引き続き、先月に九州帰省した際の採集活動について記します。
九州滞在の日数は限られているため、阿蘇でヤノトラの材が詰まった重量級の(欲深なのだ)材箱を
抱えて患った「ギックリ腰」の痛みに脂汗をかきながらの辛い採集行となりました。
もともと腰痛には若い時分から悩まされていたものの、腰の奥から「ズーン」と突き刺すような独特の
痛みというのは初めてで、安静な体制から体を始動した際に腰が固まって動かないのが困りましたね。
採集に熱中している間はなんとか大丈夫なのですが、移動のため運転した後に降車する際、動こうと
しても腰が固まって動けないのです。痛みを我慢しながらやっと降りても直立するのが精一杯でなかなか
歩行が出来ません。
腰痛に無縁な方にはどうでも良いインフォメーションでしたが、こうした痛みと闘いながらの行動だった
ことを踏まえて頂ければ幸いです。
(今はもう8割方は完治しましたが^^)
阿蘇採集行の翌日のターゲットは九州山地の高標高に在るマイポイントです。
山の取り付きの部落にあるコンビニに寄り道したところ、見つけたのは昨晩灯りに寄って来た
ウスタビガの♂。監視カメラと睨めっこする形の撮影となりました^^
少し離れた天井にも♂が。こちらはほぼ新鮮だったので棒で突いて落とし、頂いてきました。
昨晩は8割5分程の満月に近い月齢だったのに2♂来ているということは、このヘンには割と数が多い
のかもしれないなあ。ウスタビガの多産地はそうは無いので、九州へ帰還後の飼育材料の確保のために
覚えておこう。
さて、此処から10キロ程のクネクネとした細い山道を上った峠を越えなければ優良採集地たる
九州山地の奥地には入れません。
峠に至るまではほぼスギ植林で面白くはありませんが、僕はここでキュウシュウオオクボや
クロキモン、ちょっと変わった九州型タテスジゴマフ等を採っているので少し雑多な材を集めてみます。
これはミズキ大木から枯れ落ちた小枝。樹皮下の食痕はクロキモンあたりでしょう。
九州在住なら丸一日このヘンで遊んでも面白いのですが、採集日は今日しかないので先を急ぎます。
峠を過ぎると高標高のマイポイントまで1時間半ほどです。
僕が東京の会社を辞めてUターンした10年前頃まではこうした林の中でミナミツヤハダクワガタの
幼虫が多数入った赤腐れ材がなんとか見つかりましたが、今はまず見つかりません。
ピッケル片手に林床を徘徊してみましたが、案の定ツノクロツヤムシしか出ないので1時間程で終了。
そう言えばツノクロツヤムシも以前ほどは居なくなったような・・・
ヒメコブスジツノゴミダマの幼虫が入っていると思しき硬質キノコ(成虫の脱出口あり)。
九州・四国の地域限定種のためか人気が高く、何時の間にかマイコレも含め在庫がスッカラカン。
たくさん出るといいな(出ないかも)。
そうこうしている間に陽は傾き林内もちょっと暗くなってきたため、急いで今日最大の目標である
タンナサワフタギの材を探しにかかります。
此処でこの木の枯死部に入るカミキリは多い順にヘリウスハナ、次いでキュウシュウヘリグロホソハナ、
そして最も少ないのがキュウシュウトガリバホソコバネとなります。ネキ狂いの僕は当然トガリバの、
その中でも大きい幼虫を探すわけです。
林内を歩くとタンナサワフタギ自体は結構見つかりますが、健全な立ち木が殆どで枯れたものは
なかなか見つかりません。それに枯れていても細枝が殆どで、太い木が一本丸々枯れているケースは
まず無いといった状況(汗)。
こんな細い材にトガリバはまず入りませんが、ハナカミキリの食痕が多かったので一応キープ。
殆どはヘリウスハナですが、ヘリグロホソハナも少しは羽脱してくれるでしょう。
出て来たヘリウスハナ(奥)とヘリグロホソハナと思われる蛹。いずれも♀。
関東の箱根や伊豆等の3種ともホイホイ採れるような多産地とは異なり、九州なんぞでは相当
歩き回って当てないと食痕が多く走る良い枯れ木・枯れ枝は見つからないのです。更に大型個体を
探し当てるのは至難の業ということになります。
最普通のヘリウスハナにせよ、九州山地産は関東等の多産地とは評価の上で雲泥の差があると言える
わけです。採集者の数(つまり世への供給量と同義)も決定的に違うしね。
とか考えているうちに。
「当たった・・・」
でけええ!
枯れ木の根元から出て来た巨大なキュウシュウトガリバホソコバネの幼虫です。
間違いなく相当デカイ♀になる奴です^^
腰の痛みをいとわず斜面を探し回った甲斐があったというものです。
トガリバホソコバネの大きい幼虫は木の根元にしかいないので腰を屈めてノコギリを引くのはジゴク
でしたが報われた思いです^^
材を切断する際に1匹昇天させちゃったので、大型の成虫が羽脱するにしても食入口の数から勘案して
せいぜい1~2頭かな(当然マイコレ^^)。数は九州に戻った際にゆっくり揃えれば良いでしょう。
取り出した幼虫は例によって菌糸カップに放り込んでみましょうか。さてはて、どうなるか。
こんな感じで1日のみの久し振りの九州山地での初冬採集を終えました。
ここも九州とは言え厳冬期は積雪で来れない場所なのでタイミング良く来訪出来てラッキーでした。
またね、マイポイント^^
カテゴリ : カミキリ