雑虫 | 蝶・カミキリ・昆虫を楽しむ!(九州・沖縄を中心に)

巨大なオオシママドボタル幼虫(2014.6.8)

ホタルと言えば本土では初夏の風物詩として一般の人からもよく認識されている存在です。

現在は自然状態でのホタルはなかなか見られなくなってしまいましたが、僕が幼少の頃なんて
ゲンジボタルにしても、ヘイケボタルにしても身近な昆虫でした。
もの心付いた頃からホタルを一杯入れた虫カゴを首からぶら下げて遊び回っていた記憶が蘇ります^^
今でも田舎に行くと場所によってはこれらを見られる所もあるようですが、昔のように無数が
乱れ飛んでいる壮観な風情を味わうことはもう出来なくなっているのではないでしょうか。

昔はホタル狩りといった何気無い日常の一場面を通して大勢の昆虫少年達が育っていたんでしょうね。
若い虫屋が激減していく理由はそんなところからも理解出来るような気がします。

ホタルに話を戻すと、ポピュラーなゲンジやヘイケといったホタルは幼虫が水中でカワニナ等の巻貝を
食べながら成長することが知られています。
ただ、こうした水中で育つホタルというのは非情に稀(全体の5%強)ということは意外と知られていない
ようですね。
実は日本のホタルは、幼虫が陸上で育つ種類が殆どなのです。

八重山にはこうした陸生ホタルのオオシママドボタルが居ます。
成虫は秋になって発生するので、春~初夏の期間しか石垣で過したことがない僕は生きた本種の
成虫を見たことがありません。
しかし、幼虫は今の時期にかなりの個体を見る事が出来ます^^

林縁をビーティングしていたら、ウスカワマイマイに頭を突っ込んだまま落ちてきた幼虫。
当然、こうした陸生の巻貝を食べているわけですね。マイマイの殻が薄いので頭部が透けて見えます^^


こちらは別タイプの巻貝を食べていたケース。

このように木の上からもよく落ちて来るのですが、夜間に開けた場所でライトを照らしながら歩いて
いても、地表近くで餌を求めて徘徊する幼虫を簡単に見つけることが出来ます。
何故なら、成虫と同様に幼虫も光るからです^^

ある時、とても巨大な幼虫が落ちてきました。
横に居るシナコイチャコガネが1センチ程度なのでどれほどの大きさかが分かると思います。

実はこれは♀の幼虫です。
♀成虫は翅が退化したウジ状(正確さを欠く表現ですがよく使われる言葉なのでとりあえず踏襲^^)
をしており、多量の卵を抱えるために♂の倍以上の大きさを持っています。

この幼虫は4センチ程度でしたが、以前僕は5センチ以上もある幼虫と遭遇したことがあります。
♂の成虫標本は所持していますが、生きている成虫を見る意味も含め、いずれ巨大な♀の標本も
欲しいところです。

いずれは八重山のどこかに一時定住しようと思っているので、本種のような真夏~冬物の採集は
それまでおあずけかな。
♀幼虫の飼育も面白そうですね^^

日本最大のムシヒキアブ、最大級の異型カメムシ(2014.6.6)

こちらでの採集の楽しいところは、日本最大とか最大級とか、比類無い等といったカテゴリーの虫が
採れること^^
今日は不人気?のアブとカメムシの話ですが、どうしてどうして、とても見栄えのする種類達ですよ。

花も無いクソ暑い草原といえば蝶屋さんでもまず近付きませんが、どんなところでも「何か面白い
虫は居ないかな?」という目線で見るのが僕のスタンスです。

そんな草いきれの酷い蒸し暑い草原を貫く小道を歩いていると、道脇を何か大きいモノが上下に
揺れながらゆっくり飛翔しています。
何だ、と思いながら見ているとホバリングしながらススキに止まったのがコレ。

日本最大のムシヒキアブ、メスアカオオムシヒキの♂です^^

とにかくデッカイ!
アブは採集対象ではありませんが、特徴的な種類には「なんでも屋」の血が騒ぎます。
草原の中を何度か行き来して、7~8頭を確保しました。ふわりと無重力状態で空中に浮いているように
見えるのも面白いです^^
大型タトウに5頭しか入らない・・・

左が♀、名前の通り腹部が赤いですね。右は♂で青っぽいので区別は簡単。
4センチ級の大きさがあります@@ 怖いもの見たさで幼虫も見てみたいのですが・・・

これが最大の特徴の口吻。こんなのにブスリとやられたら人間でも引かれてしまいそう^^

もう一つは僕が好んで集めているカメムシの一種、アシブトヘリカメムシです。
本土におけるヘリカメムシの最大種はオオヘリカメムシですが、最大でも2.5センチ前後。本種は
それ以上の大きさを持つ重量級のカメムシです。

去年は見れなかったので悔しい思いをしましたが、今年は先月にある一画で幼虫を数頭確認して
いました^^

そして今月に入りその付近を叩いてみると、いきなり成虫がペアで落ちてきました^^
とにかく見たかった♂。太っとく、湾曲したフトモモが凄い!


それに対し♀はすっきりとした体型で、同様に巨大種のヒゲナガヘリカメムシ(移入種でタケ類に付く)に
雰囲気がちょっと似ています。まあそこまで細くはなく、どちらかと言えばオオヘリカメを細くした感じかな。

とりあえず数ペアを確保していますが、もう少し採りたいものですねえ。
カメムシと言っても、普通種以外は何処で発生するか分からないので意外と厄介なんですよ。

手のひらに乗せた♂。
スゴイでしょ^^ 
大きくて他に類を見ないフォルム、シブイ体色、触角先端の黄色のアクセントも良し。

カメムシが嫌いな人でも標本は欲しくなるのでは^^

ルリゴキブリの採集ポイントを発見^^(2014.5.18)

梅雨期に入りそろそろかなーと思っていた矢先、待望のルリゴキブリと遭遇しました^^
さすがに僕もゴキブリ類は採集・コレクション対象外ですが、本種は唯一ターゲットとしている種類です。

昨年はオモト岳の山中で大木の幹を這っていたところを発見しましたが、今回はド平地。
路傍のカラムシ先端部の若葉にチョコンと留まっていました。
これは絶好のシャッターチャンス^^

全身上品なルリ色の衣をまとい、体長は丁度1センチ程度で大き過ぎず小さ過ぎず。
これですね、もし5センチほどの馬鹿でかい奴だったらこんなに人気は出なかったでしょうね。
ゴキにしておくのは本当に勿体無い・・・

今年も1頭で打ち止めかなと思っていましたが、数日後、なんと同じ場所で再度遭遇することとなりました。

いずれにしても、ここは発生地だな。
何となく生息環境の必要条件も分かったような気がします^^

ここなら♀も楽勝でしょう^^

たまに大発生、ニホントビナナフシ(2013.8.8)

あまり好きではないものの、外国産を中心に少し集めている虫のグループが幾つかあります。
ナナフシ類(特にトビナナフシ)がその一つですね。
東南アジア産などは形も面白く、翅の色彩も綺麗な種類が多く居て結構面白いですよ^^

我が国にトビナナフシの類は殆ど居ませんが、屋久島や大隅半島南部で特にシイを掬っていると
よく入ってくるのがニホントビナナフシ。
周期的に大発生するようで、今年の屋久島では嫌と言うほど目にしました。

カラカネナカボソタマムシを採ろうとシイの葉を適当に掬っていると、あっという間にネットの中は
コレで一杯に・・・
逆にカラカネナカボソの方は大不作で全く入りません(泣)。

トビナナフシ類は多少コレクションしているので時間があれば展翅・展足してみようと何時も思うのですが、
何時もやりません(やれません)ね。
♂は乾燥させるだけで良いでしょうが、♀は内臓を抜いたり変色の対応に気を使うので面倒なんですね。
遠征中は手間暇を掛けている時間がないのでトンボ等と同様に何時も後回しになってしまいます。


日本にも魅力的な種類がもっと居れば採集欲やコレクションにもバイアスが掛かるんだけどなあ・・・

オオイクビカマキリモドキ(2013.6.26)

道端で変な大きなハチが蠢いている、と思って近付くとオオイクビカマキリモドキ。

国内で8種ほど確認されているカマキリモドキの中では最大級で、九州でたまに遭遇していた
オオカマキリモドキよりさらに大きいような気がします。

形態的に見て、この仲間は恐らくは黄色系のアシナガバチ等に擬態していると思われます。
「良い虫何でも屋」の僕にはドンピシャの虫なんですよねえ^^
今回は展翅板を持参していないので生展翅出来ないのがホントに残念!

ナイターにも飛んで来ることがあり、虫の種類数が少ない南国の夜を賑わしてくれます。
条件の良い日でなければ複数来ることはありませんが。

「カマ」もデカイですね。 狩りの瞬間も見てみたいものです。
それに幼虫は一体どんな奴なんだろう・・・

やっと石垣島で採ったルリゴキブリ(2013.6.13)

僕は基本的にダメなのですが、意外とゴキブリ類に興味を示す人は多いですね。
デカくてゴツい外国産をペットとして飼っている人も居るくらいですから。

あ、そう言えば僕も以前、シャレでドミノローチっていう奴を飼ったことがありました。
ドッグフードを餌に結構長生きして卵も産んだのですが、一向に孵らないのに閉口した思い出が
あります。

標本として唯一欲しかったのが国産では最も美しい八重山のルリゴキブリです。
数は少ないようで、なかなかお目に掛かれない種類です。

与那国産は5月の渡島で幾つか採っていたのですが、このほど原生林内のシイ大木の幹で石垣産に
ようやく遭遇しました。
ゴキブリ類はすばしっこくなかなか写真を撮らせてくれないのですが、この個体は落ち着いていたので
幸運にも撮影出来ました^^

ちなみに与那国産は上翅にオレンジの紋が入っていてちょっと変わっています。
こんな感じですね。

一方、茶色系の野外性ゴキブリ類の方はことのほか多く、ビーティング等では枯葉等からバタバタと
落ちてきます。

特に5センチ程もある日本最大のヤエヤママダラゴキブリの個体数は多く、ビーティングネットの上を
このデカイ奴が幾つもシャシャシャと走ったり(背面でも走る!)、バサバサッと飛び立ったりするので
鬱陶しいです。

ナイターにもよく来ます
デカ過ぎるし、本当に鬱陶しいなあ。

ミカンキンカメムシ^^(2013.5.19)

色んな虫が最盛期を迎え手が回らない中、前から欲しかったカメムシに挑んでみました。
そして二度目の挑戦となる今日、ゲットしました^^

その名もミカンキンカメムシ。
キンカメムシの仲間は大型で美しい種類が多いので人気があるのですが、極めて局所性の高い
ニシキキンカメムシおよび南方の本種が全種制覇(移入種を除く)のネックとなります。
僕もこれでようやく全種が揃いました^^

ホストはこっちには何処にでもあるセンダンなのですが、掬っても掬ってもなかなか採れない。
諦めかけた時、チョコンとネットの底に留まっていました^^
相当前から欲しかったので嬉しかったですねえ。

入手し難さとは裏腹に、実は最も美しくないキンカメです。
でもそこが逆にイイんです^^

サイクル的に秋の方が多いらしいのですが、あと何個かは採りたいなあ。

ちょっとだけ魅かれるコロギス類^^(2013.1.21)

正直なところ、僕は基本的に直翅類を採集・コレクションの対象にしていません。
採ることもしないし、もちろん標本も作りません。
(海外産は一部コレクションしています^^)

美しい標本が残せればコレクションも面白そうだな、とは思うのですが、いかんせん内臓を抜くなど
標本作製が大変だし、生前の美しい色も残せません。
見栄えはする一群なのに、残念な虫達です。

ところで、僕はマレーシアの某標本商と懇意にしているのですが、シンガポールに住んでいた際、
そこの仕事場で現地における直翅類の標本作製現場を見る機会が何度かありました。

そこで作成するバッタやカマキリ、ナナフシ等の展翅・展足標本は日本にも多数が入ってきているので、
それらをコレクションされている方もおられることと思います^^

個人レベルではなかなか使えない道具を使っているので、一般より美しい色を保てているものの、
やはり他の虫に比べて生前より色や質感の劣化が大きくなるのは否めません。

さて、基本的には対象にしていない直翅類ですが、僕にはちょっとだけ気になるグループが居ます。
それがコロギス類です^^

この仲間は基本的に樹上性なので木々のビーティングや茂みをスウィーピングをしているとよく入って
来ます。触角が極めて長く、キリギリスとコオロギの中間のようなアレです^^

綺麗な色合いもそうですが、カミキリムシを凌ぐほどの長いアンテナ、グラッシーで作り物のような質感は
直翅離れしていてちょっと魅かれるんですよねえ。

下は春の八重山で採った(採ってみた^^)コロギスですが、モンキタマムシ♀のように脳天に丸い黄紋の
ある方が石垣島、小さい方が与那国島産で、いずれも幼生です。
あまりにも長い触角は破損し易く、二頭とも一部が欠けていました。


本土産も含めてコレクションしたくなる種類は居るんですが、やはり色や質感が残せないからなあ。
特に幼生は乾燥するとペチャンコになって見れた物では無くなります(写真の2頭もそうなりました@@)。


まあ、八重山各地の成虫は今年、出会えるチャンスは何度もあるでしょう^^
コロギス類は翅を羽ばたかせて威嚇してくるものも居るので、そんな場面の写真も撮ってみたいですね。
そして出来るだけ上手く標本も作ってみますね^^

ヤエヤマクロギリスもなんとか採れるかしら・・・
時期的に無理かな。

卵塊を守るアカギカメムシ(2012.7.25)

前回に訪れた屋久島で林道を走っていた際、1本のアカメガシワの葉裏に何か赤い物が付いている
のが見えました。

「何だろう?」と思い車を止めて近付くと、卵塊を抱えたアカギカメムシの集団でした。

写真に写っているのは3頭ですが、他の葉にも十数頭が留まっていました。
ただ不思議なのは、近くの他のアカメガシワには全く見られなかった事、そしてこの木でも集まる
特定の葉がある事です。

そして驚いたのが母親の卵への強烈な固執です。
体や脚を引っ張ってその場所から引き剥がそうとしても、6本の脚で巧みに踏ん張り、「ガン」として
その場から離れようとはしません。
これほど母性愛が強い虫を見たのは初めてでした@@

屋久島産の標本は持っていなかったし、まあ採ろうと思えば採れましたが、そうした姿を見ると
毒ビンに入れる事は出来ませんでしたねえ。

今度成虫が大量に発生しているタイミングで存分に摘まみたいと思います^^

※現在管理人「自由人」は屋久島・大隅半島遠征中です^^ 本記事は事前投稿です。

サクラの幹で見られる大型美麗種キマダラカメムシ(2012.6.29)

以前書いたことがありますが、僕はカメムシフリークでもあります^^

極めて嫌な酸化臭を発するので昆虫が好きな人からも嫌われがちなグループですが、
美麗なもの、形が面白いもの等、なかなかタレントが揃っている一群だと思います。

かつては最美麗種のニシキキンカメムシを広島県まで採りに行ったこともあります。
累代に挑戦しましたが2齢幼虫から変態が進まず、結局失敗してしまいました(泣)。
カメムシの飼育はなかなか難物ですね。いつかリベンジを・・・

さて、写真はかつて日本には産しなかったキマダラカメムシです^^
ソメイヨシノの樹肌に溶け込む見事な保護色になっていますね。


カメムシとしては最大級の美麗種で、街路樹や公園に多いソメイヨシノを中心に数十種類の樹木で
見られます。
2000年頃までは沖縄、九州そして中国地方までしか生息が確認されていませんでしたが、
現在は関西にも広がり、その後東京でも記録が出たそうです。

このカメムシの広がりはいろいろなブログやメディアで言及されているようですが、
やはり「温暖化」にその原因を求める書き方がほとんどのようです。

調べてみると本種のルーツには中国本土と台湾があるようで、どちらから来たものが何処に定着
したのかよく分からないようですね。
それに加えて公園や道路沿いに多いソメイヨシノは移植が頻繁なため、それも本種の分布拡大に
一役買っているものと思われます。

「(北に)広がった」という事実も一概に「温暖化」で片付けるわけにはいかない一例と言えますね^^

7月上旬には地元各地の公園等のソメイヨシノ並木には多くの交尾ペアが見られるようになります。
採集は以前に十分楽しんだから、今年は交尾写真を撮りに行こうかな^^

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