自由人 | 蝶・カミキリ・昆虫を楽しむ!(九州・沖縄を中心に)

カミキリ幼虫の材への埋め込み例(2015.4.24)

今日はちょっとしたテクニック編です。

野外でカミキリの材を採取している際、幼虫の坑道を壊しすぎたり樹皮を剥がし過ぎたりした結果、
幼虫を元の位置に戻せなくなって剥きだしのまま持ち帰る場合があります。

例えばこれ。
コゲチャフタモンヒゲナガカミキリの終齢幼虫です。
良い機会なので幼虫同定に資するためにも特徴の分かるカットを数枚載せておきます。



具体的な方法です。
種類により食害の仕方が異なるので、本来はそれぞれに合わせてやり方をアレンジした方が良い
のですが、大体はこの方法で上手く行きます^^

まず、ホストの樹皮を少し剥がし、彫刻刀等で幼虫の体が入る程度の浅いボート状の窪みを
作ります。 深過ぎたり広過ぎると幼虫の体が中で「浮いて」しまうので良くありません。
また窪みの表面がガサついていると幼虫の体が傷付く場合があるので、なるべく滑らかに仕上げます。
(今回は説明用なのでイイカゲン^^)

その窪みに幼虫を置いたところ。

次に、幼虫採集時に採取した食痕くず(多少加湿しています)で幼虫を埋めます。

その上から予め剥がしておいた樹皮を被せます。
もし樹皮が失われていたら、出来るだけ隙間の出来ない形状の木片や厚紙等で代用します。

そしてビニールテープでその箇所を隙間の無いようにキッチリと巻きます。
ここが重要で、隙間があるとアリバチやその他の捕食性生物が入り込み易いので特に注意が
必要です。

後はこのまま放置するだけ。
ご参考にして頂き、より良い方法を模索して下さいね^^

低気温が続く石垣島も、初夏虫達の発生始まる(2015.4.22)

ここ暫く、石垣島は相変わらず低温傾向が続いています。
雨こそ降りませんが曇りがちで、風も吹くのでTシャツと短パンでは寒いくらいです。
カレンダー上は初夏(八重山なので^^)に向かっていますが、気候条件はちょっと足踏み状態ですね。

そうした中でも、やや例年より遅れがちではありますが初夏虫達がじわじわと出現しつつあります。
その幾つかを紹介しますね。

食樹タブの多い林縁のスウィーピングで入ってきたチュウジョウトラカミキリ。

センダンの梢を掬っていたら入ったタイワンゴマダラカミキリ。

シイを主体とする林でのビーティングで落ちたヤノヤハズカミキリ。

ビーティングに疲れてふと上を見上げると、タブの葉裏に付いていたイシガキリンゴカミキリ。
これは一足先に発生していましたね。

他にもいろいろと確認していますが今日はこれくらいで。

あ、雨だ・・・
お湿りが来て、もっと虫が湧いてくるかな。

葉っぱに穴を開ける(後食する)カミキリ2題(2015.4.21)

先般紹介した普通種カテゴリーに入りますが、一般に枯枝等のビーティングで簡単に採れる他種と
趣きを異にするものを二種取り上げます。

いずれも後食のために生葉に集まる種類で、そうした樹木を探し回る必要があるため油断すると
短期旅行では見られないことさえあります。
目に付き難いもう一つの理由は、どちらもむしろ農園の脇のような人為的な環境を好むからです。
皆、そんな場所になんて行こうとはしませんからね^^

僕は人里近辺まで広くフィールドとしていますが、4月も中旬を過ぎてイシガキキボシカミキリが
最盛期となっています。

畑の脇のクワを見て回ると・・・
居ました^^
若葉に大きく不定形の穴を開けながら齧っていますね。食欲旺盛な種類です^^

茂みの中を覗き込むと、隠れた部分にも見つかります。

普通種とは言え一応亜種ですからね。甲虫屋さんなら押さえておくべきでしょう。
しかも当亜種は最も大型化するのではないかと思われ、特大サイズは素晴らしいものです^^
離島の亜種の中では探し易いのですが、決して無尽蔵に居るものではありません。

そして同様にクワ科樹木の葉に不定形の穴を開けながら後食するのがイツホシシロカミキリ。
本種も全くの山間部よりも人里近辺の方が圧倒的に数が見られます。

田園風景をバックにガジュマルの葉っぱを齧るイツホシシロカミキリ。

面白いのは、キボシが最も好むクワにイツホシシロが居ることは無く、イツホシシロが好む
ガジュマル等にキボシはまず居ないことで(ヨナグニキボシはよく居る)、クワ科樹木を利用する
両者は大まかに棲み分けているように感じています。

生きている時は美しいのですが、標本にすると何故か薄汚れてしまう残念なカミキリです。

5月1日より石垣島オモト岳周辺が採集禁止に(2015.4.20)

5月1日より、オモト岳周辺が採集禁止になりました。
残念ではありますが、GWに石垣島を訪問予定の虫屋さんはご注意下さい。

なお、これと同時に新たに9種類の昆虫が採集禁止となっています。
詳しくは石垣市のHPでご確認下さい。

ノブオフトカミキリも、じわじわ羽脱^^(2015.4.19)

4月も中旬を過ぎ、大好きなノブオフトカミキリも少しずつ羽脱し始めました。

野外で採るスレた奴と違い、真っ青でキズも無く、実に良いです。
これだから材採集は止められません^^

キマダラヒメヒゲナガカミキリの幼虫と食痕(2015.4.18)

ヒメヒゲナガカミキリの仲間は全国的に繁栄しており、ドラスティックな変異を遂げています。
最も馴染み深いヒメヒゲナガも九州中部から熊毛諸島にかけては二亜種が知られ、さらに南方の
島々には別の二種が生息しています。

それぞれ成虫の生態や幼虫の食害の様子などは酷似しており、言わばアマミヒメヒゲナガカミキリは
奄美・沖縄のヒメヒゲナガ、キマダラヒメヒゲナガカミキリは石垣・西表のヒメヒゲナガといった感じ。

本土のヒメヒゲナガ基亜種はあまりにも普通過ぎて誰も見向きもしませんが、島々の亜種や別の
二種はホイホイ得られるほど数も多くないので集めるのが好きな人は多いと思いますね。
種類・地域・紋様・・・ 全体がバラエティ豊かでコレクションに向いているグループではあります^^

ここ石垣島で見られるキマダラヒメヒゲナガですが、そろそろ成虫の出現が始まろうとしています。
決して少ない種類ではありませんが、どこにでも必ず居る本土のヒメヒゲナガと違い個体数が
少な目なのがちょっと憎いところ^^
それにこのグループでは最も大型化するのも良いです。

結構様々な樹種の枯枝に付き、幼虫は樹皮下にモノカムス属特有の荒い木屑を残しながら成長します。

先日紹介した同属のコゲチャフタモンヒゲナガカミキリと同様の食痕で、今は材部に食い入った
老熟幼虫が蛹室内で前蛹~蛹・新成虫になっている頃です。

材部への食入口。

その部分から枝を折ってみたところ。
蛹室を荒い木屑で塞いでいるのが分かります。

反対側から枝を割ると、前蛹が現れました。

前蛹の全貌。

そろそろ野外でも成虫が見られることでしょう^^

スジホソハナムグリの滑空するオモト岳(2015.4.17)

昨日、今季三度目のオモト岳登山を行いました。
せっかく4月からの採集規制を回避出来たものの、一昨年と同様に今年は春の天候不良が際立ち
登るチャンスがなかなかありません。

4月も最上旬の数日はなんとか良かったのですが、その後は酷い低温傾向が続いており、昨日から
やっと額面上の温度は一応戻って来つつあります。
ところが日中でも日陰の風はひんやりしており、夜は冷えた強風が吹きすさびます。

そうした中、昨日は天気予報を睨みながら今日しかないな、と思い行ってきたわけです。
しかし、そこそこの天気で気温予測も申し分ないのですが、山中での体感温度は低いんですね。
然るに虫の動きも良くないのですが、それ以上にこれまで見たところ、今年の石垣島における
虫の発生状況はかなり悪い印象です。
年によりこの状態は変わるので仕方がありませんね。現実は受け止めて先へ進むとしましょう。

さて、石垣ではここでしか見られないのがスジホソハナムグリ。
晴れた日の午後、主に山の上部で山道に沿って低く滑空します。
地上2~30センチから腰の高さ位までを大きな黒いハエのようなものが「ハエにしてはゆっくりだな」
というような飛び方をしていれば本種です^^

ネットすると一瞬、擬死状態となります。

でも直ぐにスタコラ動き出し、素早く下羽を出して「プン」と飛んでしまうので注意しましょう。
撮影中に2頭も逃げられました^^


時として多くが発生する年があり、かつて僕も美味しい思いをしたことがあります。
その日は汗だくになりながら山道を行き来して多くの本種を掬い採ったものです。
ただ面白いことに、翌日はほぼ同じ気象条件だったにも拘わらずわずか数頭しか現れず
キツネに摘まれたような感覚を味わいました。
どうもこの手のワケの分からない虫にはしばしば翻弄させられるものです。

昨日は涼しいこともあり、また発生末期でもあることから数頭しか見られなかったのは
順当でしょう。
全く得られない年も多いので、ラッキーだったかも^^

蛇足ですが、ムネモンウスアオカミキリの大きな♀もまた確保出来ました。
今度のヤツはほぼ無傷で良好な個体でした^^
まあトータルで登った甲斐はあったかな。

そして今日はもうオモト岳は全山が雲の中。
これから5日程度は雲りまたは雨の予報で、また暫く動き難い日々が続きそうです。
今年は楽で良いなあ~。

ススキサビカミキリ、新成虫増え始める(2015.4.16)

石垣島の北端まで行くと、広大なススキ原が広がっているエリアがあります。
そこに生息しているのがススキサビカミキリです。

実はここまで来るのには結構時間が掛かるため、採集日数が少ない人は初めから本種狙いを諦める
傾向があるようです。
ススキ依存性のカミキリの中でもポイントが絞り難い種類でもありますしね。

年間を通してダラダラと出現しているようですが明らかにピークはあり、今は新成虫が増え始めています。
ススキ原の中で活動するカミキリの中でも本種は特にスレ易く、酷いものは微毛がすっかり剥げて
背中が真っ黒になってしまう場合すらあります。そこまでではないにしても、綺麗な個体の割合が多い
タイミングに採らないと意味が無いんですね。
せっかくここまで来て、個体数は少ない上にリリースばかりだと悲しいですから。

これなんか文句の付けようの無い、素晴らしい個体です^^


ここまで完璧に微毛が揃っている個体は珍しいですよ。

本種についてはかつて、ちょっとしたミス・リードがあったようです。
70~80年代に活躍した採集人達が「牧場内」で本種を多数採り、そのことが知れ渡ったため
本種は牛が踏み潰したススキの株がないと採り難いと思い込んでいる人が未だに居るようです。

そうしたケースもかつてあった、ということです。
本来本種は広大なススキ原に薄く分布しており(エリアは限られるが)、なにも牧場が無いと採れない
わけではありません。

それに石垣島でも産業構造改革の中で、牛の常時放牧を止めて牛舎方式を取る畜産業者ばかりと
なっています。 現実的に島内にかつてのような牧場は既に存在しないのが実情です。

唯一と言える現在も残る広大な牧場。
とは言っても一種の観光牧場であり、草地も美しく管理されススキなど殆ど目に付きません。
こんなところでは期待するのが無理と言うもの。

本種に関しては、昨年までにかなり時間を費やしたので今季はさらりと流そうと思います^^
あとは何時か幼虫を飼育してみたいと思うくらいかな。

寒い石垣島も、増え始めるカミキリ普通種達(2015.4.15)

何だあ、この寒さ!
4月も半ばというのに石垣島はここ3~4日、冬に逆戻りしたような低気温が続いています。
夜間があまりにも寒いので鼻風邪をひいてしまいましたよ。
クシャミ・鼻水が止まりません(泣)。

昨日から見事な晴天となっているのですが、空気が冷たいので虫達は殆ど動いていません。
実に残念。
先日東京などでも5年振りに4月に降雪があったと騒がれましたが、一連の強烈な寒気はここ石垣にも
まだ影響を及ぼしているわけです。

フィールドでは遠征に来ている数人の虫屋さんを見るのですが、なす術が無いようで皆さん落胆の
面持ち・・・ 
春の八重山はホントに運に左右される「賭け」のようなものなんだなあと改めて感じます。
予報によると明日からようやく気温が戻りそうなので、4月は中盤戦から期待というところですね。

さて、こうした採集し難い日々でも、増え始めたカミキリの普通種達は容易に見つかります。
林縁に転がる落ち枝等をポンポンと叩いていけば良いだけですから^^
そんな普通種達でもここまで寒いとさすがに動きが鈍くなるので安易な場所に多くは見られませんが、
一通り確認するには十分です。

一気に列挙しますね(名称略^^)。












普通種カテゴリー、撮り漏れは無かったかな^^

何度か書いていますが、南方に虫が多いとは言っても目に付くカミキリの99.9%はこれらですから
(ここが本土とは違うところ)、漫然と採集していては採れるのは普通種ばかり、ということに相成ります。

僕としては、条件が悪いと踏んだ日は快晴でも休息日になりがちです^^

延夫が延夫を追いかける^^(2015.4.14)

ややこしいなあ・・・

与那国で採ったカミキリ材を入れた箱を覗いていたところ、シイ材の切り口に何か黒く長っ細い物が
付いているのが目に入りました。

何だあ、と思い顔を近付けてみると・・・

どういう場面か分かります?
コレ、シイ材切り口に露出したノブオフトカミキリ幼虫の食痕の木屑に、ノブオオオアオコメツキ幼虫が
頭部を突っ込んでいるところなんです。
つまり、ノブオオオアオコメツキ幼虫は木屑を掻き分けながら穿孔し、ノブオフトカミキリ幼虫まで
到達したらペロリ(実際はチューチュー^^)しちゃおうというわけ。

すなわち、ノブオの幼虫がノブオの幼虫を追いかけている構図なんですね。
なんという因果関係・・・

別にノブオオオアオコメツキの幼虫を捕獲していたつもりはないのですが、どうやら採取した
カミキリ材の樹皮のめくれ等に潜んでいた模様。
野外ではこんな感じで捕食関係が存在しているという好例ですね。

実際八重山で材採集をしていると、フトカミキリ類の幼虫の坑道にノブオオオアオコメツキや
ヨツモンオオアオコメツキ幼虫が潜んでいることはよくあるんです。
元々そこに居たフトカミキリ類幼虫の残骸が無いことも多いので(=時間がそれなりに経過している)、
コメツキ幼虫はその場所に長く居座っていたか、既に空となっていた坑道に忍び込んで来ることもあると
考えられます。
さらに、小型生物がその狭間に入ってくるのを待ち伏せすることもあると思われます。

(参考)
ノブオオオアオコメツキ幼虫の捕食の様子
(もう何度か使っている記事ですが^^)

図らずも面白い場面を見れたわけだけど、延夫が延夫を・・・
ややこし過ぎるワイ!

蝶・カミキリ・昆虫を楽しむ!(九州・沖縄を中心に) TOP » 自由人