ミヤマナカボソタマムシ | 蝶・カミキリ・昆虫を楽しむ!(九州・沖縄を中心に)

サビナカボソタマムシ、ミヤマナカボソタマムシ(2015.6.21)

長雨の合間を縫って、比較的近場のポイントへ二種のナカボソタマムシ(coraebus属)を探しに
行って来ました。

行先は阿蘇方面。
これらは森林部というよりは草原が山肌を覆う疎林地帯に息付くタマムシ達です。

所々にヤマボウシの木があり、ちょうど今は一見すると花と見紛う総苞片が目立つ時期です。
正直サビナカボソタマムシの時期にはやや遅いのですが、枝先を丁寧に救うと「コロン」とネットの中に
落ちる姿が見えました^^

齧り跡が付いた総苞片に摑まっている格好です。

やっと♀が幾つか採れただけだったので、やはり発生末期なんでしょうね。

一方背の低いサワフタギの葉を丁寧に探していくと、青く光って美しいミヤマナカボソタマムシを
見つけることが出来ます。

タマムシは敏感なので近付くと直ぐ動き出すため拡大写真を撮るのが難しいんですよねえ。
カメラを近付けると飛んで逃げる個体も多いです。
それに風も強いので葉が揺れてなかなかピンが合いません(泣)。

このポイントのサワフタギは背が低いので、手掴みで採ることが出来てとても楽しいんですよ^^
時期的には最盛期のはずですが今年は少ないかな。

二種とも3年振りに会えたのでテンションが上がった日でした^^

梅雨の晴れ間に草原で光るミヤマナカボソタマムシ(2012.6.30)

熊本県に分布するコラエブス属タマムシは7種を数えますが、その中でも最も美しいのが今の
梅雨期に現れるミヤマナカボソタマムシです。

大学の夏休み 、原付バイクで九州脊梁山地の山深い林道を走っていた時に飛翔中の個体を
見つけて掬ったのが本種の初採集でした。
従って、本種を森林性のタマムシと長い間思い込んでいました。

ところが、今ではその考えは一変しました。
と言うのもミヤマナカボソタマムシは山間部で採れるケースは極めて稀で、阿蘇のような草原地帯
で比較的採集できることを知ったからです。

阿蘇の草原の疎林には本種のホストであるサワフタギが多く生えています。
それらを梅雨期の晴れ間に見に行くと、葉上で「キラッ」と光る本種を見つける事ができます^^
もちろん何処にでも居るわけではありませんが、場所によっては密度が濃い所もあります。

時期的には、ほぼ同様の環境で見られる同族のサビナカボソタマムシが減って来るタイミングで
数を増すようなイメージですね。

ただ、言うまでも無くこの時期は梅雨真っただ中ですから、本種に出会う機会もなかなか得難い
のも事実で、今年は一回しかポイントに出向けませんでした。

今年は発生数が少ないようでなかなか見つかりませんでしたが、ようやくサワフタギの茂みに
その姿を見つけました^^

サワフタギは背丈が低いので目の高さでミヤマナカボソタマを観察できるのは良いのですが、
少し近付いて撮った瞬間、敏感な本種は「プン」と飛び去ってしまいました(泣)。

別の木に居た個体です。

この時は快晴の昼間で日差しが厳しかったため、強風も相まって金属光沢が極めて強い
ミヤマナカボソタマの撮影にはちょっと不向きでした。

なんとか本種独特の色合いが写せた1枚です^^

早朝ビーティングのススメ(2012.6.20)

突然ですが、あなたは採集地に何時頃到着するようにしていますか?

僕は東京に住んでいた頃、殆ど毎週末採集に出ていました。
各採集地へは高速道路を使うのですが、週末は早朝に乗らないと混んでしまうんですね。
東京近辺での渋滞はとにかく酷いですから(汗)。

ですので採集地には午前8:00前には着いてしまうことが殆どでした。
ただ、真夏であってもこんなに早い時間には未だ虫は活動を始めていません。
しかも山々の周りは朝露で濡れそぼっている場合が殆どです。

こんな時、あなたならどうしますか?
辺りが乾いて気温が上がり、虫が動き始めるのを漫然と待ちますか?

そんな時に僕がやっているのが早朝ビーティングです^^

熊本に戻った今もメインロードの朝の渋滞を避けるためにやや早く出発するので、高速を使うことは
無いものの採集地にはやはり朝8:00頃には着いてしまいます。

そうした時、僕はおもむろにビーティングネットを取り出し、狙いを定めてポイントの辺りをバンバン
叩き始めるのです^^

ビーティングネットは朝露で瞬く間にビショビショになりますが、そんな事は気にしません。
勿論、腕にも冷たい水滴が飛びかかってきますが構わず作業を続けます。

すると、次のような面々が落ちてきました^^

ジッとしているニセシラホシカミキリは珍しいなあ。

最近マイブームの極小白イタヤカミキリもポトッ。

今年初のミヤマナカボソタマムシはビーティングネットに落ちました。やはり美しいなあ。

阿蘇のホソキリンゴカミキリは小型の個体群です。

もうヘリグロリンゴが出てるのか。焦るなあ。

いずれもネットの上に落ちた姿のままでじっとしています。
なのでゆっくり吟味して、必要なものだけを拾い上げて毒ビンに入れるだけ^^
このように写真も難なく撮ることが出来ます。

もしこれが昼間だったら、イタヤを除いて一瞬のうちに飛び去ってしまいます@@
(イタヤすら敏速に走って逃げる可能性大^^)

僕は早朝ビーティングを敢行することで九州では珍品のモモグロハナリやムナコブハナ等の
カミキリや珍しい雑虫類を少なからず手にしてきました。

朝の1~2時間を単にブラブラと時間を潰すだけか、あるいはその日の採集品を増やすのか。

あなたならどちらを選びますか?

ムナコブハナカミキリ、奇蹟の日(2012.6.15)

ここ数日、ムナコブハナカミキリの話に終始しています。

この時期にしか採れないシンボリックなトップクラスの珍品ハナカミキリですし、僕は本種の日本で
最も著名な好採集地に「一番近い所に住む虫屋」として手を下さざるを得ない立場にもあります。
本種やカミキリにご興味のない方には申し訳ありませんが、暫くお付き合いお願いしますね^^

ムナコブハナは梅雨期にしか発生しないので、数が少ない事に加えて採集の機会が少なく、
どうしてもその珍品度に拍車が掛かります。

発生期間はせいぜい今月25日頃まで。
しかし、大方の日が雨で潰れると予測されます。

メルマガでも触れる予定ですが、実はムナコブハナは曇天~小雨(人がストレスを感じない程度の)
でも十分に狙えるカミキリです。
と言いますか、逆に太陽がギラギラと照り付けるような晴天の日はほとんど飛翔しないので、
かえってそうした天候の時が網を振るチャンスが多くなるのです。
ですから、採集にならない完全な雨の日以外は可能な限り採集に出ることが大事になります。

既報の11日に4♂を採った次の日は雨。
そして週間天気予報を見ると、13~14日が「晴れ~晴れ/曇り」となっていました。
完全な晴天もまた良くないのですが、ド雨よりはましなので1泊採集行を敢行したのでした。

前置きが長くなりましたが、以上がムナコブハナ採集予定を立てる際の僕の考え方です^^
(あくまでも吹き上げで飛翔個体を狙う場合の話です)

13日(採集1日目)。

吹き上げの採集ポイントに着くと目前の山には雲が垂れ込め、天気は回復傾向にあるものの
全体的にまだ曇っています。
気温も高目で風もほとんど無く条件は悪くありません。

こうした中、11日と同じような感覚で(はしょりますが^^)、8:40及び正午頃に♂が飛来しました。
8:40というのはこれまでで最も早い時間帯での飛来でしたが、まだ虫も不活発だったため
記念に写真を撮りました^^(同個体です)


いずれにしても、この2頭は綺麗にネットイン出来ました^^
キュウシュウヌバタマハナも2♂飛来し、この時までは条件が良かったことを裏付けています。

ところが、天気の回復とともに気流が発生し始め、周りの木々や草が相当あおられる状況と
なってきました。
ネットも風に取られて上手くコントロール出来ません。

太陽が照り付ける晴天、そして地響きがするほどの強風。
これは飛翔するムナコブハナを採集するには最悪です。

まず虫は飛翔する意欲を失っている上に、強風のせいで物理的に飛べません。
仮に飛んだとしても風にあおられて飛翔コースが不規則だし、ネットもコントロール不能。

目を凝らしていると30分に1回位は何かが飛び上がるのですが(まずジョウカイや駄コメツキ)、
次の瞬間には風が一瞬で何処かへ運び去ってしまいます@@

この日は風がやや収まった日没の頃にソボリンゴを追いかけ回して終了。
行うはずだったナイターも強風のため断念しました(泣)。

そして二日目の14日。
奇跡の日です^^

目が覚めると強風はまだ続いています。しかも完全に朝からドピーカン。

こりゃダメだ。今日は採集にならないな。
そうは思いながらも体は自然とポイントへ向かいます。

朝7:00前にはピークに立ちます。
斜めから差し始めた日差しの中、昨日の午後と同様に周りの灌木や草むらはゴウゴウと
音を立てています。
もちろん、何かが飛ぶような気配は全くありません。

梅雨期の晴れ間は貴重なので、どこかに転戦しようかと考えている時、
右目の視界の中に膝位の低空でスッと風に流される黒い虫が見えました。

何だろうと思いながらも体が直ぐに反応し、たまたまそちらの方向を向いていたネットを
最大限に差し伸ばしました。

しかし、その虫はネットの枠に当たって何処かに落ちてしまったのです。
草むらに虫が落ちた場合はまず見つからないし、普通なら「ああ落ちたか」ですぐ諦めるのですが、
この時は何か直感的に「今のはもしや・・・」と感じるものがありました。

急いで虫が落ちた辺りに駆け寄り地面を見ますが、当然草に覆われて何も見つかりません。
「そりゃそうだよな」と諦めかけた時、すぐ傍にあった岩に目が止りました。
そしてたまたま合った焦点の中にムナコブハナを見つけたのです!

図らずも訪れた奇蹟に感謝しながら撮った写真です^^

朝7:00というのは最も早い記録となりましたが、一般的にはどのように条件の良い日でも
こんな早い時間帯にはまず飛ばないでしょう。
恐らく強風に飛ばされたもので、幸運だったと言うべきでしょうね^^  

気を良くして次なるターゲットを見つけるも、同じような幸運はそう起こりません。
気付くともう昼近く。
そこで、もう最盛期を迎えているはずのミヤマナカボソタマムシを採り(撮り)に1時間ちょっと離れた
ポイントに転戦することにしました。

その時の様子はまた別記事で^^

ミヤマナカボソタマのポイントでも強風が吹いていたため、ムナコブの吹き上げに戻るかどうか
かなり悩みました。
実は、ここからだと40分ほどで自宅へ戻ることが出来るのです。
再度1時間走ってムナコブの吹き上げに戻ったとしても、また奇蹟を待つしかないでしょう。

僕はギャンブラーではないので、普段の時期なら自宅に戻るか、別の種類を求めて
転戦するんですね。
しかし、今は梅雨真っただ中。次は何時ムナコブ採集に出れるか分かりません。
熟考の末、天候が好転する事を祈って吹き上げポイントに戻る事にしました。

実はこの判断がまた幸運を引き寄せることになるのです^^

そして1時間強走ってムナコブのポイントに戻りましたが、やはり風は弱まっていません。
時間も午後3時前なので日差しもさらに強くなっています。
ちなみにここは標高千メートル近くあるので、雲が無いと日差しが強烈なのです。

ごく稀に飛ぶベニハンノキを採り損ねながら、やはり戻るべきではなかったと思っていると、
風が弱まる一瞬がありました。

その時、5メートルほど先の目の高さにゆっくり飛翔する黒い虫が見えたのです。
慌てて駆け寄るとはっきり真っ赤なエリトラが確認できました。
間違いなくムナコブハナです!

失敗するハズの無い安全な距離でしたが、強烈な日差しで距離感がやや鈍っている事、
そしてやはり風があることでネットのコントロールを失敗してしまいました。
朝のムナコブと同様、またまたネットの枠に当てて下に落としてしまったのです!

「うわっ、やっちまった!」
この時ばかりは叫びましたねえ。

でも、朝の事を思い出し、直ぐ切り替えて下を見ようとしたところ、ムナコブが落ちた辺りに
ヤシャブシの小枝が一本伸びていました。
見ると葉っぱの上にムナコブがチョコンと乗っかっているではありませんか!

その下は背丈の高い草ボウボウの状態で、その中に落ちたら絶対に見つからなかったでしょう。
「神様有難う!」
信仰心も無いのに感謝、感謝です^^
ほぼ最高気温の中でムナコブも動いていましたから、さすがにこの時はカメラは出ませんでしたねえ^^

ネットに落として写真を撮りました^^

時刻は午後3:30過ぎでした。
その後は二時間ほど粘りましたが、さすがに3度目の奇蹟は起こらなかったというお話です^^

今日は何ともマグレな話に読者の皆さんを付き合わせてしまいましたが、やはり劣悪な状況下でも
執念だけは失ってはいけないなと痛感したのでその思いをシェアさて頂きたいと思います。

週間天気予報によると今日から5日連続で雨。さすがにドシャ降りだと採集にはなりません。
予報が好転すれば別ですが、その通りだとムナコブに残された時間はほとんどありません。

4年振りの二桁、そしてなんとか♀を狙って出来る限り出撃しますよ^^

奥は11日採集の4♂。手前左2♂が13日採集、手前右2♂が14日採集です^^
(ケースが汚いですが、お許しを) 

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