蝶 | 蝶・カミキリ・昆虫を楽しむ!(九州・沖縄を中心に)

奄美大島、7月上旬の蝶観察(2021.7.5)

春から初夏に掛けてずっと発生が悪かった今年の奄美の甲虫類。夏場に出る種類に期待を掛けて
いたのですが、残念ながら甲虫に関しては通年良くない年のようです。
よって、7月に入っても蝶屋をやる機会が多くなっています。

マイ・フィールドをドライブしながら蝶屋の目で流してみます。
やはり最初に確認するのは奄美で今、最もホットな蝶のフタオチョウかな^^
今は第2化の発生もたけなわで、特にここ数日は有名ポイントをはじめ各所でフタオの採集者を
よく見かけるようになっています。
さっきもあるポイントで頑張っていたおじさんに声を掛けてみましたが、幾つかは採れたものの
完品率はゼロとのこと。

やはり野外でほぼ無傷の個体を得るのは難しいヤツなんだよなあと思いながらヤエヤマネコノチチを
まさぐると、産みたての卵が幾つか見つかりました。タイミング的にはこれから第2化の産卵期が
始まることになります。

ちなみに本種はオオムラサキのように小枝や葉に数十卵もまとめて産み付けるタイプではありません。
観察しているとヤエヤマネコノチチにいきなり来たと思えば1~2卵を産み、直ぐにその木からは
飛び去ってしまいます。

中にはアリがたかっているものもあり、これまで凹んだ卵をよく見ていたことからアリによる捕食の
ケースもかなり多いのでしょう。アリには幼虫も結構やられていそう。

時期的に未だ幼虫はほぼ居ませんが、1.5センチ程の初齢幼虫が見つかりました。本種の幼虫は
孵化直後から既に4本のツノのある仮面を被っている(どうしてもこう見えてしまう^^)のが特徴です。
5月に野外で第2化となる幼虫の生育を観察したところ、かなりの確率でハチ類をはじめとした
天敵により何時の間にか消えてしまいました。飼育に適した終齢幼虫は数を得られず苦労しました。
結構大変だけど、第3化の飼育も今から楽しみではあります^^

これでは面白くないので5月に飼育した第2化の羽化直前の蛹をお目に掛けます。
前に書いたように腹節が動かなかったり、翅以外が蛹の色のまま羽化するので最初はとても驚きました。
実は羽化中の動画も撮っており、それを見るとフタオ特有の左右2本の尾凸がどのように格納されて
いるのかも分かります。こんなモノ、誰も知らないと思うので特定の人のみになると思いますが
チャンスがあれば公表しましょう。羽化中のフタオチョウを動画に収めたケースは初めてと
思いますのでね^^


遊歩道を歩いているとクワノハエノキ小木の葉の上に例の奴が居ました。
分かりますか(写真の中央)?

アカボシゴマダラの終齢幼虫です。習性である上半身を起こしている様子が分かりますね。
なおこの幼虫は目の高さより低い位置にいました。
だからと言って本土に侵入した大陸系アカボシ幼虫の様にポロポロ見つかるわけではありません。


成虫は今、第2化の最終末期なのでこの幼虫は恐らく2化の先発隊の子孫であると思われます。今後、
第3~4化が発生しますが既に2化の時点で発生期のズレが大きくなってきているのが分かります。
3・4化は入り乱れどっちなのか分からなくなりますが、おかげで4化はかなり遅くまで見られるので
採集者には嬉しいところ。
アカボシは成虫を結構採ったし、飼育して遊ぶのは本当に老後で良いでしょう^^

木の幹に何かベタッと留まっているものが居ます。

忍者的な留まり方をするスミナガシでした。今は既に発生末期で綺麗な個体は見られません。
秋にまた期待です。

今年異常に多いと感じるのがアオバセセリ。下の写真では左右の葉裏に2頭が翅を休めているのが
分かるでしょうか。

ヤンバルアワブキ幼木を調べてみると、葉柄に多くの卵が産まれていました。こんな木は他には
在りませんでしたが、本種がここまで多く発生する年は珍しいので秋の飼育も頑張ってみましょう。

ヤンバルアワブキを見ていると、3種の昆虫に齧られた一枝が在りました。何か分かりますか?
蝶屋さんなら皆分かるスミナガシ、アオバセセリの2種の蝶(食痕や巣の主は居なかった)、そして
リュウキュウルリボシカミキリもしくはスジシロカミキリの齧り跡です。
捕食されたり、発生が終わった後の物悲しさが何となく込み上げます・・・

さてと、これから屋久島・九州本土の採集を終えて奄美に戻ると此処での最後の秋。
ほぼ蝶一択となる季節、上記の蝶たちに加えアマミカラスアゲハやイワカワシジミ低温期型などの採集
および飼育が今からとても楽しみです^^

6月に採集・飼育、展翅した蝶たち(2021.7.1)

今日から7月となりましたが、奄美大島は数日前からの雨が続いています。
現在羽化中のイワカワシジミの展翅をしつつ、既に展翅板に乗った6月に採集したり飼育した蝶たちの
写真を撮ってみました。

今年の6月は甲虫類の発生があまり良くないこともあり少し蝶に入れ込もうかと思っていましたが、
思いのほか今年の梅雨は雨の日が多く、意気込みほどは蝶の採集も出来なかった印象です。

フタオチョウは飼育した分と採集分が混じっていますが、発生初期に採集しても野外品はどこか破損や
擦れがあるもので、気に入った採り込みたい個体はなかなか採れませんでしたねえ。
現地に居てもそうですから、ちょっとの遠征では良い個体はあまり採れないと思ったほうが良いです。
とりあえず第2化はこれで十分なので、あとは夏~晩秋に第3化の飼育・採集及び来年の第1化に
なるものの飼育まで完遂する予定です。それでフタオチョウは一応卒業と。

焦点となる「奄美のフタオの起源は?」についてですが、僕は自然拡散・定着(中)であると
考えています(そう思った経緯はメルマガに書こうかな)。
また、ホストとしてのクワノハエノキへの依存度はせいぜい数%以内ですし、特に成虫の習性がアカボシ
ゴマダラとは全く異なるため競合関係には無く、アカボシに影響を及ぼす心配は杞憂です^^
こういう事象は「現地」で注意深く観察することが重要で、本土の机上で幾ら考えても、ね。
また本土で飼育しても小さな標本は幾らでも作れますが「現地」ではないのだから非現実の状況下での
飼育記録であることを認識したほうが良いですね。

そしてクワノハエノキでもフタオが食う・食わない系統があると思っており、それについては出来れば
奄美に居る間に調べてみようと思っています。もしかしたらクワノハエノキ以外にもサブ的に食っている
ものが他にあるのではないかとさえ思います。いずれにしても自然界でクワノハエノキに産卵することは
イレギュラーであり、繰り返しますがアカボシとの競合を心配する必要はないでしょう。
(なお数件問い合わせが在りましたが当方はフタオ母蝶等を提供しておりません)

さて、天気予報ではあと数日もすると奄美の梅雨は明けそうな気配です。
年中行事のモリヤイ(アマミホソコバネカミキリ)を数日楽しんだ後は昨年行かなかった屋久島へ
向かう予定。屋久島が済めば例年のように地元九州で暫く過ごします。
いよいよ夏物の季節に突入です^^

クワノハエノキ新葉上のテングチョウ幼虫、今後の飼育構想を少し(2021.4.4)

奄美大島は新年度に入って2日連続の大雨、その後2日は雨は上がったものの曇天で濡れそぼった
林では採集は不可能。4月の初出動は明日以降となりそうです。

奄美大島各地のクワノハエノキの新葉上には現在、大小様々のテングチョウの幼虫が見られます。
本種は成虫で越冬するので春の産卵時期がまちまちとなり、幼虫の成長度合いに差が現れます。

林縁の目立つクワノハエノキには大抵、幼虫の食痕が見られます。大発生の際は新芽・新葉が
瞬く間に食い尽くされる場合もあります@@ 今春はそこまではいきませんね。

もうかなり蛹化に近付いた終齢幼虫。

こっちは未だ中齢ですね。

テングチョウは普通種であり、特に奄美では目にする機会が多い蝶です。なのでこれまではネットに
入れて遊ぶことはあっても面倒な展翅にまではなかなか及びませんでした。
ただ奄美をはじめとする南方産は赤紋が拡大するなどやや特化した群として知られるので、奄美を去る
今年は多少はビカビカの展翅標本を作っておこうと思います。テングは裏展もイイ^^
本種に関しては新鮮な親が多数得られるので幼虫の飼育まではやらなくて済むので助かります。

なお、奄美でクワノハエノキに関連深い蝶と言えばアカボシゴマダラがより有名ですが、これの飼育には
多大な労力、さらに空間が必要なので奄美在住期間には取り組むことが出来ませんでした。
(時期的に得難い第4化の採集には少々励みました)

何も奄美に居るうちに奄美産昆虫全てをやりきる必要はないわけで、移転後も折に触れて来島することに
なるので臨機応変に対応すれば良いでしょう。
今後は蝶およびその飼育の比重を次第に大きくしていく予定なので、アカボシに加えアマミカラスアゲハ、
そしてフタオチョウの飼育は今後の楽しみに取っておきます^^

奄美大島のフタオチョウ(2021.2.10)

手許に自己採集の奄美産フタオチョウ・ペアの写真があるので参考までにアップします。
当然のこと、沖縄からの飛来個体の末裔だから同じ日本亜種です^^

奄美にはホストのヤエヤマネコノチチが大量にあるため一気に広がったようですね。
僕が奄美に住み始める前の年に記録が出て、それから連続4年間発生を続けているので既に奄美に
定着したと言って良いのではないでしょうか。
もちろん石垣島のキミスジ等のように数年後には耐える例も結構あるので予断は許しませんが。

昨年6月の発生初期の♂

本来僕は大のフタオ好きで東南アジアの各種はほぼコレクション済です(アフリカ産は食指動かず^^)。
ただ国産フタオは規制前の沖縄産を幾つか持っていたため、地元奄美で発生していると知ってからも
あまり積極的になれず昨年6月の数日間、甲虫採集の合間に少し取り組んだのみでした。

イメージではオオムラサキのように雄大に滑空しているのかと想像していたのですが、テリトリーを張る
様子を観察したり実際にネットした限りでは雄大というよりはイシガケチョウを3倍ほど屈強にした感じで
(ちょっと言い過ぎか^^)やや拍子抜けしました。
オオムラサキならネット内で「バサッ、バサッ」と暴れますが、フタオは「パタパタ」感が強く筋肉質に
見える太い体はちょっと見掛け倒しかなあと思ったことでした。

同様に昨年6月に採った♀

発生回数は3~4月、6~7月、そして9~10月の年3化、これは沖縄本島とほぼ同じですね。
第2化が目立ちますが、秋のアカボシゴマダラのシーズンにも幾らか飛んでいるのを見ました。
今年は本種との付き合いを多少深めてみようと思っているのですが、飼育もしたいなあ。

その前に、今年も発生するのか?

奄美のシロウラナミシジミ(2020.10.11)

ちょっと前までは八重山方面まで行かないと見られなかったシロウラナミシジミですが、今では
奄美大島でも見られるようになりました。昨年12月に沖縄本島へカミキリの材探しに行った際にも
現地で幾つか見ていたし、ひょっとしたら奄美でも?、と思っていましたがやはり居ました^^

4年間発生を続けているフタオチョウといい、シロウラナミシジミといい、これまで蝶に関しては
相対的に面白味が少ないとされていた奄美大島ですが、なんだか俄然面白くなってきました^^
もちろんこれらが完全に定着するかはもう暫く見てみないと分かりませんけどね。

路傍のセンダングサに吸蜜に訪れたシロウラナミシジミ。


かつてシンガポールに数年間住んでいた頃に度々訪れた西マレーシアのキャメロン・ハイランドの
暗いジャングルで採集した時の感じのままで飛んでいました。いやあ、実に懐かしい・・・
Jamides属の巨大種、良いですねえ。

食草のミョウガ(単純な思い込み、シュクシャの間違いでした)は森林内の路傍に群落があり、その周りを
チラチラしています。ただ、7~8年前に宮崎の沿岸部で大発生したルリウラナミシジミがクズの
マント帯で紙吹雪の様に乱舞していたような信じられない数は全く居ません。
シュクシャは群落を形成し花穂の量は結構在るのですが、どうやら本種は(それほど)多産しない
タイプのJamidesのようです。

これは幼虫を確認していても納得出来ました。シュクシャの大きな花穂を調べてもなかなか幼虫には
辿り着けず、居てもせいぜい1~数頭なのです。

これは夜間、鱗片内から姿を現した終齢幼虫。

本種はこれからも暫くは活動すると思うので、続けて採集・観察してみようと思います。
かつては八重山へ行かなければ採集出来ませんでしたが、思いかけず地元でも採集・飼育が出来る
偶然に恵まれとてもラッキーです^^

本種の飼育については続編にまとめようと思います。

炎天下のツマベニチョウの幼虫@奄美大島(2020.8.16)

お盆休みもたけなわの8月中旬、今年は各地で猛暑が猛威を振るっていますね。
本土の最高気温の40℃近くには及びませんが、奄美大島でもここ暫く35℃程度までは余裕で上昇、
日向に居ると茹だって気を失いそうになります。

そうした中!
直射日光を受けるギョボクの葉上に居たのはこのヒト。

鎌首をもたげる小っちゃなヘビ・・・ではなく、ツマベニチョウの中齢幼虫です。
アホじゃないの。この炎天下、茹だって死んじゃうよ?
こんな時くらい葉裏に移動すれば良いのに・・・
習性とは恐ろしいものですねえ。

これは別の幼虫。

こっちの心配をヨソにこのヒト達、茹だるどころか元気そうにニョロニョロ。
隣のハイビスカスの花では快活に成虫が吸蜜してるし。
さすが亜熱帯~熱帯のチョウですなあ。

他にも若齢幼虫が幾つか目に付いたので暫く観察していましたが、熱射病になりそうな猛暑にもう限界、
さっさと冷房の効いた車内に戻ろう。
もちろん幼虫はもう少し成長したら頂きに参ります^^

郷里:熊本での盛夏採集(2020.8.6)

現在郷里の熊本に一時帰省中です。連日日中の気温は35℃程まで上がり、「茹る」毎日です。
そうした中、阿蘇地方を中心に恒例の盛夏採集を一通りやってきました(水害の影響が懸念される
九州山地を除く)。

阿蘇草原に局所分布のクロカメノコハムシ。
今年は比較的個体数が居てそこそこ楽しめました。幾つかルッキングでも発見。


本種は日本でも実質的に阿蘇周辺でしか採れず、しかも極めて局所的で僕のように優れたマイポイントを
持っていなければコンスタントに得るのはムリゲー。
珍種ほど環境が変わると採り難くなるのでマイコレ崩壊の危機を防ぐため勉めて通う種類です。

この時期の阿蘇では九州でも産地の少ない(熊本と大分の極一部)イッシキキモンカミキリが狙えます。
採れたり採れなかったりですが、なんとか撮影・採集に成功した個体。

ここ数年はある場所に幼虫のホストのヌルデ衰弱木があり、隣のクワの葉に成虫が見られましたが
ヌルデが完全に枯れたため発生が無くなり消滅しました。この場所を知る写真撮影家が樹皮が
すっかり剥げ落ちたヌルデ枯れ木を眺めていましたが、もう此処では発生が無いので他を当たった方が
良いですよ^^(当ブログを見ているらしいので)。

阿蘇から大きく外れますが本県でも風前の灯のトラフカミキリのマイポイントへ行ってみました。
いやはや、環境が極端に悪化しており、もう使えるクワの木が5本程に激減していました(泣)。
下は今回捕獲したトラフカミキリ。5頭も居て驚きましたがもはや九州産はほぼ入手不可です。

たまたま見つけたアヤオビハナノミ。林縁に放置された太い伐採木が古くなっており、其処で一時的に
発生したようです。地元でも滅多に遭遇しませんが、九州や対馬以外では殆ど採れないようですね。
此処では二桁ほど採れてビックリ@@

阿蘇に戻り、クロシジミのポイントを訪れると未だ健在で一安心。
孵化した卵塊も発見出来ました。


来年には奄美から地元に戻るのでやっと本腰を入れて蝶の飼育にも取り組めそうです。
飼育関係はもう少し後年から本格開始の予定でしたが、少し時期が早まるかもしれません。

阿蘇山麓のヤシャブシの幹ではハンノキカミキリ阿蘇周辺型(通称ベニハンノキ)の幼虫が
スクスク育っているようです。

時期的に材採集は出来ませんが、来年からは本種はもちろん九州本土以北の材採集等も
再開出来るのでとても楽しみです^^

奄美の6月下旬の蝶と戯れる(2020.6.28)

今年は奄美大島で過ごす最後の年(予定では)。出来るだけ多くの事をやって楽しもうと、
昨年までは過労を抑えるため敢えて手を出さなかった蝶達と少し戯れています^^

奄美大島もそうですが南国の蝶は種類数も少なく、かつ大味なものが多い印象です。
ここで抑えておくべきものは数種類で済みそうなので楽と言えば楽かな^^

まずは「真正」、「純国産」のアカボシゴマダラ。
奄美で蝶を狙う上で外せるわけはありません。

そして近年、奄美に驚くべき素晴らしい蝶が加わりました。
それは沖縄本島にしか居なかったフタオチョウ。

初めて記録され4年目ですから、もう奄美に定着したと言っても良いでしょう。
奄美には本来の食樹のヤエヤマネコノチチは普通に在るし、本種はクワノハエノキも食べるので
食糧にはこと欠きません。エノキではアカボシゴマダラと競合するので鹿児島の蝶屋さんらからは
疎まれているとか(外野としては居てくれた方が楽しい^^)。

去年に続きド不作のイワカワシジミ。クチナシの実は多く実りましたが幾ら探しても幼虫入りの
穴の開いた実はほぼ無し。
なお探索中にたまたま次の実に穿孔するため齧り付いている終齢幼虫を発見。アリが多数アテンド
しているのも見て取れます。


そしてスミナガシとアオバセセリ。
双方ヤンバルアワブキをホストとし、テリトリーを張る共通点があります。

アオバセセリは早朝や夕刻に広場でテリトリーを張るので狙うのは簡単ですが、なにせセセリ類は
ネット内で高速でバタつき、どうしても翅を傷めるので美しい標本を得るには飼育するしかありません。
林縁のヤンバルアワブキの幼木を探すと、幼虫の独特の「巣」を見つけることが出来ます。


こうして飼育材料を入手するのも比較的楽なのですが、他の採集や遠征等で時間が無く、今のところは
飼育に消極的なんだよなあ。
晩夏以降に暇になったら、今年は本種も含め出来る限り多くの蝶の飼育を手掛ける予定です。

しかし、これだけ甲虫もやり、蝶もやりって、こんな虫屋ホントに居ないよなあ。
遭ったことないもんなあ・・・

あ、スミナガシの写真撮るの忘れた。

(二日後追記)
ほい、居りました。ヤンバルアワブキの葉を摂食中のスミナガシ中齢幼虫。
隣の葉に巣である枯葉のカーテンが在り、通常は残った主脈に静止しています。

コノハチョウ・ツアー(2020.6.17)

昨日までの数日間、沖永良部島で遊んできました^^
6月の沖永良部島は一昨年以来の二年振りとなります。
沖永良部島は既に梅雨が明けた沖縄本島に近いため、全行程が採集日和となり充実した虫採りが出来ました。

蝶とカミキリの五目採りを目論んで実施した遠征(奄美からは遠征とは言えないか^^)ですが、
コノハチョウの発生が極めて良く、次記事に取り上げるカミキリ関係の調子があまり良くなかったことから
「よし、今回はコノハ・ツアーだ!」とターゲットをコノハチョウ中心に据えました。
いつかコノハチョウを思う存分に採集したいとの夢を抱いていましたが、今回それが現実のものとなり
とても幸せな数日間となりました^^

早速、梢の上からお出迎え。
今回こういう風景を存分に堪能出来ました。

テリトリーを張りながら見晴らしの良いポイントに留まり、こちらの存在に気付くと(殺気を感じると)
サッと態勢をこっちに向けます。「ちゃんと見ているぞ」とプレッシャーを掛けてくるんですね^^
小賢しいヤツめ。へへへ。

同じ行動はクロヒカゲモドキなど同様にテリトリーを張る他の一部のチョウにも見られます。
好きですねえ、このしぐさ。人間臭くて^^(クロヒカゲモドキも大好物)
まあ、こっちが一枚上手だから難なくアミを被せちゃうんですが。

今回は存分に♂も♀も捕らえることが出来ました(♀は全体の1~2割ほど)。
ああ幸せだ。長年の夢でしたからねえ^^

スマートな♂。

ボリューム感が堪らない♀。

葉っぱではなくコノハチョウらしく木の幹や枝にもよく留まりますが、風景に溶け込むのでカメラが
被写体として感知しないらしく遠景ではどうしてもピントが合いません。

近付くとちゃんと撮れるんですけどね。

「あの」コノハチョウですから、ちゃんと葉裏にも下を向いて留まってくれます。
撮影者思いですなあ^^

こうした所に留まるとちょっと離れたら絶対に存在が分かりませんね。

翅を開くと分かっちゃいますが^^

蛇足ですが、沖永良部と言えばルリタテハも著名で一昨年は幾らでも居たのですが、何故か今年は
少なく明らかにコノハの方が多かったですね。多かったり少なかったり、複数種を狙う場合は絶対に
一度の来訪では済みません。珍種だったり、生態が不明なものを狙う場合はなおさら。
僕なんかこの事実を痛いほど知っていますが、一般の採集者にとっては残酷なファクトですねえ。

蛇足の蛇足、林縁を歩いていると何かキラキラしたものが目の前に降ってきました。
慌ててネットすると何とサツマニシキ! しかも大きな♀^^
なかなか目にする機会の無い美昼蛾、日本産は4亜種あり野外産♀を揃えるべく網を張っていますが、
これで残るは屋久島亜種のみ(屋久島亜種は7月のヤクシマホソコバネ狙いの際に度々目にするも
たまたま程度の良いものを得られず最も楽勝のハズが最後に残ってしまった)。
しかし沖永良部産の奄美・沖縄亜種が採れるとは思わなかった。すこぶるラッキー。
いの一番に展翅しました^^

さて、沖永良部島は国内で合法的にコノハチョウを採ることが出来る唯一の場所です。
沖縄産よりもやや小型とされ、それはそれで結構なポイント。ちょっとカッコイイです^^
裏のコノハ模様のパターンが沖縄産に比べるとちょっと少ないのですが、まあヨシでしょう。

一昨年は時期が一足遅くボロが目立ち、かつ雨にも邪魔されて殆ど得ることが出来ませんでした。
♀は一頭も採れず(泣)。
昨年は聞くところでは極めて発生が悪く、良い時期でも殆ど採れなかったとか。
今年は発生良く、しかも僕にとっては時期選定もバッチリで新鮮な♂・♀を存分に堪能出来ました。
採集適期はせいぜい5日~1週間程度なのでそこを外さなかったのはやはりヒキの強さ(キッパリ)。

もう成虫採集はいいから、老後にでも飼育がしたくなったら旅行を兼ねて母蝶を採りに来るかな^^
(老後は蝶・甲虫の飼育に舵を切る予定)

アマミカラスアゲハ、今年は復活なるか(2020.2.28)

この時期の奄美における春への進行度を僕は、「十寒二十温^^」と表現しています。これはもちろん
三寒四温をモジッたもので、日による温暖差が極端に激しい様を評しています。
2月下旬ですから実のところは未だそれほど春めいているわけではないのですが、稀に25℃近くまで
気温が急上昇することがあり、そうした日はポカポカした陽気の中で蝶がヒラヒラと舞う楽しい状況が
生まれます。

そんな日に採ったアマミカラスアゲハ春型♂

出始めの出始めなので勿論個体数は極度に少ないのですが、既に2カ所でそれぞれ数頭が飛んでいる
のを確認しました。
実は昨年は春型も夏型もほぼ発生していない状況だったので、アキリデス命の僕としてはとても気落ち
しており今年の発生状況を心配していたのです。

しかし、2月下旬と言う未だ本格的な発生時期ではない期間に複数頭を見ることが出来、少なくとも
昨年のような壊滅状態ではなかろうということでホッと胸を撫で下ろしています。

アマミカラスらしい後翅・尾凸付近の青・赤がキレイ^^
♀はもっと美しかろうて。

野外品(飼育品もだが)は未だ全くコレクションを作っていないので、春型はもちろん夏型も今年は
優先的に採集・展翅に励みたいと思います。シーズン中の飼育は全般的な採集活動への負担が大きい
ので夏型からの飼育は行いませんが、来春の春型、つまり秋頃の親からの越冬蛹を作成する飼育は
存分に行う予定です。その頃にはほぼ甲虫・雑虫が終了しているのでリュウムラやイワカワ等の飼育も
可能でしょう(ちなみに去年はイワカワも壊滅状態@@)。

やはり、僕は本質的には甲虫より蝶の方が好きなんだなあ・・・

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