ノブオフトカミキリ | 蝶・カミキリ・昆虫を楽しむ!(九州・沖縄を中心に)

ノブオフトカミキリ、サビアヤカミキリが羽脱^^(2017.4.18)

石垣島に入る前に与那国島で採った材から、ノブオフトカミキリおよびサビアヤカミキリが羽脱を
始めました。

まずはノブオフトカミキリの♂。
野外ではなかなか見られない、真っ青でキズ一つ無い個体です。

昨日に写真を出したイシガキフトカミキリに極めて近縁で、同様にシイの生木に付くため採り難い
与那国特産のフトカミキリです。
今年はあまり材が採れなかったので、大事に標本にしたいと思います。

次いで、まあまあ採れたサビアヤカミキリ。

なんと、下敷きとして入れたティッシュを食べて白く丸い糞をしています@@
生命力旺盛ですねえ。

分布は広く決して珍しくはありませんが、ホストがタケ類のため苦手とする人が多く本種に
縁遠い人は多いと思います。
与那国のものは最西端産、そしてやや黄色味が強く斑紋もはっきりしているという特徴が
あるので気に入っています。

長期遠征はこうしたものを抱えながらの移動となるため大変なのですが、当方の中期計画
(五カ年計画)ではそれも今年までの辛抱です^^

ノブオフトカミキリも、じわじわ羽脱^^(2015.4.19)

4月も中旬を過ぎ、大好きなノブオフトカミキリも少しずつ羽脱し始めました。

野外で採るスレた奴と違い、真っ青でキズも無く、実に良いです。
これだから材採集は止められません^^

ノブオフトカミキリの幼虫および蛹(2015.3.23)

与那国島には特産のフトカミキリが二種居ます。
ノブオフトカミキリおよびウスイロフトカミキリで、いずれも美しく入手し難いことも手伝ってなかなかの
人気種となっています。

去年はウスイロフトの材採集に専念したため、今回はノブオフトの方に力点を置いた採集をしています。
ノブオフトは幼虫がシイを専門に食害しているので狙いは絞り易いのですが、幼虫が生木の半枯れ
部分に食入しているためかなり探し難い種類と言えます。
枯れ掛かっている部分というのは随所に在るのですが、幼虫食入の痕跡は外部からはまず分からない
のです。さらに幼虫の死亡率が相当に高いことも難易度を高くしている要因の一つとなっています。

シイの木を何本か調べると、ノブオフトの中齢幼虫が出て来ました。
名前のとおり、これが典型的な「フトカミキリ亜科」の幼虫です^^


残念ながらこれも中齢幼虫。親になるまでもう1年掛かるパターンです。

そして蛹も出て来ました。
この頃になると食入枝が完全に枯れている場合もあります(完全に生きている場合もあるので
始末に終えない)。

これは非常に細い枝の部分で蛹化した珍しいケース(触角の長さから♀と思われる)。


いずれにしてもなかなか数が稼げない種類で、あまり材採集をしたくない種類ではあります。
成虫で多数を得る方法もあるのですが、フトカミキリ(特に本種)は野外に出ると直ぐにスレてしまうため、
美しい標本を得るには羽脱させる必要があるんですね。
それに、本種の成虫の時期には様々な虫達の出現が始まっているので、本種だけに時間を割いている
わけにもいきません。

真のフト・ファンとしては今後もホストに当たる日々が続きそうです^^

ノブオフトカミキリの羽化(2014.4.9)

管理しているカミキリの蛹が続々と羽化を始めました。

これは容器内で羽化した与那国産ノブオフトカミキリの♀です。
成虫になったばかりの時点ではこのように透き通ったエリトラをしています。
♀なので特有の白帯の輪郭がうっすらと確認できます^^

ついでに蛹室を壊さず保管している材を見てみると、おお、ビニールテープを食い破ってまさに
羽脱しようとしているではありませんか!

テープを剥がすと♂の顔が現れました^^

今冬の与那国は石垣より寒かったので、現地での本格的な発生は当分送れるでしょうね。
来月にちょっと与那国に再渡島しようと思っていますが、本種の野外採集には丁度良いタイミング
だろうと踏んでいます。

本種の代置種とも言えるイシガキフトカミキリも、幼虫の成育状態を見ると今冬の寒波の影響で
やや遅れる傾向にあるようです。
いずれにしても大好きなグループなので、今年はちょっと本気でシバキますよ^^

与那国で確認したカミキリの蛹三題(2014.3.18)

ここ与那国での材採集時に確認した数種のカミキリの蛹を紹介します。

まずは幼虫と共にとても黄色っぽいサビアヤカミキリの蛹。
巨大な頭部・マンディブルが特徴的ですね。触角が短いので♀個体かな。
材も結構採れて今年は与那国産の標本がたくさん出来そうです^^

次いで蛹室から出てきたヨツスジカミキリの蛹。触角の長さから♂と断定できます。
本種は幼虫、蛹共に純白さが際立ちますね。採集時の衝撃で木屑だらけになっています。

そして食入枝を削っていると、特別な詰め物の横に現れた蛹屋から顔を覗かせたのは・・・
与那国特産のノブオフトカミキリの蛹です。

大事な種類なので、しっかりテープで目張りして大きく「さなぎ」と注書き^^

蛹室を壊して蛹を取り出し全体像を写真に撮ろうかとも思いましたが、衝撃等での死亡率が格段に
高まるのでそのままにしておくことにしました。
でも「これじゃ全く見えないじゃないか」という声が聞こえてきそうです。

そうだよなあ、いっそ本種は削除するかと考えていると、前蛹の状態で採ったものをフィルムケースに
いれたままにしていたことを思い出しました。
急いで蓋を開けると・・・
「オッ、蛹になってる^^」

これがノブオフトカミキリの蛹(♀)です。
名前の通り典型的なフトカミキリの形状、雰囲気ですね。
顔面や背面(腹節)にはまばらで短い剛毛が生えています。


ただ一つ面白い特徴を発見しました。
蛹尾端のトゲ状の突起です。

これまで多種の蛹を見てきましたが、ここまでハッキリしたオプションは珍しいですね。
幼虫もそうですが、様々な種類の幼生期を見て比較するのは本当に勉強になります。
成虫も幼虫も、そして蛹も、満遍なく多角的に見られる虫屋を目指したいものです。

材に中空の坑道を作るウスイロフトカミキリ幼虫(2013.3.22)

与那国島には、特産種としても人気の高いウスイロフトカミキリおよびノブオフトカミキリという
二種のフトカミキリが分布しています。

今回の与那国ではフトカミキリ2種の材採集はほとんど行いませんでした。
両種ともこの長期遠征では成虫で狙う機会が十分にあるためですが、フトカミキリの材採集には
時間が掛かることも大きな要因です(シイ生木を食うノブオフトは特に)。

僕は両種とも材採集はやり込んでいてその生態はバッチリ掴んでいるのですが、当ブログで未だ
ウスイロフト幼虫の姿を披露していないことを思い出し、こちらは少し材を探してみました。

タブ枯れ枝のウスイロフト幼虫の坑道。
ノブオフトも殆ど同様ですが、フトカミキリ類は坑道中に殆ど何も詰めずに食い進みます。
(長いトンネルの1~2カ所に荒い木屑で栓を造ることはあります)


この脱糞口から全ての糞を排出します。

終齢幼虫の脱糞口を材の表面側から見ると、このように直径1ミリ弱の円形の穴が開いているように
見えます。
こうした穴や中空の坑道など、幼虫は結構外部からの危険にさらされているのですが、元気に坑道中を
活発に動き回っています。ここが他の種類と違うところでしょうか。

 

坑道内の終齢幼虫および手のひらに乗せた様子。
典型的なフトカミキリ属(Blepehaeus)の顔がコレです^^


(参考)
ノブオフトカミキリ幼虫

なお、参考まで同じフトカミキリ亜科のヨナグニゴマフ基亜種幼虫を載せておきます。
ウスイロフトカミキリと同じ材に同居していることもありますが、食痕は全く違うのが分かると思います。

形態もかなり異なります。
フトカミキリ亜科の幼虫はいわゆる「出っ歯」(歯と言うより「歯ぐき」かな^^)なのですが、ゴマフ類は
特にその特徴が際立っています。
そして胸幅も有るので、一見するととても頭でっかちな幼虫です^^
幼虫の形態、食痕と併せ総合的に判断すると、フトカミキリ類との区別は容易と言えます。

ノブオフトカミキリを材で採る(2012.7.26)

僕は与那国島が大好きです。
台湾に近い日本最西端の離島で、石垣島や西表島とはまた違った風情があります。
産する特産種や特産亜種も多く、八重山を訪れる際は必ず行程に組み込んでいます^^

最初に与那国島へカミキリの採集に行ったのは会社に就職した年のGWでした。
今では自由気ままな生活をしていますが、会社員時代はGWか年末年始しかまとまった休暇が
取れませんでしたからね。

その時に与那国島の最高峰である宇良部岳山頂のシイのビーティングで採ったのが特産種の
ノブオフトカミキリでした。
憧れのカミキリでしたから、その独特で美しい薄青の色合いに魅了されたものです。

それから何度か与那国に通ううちに、ノブオフトや同様に特産種のウスイロフトの材採集も会得
することになりました。

両者の食性はかなり異なるのですが(ただし食べ方はほぼ同様)、今回は材中のノブオフトを
簡単に紹介しますね^^
これらは全て数年前の春季に確認したものです。

まずはホストであるシイ生木中の終齢幼虫です。
フトカミキリってこんな顔をしているんですよ^^

これは若齢幼虫ですね。
樹皮下から一気に材部に入った食痕も確認出来ます。

次いで蛹です。

そして蛹室の中の新成虫です。

僕が八重山に初めて行った約30年前は、「ノブオフトはGWの頃に宇良部岳山頂のみで採れる」
という知見しかありませんでしたが、今ではそれは正しくない事が分かっています。
低標高の他の地域にも居るし、出現時期は秋まで結構長い期間に及びます。

今回紹介したとおり、春の時点で幅広いステージが見られるわけで、これらが順次屋外で活動
するのが想像できますよね。

材採集をしていると、よく分からなかった生態の一端を埋める事が出来て有益なんですよ^^

※現在管理人「自由人」は屋久島・大隅半島遠征中です^^ 本記事は事前投稿です。

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