カミキリ | 蝶・カミキリ・昆虫を楽しむ!(九州・沖縄を中心に)

厳しいサツマスギノアカネトラカミキリの採集(2012.4.26)

鹿児島の南薩でモンキタマムシの採集を楽しんだ翌日は、鹿児島市のサツマスギノアカネトラカミキリを
狙いに行きました。

屋久島と鹿児島市の近辺にしか分布しないこのカミキリ、この時期に採れる副産物も無いことから
遠方からわざわざ採集に来る人はほとんどおらず、かなり入手し難いようです。
地元の友人によると数年前までは多く採れた年もあったようですが、近年は実際に「当たる」確率は
極めて低いようで、条件に極めてウルサイ種類なのです。

もっとも、近似種のスギノアカネトラにしてもあれだけ甚大な被害が認められているにも
拘わらず、たくさん採れるカミキリというイメージはありませんよね。狙っても採れないという
ケースはとても多い。
サツマスギノアカネトラもそれに似た感覚を持ったカミキリと言えます^^

一昨年は4月中旬というのに記録的な寒の戻りで、花は満開だったものの、ほんの数頭しか
採れなかった嫌な思い出があります。
採集地での最高気温は15~16℃で、これでは条件以前の問題です(泣)。

そこで今回はモンキタマ同様、天気と気温、時期について綿密な計画を立てました。
本種が集まるハクサンボク(ガマズミの仲間)の現地での開花のピークは通常4月中旬頃ですが、
今年は春の到来が遅かったので1週間ほど送らせました。
天気と気温もそこそこ良いようです。

・・・・・・

ここまで用意周到に行ったのですが、前回よりは遥かに採れたものの、予定採集数の最低ラインに
やっと届いた程度でした。
本当にスギをホストにするアナグリプタス属は難しい・・・

ハクサンボクの花に止る本種を撮影したかったのですが、とてもそんなチャンスはありません。
ネットに入った写真でご勘弁を。

ところで、「本属は日陰の花を好む」というセオリーは本種にも当てはまります。
訪花するのはスギ林内にある直射日光が当たらない下のような木です。

一方、どんなに花の状態が良くても、下のように林縁の日光がカンカン降り注ぐ木には
まず見られません。

また、本属の特徴として、ネットの底では「擬死」のポーズも忘れません^^

林床には間伐材も少し転がっているので目を皿のように凝らして探したものの、伐採木上で見つけたのは
1♀のみでした。
産卵行動はしていなかったようです。

かつてGWの屋久島でスギ伐採木上で交尾したり歩き回っている本種を10頭ほど採ったことが
あったため、その感覚を思い出しながら探したのですが追加はありませんでした。

また、福島県舘岩村の土場でスギ伐採木の「木口」に静止するスギノアカネトラを複数採ったことが
あったので、切り口も重点的に探したのですがやはり採れず仕舞い。
なんとも消化不良の材見回りでした。

ただ、全体的な数は少ないものの、夕刻5時位まではポツポツと訪花が続き、
やはりアナグリプタスだなあ、等の生態の幾ばくかは得ることが出来た1日でした。

フォトジェニックなモンキタマムシ(2012.4.25)

昨日、一昨日と隣県の鹿児島に今の時期だけに現れる可憐なタマムシとシブいカミキリを
採りに行ってきました。
今日はまずモンキタマムシのお話です。

一昨年に行った鹿児島のモンキタマ採集は、季節外れの大寒波の襲来で大失敗でした。
そこで、今回は天気と気温、季節の進み具合を十分に吟味して実行したところ、
思った程は居ませんでしたが、そこそこの個体数は確認することができました^^

屋久島との関連性で注目が集まる大隅半島に対し、薩摩半島は迷蝶などを除くと
あまり虫屋の話題に上ることがありません。
ところがどうして、特に「南薩」は「外来種」の甲虫の吹き溜まりとしてとても
面白い所なんですよ。

有名どころだけでもオオムラサキ、ケブカトラ、チャゴマフ、キンケビロウド、オキナワキボシ
といったカミキリ、そしてモンキタマムシなど魅力的な種類が居て、甲虫屋なら一度は採集してみたい
場所ではないでしょうか(記録地・発生地はごく限られています)。

モンキタマムシは春季のみ人家の周りに植栽されたウメの若葉に現れます。
ですからちょっと網を出し難いんですね。今の時期は丁度梅の実もなっているし。

前回は最高気温が18℃というとんでもない悪条件で苦労しましたが、
今回は朝から気温が上がり午前9時頃にはポツポツと姿を現し始めました。

エリトラ後部のイエローが何とも言えず鮮やかです。
他のタマムシのように俊敏ではないので、十分撮影を堪能できました。
こんなところも純国産ではない雰囲気を醸しています^^

頭部が真黒なのが♂で、脳天に丸い黄紋があるのが♀です。

この日は最高気温が24℃まで上がり、陽光を好むタマムシの採集には絶好の日和でした。
なお、よく晴れて気温も高ければ午前中に盛んに活動しますが、午後になると葉影に隠れるので
見つけ難くなります。

本種の産地としては長崎が有名でしたが、地元の友人から数年前に聞いたところでは
数はかなり少なくなったとのこと。

南薩ではいつまでも目を楽しませてもらいたいものです^^

そしてサツマスギノアカネトラを採るために鹿児島市まで一気に北上しました。

阿蘇草原の「極小」白イタヤカミキリ(2012.4.21)

九州のイタヤカミキリは、通常茶色の帯状紋が白色に置き換わった「白」イタヤとして知られます。
本州産もそんなに多いカミキリではありませんが、九州産は産地も限られるので
やや入手し難いカミキリと言えます。
白く美しいので関東の友人からいつもリクエストを受ける種類です^^

こうした特徴はよく知られているのですが、阿蘇の草原にひょろっと生えた細いヤナギに付く
「極小」の白イタヤがいるのをご存じの方は少ないでしょう。

下の写真は一般的な大きさの白イタヤが食入したヤナギと成虫の脱出口です。
阿蘇に生える樹木は一般的に大きくならないので、これでも割と大き目のヤナギです。
本州ならこれよりもっと太い木も平気で加害しています。

これは去年のカットですが、こうした太いタイプの木から羽脱した白イタヤと脱出口の様子です。

この感覚を覚えていただいて、下の写真を見てください。

ヤナギの細枝に脱出口があるのがお分かりかと思います。
これ、枝先じゃなくて「幹」なんですよ^^
阿蘇の草原では本来大きくなるはずの木が小さいままで成長が止まるケースがあり、
そうしたヤナギに付くイタヤカミキリは「極小」になるわけです。
私が持っている最少の個体は15ミリありません^^

現在保管している蛹の大きさ、及び入っている幹の太さを見ていただきましょう。

次はもっと細いですよ。

このように、この一画に生息する白イタヤはすべて極小の個体群です。
通常の大きさの茶色イタヤ、白イタヤのコレクションに加えて秘かに楽しんでいます^^

キュウシュウトガリバホソコバネ羽化とカプセルの効用(2012.4.20)

そろそろ材から色々とカミキリが羽脱したり、蛹で保管していたものが羽化したりしています^^

写真はカプセル内で羽化したキュウシュウトガリバホソコバネカミキリ(鹿児島産)です。
まだ腹部が大きいのが分かりますね。
この状態で体が色付いて硬くなるまで保管します。

薬局で買えるこのカプセル、いろいろと使えるのですが、特にカミキリの幼虫には
抜群の効果を発揮します。
フィルムケースや小型容器に詰めて持ち歩けば、野外で多くの幼虫や蛹が採れた時に
1頭ずつ管理できます。
一つの容器にカミキリの幼虫のようなマンディブルが強いものを複数入れてしまうと
噛み合いをしてしまいますよね。
このカプセルに1頭ずつ収納すればそんな心配は無くなるわけです。

甲虫の蛹も不用意に扱うと損傷を与えてしまうことが多いのですが、カプセルの内側は滑らかなので
傷付く心配もありません。
サイズは5~6種あるのですが、大きいものが使い易いですね。

ただ、唯一の弱点が「水分に弱い」こと。
体の中で溶けるカプセルだから当然ですが、雨の野外では使えないことが注意点です。
まあ、慣れてくると小雨位なら雨の中でも使えるようになりますよ。
水分でカプセルの接合部がくっ付くと中の虫が窒息する危険性があるため、
カプセルの両端には尖ったピンセット等で小さな穴を開けておきましょう。

カプセルで管理しているカミキリの幼虫や蛹達です。

ちょうどカプセルが蛹室の役割を果たすわけです。
ハナカミキリ亜科やフトカミキリ亜科のようなグループだと、ほとんど事故も無くこの中で蛹化・羽化が可能です。

目の前で変態の様子が見られるのも良いですよ^^

キクスイカミキリ初見+春の駄蝶採集(2012.4.14)

今日は午後の半日を使って近郊にキクスイカミキリを採りに行こうと思います。
キクスイと言えば普通種の位置付けですが、私は結構良いカミキリだと思っています。
どこにでも居るわけではありませんし(数もそれほど多くない)。

毎年、「なんだキクスイか」と思っているうちに時期が過ぎてしまい、採っていないことに後で気付くのが
お決まりのパターン。今年は真面目に採ることにします^^

場所は自宅から車で30分も掛からない熊本市近郊のお手軽な場所。
例年ならもう出ている頃です。

「どれどれ・・・」
辺りを見回して例年よりヨモギの生育が遅れていることに気付きました。
まだそれぞれの株が小さく、まったく萎れているものがありません。

キクスイはヨモギの茎の上部にかみ傷を付け、そこに産卵します。
そしてその近辺に居ることが多いのです。
なので、キクスイを探すにはこの萎れたヨモギを目印にするのが鉄則なんですね。

ところが、いくら探しても萎れた茎も、キクスイ自体も見つかりません。
今年は春の訪れがやや遅かったので、ちょっと時期尚早だったようです。
「あーあ、タイミングを外しちゃったか・・・」
そう思った時、ヨモギの隣のカラスノエンドウにとまったキクスイが目に入りました。

「ああ、いるじゃん。」
とりあえず遠景から撮って、接写しようと一歩近付いた途端にポロッと落ちてしまいました。
サペルディーニ属なのでかなり俊敏ですね。

いずれにしても発生が本格的にならなければ採集に時間を費やしても仕方ありません。
あと1週間位して再挑戦してみます。

ここから少し移動したところに菜の花が咲き乱れる一画がありました。
目を凝らすとシロチョウ系やベニシジミ等が結構飛び回っています。
そこで、残った時間はこれらの蝶を採ることにしました。

多くのモンシロチョウよりやや大きく暗い林縁を好むのがスジグロシロ、
最も小型で直線的にパタパタ飛んでいるのがツマキチョウです。ツマキはようやく♀が出始めたところのようです。
ベニシジミもまだ新鮮な個体が多く、春型は美しいので少々キープ。ヒメウラナミジャノメもやっと第1化が出てきたようです。
モンキチョウは新鮮な♂と飛び古した♀が混じっています。第1化のツマグロヒョウモンってとても小さいことを知りました^^
ツバメシジミやルリシジミはもうフケフケで使えませんね。

九州とある地域に共通の昆虫を比較してみようと思っているので、蝶、カミキリに関わらず
今年はこれまで採らなかった普通種も精力的に採って標本にすることにしているのです。

春の普通種をこれほど丁寧に採集したのは初めてでしたが、結構楽しく年に1回位はやってもいいかな^^
でも帰ったら展翅がたいへんだあ。

九州・沖縄の昆虫ブログ開設!(2012.4.7)

本日より、九州と沖縄の蝶・カミキリ、そのほかの昆虫に関するブログを始めます。

日々の個人的な採集や飼育、コレクションなどを一緒に楽しんで頂こうという勝手なコンセプトです^^

今日はとりあえずブログ開設のご報告ということで虫の話はありません(ゴメンナサイ)。

今日はこの4月1日に政令指定都市になった熊本市を満開の桜とともに見下ろしてきました。

ここは熊本市の背後に位置する標高150メートル足らずの裏山ですが、

オオシロやイチョウヒゲビロウド、テツイロヒメカミキリ(関東産等とはかなり異なる)などが

比較的安易に採集できます。詳細はまた後日ご紹介しますね。

それでは、今後ともよろしくお願いします!

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