甲虫(その他) | 蝶・カミキリ・昆虫を楽しむ!(九州・沖縄を中心に)

熊本県のアイヌハンミョウ(2024.5.15)

極めて局地性の強いアイヌハンミョウ。割と馴染みの場所に居てビックリ@@
地元に居るならこの辺りかなあとは思っていましたが、時期的になかなか行けずにいました。
思い切って行ってみて良かったなあ^^

居るだけでも有難いのですが、とても少ない・・・ しかも他のハンミョウに比べて草の中に
逃げ込む奴が多いようで取り逃がす確率が上がります。
同所的にタダハンミョウとニワハンミョウも居ましたが、見たのはそれぞれ1頭ずつ。
いずれも大型なので基本的に棲み分けているのでしょう。

以前に唯一採ったのは約25年前、福島県南合津郡のとある河川敷でした。あの時も少なかったなあ。
関西には少し産地があるようですが、九州で知っているのは鹿児島・宮崎の県境近くの一産地のみ。
九州中部唯一の個体群、姿を消す前にあと1回行ってみるか。

春の超大型テントウムシ2種(2024.5.5)

ハラグロオオテントウとカメノコテントウ。
GWの頃になると僕はこれらの愛らしい超大型テントウムシ2種を求めてポイントへ向かいます。

前者のホスト:クワの葉に寄生するクワノキジラミ。
後者のホスト:各種の木に発生するハムシ類の幼虫。
クワノキジラミが付いたクワの木やハムシ類の幼虫が集る枝先を叩くと、ポトリ。
特に前者は少ないですが、GW頃、虫が未だ少ない時期の楽しみの一つです^^


オオテントウは3種目の超大型テントウですが僕は未だ自力採集に至っていません。
宮崎や高知での採集例が多いようなので基本的に太平洋側に分布の中心が在るのでしょう。
僕が居る有明海側の熊本県でも天草、それに連なる宇土半島で単発ながら記録が在るので
そのうち採れるのではないかと期待していますが・・・(実は真剣に探していない(-_-;))
オオテントウは秋が旬なので今秋は時間を掛けて探してみましょうか。

さて、「超大型」とくれば「大型」が居るわけですが、日本産でこれに当たるのは唯一の種類、
オオジュウゴホシテントウとなります。
図鑑では稀となっていますが僕はこれまで3頭と出会っています。いずれもナイターの際に
飛来したもので、あれだけビーティングやスウィーピングをしていても全く引っ掛ってこないので
本当に少ないのでしょう。あるいは生態がかなり特殊なのかもしれませんね。
中型~小型種にはほぼ興味は無く、ダイモンとかアミダ、ウンモンなどの美麗数種が好みかな。
展足の際に小型テントウ類は脚がなかなか出し難いのが難点で、採っても捨てちゃうんだよなあ。

テントウはやはり超大型~大型でちょっと遊べれば良いかな^^

今後の石垣島で狙わない虫(カミキリ中心に)(2024.4.9)

滞在している石垣島は3日程前から雨の期間に入りました。加えて昨日からは気温も下がって
来たので虫採りの気分は完全に消沈しています。石垣島での採集歴が浅い人であれば雨でも
低温でも出かけて行くのでしょうが、こちとらベテラン中のベテラン。
悪条件の中で不快な思いをしながら虫を見つける必要はもう全くありません。
それに今春の石垣遠征は最初の5日ほどで十分な成果を上げることが出来ており、余裕で残りの
旅程を過ごしている状態。

宿でゴロゴロしていますが(離島の宿でマッタリするのもまた格別なものがある^^)、暇なので
今回は趣向を変えて、今後の石垣島において狙う虫ではなく敢えてもう狙わない、無視する、
あるいは積極的に挑まない種類達を備忘の意味も兼ねて整理したいと思います(普通種を除く)。
ちょっと悪ノリ気味になるかもしれませんがお暇な方、暫しお付き合い下さい^^

まず、今の時期に最盛期を迎えているもの。つまり春物で今後は狙わない種類を挙げます。
真っ先に言及するのはオオヒゲブトハナムグリです。これは以前のアタリ年にウン百頭採ったり、
その前後にもちょこちょこ採っていたのでもうお腹一杯。春の八重山における本種の占める割合は
とても大きいですが、これをやらなくて済むのは極めて優れたアドバンテージです。
毎日これの飛翔を求めて林内に入っていく採集者らを尻目に余裕で他種に時間を割けるのですから^^
ちなみに本種の大発生はこの十年程無く、恐らく今後も無いと考えています。

次にヤエヤマヒオドシハナカミキリ。春の雰囲気の中でこれを掬い採るのは至高の楽しみですが、
もう敢えてやらなくて済む状況になりました。詳しくは後日の当ブログで。

春の飛翔虫は上記に加えマツダクスベニカミキリがあるのですが、前記事のように材採集による
成虫獲得にメドが立ちそうなのでこれすらやらなくて済むことになります。
あと狙うべき飛翔虫の範疇にタイワンベニボタル(パラナスピア♂より得難い大型美麗種)が
ありますが、これまでで10頭程度は標本が溜まったのでこれも終了と。

わー、本当に春の飛翔虫は完全に引退なのかあ・・・ ちょっと(実はかなり)寂しい。

時期的に今居るが、もう採らない(採らなくてよくなった)もの。
ススキサビカミキリ。発生地が遠く、春は端境期でスレた無残な個体が殆どなのでやっても無駄。
マイコレも充実。
タイワンツツサビ。特殊な手間の掛かる採集法が必要で時間・労力が勿体ない。マイコレも充実。
アオヒメコバネ。成虫は狙ってもまず採れない。2回ほど材採集で当てておりマイコレ構築終了。
イシガキケブトハナ。良好なマイ・ポイントを持っているが他種と同様に安易に手放していたので
マイコレが崩壊しつつあった。昨春分と今春で再構築ほぼ完了。
イシガキフト。出始めで居ないことはないが数が採れないので積極的にはやりたくない。
マイコレも作成済だし、♀の明瞭な白帯型のみ注視する。そう言えば石垣北部個体群と南部?の
赤っぽい型は未トライなのでこれは何時かやらねばなるまい(材でも可能)。
イシガキリンゴ。積極的に探さないと数が揃わぬ厄介なリンゴ。昨春と今春は本種に時間を十分に
割いたのでマイコレ再構築ほぼ完了。
トラニュース2種。西表島の春にやる方が遥かに楽。石垣産ももう少し欲しいのでペンディング。
ヤエヤマクロスジホソハナ。石垣島では既に望み薄。石垣産の標本は幸運にも数頭持っているため、
機会があれば西表島で探すとしよう。
山頂ブーメ、ついでにアサヒナヒラタチビタマ。マイコレ作成済。前者は採集禁止になったし、
きついオモト登山はもうやりたくない。体力のある比較的若いうちに散々登っておいて良かった。
スジホソハナムグリ。かつて、ある年に当たって(それ以降殆ど採れていない)数十頭採ったが
気前良く放出したのでかなり減った。でももう良いでしょう。
ムネモンウスアオ。末尾で後述。

今の時期には居ない、材採集でも狙えるがやらないもの。
フタツメイエ。クロヨナ大木が伐採された際に特大個体を数ペア採集済。持ち帰れる程度の大きさの
材からはどうせ大型個体は出ないのでやる必要はなかろう。
ヤエヤマコゲチャヒラタ。ひょんなことから特大~大型を3ペア入手済。屋久島~大隅半島、対馬で
実績を積んでおりホストも同じで方法は熟知しているが、労力を考えるとやりたくない。
イシガキトガリバサビ。これも西表島産を含めマイコレ作成済。
ヒロオビオオゴマフ。かつて長期遠征を繰り返していた頃に特に山中で頑張って採った。
今後やらなくて良いようにと特大ペアを幾つか残してある。
コゲチャフタモンヒゲナガ。ヒロオビオオゴマフと同様。
ニッポンムネヒダヤマ。西表と併せスレの無い美個体を数ペア所持。終了。
サキシマニセクワガタ。パランドラを含む広義の原始的な種類は何故かあまり好きではない。
標本は一応あるし材採集は実力より運に左右されるのでやりたい気が湧かない。
暗い性格の虫は嫌いでもある。断捨離の対象。
カタモンビロウド。材とは関係ないが(厳密にいえば材でも狙える)、かつてこれを採るのが
楽しみでやり過ぎた結果、完全に飽きた。標本も大量に処分したが十分なマイコレ所持。
コゲチャトゲフチオオウスバ。これも材採集とは関係ないが♀を入手したので終了。
ケシ・チビ類。マイコレは少ないが数個体ずつ所持。好みではなく断捨離で良いんじゃない?

以上、採る必要のないものを挙げてきましたが、逆にやるべきものも少し整理しておきます。
まず、材採集をやり難い大型種や敢えて成虫で採りたいものは、旬の時期に来たいと思いますね。
これまで盛夏~秋~冬~3月上旬に来たことが無いし、4月中旬~6月初旬のベタな時期に
こだわりの種類を狙いにまた来てみても良いなと思います。イシガキビロウドやキンケビロウドの
追加はその時に得る予定だし(ビロウド類は材から羽脱させてもエリトラが上手く固まらない上、
触角も上手く伸びない)、他にもヤエヤマドイ追加など幾つかのミッションあり。

カミキリ以外でも以下のように必要な種類があります。
タテスジ・ヤエヤマメダカ・クビナガなどハンミョウ類。単純に放出し過ぎ。見事にマイコレ崩壊中。
サキシマアオカナブン。標本はまあ在るが、夏に来島したことが無いので時期の蝶や蛾と合わせて
一度はやりたい。
キボシセンチほか幾つかの糞虫。長期遠征時代に時間の関係で全く出来なかった。初夏に次回
行けば最優先の一つ。なお殆どのコガネや糞虫は断捨離済(興味の対象から外した)。
ミツテンコメツキモドキ。なぜかこだわりを持つ雑虫。かつて初夏に数回遠征していた際、
1か所のみで若干数を得ていたが現場を確認したところ環境が大きく変わっていた。今も居るのか。
ミカンツノカメムシ・ミカンキンカメムシなど珍・美麗カメムシ。前者は昨春偶然に採集。ポイントや
採集法は無いが追加熱望。後者は秋に新成虫を狙えるはず。秋の迷蝶とセットでやろう。
蝶・蛾。書き尽くせないので割愛。機会があれば別記事で。
ふむふむ、こうして整理してみると春はともかく別時期に石垣に来続けることは必須なのね。

話を戻します。
いずれにしても冒頭のように「春物飛翔虫」を今後やらなくて済むので春の負担は一切無くなりました。
春独特の雰囲気の中で、のんびりと散策しながら欲しかった蝶や蛾の完品(や飼育材料)を採ったり、
気が向いたら交換用のカミキリや甲虫種を採ってみたり、運動代わりにノコ引いて材を採ってみたり。
狙わずともネット持って歩いていたらパラナスピアくらいは入るでしょうし。
全然ガツガツしない春の八重山。最高だね^^

最後にムネモンウスアオカミキリについて触れます。本種は2010年代中盤の数回の遠征でかなり
採っているのですが、♂や小型♀は結構手放したのでもう少しマイコレが欲しいところです。
ちなみに今春数回話した方が10年ほど前にも某所で僕と会ったそうですが、丁度その時僕が目前で
ムネモンを採っていたそうです(その方は今春ムネモンを1ペア採ったとのこと)。
自分は忘れていても、人のその後の行動に影響を与えている事って結構あるんですよね。

前段のように春の石垣の虫はほぼ採り尽くしたので春にはもう来なくて良い状況にありますが、
それでは寂しいのでまた来るために採らずに何か残しておこうと思います。
それをムネモンと決めました。
つまりムネモンは敢えて採りません(偶然に勝手にネットに入ってくれば別ですが^^)。

なお本種は材採集でも狙えるのですが、羽化成虫は幾ら上手く生かし続けても自然個体のようには
綺麗に発色しないことを確認済なので材で採ることはしません。

だから春に来るしかないよねえ~
今後も春に来続ける消極的なオチを捻り出し駄文を終えます^^

(翌日追記)
雨上がりの半日採集の今日、偶然にネットに入ったムネモンウスアオ♂。
こんな感じで春の石垣にも来続けます^^

5月の虫採り、暫くブログ更新お休みのお知らせ(2023.5.23)

今月上旬に八重山から地元に戻って以降、あまり意味のない採集へ出る回数を減らすことに成功
しつつあります。特に地元の場合、しょっちゅう同じ場所へ行き同じものを狙っても面白くない
ですからね。

5月は低山原生林での採集、九州山地でのウツギ花掬い、ハラグロオオテントウの観察や、迷蝶の
ホソオチョウを見つけたり、初めての甑島(下甑島のみ)で時期の虫を採ったりしました。








遂に本日から九州北部(地元を含む)は梅雨に入りました。台風2号の影響も加わりとりあえず雨天が
6月上旬まで続くようです。
なお、やんごとなき事由により6月から暫くブログ更新をお休みします。
再開までごきげんよう。それぞれの虫採りを楽しんでください^^

与那国島のヤギホソコバネオオハナノミ(2023.5.8)

採集に没頭しない「楽チン八重山ツアー」から地元に戻り数日が経ちます。
最後に訪れた与那国島の終盤に採った甲虫の展足が完了したので、注目すべき1種について報告
しておきたいと思います。

数十年振りに採った与那国のヤギホソコバネオオハナノミ♀です。

採集したのは与那国島での最後の採集日。曇天かつ強風の吹く最悪の採集条件でしたが、林縁の
枯枝を叩いたところ本種が落ち、同時に羽ばたいて飛び去ろうとしたので慌てて掴み採りました。
あれだけの強風でネットに直接落ちたのも奇跡ですが、風に飛ばされなかったのも幸運でした^^
写真のとおり不完品ですが、採集時に破損させてしまったものと思います。

本種を初めて採ったのは今から30~35年程前の初回か二回目のGWの与那国島でのことでした。
何を叩いたのか今では忘却の彼方ですが、初めて見る変わった虫が一画のビーティングで合計7~8頭
(よく覚えていない)落ちました。
とても素早く半数は飛んだり走り去りましたが、残りを押さえ摘まみ採りなんとか毒瓶に放り込みました。
小さく素早い上にとても脆いようで、慌てて処理したためほぼ全てが不完品となってしまいました。

捕獲したのは確か4頭、小型で全体に黒色のもの及び大型で頭部が橙色のものがあるのでそれぞれ
♂♀と判断出来ました。現在は1ペアのみ残っています。

その後何度も与那国を訪れましたが、再度本種と巡り合うことはありませんでした。
ホソコバネオオハナノミ類はカミキリ(等)の幼虫に寄生することが知られ、極めて稀なグループです。
10年程前に沖縄本島南部の小さな付属島で別種が大量発生したケースが発表されましたが、与那国で
僕が以前に遭遇したのも同じような場面だったのかもしれません。

僕は石垣島でこの仲間の生態の一部を掴んでいます。
(参考)ヤエヤマフトカミキリの幼虫に寄生するホソコバネオオハナノミ

上記の石垣産や沖縄、宮古に居るものとは異なり、ヤギは形態がかなり異なり1cm弱と小型です。
生態も一部異なると思いますが稀であることや他の甲虫の幼生に寄生することは同じでしょう。
また昨年でしたか西表島でも発見されたようなので石垣島にも居るかもしれません。

与那国のヤギに2回遭遇したり、石垣のホソコバネオオハナノミの幼生期を見たり、僕は当グループに
かなり縁がありそうです。とりあえず次は沖縄あたりの奴をやってみましょう^^

ヨナグニシロスジドウボソ、ノブオフトなど(2023.5.3)

現在滞在しているのは今春八重山ツアーの最終目的地の与那国島。
長旅には付き物の天候不良ですが、 最後の与那国ではほぼ全体を通じて雨や強風に祟られ、
宿にてゴロゴロ・タイムを満喫しています^^ 
今回のぼちぼち・のんびりツアーを象徴付けてくれていますねえ。でも体がナマらない程度には
出撃することは出来ました。

今回なんとしても採りたかったのがヨナグニシロスジドウボソカミキリです。
以前の八重山遠征では単発で幾つか採っていたものの、手違いで全て手放していたので少なくとも
数ペアは欲しいと渇望していました。

ところが与那国の本種は難物です。実は石垣でも西表でも採るのは難しいのですが、それに輪を
掛けて採れません。最果ての島ということも相まってドウボソ類でも最難関の一つと言えましょう。
これまで単発でしか採っていなかったのに一度に複数採れるものか・・・

しかし! 今回は採ってしまいました。
運良く良好な(ピン)ポイントが見つかり、3ペアほど採ることが出来て一気に片付きました^^

これが与那国島の「真正」ヨナグニシロスジドウボソ。黄色っぽさが目立ち、他の島のものと比べて
特異です。
上が♂、下が巨大な(嬉しい^^)♀で、いずれもスレのほぼ無い美個体です。


石垣や西表をすっ飛ばし何故か沖縄周辺のものと一括りにされていますが、明らかに別物と思います。
それに実は沖縄周辺の群は比較的多くて採り易いです。
一方与那国島産は幾ら叩いてもなかなか落ちないので消耗し、何時の間にか忘れることが多かった
のですが、間違いなく今回ツアーでの大きな成果の一つとなりました。

そして、今回は特に狙わなかったのが2種のフトカミキリ。ノブオフトはイシガキフトと同様に幼虫が
シイの生~半生の部分を食害するため結構得難い種類で、丁度成虫の時期です。一応探して採って
みましたがやはり野外活動中のものは既にエリトラにキズが付いておりコレクション欲が湧きません。

現在は未だ発生期に入っていないウスイロフトもかつて野外で幾つか採っていますが、本来の美しい
エリトラの薄緑色が汚れてガサ付き、とても標本箱に入れたくなるものではありませんでした。
2種共かつての長期遠征時における材羽脱品を所持していますが、もう少しマイコレを増やしたいので
次回の材採集で片付けたいと思います。

与那国のカミキリで前から不思議だったものの一つがとても巨大なアトモンチビが居る、というもの。
僕は九州~沖縄の各地でアトモンチビ群を採ってきましたが、こんな巨大個体群が居る場所を他に
知りません。最新カミキリ図鑑の図版でも大きさを確認できますが、小指と比較してみて下さい。


勿論小型の個体も普通に居ます^^。
新図鑑によると与那国にはタダアトモンチビとヤンバルアトモンチビが同所に混生するとのことですが、
この巨大な奴がヤンバルの方でしょうか。あるいは与那国では双方が巨大化することがあるのか実に
興味深いところです。波照間のタダアトモンチビ新亜種は少なく嫌になりますが、与那国のこれらは
やるほどに成果があるので(ただ2種の比率は個人的に未だ把握していない)楽しいですね^^
これらの同定はこれからなので楽しみです。

なお、今回の与那国には特産のヨナグニアカアシカタゾウムシがこれまでで最も多産しています。
その気になれば幾らでも採集出来ますが時期的にほぼスレ個体ばかりでとても残念。
本来ならお土産に良いのにね。

さて、早春から一カ月以上を八重山で過ごしましたが、いよいよ明日この地を発ちます。
6年振りの八重山、特に頑張らない八重山はとても面白かった^^
地元に戻った後も、今回の八重山の成果で必要なものは公表していこうと思います。

やはり八重山は楽しい!!
これをきっかけにたまにはこちらにも足を運ぼうと思います。

竹依存性の虫達にも遊んでもらう^^(2023.3.25)

もはや僕の専売特許のようになってしまっている^^、(枯)竹を食う虫達の今を見てきました。
タケ食いの虫達の幾つかは冬の時期に独特の生態を見せるので、やる事の少ないこの時期に格好の
ターゲットになってくれます。

ここは熊本市の西部から連なる低山帯。
自宅から30分以内で行ける手頃なポイントなので昔からよく通っています。

メダケの竹林。枯れた竹を一つひとつ物色します。

すると・・・
まず出て来るのは成虫で越冬中のニホンホホビロコメツキモドキ。
スマートで符節の広がりが小さいのは♂です。

こちらはやや体形が幅広く符節が大きく広がる♀。左頬が張り出すというなんとも不格好な頭部を
持つ唯一無二の存在。不動の人気を持ちます^^

♀はタケの一節に一卵ずつ産卵するので、全てが上手く育つと竹を割り割いた際に節毎に1頭ずつの
本種が現れ壮観です^^
ちなみにこれは本種が脱出のため予め作っている「仮脱出口」。皮一枚で樹皮スレスレまで齧っており、
脱出間際に最後の一齧りで穴を貫通させるものと思われます。

この時期の枯竹に付きもののハイイロヤハズカミキリ。自然状態で採ると意外なほどに少ないですが、
中にはびっくりするほど小型の個体が居ます。普通は竹の本軸部分で育ちますが、小枝部分で成虫まで
育ってしまうと極小個体となります。小指の大きさと比較してみてね^^

ちなみに此処にはウスアヤカミキリ原亜種も居ますが、ハイイロヤハズよりさらに少なく南西諸島のような
個体数の多いタイプの虫ではなくなることに注意すべきでしょう。今回成虫は全く現れず、小さな幼虫が
やっと1頭確認出来たに留まりました(写真撮らず)。

そして本来の目的の一つ、ササセマルヒゲナガゾウがやっと1頭(♀)現れました。竹に付くヒゲナガゾウ
として著名ですが、決して多い虫ではありません。

本個体が入っていた蛹室。竹の節付近を食害し木屑を一杯に詰め、その中に蛹室を作りその中で成虫越冬します。

今回主目的の某ヒゲナガゾウムシも確認出来ましたが、これは現在研究者と共に詳しく調査している段階
なのでいずれ公表したいと思っています。今回決定的な画像を撮れましたが今は控えておきましょう。
低山帯原生林のポイント、シーズンの竹林には上記に加えタケトゲハムシやホウアカオサゾウムシ等も
現れます。今シーズンもゴチになります^^

熊本市西部のレインボーセンチ(2022.10.31)

ここ1~2週間でめっきり秋も深まって来ました。真昼でも20℃を少し超える程度だし、夜も更けると
更に一枚羽織らないと寒くて過ごせなくなってきました。
そうした時期なので現在主に取り組んでいるレインボーセンチも、山手の産地のものは気温が下がり
過ぎてシーズンは終わったようです。

そこで終盤に狙っているのが低山帯のレインボーセンチです。この場所は熊本市の西部で、いわゆる
レインボーベルト(中央構造線にほぼ重なる)の最西端の個体群と言えるものです。
もちろん単色の個体も居ますが、胸部からエリトラにかけて抜けるように色が変わっていく個体が
結構散見されます(ツートンカラーのようになる)。
自宅から20分もあれば行けるので、もうね、僕の専売特許と言ってもよい個体群なわけ。
(僕が見つけたしね^^)

こんな独特のヤツらです^^
こうした色彩群はレインボーベルトの東~中部(祖母山周辺~南阿蘇外輪山~益城町)では
見ることが出来ません。言わば最西端の限定色と言って良いものです。

レインボーセンチは南阿蘇の最美群が次第に色彩の鮮明さを落としながら、益城町(熊本地震で
最も大きな被害が出た地域。構造線上に在る)の裏山まで一応カラフルな群が分布します。
しかし、その先(西側)は平地の住宅地帯(熊本市中心部)が続くのでセンチの分布は一旦分断されます。
(カラフル色も其処でリセットされる)
そして熊本市西区の住宅街の裏山からまたセンチが現れ、これが実質的に最西端のレインボーセンチ
というわけです。
低地産なので阿蘇等の山手のレインボー群より一回り以上大きく、体形もちょっと変わってきます。

平地~低山帯の個体群は11月一杯位までは活動すると思うので、今年は出来れば宇土半島~天草に
かけて多少調べることが出来ればと思っています。

灯火に飛来したキュウシュウヒメオオクワガタ♂(2022.8.22)

夏物の虫はとかく大味になりがちですが、今日はその最たるものの一つとなります。
みんな大好き、キュウシュウヒメオオクワガタの♂です^^

九州山地高所でのナイターで飛来したもので、♀が来ることはこれまでに何度かあったのですが、
♂が来ることはほぼありません。小型個体だけど生きている個体を見たのは久し振りなので
テンションが上がりました。相当久し振りにキュウシュウヒメオオ♂のマイコレが増えました^^

近年本亜種は極めて稀になり、かつて行けば採れた産地でもまず採れなくなっています。
10~15年前であれば、クワガタブームの後盤あたりに毒された者らがブナ倒木をバカスカ掘って
いる場面も見られましたが、今は高齢化と「飽き」(にわかクワガタ屋は直ぐに飽きる^^)で
そういう輩もほぼ居なくなりなりました。同時に虫も居なくなりましたけどね。

他には久し振りに九州では稀なオオクロカミキリ(♂が巨大でビックリ@@)や、高標高では初めての
オオジュウゴホシテントウ(かなり珍)、オオキノコムシ(これも九州では珍)などが採れて楽しい
夏の夜となりました。



これから晩夏~初秋の高所でのナイターは、主にカトカラ等の珍蛾を中心に狙って1~2回はやろうと
思います。
そして、今季の甲虫は秋の糞虫やセダカコブを残すのみとなりました。
そろそろ主なターゲットに蝶(飼育も含む)を本格的に組み込むとしましょうか。

住宅街の自宅庭にナミハンミョウが!(2022.8.10)

昨日、昼食の冷奴の薬味用に庭に植えてあるシソと唐辛子を採りに出た際、猫の額ほどの菜園を
サササッと素早く歩行する虫を発見。何だろうと近寄るとなんとナミハンミョウ!
「ええ~ こんな所にハンミョウが!」と庭に置いてある子供用の100均ネットに駆け寄りなんとか捕獲。

地方の熊本とは言え、我が家は市内の住宅街の中に在り、近隣に畑や空き地などは一切ありません。
小学生の夏、近くの小学校の校庭で小さなハンミョウ(今思えばあれはコハンミョウ)が渦を巻くほど
群生していたのを見たことはありましたが、ナミハンミョウを近所で見たことはこれまでに一度も
ありません。一体何処から迷い込んだのか、それとも昔からの遺伝子が残っていたのか・・・

僕は大のハンミョウ好きで各地のハンミョウ類を集めています。ナミハンミョウの変異にも興味が
あるので産地集めをしていますが、市内産、しかも自宅ラベルの標本を思い掛けなく作れてしばしの
幸福感に浸れました^^

ちなみに7月の屋久島遠征でも予定数のハンミョウを得ることが出来、屋久島産マイコレを今年やっと
確保できました。タダハンミョウとは言っても、数頭は目にしても数を採るのは結構大変です。
屋久島へは何度も足を運んでいるもののなかなか本種にまでは手が回りませんでしたが、屋久島は
本種の南限でもあり結構人気も高いので今回はそれなりに時間を割いて取り組んだ成果です。

ハンミョウ類は勿論亜硫酸〆ですが、タトウ保管中はやはり油が出てしまい色が多少はくすんできます。
標本作成時は美整形を施し併せてアセトン処理で油抜きを行うのが僕の流儀で、以上を全て行うことで
最も美しい標本を作ることができます。

ついでにハンミョウ繋がりでの情報。九州唯一のカワラハンミョウはどうやら絶滅したようです・・・

蝶・カミキリ・昆虫を楽しむ!(九州・沖縄を中心に) TOP » 甲虫(その他)