レインボーセンチ | 蝶・カミキリ・昆虫を楽しむ!(九州・沖縄を中心に)

今日の虫事はこれ。レインボーセンチの展足(2014.9.27)

東京から戻った翌日。
重い荷物を引きずりながらの移動が多かったため、結構疲れが残っているようです。

天気も暫く良さそうなので早速今日から採集に、と思っていましたが今日一杯までは休息に充てる
ことにしました。
ウトウトしながらの運転は危ないし、やるからには万全の体調で虫採りに望みたいですからね^^

ということで、今日の虫事はコレ。
フェア直前から手掛けているレインボーセンチコガネの展足です。

いつ見ても、何個採ってもウットリするカラフルさ^^

東京で某昆虫専門店に寄りオオセンチ図鑑を見てきましたが、オオセンチの変異など足元にも
及びませんね。
結局、屋久島と関西の変異(しかも単色)、そして北海道や宮崎都井岬にちょっと緑っぽいのが出る
くらいで基調色はただの赤(これが薄いか濃いかというだけ)。
正直お話にならない虫という感じです(おっとアブナイ、意見には個人差があります^^)。

さて、上の写真の左側に見えるのは未展足分。
フェア準備に忙殺され後回しになっていた分で、急遽冷蔵庫に突っ込んでいたものです。

数産地をパック分けしています。
十分に体内の糞を出させ、しっかり何度も洗浄して余分な水分を飛ばした状態です。

こうしておけば少なくとも3~4カ月の間はいつでも生展足が出来ます。
ただこれまでの経験では半年放置すると冷蔵庫の中でもカビが発生することが多いので、センチに
限りませんが甲虫・雑虫の場合は大事をとって3カ月程度を目途に展足・乾燥を完了させることを
オススメします。

(参考)
センチコガネの糞出し

レインボーセンチ、場所場所での変異は様々(2014.9.19)

地元熊本県の西部、阿蘇地方から宮崎・大分県境にかけて分布するレインボーセンチコガネ。
場所場所におけるカラフルさの発現度合の傾向を測るため、採集地のプロット数を増やしている
ところです。

今日はそのごく一部をお目に掛けましょう。

自分で最も美しいと太鼓判を押す熊本および宮崎、大分県境の個体群。
青・緑・紫の配分が絶妙で、それらの中間色も様々に発現し全体として一番カラフルな地域と思います。
ちょっと遠くて生き難いのが難点かな。

そこから随分と飛び離れた阿蘇南外輪山の一画の個体群。
緑系色がやや薄く弱いものの、上記産地に匹敵するカラフルさを持っています。

では、その中間はどうなっていると思いますか?
これが面白いことに一様ではないんですよ^^
これまでそんなことを調べた人は皆無なので、少し前から積極的に「場所場所の間を埋める」作業を
行っているところです。

例えば、最美個体群の居る三県境から阿蘇側に移動する途中の産地を幾つか見てみます。
九州第二の高山の麓から直線距離で5~6キロ下った山村のもの。
カラフルさは残るものの、最美の個体群に比べるとやや煌(きら)びやかさが落ちてきています。
あ、ツートンカラーも居ますね^^

さらに3キロほど行くと、こうなります。
もうほとんどと言って良いほど原色が無くなり、暗色系が多く集合美も無くなってしまいますね。
ただこれまでに無かった幻光色(青系)を幾つか見出せたのは今回の収穫でした。

次は直線距離でさらに5キロほど走り、阿蘇外輪山の東側にかなり近付いたもの。
ポイント設定にちょっと失敗して数頭しか採れませんでしたが、単色の銅金系のみとなってしまいます。

ここから先は阿蘇山と外輪山の間、すなわちカルデラ(世界一の^^)の中を走るのですが、今回は
外輪山の南東にある峠でも調査してみました。

多少の個体変異はあるものの、一つ前の産地と傾向はほぼ一緒ですね。
これらはずっと南下した九州脊梁山地方面の色にも繋がるので、さらに細かく見ないと断言出来ませんが
基本的に外輪山から南はこの手の暗い単色系となるような気がします。

ただ、ここからさらに5キロで上から二番目の写真の産地となるわけです。
どうでしょう、この豹変振り@@

ちなみに、阿蘇山側ではどうか。
これもこれまでやってきた限りでは様々なのですが、とりあえず最も美しかった個体群をお見せしましょう。
緑系がほとんど無いので最上段の二産地には及ばないものの、青に深みがあり紫系も多いことから
全体的に暗めなるも一味違ったシブい美しさを持っています。

いかがでしょう。
このように産地の一部だけを見てもカラフルさの発現状態は一概に捉えられないのです。
少しでもモノが言えるようになるためには、さらにプロット数を増やしていかなければならないと痛感
しています。 

レインボーセンチ、とりあえずラストの回収に(2014.9.14)

三連休の中日(なかび)、今年ラストにしようと思っているレインボーセンチの回収に行ってきました。
事前の予報では3日とも晴れるハズだったのですが、昨日から雲が多くなり(恐らく山沿いでは雨)、
低温傾向も強まってきて採集に使える日は今日くらいになってしまいました。

今日は既存ポイント二カ所に加え、新たに設定した1カ所の合計3カ所を回って来ました。
また阿蘇の草原に特徴的な二種の蝶の観察も行ってきたので、詳しくは後日に報告します。

今日の阿蘇地方は三連休の中日、しかも晴れ間が期待出来る唯一の行楽日和のため、多くの
ハイカー達でごった返していました@@
アベちゃんノミクス効果は確実に広がっているようですねえ^^

僕はと言えば当然、そんな人気の多い所からは離れひっそりとした山際のポイントへ直行です^^
阿蘇連山を遠巻きに見るポイントから。

今日の新たなポイントのセンチの色合いもちょっと変わってましたね。
阿蘇の一画ではありますが南外輪山方面の個体群で、カラフルさが無いほぼ暗い単色系。
さらに南方に当たる九州脊梁山地のグループの色調にも似ており、この辺りから南はほとんどが
このような系統になるのかも。

南外輪山の別の一画では緑・青・紫などとてもカラフルなグループが居るところもあり、プロット数を
もっと増やさなければ何も語れないのに等しい困った状況ではあります。

これは既知ポイントのカラフルなグループ。
バンザイして降参の白旗ポーズ。 しかも死んだフリ。
そう、君たちは負けたのだよ^^

さて、冒頭に書いたように特に山沿いでは気温が下がってきて週間天気予報も芳しくないため、とりあえず
大手町フェア前におけるレインボーセンチ採集は今回で一旦終了しようと思います。
これまでのところ、今年は全体的にあまり発生量が多くないようなので妥当な判断でしょう。

ただ、センチ採集はある程度の気温さえ保たれれば10月上旬辺りまでいけるので、場合によっては
フェア終了後に低山帯を中心にまた再開するかもしれません。

そして大手町フェアまであと一週間となりました。
準備の遅れも取り戻さなきゃなあ。

レインボーセンチ、今日は5カ所の回収に^^(2014.9.12)

一昨日に続き、今日もレインボーセンチコガネの回収に行って来ました。
今日は新たに設定したポイント3カ所を含む合計5カ所を回りました。

僕は様々なバリエーションが発現する最も美しいとされるグループが居るポイントを数カ所知っている
のですが、実はこれらは何キロも飛び離れていてその間にどういうタイプの個体群が居るのか
殆どと言って良いほど分かっていません。
そこで最近はこれまで調べていない初めての場所を選定して採り比べてみています。

今日はそういった意味での新産地調査でしたが、もう本当にバラバラというかカラーリングに規則性や
傾向が見出せず正直「訳が分からない」というのが印象ですね。
まあ現在までのところ採集地点が少ないのでもっと細かく調べてみなくては大枠すら話せないというのが
実情です。

これは阿蘇山直下の濃いブルー系統が多いグループ。
今年は今のところ此処が一番個体数が多いかな^^

5カ所を回った今日の成果。
多かったり、少なかったり・・・

明後日もまた新たなポイントでの回収予定です。

今年初のレインボーセンチコガネ採集(2014.9.11)

昨日、地元の秋の風物詩、レインボーセンチコガネ採集(回収^^)に行って来ました。
例年なら8月下旬からシーズンが始まるのですが、最近まで天気が安定しなかったためようやく
今年初の捕獲と相成りました。

田園地帯から望む秋の阿蘇連山。
いいですねえ、この雰囲気^^

とりあえずのジャブとして実績のある二カ所のポイントでやってみたのですが、一カ所目はまあまあ、
二カ所目は全くダメで、やってみなければ今年は何処が多いのかが分からない虫なので苦労します。
林の間伐、シカをはじめとした野生動物の移動等に成果が大きく左右されるので、一般に思われている
よりも実は数は得難いものなんです。

1年振りの再開、レインボーセンチの皆さん。
綺麗なグリーンが出る所は少ないんですよねえ。

図鑑の売れ行きはどうかな?
ここではオジャマムシ、オオセンチも当然居ます。

早朝の林内は光度が不十分で、使える写真が殆ど撮れませんでした(泣)。
まあセンチ採集はこれからだから、ゆっくり撮るかな。

明日も回収に行って来ます^^

レインボーセンチ、今度はマウントのジゴク・・・(2013.2.27)

ここ数日で引っ越しの佳境を迎えるのですが、虫の整理は一向に進みませんねえ。
時間が足りず、標本にするはずだった大部分の虫をまた急遽、仕舞い直しています(泣)。

それでも忙しい中でせっかく本展足をしたレインボーセンチコガネ等はなんとかマウントしたい・・・
その涙ぐましい途中過程がこの情況^^

実はこれでも今年の採集品の一部なんですよ。
すでに収拾が付かなくなったので、仮展足だった分は全てダンボールに突っ込みました@@

ホントはこんな風に床に並べてブログ用の写真を撮っているバヤイではないけれど、こんな窮状でも
ブログ更新の血が騒ぐってもんだ^^

おっと、冗談を言っている時間はありません。
1分、1秒を惜しんでマウント、マウントーっと。

何の思想もなく、未整理の状態でテキトーに詰め込んだ分^^
全部で5~6産地あり、オオセンチに見える個体もありますが全てレインボー(タダセンチ)です。


こんな入れ方をしたら後の整理が大変だけど、コレクターとしてはやっぱりコレを見たいわけなんですよ^^
ここから分布論やら個体変異の追及やら、いろいろな妄想が湧き出てくるんですよねえ。

実に壮観・・・
バラエティは勿論ですが、得難いツートンカラーも結構あります^^

地元のダイコクコガネの箱は完了したので^^(先般採集禁止にもなったし)、今年のシーズンは
心置き無くレインボーセンチのミクロ的採集に傾注出来ます^^

レインボーセンチ達の処分はどうしよう・・・(2013.2.15)

引っ越しに当り、飼育中(実際は放ったらかし^^)だった大黒様には、既報のとおり仕方なく成仏して
もらったところです。

越冬中のこのヒト達の処遇(処分)は・・・(2013.2.1)

同様に困るのが(半)越冬中のレインボーセンチコガネ達です。
もう標本はいらないし、この近辺にポイ捨てするわけにもいかんしなあ。

100均カゴの木屑の中に10匹前後が潜っているのですが、暖かい日だと這い出して多少は摂食して
いるようです。
あ、一匹死んでる・・・

果物を問題無く食べることが分かったため、たまにリンゴの芯や昆虫ゼリーを入れてやっています。
下は晩秋のまだ温かい頃、バナナの輪切りの上に乗って齧り付いている場面です。

(参考)
レインボーセンチは果物もお好き^^(2012.10.23)

しかし、この大凡品のタダセンチでさえ、飼育(累代)ノウハウは断片的にしか存在しないようですね。
細かい周年経過や、幼虫、蛹の実態等を紹介した報告等を見た記憶は殆どありません。

本当は糞で飼うのが良いとは思いますが、ダイコクと違っていろいろと代用食が効くわけなので、
オオセンチも含めて誰か周年(累代)飼育をやってみた人は居ないのかしら。

僕の場合、1年中糞で飼える環境はあるのですが、千手観音様並みに手の数がないと(^^)
とてもコレの累代飼育なんてやっていられません。

日本で最もレインボーセンチを採り易い位置に住んでいるし、個体数の多いポイントも押さえているので
今は累代までやる気にはならないなあ。

そんなことはいいけど、このヒト達、本当にどうしようか。
とりあえず見なかったことにするか・・・

今日の虫事。アセトンで脂抜き^^(2013.2.11)

昨今は標本作成の仕上げの工程で、有機溶剤を使って虫体の脂抜きを行う人が増えています。
僕も勿論、脂抜き推奨派の一人です^^

肉食のハンミョウやゴミムシをはじめ、カミキリやオオキノコ等といったグループでも、経年と共に
体内から脂分が滲み出して綺麗な斑紋を汚してしまう個体がしばしば、と言うよりかなりの割合で
見られます。

ゴマシジミやクロシジミといった蝶でさえ、幼虫時代の肉食が影響して腹部から脂が出る個体が
結構多く、それが翅に滲み渡るともう標本の体を成さなくなりとても厄介です。

以前は一度脂が滲み出してしまうとどうにもならなかったのですが、最近では主にアセトンに
一定時間浸けることである程度の脂分を取り去り、かつ滲み出しを極力減らすことが出来るように
なっています。

これは、アセトンに一週間程浸けているキマダラカメムシ。
カメムシ類も体内にかなりの脂分を持っており、ご覧のように溶け出した脂でアセトンが褐色に
濁っています@@

本当はこんなに無造作に複数個体を入れ込むのは良くありません。
アセトンは瞬時に虫体の柔軟性を奪うので、液体の揺れで個体同士がぶつかり合った際に
パーツ(特に触角)を破損させるのが関の山です。
僕は慣れているので面倒を省くためについやっちゃいますが、まあ、これは良くない見本として
捉えて下さい^^

その後アセトンから引き上げ、乾燥後マウントした標本です。
虫体をドス黒く汚していたアブラがすっかり抜けて、生前のようにキレイな紋様が蘇りました^^

アセトンに浮かべるだけだと水面から浮き出た背中(エリトラの高い部分)や前胸の脂が取れないので、
僕はこのように脱脂綿やティッシュを「落としぶた」として上から被せて対処しています。
そしてこれは個体同士のぶつかり合いを防ぐ意味合いもあります。
左はコガタノゲンゴロウ、右はレインボーセンチです^^

標本数が少数の場合はこれでも良いのですが、慣れないと落としぶたを持ち上げた時にやはり
触角等を破損させてしまう事故も起こり得ます。
これを防ぐには、大き目のタッパーに標本を詰めたタトウを入れ、その上からアセトンを注いで
タトウごと沈めてしまった方が良いでしょう。

蛇足ですが、調べてみると脂は低極性の物質なので、高極性の有機溶剤であるアセトンとは
相性が良いとは言えず、脂抜きの溶媒としてはあまり適していないように思えます。
それなのにこれだけ普及しているのは、やはり入手し易いためでしょうか。

本当ならもっと脂と親和性の高い(すなわち脂がより溶け出し易い)低極性の溶剤を使った方が
良いはずですが、その辺りの検証は殆ど行われていないようです。

まあ、とりあえずはアセトンでも概ね良好な結果が出ているので、あまりこうした議論は進まない
のでしょうね。
僕も一斗缶の「大人買い」をしているので、暫くはアセトンを使い続けてみるつもりです^^

脱脂がほぼ終了しつつある与那国産フチトリゲンゴロウ。
一昨年「種の保存法」の国内種に指定され、もう採れなくなっちゃいました。
タダゲンを凌駕する迫力満点の珍奇ゲンゴロウだったのに、残念・・・


ゲンゴロウ類は特に脂の出方が酷く綺麗な紋様を汚しがちですが、アセトンを使用することで
ほぼ生前の鮮やかさが蘇ります。
これも10年以上も前の採集品で脂滲みで真っ黒に汚れていたので、とても得した気分^^

蛾の太い腹部からもしばしば脂が出てきます。
その際は、翅が影響を受ける前に腹部を切り離し同様にアセトンに浸け込みます。

そして脱脂が済んだ後に乾燥させ、ボンドで元の位置に貼り付けます。
この作業は、ゴマシジミやクロシジミといった脂の出易い蝶でも同様です。

腹部を修理した後はこのように立てたコルク板やポリフォームに刺してボンドの乾きを待ちましょう。
こうすることで腹部が垂れ下がったまま固まってしまう事故が防げます^^

 

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