甲虫(その他) | 蝶・カミキリ・昆虫を楽しむ!(九州・沖縄を中心に)

もう一つのタケ依存性ヒゲナガゾウムシ(2022.5.21)

タケ(竹)依存性のヒゲナガゾウムシとしてはササセマルヒゲナガゾウが知られています。
割と大型で横幅のある丸っこいヒゲナガゾウで、採集人が殆ど行うことが無いタケ類のビーティングを
行うと場所によっては得ることが出来ます。
甲虫好きの虫屋さんであってもササセマルに巡り合ったことの無い人は多いと思います。

そして、この他にタケ依存性のヒゲナガゾウがもう一種居ることをご存知の方はどれほど居られる
でしょうか。「え、そんなヒゲナガゾウが居るの?」と思われる方が殆どと思います。
保育社の甲虫図鑑の解説を読むと、タケ依存性のヒゲナガゾウはササセマル以外に見当たりません。
しかし、僕のフィールドの一つ(熊本のある一画)には確実にそれが居るのです。

それがこれ。これまでに採った最大ペアを図示します。

保育社の甲虫図鑑で調べると、体形と斑紋パターン的にはケマダラヒゲナガゾウに最も似ています。
図版が良くなくケマダラよりは体色が濃いようですがイマイチ分かり難いですね。
本種の最大の特徴はケマダラと同様の広がった符節ですが、そうなったのは進化の過程でツルツルとした
タケの樹皮に上手く掴まるために発達したものと思われます。
参考のため同様に符節が広いササセマルのペアと本種(上とは別個体)を並べてみます。

これら2種のヒゲナガゾウはなかなか落ちて来ませんが、マイ・フィールドでは運が良いと日に2種を
同時に得られることがあります^^

図鑑のケマダラの解説をかい摘むと「符節第三節は強く広がる。中ノ島と沖縄に分布する」とあります。
ケマダラと本種が同一かどうかは別として、同形態からケマダラもタケ依存性と思われます。
ケマダラの解説にはタケ依存性についての言及が無いので、図鑑作成時にはこうした生態が分かって
いなかったのでしょう。

実はかなり前から本種の存在には気付いていたのですがサンプル数が足りず、今春それなりに個体数を
採集出来たので紹介する次第です。
図鑑の分布はよく塗り替えられるのでケマダラそのものかもしれないし、あるいは別亜種・別種に
なるのかもしれません。少なくともタケ依存性という生態に関しては初の知見になると思います。

この5月にビーティングで落ちてきた写真。上がササセマル、下が本種です。
いずれも広がった符節が目立ちますね。


ちなみに以下の写真は早春に枯れ竹から割り出した場面で、完全に竹食いであることが分かります。

そして、先日撮れた奇跡の一枚(三枚か^^)。
偶然にも自然状態で本種が枯竹に留まっている場面を捕えることが出来ました。



広がった符節で枯竹の樹皮にしっかり「貼り付いて」いるのが分かりますね。
うーん、イメージ通りで大満足^^
こんな場面、まず拝むことは叶いません。よー見つけた、ジブン。偉い!

僕は一応ヒゲナガゾウ・マニアですが数ミリの極小種は正直好みではありません。
本種は平均すると10ミリ近くはあるので楽しんで調査に励むことが出来ました^^
引き続き発生期間等も調べてみようと思います。

5月上旬過ぎ、雨の合間に見る虫達(2022.5.13)

沖縄は既にGW中に、奄美地方も遂に梅雨に入りましたね。
昨年まで住んでいた奄美では5月に入ると直ぐに梅雨の気配が感じられ、「え、もう梅雨なの?」と
虫採りに気が乗らない5月を過ごしたものでしたが、九州の梅雨入りは大体6月に入ってからなので
あと暫くは長雨の心配をすることなく虫採りが出来ると思います^^

しかし、南西諸島の梅雨前線の影響なのかここ4~5日は九州も雨天の日々となっています。
こんな状態では山へは行けないので、雨の合間を縫って近場を見て回っています。

ヤナギの木にはヤナギハムシ等の普通種のハムシ類の幼虫・蛹がたかる時期となっており、
それを目当てに日本産超巨大テントウムシ三兄弟の筆頭、カメノコテントウの幼虫が枝先をウロウロ
しています。もう見なくなりましたが、少し前には成虫がウロウロしていました。

食べられるハムシsp(恐らくヤナギハムシ)の蛹、それを食べるため枝を徘徊するカメノコテントウの
幼虫です。


ヤナギをビーティングしてみると、ハムシ類の幼虫に混じって稀にフタキボシゾウムシが落ちて来ます。
何処にでも居るものではないし、オリジナリティのある斑紋なので好きな種類です^^

未だ早いとは思いましたが、クワのクワキジラミ・コロニーを見て回ってみるとハラグロオオテントウの
亜終齢幼虫が既に見つかりました。しかしこの1頭以外は見つからず、いつもながらの「単発振り」に
感心します。

地面にシリアゲムシspが多数群がっていたので、近付いて見るとカエルの死骸に集まっているのが
分かりました。全く興味の無いグループですが、こいつら肉食だったのね。

野生種のバラの花には、花びらを食するために多数のカタモンコガネが集まっていました。
バラの花は無尽蔵にあるものの、集まるバラの株は限られるようです。


何時もの河川沿いの散歩道にはクコが生えており、現在トホシクビボソハムシ成虫の最盛期のようで
多くの個体が見られます。



この辺りの本種はほぼ無紋で、図鑑の標本写真を確認した後に見るとかなりの違和感があります。
図鑑には「上翅の黒紋は消失する個体がある」とありますが、此処は全ての個体が消失するので全国的に
見れば面白い個体群なのかもしれません。

オニグルミ大木の下枝先の葉を葉脈標本の様に食害しているクルミハムシのコロニー。ちょっと位置が
高いので近寄れませんが、終齢幼虫・蛹そして新成虫の姿がそこにありました。

丁寧に色んな場所を見て行けばそれなりに虫は居るものですね。
ただ近場ではあまり面白い虫が見つからないので、早く山間部へ赴きたいものです。
そろそろ山で採れる虫の種類も増えて来ているでしょう^^

5月初旬、低山ビーティングで落ちて来る虫達(2022.5.7)

5月上旬、世の中の大型連休とやらはそろそろ終わりらしいですねえ。
サンデー毎日の身としては通常の日々を送っていますが、過去4年間のこの時期、九州低地の虫に
全く触れていないのでカンを取り戻す意味で近くの低山でビーティングしてきました。
(あ、奄美在住の前も八重山等に長期遠征していたので正確には10年振り位だ^^)

よく行く自宅から30分程度のフィールド。標高は150mもありません。
熊本市の西部地域が見渡せる原生林の残る一画です。

竹林の混じる林道をビーティングしながら進んでいくと、以下のような虫達が落ちて来ます。
なかなか落ちないササセマルヒゲナガゾウ。

これも何故か極端に少ないホオアカオサゾウ。今年はほぼ無紋型が採れて嬉しい^^


南西諸島の各群とは異なるウスアヤカミキリ基亜種。何故かこれも驚くほど少ない・・・

割り出すより叩き落とした方が数倍面白いハイイロヤハズ。

九州限定、しかも局所的で入手し難いタケトゲハムシ。たぶんこの仲間では最もトゲが凄い・・・

イメージほどには採れないニホンホホビロコメツキモドキ。しかもこんな大型個体は滅多に採れません。

こんな種類も居たなあ。もう何十年も摘まんでいないヒトオビアラゲ。

やはり春にしか見ないキクスイモドキ。

タダドウボソは触角が破損していないこの時期に採るに限ります。

夏に採った記憶はあるも、やはり春のイメージが強いコブスジサビ。

低山から阿蘇高原まで広く確認出来るマメ科食いのオオシロコブゾウムシ。

真っ白な紋が際立つオジロアシナガゾウムシ(古い個体が1頭混じっている)。

南の島々の亜種にも増して美しいアカガネサルハムシ。普通種だけど^^

南方産と共に標本を並べたいクシコメツキ。

意外と見ないクリイロコガネ。この時期にライトフィットでも掛けると入るのかな。

各島に固有亜種が居て注目度が高いマルムネゴミダマ。本土にはたくさん居るんだなあ。

これらは普通種(とは言えないものも居る)ではあるものの必ず毎回採れるわけではなく、2~3回の
採集で揃った写真です。
そしてどれも自分の標本箱には1頭も入っていないことに気付いたので、今シーズン中に数頭ずつは
確保して綺麗に展足しマウントしておこうと思って通いました。

また先日、別採集のついでですが山中にスギ伐採木が積んであったのでヒメスギカミキリも2~3ペア
摘まみましたし(これも実際に触れたのは数十年振り@@)、中流域の河原ではキクスイカミキリも数頭
採って来ました。

コレクションも断捨離のステージに入りましたが、一応最低限の体裁だけは整えたいからね^^
自宅から30分のお手軽なフィールドですが、こうした採集には大変役に立ちます。

ハラグロオオテントウ、新マイ・ポイント発見^^(2022.5.1)

日本産テントウムシの超巨大種3兄弟(僕が命名^^)と言えばカメノコテントウ、オオテントウ、
そしてハラグロオオテントウを指します。
カメノコテントウは全国的に普遍で馴染み深いテントウムシですが、後者2種はなかなかお目に掛る
チャンスが無いという人が殆どではないでしょうか。

実は僕もオオテントウの自力採集経験がありません。宮崎や高知辺りが産地としては有名なので、
恐らく西日本の太平洋側で狙い易い種類ではないかと思います。大分の太平洋岸の一部には何故か
ポツンとヤマトチビコバネカミキリが居たりするので、西日本の太平洋側に特異な分布形態を持つ虫が
幾らか居るように感じています。例のピコピコ虫もその一つと言えるかも。

一方、ハラグロオオテントウですが、近年某虫雑誌を多少賑わせていたとは言え、全国的に見れば
大多数の虫屋には縁遠い存在だろうと思います。確実と言える産地など数える程度ではないでしょうか。
しかも多産型のテントウではないので、寄ってたかって採ってしまえば恐らく簡単にその場からは
消えてしまうでしょう。なので僕は見つけても幾らかは残すようにしてきました。

本種も5~6年振りに探してみたのですが、残念なことにかつてのポイントのクワの木が無くなって
いました・・・
本種はクワノキジラミを捕食するのでクワの木が無ければ発生しないのですが、養蚕が廃れた今日、
雑木でしかないクワは切られ無くなって行く一方なのです。

しかーし!
見つけたんですよ。新たなマイポイントを^^
クワ中木が5~6本纏まって生えている場所です。周りに民家が全く無いので切られる心配もありません。

居るかな、と枝や葉、実を丁寧に見ていくと・・・
大胆に葉っぱに留まるオレンジ色の丸い巨体を発見。鮮やかな超大型種は見つけ易くて良いですね^^

雰囲気は分かると思いますが、見つかるとチョー楽しい虫なんですよ^^
なかなか新ポイントなんて見つかりませんから。

何故か何時も単発が多いのですが今日はルッキングで4頭も見つけたので、ビーティングして回れば
10頭位は採れそうでしたが止めました。で、目視で見つけた半分の2頭のみ回収しました。

さらに調べるとクワキジラミのロウをまとった個体や、クワキジラミ・コロニーの傍で活動中の
個体も発見出来ました。これで次世代の発生確定、と^^


ビーティングしたい気持ちをぐっと堪えたのは、6~7月頃に次世代が発生するはずなのでそれらを
頂こう(出来ればタンマリと^^)という皮算用をたてたからです。
上手くいくかどうかは運次第ですが、新たな良ポイントを探し当てたぜい^^

初めてヤシオサゾウムシを採る(2022.1.21)

ヤシオサゾウムシは東南アジアを原産地とし、今ではインドや中国、豪州、米国、欧州など
世界各地に分布を拡大しています。

日本では沖縄で1975年に早くも確認されていましたが、本土域(三重・岡山~九州)での発見は
それから20年以上遅れ、地元:熊本では2004年に確認されました。
そして僕も初めて地元で本種に出会うことが出来ました。
被害木のヤシ(フェニックス)に近付くと枯れて幹から折れ落ちた葉が地面に転がっています。

葉柄基部はヤシオサゾウムシの幼虫によってボロボロに食われており、崩していくとヤシの繊維を
綴って作った繭が出てきました。


タイミングとしては羽化して暫く経った時期のようで、繭を崩すと体が堅強となった新成虫が現れました。
オサゾウムシ類の生前のこの色彩、何とも言えない美しさです^^

これはナタで葉柄を削っていた際に繭の一部を壊してしまった場面。
新成虫の口吻が覗いていますね。


繭から取り出した成虫達。
本日の最高気温は6℃。寒さのため全く動きませんが、これでも生き抜けるのだから大したものです。
元々は東南アジアの虫なのにね^^

ただ、一本の木で何世代も繰り返すことから古い繭が圧倒的に多く、新成虫の入った繭は思ったほど
には出て来ませんでした。そこまでボロボロ採れる虫ではないのは良いですね。繭に入った可愛らしい
姿も含め一気には飽きさせない魅力はあるようです。

本種の幼虫はヤシの幹に食入し、柔らかい葉の葉柄や木の上部などを食害するため最終的には木が
衰えて枯れてしまう場合も多いです。
採集者としては居続けてくれた方が面白いけど、やはり蔓延してしまうと困るというジレンマをどうしても
抱えてしまいます。
駆除しきった方が良いのか、ある程度は残すか・・・

と言うか、枯れ落ちた葉が大量でそれらが積み重なり、下に積もった部分にはとても行き着けません。
それに必要以上の標本数も必要ないし、腰も痛くなってきたのでそろそろ採集を切り上げよう。
とりあえず満足したので暫く本種の採集はしなくても良いけれど、また探してみたくなった時に未だ発生を
続けているのかな。

低山竹林のニホンホホビロコメツキモドキなど(2021.12.15)

郷里・熊本へ戻って来たからには冬にやっておきたいのが低山帯竹林での枯れ竹割り。
大物は居ないものの数種類の虫達と遊べます^^

標高2百メートルにも満たない低山斜面から熊本市(西部)を眺めます。
遠くに見えるは阿蘇連山入り口の外輪山外側。その向こうに世界最大のカルデラがあります。
1年後のレインボーセンチ採集が待ちどうしいねえ^^
ちなみに今自分が立っている場所にもレインボーセンチの東端群と言える変わったモノが居て、
僕意外はまず手を出せない一群です。

ポイントの竹(メダケ)林内に潜り込み、目に付く枯れ竹を剪定鋏で割っていきます。

はい、出ました。成虫越冬中のニホンホホビロコメツキモドキです。
♀は頭部が左右非対称の特異な形状をしており人気が高く、普通種なるも何時も在庫がありません。
マイコレも無いスッカラカンの状態なので少し頑張りますか^^
普通とは言っても出て来るまで枯れ竹を割り続けなければならず、結構重労働。
堅く枯れた竹も多く、採集を終える頃には手に腱鞘炎のような痛みを覚悟しなければなりません。

ニホンホホビロコメツキモドキは、この様に同世代の場合は竹の一節に1頭ずつ入っているのが
とても面白いですね。場合によっては次世代の幼虫と同居している場合もあります。

これは幼虫。スマン・・・

一方、こちらはとても少ないササセマルヒゲナガゾウ(♂)。

ササセマルヒゲナガゾウは、このように成虫で越冬するものと、幼虫が同時に見られる場合があります。
数は確保し難いので春に竹のビーティングを頑張りましょうか。野外でも多くはないけどね。

春に竹林をビーティングすれば、上記二種に加えて今回目に付かなかったハイイロヤハズカミキリや
ウスアヤカミキリ、ヨツメオサゾウムシ、タケトゲハムシなど通常は得難い種類も狙えます。
5~6年振りになるけど、春のポカポカ日和にこれらや他の低山性昆虫達と戯れるのも良いよね^^

夏枯れの奄美に戻りました。今月からオークション出品も(2021.8.15)

地元九州:熊本から、夏枯れ最中の奄美大島に戻っています。
奄美の真夏の暑さは九州低地とあまり変わりませんが、海洋性の風が吹き抜けるせいかやや暮らし易く
感じます。時として40℃近辺にまで上昇する本州各地と比べると明らかにマシと思えますね。

ただ真夏ですから虫はほぼ居らず、林床にアマミハンミョウがポツンと居た程度。
7月上旬には少し採集しましたが、今の奄美では激減している虫です。

蝶もツマベニチョウとナガサキアゲハが飛んでいるくらいで、日差しが多少は柔らかくなる来月あたり
からが飼育も含め適期になってくるでしょう。それまで僕も暫く夏眠、と。
年末までにはいよいよ奄美から完全撤収するので最後の奄美を楽しみたいですね^^

なお、今月末には今季初のオークション出品を行います。詳しくはメルマガに書きますが、出品規模は
さらに前回より小さくなりますし、数年後にはほぼ止めることになりそうです。
出品レシピは例年と同様ですので、当方の標本にご興味をお持ちの方はご留意をお願いします。

※後日記
オークション出品は8月末からとした前段を訂正させて頂き、例年通り9月上旬から行うこととしました。
失礼しました。

初めての喜界島(2021.6.28)

人生初となる喜界島に行って来ました。これで奄美群島の主だった大きな島にはとりあえず一度は
訪問したことになります。
喜界島は奄美からフェリーで行く場合、往路は夜間着、帰路は早朝発となるので宿やレンタカーの
扱いが難しいのですが採集と言う意味では効率の良い島となります。今回は梅雨の狭間の二日間の
晴れ間を有効に使えたのでとても楽しい遠征となりました^^

奄美からのフェリーは夜8時過ぎに出航します。満月が街灯等に集まる虫の採集がほぼ出来ないことを
残酷にも告げています。クロマルコガネ、オワタ・・・
丸っこいだけの甲虫はそんなに好きではないので良いんだけどね。

翌日はレンタカーで島を一周しながら第一目的であるドウボソカミキリ類に良さそうな環境を探します。
当グループを採り慣れていることもあり、程なく生息地に行き当たりました。
イマサカおよびシロスジのドウボソカミキリです。


前者は比較的発生の遅いドウボソなので未だ適期とも言えますが、後者については正直遅く大部分に
欠け・擦れが見られます。
なおイマサカについては最近記録地が増えており、島嶼部にかなり広範囲に居る種類であるのが
分かってきましたね^^

喜界島で動いていると特に目に付くのがキカイジマイシガキシロテンハナムグリ。
あっちこっちの海岸の草付き周りを飛び回っています。


かつてイシガキシロテンハナムグリでもグループ内で最も美麗と思しき(感想には個人差があります)
波照間島産とも空中戦を交えたことがありますが、それよりも低くやや緩やか飛ぶのでとても採集
し易いものでした。

喜界島で特徴的なキボシカミキリ。現在の分類上はアマミキボシの範疇とされていますが、黄色味が
とても強いなどかなり特化しています。

今のところ唯一の特産亜種キカイジマノブオケシ。何故かなんでこんなに少ないの?と思うほど採れず、
再度行くべき理由の一つになってくれました。
(と言うか、時間も無かったのでまた来るためにそれっぽい所をわざと叩かなかった^^)

時期が遅過ぎて2♀しか採れなかったリュウキュウルリボシ。♂も採れましたがボロ過ぎて捨てました。
斑紋的には沖永良部産や与論産のようにギラギラ型ですがエリトラ両側面に縦線が部分的に発現しており
大袈裟に言えばミヤコルリボシのようなパターンを感じます。もちろん沖縄亜種や奄美産のような通常型の
範疇のものとは全く異なります。これは是非また採りに行かなくちゃ。サペル命なので^^

恐らく喜界島未記録のタイワンナカボソタマムシ。エリトラ先端の波型の斑紋が極めて太く、初見の際は
エリトラ先端がとても白く見え驚きました。数頭採った全てが同様だったので固定された特徴でしょう。
これについては少し調べてみるつもりです。

ダメ元で月明りで明々とした夜に出回ってみましたが、やはりライトに集まる虫はほぼ皆無でクロマル
コガネは1頭しか採れませんでした。他の虫ですらヒラタクワガタ1ペアとアオドウガネ数頭しか来て
いなかったので採れたのは奇跡だったかも。手にしてみると意外と面白い虫と感じたので、これも来年以降
再訪問のきっかけになってくれそう。

喜界島や与論島は分布する種類が少ない上、魅力ある種類もあまり居らず遠征に二の足を踏みがちです。
ただ、行ったら行ったで多少のこだわりが生まれ、また行きたくなるのが虫採りの困ったところ。
数年間でも奄美群島に携わった者として、今後も機会を作り係わって行こうと思います。

珍奇チャイロヒラタカメノコほか、奄美特産の美麗ハムシ(2021.6.23)

梅雨時の楽しみの一つ、チャイロヒラタカメノコハムシ探しに行ってきました。
もちろん晴れている方が探し易いものの、たとえ小雨でも探索可能な採集者に優しい珍奇ハムシです。
年中行事になりマイコレ分の標本は持っていますが、人気が高いので何時かは枯渇しそうだし、
奄美にしか分布していない種類だし、住んでいる間しか十分に探す時間が取れないし・・・
など色々理由を練り出して出撃することになります。
なにより探すこと自体が面白いのが第一の理由なんですけどね^^

奄美は今日も梅雨空。降ったり止んだりを繰り返しています。
そんな日はチャイロヒラタカメノコ探しでもやりますかね。

天気が悪いと林縁は暗くて見難いですが、クチナシを探し葉っぱを注意深く見渡していきます。
すると、このように表面を「―」状に薄く削り取った本種の食痕が見つかり、その葉もしくは近くの
葉に本種は留まっています。

これなんかは物凄く食われた葉で稀な例ですが、それでも1頭がポツンと留まっている程度。
本種は1頭当たりの摂食量が多いので食痕の数も多いのですが、極めて個体数の少ないハムシなので
1本のクチナシの株から見つかるのはせいぜい1~数頭なのです。


雨の場合は葉裏に留まっている場合が多く、このように下から見上げると目が合うことになります。
が、本種の場合は目が合っても逃げることがありません^^
下の写真では左右に2頭が葉裏に留まっているのが分かりますね。

ただ、安易に枝葉を引き寄せると振動で落ちる場合があるのでハンドリングは注意深く行うことが
大切です。
本種独特のユニークな「山型」のトゲが指に当たるこの感覚、何度経験しても愉快なんですよねえ^^

この時期に得られる他の美麗ハムシについても少し触れておきましょう。
まず、同様に奄美特産のアオバヒメハムシ。
春に採れるオキナワアオバホソハムシとはまた違ったギラギラとした緑の金属光沢を持ち、胸部の黄色も
とても美しい種類です。過去2年はあまり得られませんでしたが、今年はまあまあ発生していました。

そして、これも奄美特産のアマミカバイロハムシ。
かつてオーストラリアに1年間住んでいましたが、極めて種類が多かったユーカリハムシのある群に
よく似た、日本産離れ(?)した素晴らしい大型美麗ハムシです。
前2年はゼロでしたが、今年は1頭だけ採ることが出来ました。各地でビーティング等に勤しんでも
なかなか得られないので個人的には得難い種類と位置付けています。

正直なところ南西諸島には魅力的なハムシが少なく、敢えて狙いたい種類もほぼ居ないため
奄美在住のここ数年、当グループに限ってはあまり楽しめたとは言えません。
来シーズンからは地元九州をはじめ、本土域の未経験の大型美麗種等に手を伸ばしていこうと思います。

沖永良部、沖縄、与論遠征から戻りました(2021.5.8)

2週間の沖永良部島、沖縄本島、そして初めての与論島を巡る遠征から奄美の自宅へ戻りました。
相変わらず移動が多く、アラ還にはちょっとキツイ旅行でした(フェリーだし^^)。
若い時分には何てことはない旅程ですが、体力が次第に衰えてきているのが分かりますねえ。
そんなことはどうでも良く。

沖永良部は春、夏と何度か通っており虫も多くとても好きな島ですが、生息する種類数が少ないので
さすがに飽きつつありますね。ただかなりの種類が特化しており独立種や亜種が多いのが魅力の
島です。なんとなく手持ち標本を放出してしまいマイコレが無くなってきていたので、春は今後暫く
行かないつもりで徹底した断捨離思考で好きなものだけ補充してきました。

沖縄本島へ向かう途中で沖永良部へ寄ったのですが、初めて春に台風(2号)の影響を受けることになり
条件付きのフェリー運行でしたが、幸運にも沖永良部に降り立てました。もし寄港出来なければ
沖縄直行になるところでした・・・
下は翌日の荒波。当然フェリーは欠航。間一髪@@

沖永良部滞在中は台風の余波が続き採集はやり難いものでしたが、何とか目的の種類や数は
得られた感じです。過去のポイント開拓や経験が大いに役立ちました^^

オキオエラブシロスジドウボソ。
ちょっと赤っぽくて小さい独特の亜種です。さすがに多くはありませんが、これまでと併せると
なんとかマイコレは貯まったかな。

サペルディーニ命なので各島のリュウキュウルリボシを鬼集していますが、沖永良部の本種は
沖縄の亜種よりもさらにブライトンでブロックで揃えると「映え」ます^^
ちなみに後日訪れた与論産も同タイプです。


オキノエラブリンゴも今回までで十分貯まりました。ちなみにかなり持っていた各島のリンゴ各種は
随分放出して崩壊状態なので、本種を皮切りに本土産も含め再鬼集を始めるつもりです。
下はルッキングで見つけた交尾中のペア。

雨を避けて細枝を齧っていた♂、葉脈に付けられた線状の食痕も見えます。

ホストのテイカカズラの葉を集団で薄く齧る亜種のオオミドリサルハムシ。他島のように緑色ではなく
藍色でとても美しい個体群です。

次は二年振りの沖縄北部やんばるの森。懐かしいなあ。
これまで成虫採集では春の特定種のみを狙っていましたが、来年以降は5月中旬以降の初夏物を狙って
ぼちぼち通う予定です。

昨年は行かなかったので、二年振りに採ったオキナワホソコバネ。
今年の発生は最悪レベルでしたねえ。諸事情で本種についてはあまり語らないことにします。

そして初めて訪れる与論島。沖永良部もそうですが、奄美から沖縄へフェリーで往復する途中で
寄れるのがとても好都合。本土からはなかなか行けないからねえ。
綺麗な海で有名な与論なので、通り掛かった海岸を写してみました。虫ブログに海岸名などいらないのだ^^
でもホント美しい・・・

僕ほど各島のドウボソカミキリ類を採ってきたカミキリ屋も居ないと思いますが、採り易く感動した
シロスジドウボソ。勿論ドウボソ類が好む環境を見つけなければ数は採れませんが、堪能しました。
残念ながら沖永良部のようには特化はしていないよう。全般的に小さいのは共通していますが。

参考までに沖縄北部で採った大型のシロスジドウボソと与論の最小個体を並べてみます。

与論で最も嬉しかったのがコレ。大きな大きなヤエヤマトラ。
これだけで与論に寄った甲斐がありました^^

最後に、与論にフェリーで行く人もまず居ないと思うので港に近寄るフェリーの写真を載せます。

最初の予想より虫が多く採れて、とても楽しかった2週間の遠征でした^^

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