゲはやや短め
になるものの(これは偶然でしょう。個体差もあるし)ナンキコブの特徴はもちろん揺るぎません。
上の野外個体と♂♀それぞれを並べてみましたが、なんちゅうオバケな個体なんだろうか・・・




そして問題のシロなんとか。もうバカバカしくて名称も書きたくありましぇん。
ただこれら(飼育個体)がスゴイのは、上の飼育ナンキコブよりさらにデカイこと。
こりゃもうオバケを通り越して怪物ですわ@@
残念なのは♀がないことかな。

で、大きい♂を真正ナンキの飼育個体♂と比較してみたのが下の写真。
超大型個体、しかも共に美しい飼育個体なのでそれぞれの特徴が一発で分かります。


横から見てみたのが次。さらに違いがはっきりと判ります。
こんなの、何故同じ「ナンキ」という言葉で一緒くたにしようと思ったんだろう・・・



もう違いは明らかだけど、面白いのはコブ状の隆起の具合で、これほど違うのかというよりも
四国南部産のコブ隆起、いわゆる「ヒップ」がキュッと上がっていて、かつ締まってスマートである点。
なんとなく凹凸にメリハリ感がありますね。
一方の真正ナンキのヒップはでぶっーとして左右に張り出しています。
言わば西洋人と東洋人のお尻を見ているような錯覚に陥ってしまったのは不覚、でした。
色もホワイトとブラウンだしね^^
一見して「人種」が違うんだから、まあそういうことでしょう。

シロなんとか。肯定できるのは「色白」だけだったという個人的見解でした。
見解・意見には個人差がありますからね。別次元の資料を持ち、そうは思わない方が居ても当方は
特段気にはしません。確か四国南東部のクロなんとかというのもありましたが、いずれ採集に赴き
標本を増やして比較して楽しんでみましょう^^
地元九州のセダカコブはもちろん各地標本も見て自分なりに研究していましたが、採集自体は
後回しにしてきたのでコブ採集は再来年からの地元回帰活動の大きな楽しみであります。
(ただし、フクチlongicornisはあまり好きではない。ソボgrossus(特に黒いタイプ)・命です^^)

セダカコブはスポットスポットでの地域変異が大きい虫なので、あちこち産を大量に飼育したりして
バラ撒くのも楽しそうだなあ^^
もちろんヤクコブやツシマコブ、南限クロコブなんかもやりますよ。

蛇足ですが、近々出るとされていた「コブヤハズ図説(仮称)」でこのシロなんとかがどのように
位置付けられるのか非常に楽しみだったのですが、この本の執筆者が最近他界されてしまいました。
この方、月刊むし誌上では通称とはしながらもしっかりシロナンキ、クロナンキと言葉上は
これらの存在を肯定されていましたからね。研究者がナンキと書くからにはナンキ亜種と
見なすということですから、どうなるのかとても興味深々だったわけですが・・・
いずれにしてもコブ図説の発刊が楽しみであります(後継者の方々、ご苦労様です)。

ということでオフでもあり、前段にも記したように今後はコレクションの写真も載せていこうと
思いますので何か取り上げて欲しい題材があれば、参考にさせて頂くのでお知らせください。
(メルマガ読者の方に限られちゃいますが^^)

クイズにも使用した、ムモンベニカミキリ脱出枝について(2016.10.10)

今日は構想から7カ月掛かったネタです。
今季の長期遠征の最中、西表島からこんなクイズを出しました。

(参考)今年3月31日の当ブログ記事
「クイズの種明かし、および重要情報」

冬に採っていたムモンベニカミキリの越冬前蛹が持参先の西表島で早目に成虫となり羽脱したため、
暇潰しも兼ねて(実は本日のネタ仕込みも兼ねて^^)記事にしていました。
あれからもう半年以上も経ったのかあ。歳取るの早いはずだ。

クイズの結果詳細は上のリンクを見て頂くとして、今日書きたいのはムモンベニ幼虫がカシワの枝に
どんな食痕を付けるかです。
下の写真が羽脱した1年枝の全容。二年枝との付け根部分から切り取っていますが(右側)、
切り口から5センチ程度の部分に脱出口があります。

ちなみに、これが幼虫が切り落とした先端部。幼虫は1年枝を衰弱させながら中空にしつつ
このような形で先端を切り落とします。場合によっては切り方が甘く完全に切り離されずに
先端部が表皮の一部分で繋がりぶら下がっている場合もあります(その場合探し易い)。

枝の表面には脱糞口があり、ここから木屑を全て排出、内部は中空に保たれます。

そして、その枝を割ったのが下の写真。
トンネルの前後に木屑を詰め、蛹室にしているのが分かります。


左端が2年枝との付け根部分(この部分は半枯れ状態に保たれている)ですが、蛹室はこのように
2年枝寄りに作ります。場合によっては蛹室が2年枝に入り込んでいる場合もあり、付け根部分で
切ると前蛹を真っ二つというケースも実は多いのです。
よって1年枝の切り取りは注意を払いながら行う必要があります。

昔は「あー、また幼虫切っちゃったよ。ま、いっか」という位に個体数が多く楽しく材採りが出来ましたが、
これまでの記事で触れてきたように大分県飯田高原の有名産地周辺では、実質的にムモンベニは絶えた
というのが九州の虫屋の間でのコンセンサスでした。

そうした中での再発見。
しかし、上のブログ記事に書いたように確認できたのは僅か数頭のみでした。
一応今冬も様子を見てきますが、アレが最後の採集実績となった、というオチにはならないことを
祈るのみです。

クイズ正解者によりこの度のオークションでポイントが使われたので、やっとネタとなりました。
(これが履行されないと3月31日の記事がウソになっちゃうからね^^)

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