蛾 | 蝶・カミキリ・昆虫を楽しむ!(九州・沖縄を中心に)

九州では大珍品のシロシタバ、来た^^(2015.8.27)

台風15号襲来の直前、九州脊梁山地の高標高地点へ晩夏のナイターに行って来ました。
正直なところ月齢は「半月」とコンディションは既に良くないのですが、ここでのナイターは当たると
結構面白い虫が来るので年間に何回かはやっておかねばなりません。

僕の場合は極めて守備範囲が広く、甲虫でも蛾でも何でもイケルのでたとえハズレでも獲物が無いと
いうことはまずありません^^
ただ、今年は全般的に虫が少ないので少々腰の重い出動ではありました。

日没頃、ライトフィットを掛けながらポイントへ到着すると、九州とは言えど時期的にもうかなり涼しく
なってきていることに気付きます。ブナ帯という高標高でもあるため気温計を見ると20℃を切りそうです。
そして点灯。
・・・

うーん、やはり虫が集まってこないなあ。
半月もしっかり煌々としてやがるし。
いくら半月でも多少は虫が来るものなのですが、今日は本当に何も来ません。
蛾すらチラホラ程度。どうやら今日は最悪の貧果になりそうだな・・・

22時頃、今日は早仕舞いしようかと思っていると思いがけず濃霧が発生してきました。
これが上手く月を隠してくれた上に空気の動きも感じられるようになってきました。
「おやっ、こりゃ良いカンジじゃない?」
実はこうなってくると虫が集まり易いんですよ^^

予想通り、それまでは数匹しか居なかったカトカラ最普通種のゴマシオキシタバがポンポンと飛来し、
そしてやっと狙い目のヨシノキシタバも遂にやって来ました。
「オッ、来た来た! ビカビカの♀だーい^^(実はちょっとだけ欠けている)」
デジカメと毒ビンを持って慌てて駆け寄ります。

ヨシノは美しい珍品の上に(九州ではさらに珍品)♀では変異が多く、採集欲をそそられるものです。
僕は本州でも数個体を採っていますが間違いなく九州産は本邦最美で、最大個体群でもあります。
下の♀は極めて白帯が発達した珍しい型です^^

ヨシノに照準を合わせていると、ドデカイ蛾が半透明のスクリーンの反対側にぶつかりました。
裏面が一瞬見えましたが間違いなくカトカラです。
「うわあ~ シロシタバだあ!」
急いで裏側に回るとヤツは地面に留まっていました。
「逃げるなよ、エイッ!(カシャッ)」

ヨシノよりさらに珍品のシロシタバの撮影、捕獲に成功した瞬間です^^
本州では晩夏から秋にかけて幾らでも居る本種ですが、九州産は大珍品であって2~3年に1頭の
虫なんですよ(僕もやっと3頭目)。当日最大のヒットとなりました^^

濃霧と大気の動きは1時間程で終了しましたが、この間に当地では数年振りのキマエコノハを見ましたし
(採集出来ず)、下のようにネジロフトクチバあるいはツキワクチバ、ヤクシマヨトウ等の近年ほぼ土着
しつつある準遇産蛾も姿を見せました。

甲虫部門としては、ようやくキュウシュウオニクワガタが幾つか来ています。
やはり今年はオニクワも少ないなあ・・・
ちなみに、これは♂ですがナイターに来るのは♀の方が遥かに多いです。

キュウシュウヒメオオの♀も来ていました。本種の♂はまずナイターには来ませんね。
九州高山帯でも近年は極めて少なくなっています。

おや、コバネの♀だ。
このカミキリ、大好きなんですよねえ。ラッキー^^

地面ではオオオサムシも幾つかチョロチョロしています。転がった大きなヤマミミズの死体には
見向きもせず、ナイターに来た蛾を咥えて盗み去ろうとしているようです。逃がさじ^^
平野部のものよりかなり小型で、九州山地南部亜種(クマソオオオサムシ)に含まれるものです。

暫く忙しい一時でしたが、濃霧が去り日付が変わる頃になると新手の虫がほぼ来なくなりました。
気温も15℃近くまで下がっています。
今回のナイターはこれで終了と判断し、就寝。

翌朝はフィットを片付けながら下山しましたが、殆ど良い虫が入っていません。
ここまで虫が少ない年も本当に珍しい・・・
唯一良かったのが人生二頭目のクリイロカッコウムシ。高校時代に九州山地で採って以来です。

地味なカッコウムシですが九州では珍品、講談社の図鑑では九州が分布域に入っていないので
記録が殆ど無いのでしょうね。

今後は月齢がもっと悪くなるし虫の発生も悪いので、今季の高地ナイターはこれで終了です。

初秋、九州高山帯のカトカラ(その2)(2014.9.5)

先日は九州のカトカラの中でも僕が好んで狙っている珍種、ヨシノキシタバを紹介しました。
今回は同夜のナイターに訪れたその他のカトカラ数種について記します。

まずは九州カトカラの中でも極珍のシロシタバ。
「え~、 シロシタバが珍品~?」と言うなかれ。
本州でシロシタバと言えばちょっと高い山に秋に行くとダムやコンビニ等の灯火の下にボタボタ
落ちている印象が強いですよね。

ところが、です。
九州まで南下すると極端に少なくなり、1シーズンに1頭見れるかどうかという代物になるのです。
ヨシノキシタバよりも遥かに珍品なんですよ^^
カトカラは基本的に北方系の虫なので九州に種類も数も少ないのは仕方ないのですが、カトカラの
帝王たるムラサキシタバが身近に産しないというのは寂しい限りです。蛇足ですが。

九州では一昨年以来のシロシタバ。
壁に留まるとすぐにクルッと180度回転して下向きになることが殆どなので、上を向いた場面は
珍しいですね。

次はケヤキ食いのジョナスキシタバ。
九州産は白っぽくなり本州産とは趣をかなり異にします。また本州産と比べると型も大きいですね。
数も多くなく、コレクターさんは是非欲しいものでしょう^^

ミズナラを食樹とするエゾシロシタバ。
本州のミズナラ帯には掃いて捨てるほど居ますが、これも九州では比較的少ないです。

そしてヨシノキシタバと同じホスト(ブナ)を持つゴマシオキシタバ。
これはさすがに九州にも多いですね。ブナ帯では最も多数が集まるカトカラです。

普通種ながら本州では黒化型等の変異が結構楽しめる種類なのですが、何故か九州における
変異幅は小さく、いつも無視を決め込んでいます。

初秋の珍品カトカラ、ヨシノキシタバ(2014.9.3)

9月に入ってもどうも天気が安定しませんね。
気温もちょっと低温傾向で、出撃のタイミングを計るのが難しいです。

そうした中、昨晩は九州脊梁山地の高地帯でもなんとかナイターが出来そうだったので、空模様を
気にしながら夕刻から出発しました。

自宅からポイントまではクネクネ山道を二時間ほど。車では行けるものの九州では秘境扱いの場所です。
所々雨が降った跡がありその後の天気の崩れも気になります。
現場に着いたのは午後7時過ぎ、もう真っ暗になった頃でした。

ここは標高1,500メートルほどはあり、今回は悪天のため山塊が厚い霧に終始覆われていました。
運良く雨粒は落ちていないようで道路は濡れていません。なんとか屋台はひろげられそうです。
気になるのは気温。特に今回は低く、ライトを点灯した時点で既に20℃を若干切っていました。

低温なので甲虫は最初から諦めていましたが、ことのほか蛾は多く集まって来てくれました。
とりあえずホッと胸を撫で下ろします。
今回最大の狙いは九州カトカラの珍品、ヨシノキシタバなのです。

ヨシノキシタバはブナを唯一のホストとする、いわゆるブナ帯に固有のカトカラです。
国産カトカラでは唯一雌雄の斑紋が異なる種で、単純に美しいことからとりわけ人気があります。
僕も関東各地でナイターをやっていたので分かるのですが、実は本種、かなり少ないカトカラです。
一晩に採れても数頭で、カトカラの帝王と呼ばれ珍種扱いもされるムラサキシタバよりも遥かに
少ないものでした。

九州はブナ帯が薄いので基本的に高山性の昆虫相は貧弱です。
ただマイポイントでは、毎回ヨシノキシタバが高確率で飛来するんですよ^^

点灯後暫くして支柱に留まった♂。
これはまだ展翅出来るほどの鮮度を保っています。

この♂は前翅に亀裂が入っていますね。
9月に入るとやはり♂は翅にほぼ切れ、欠けがあって殆どはスルーせざるを得ません。

一方、♀はほとんど全てがビカビカ^^
本州産の♀の斑紋はほとんど一様のようでしたが、九州産はかなり変異があります。
特に金色掛かったある意味「毒々しい」斑紋は見事の一言です^^
また九州産は本州産に比べると明らかに大型で、一層の魅力を感じますね。


昨晩のナイター、開始数時間は蛾の飛来も良くヨシノキシタバもポツポツ姿を見せましたが、次第に
気温が下がり、午前零時には冷たい強風が吹き始めたのでやむなく閉店しました。

クロシオキシタバって屋久島に居たのね^^(2014.8.18)

僕は甲虫屋でもあると同時に蝶屋でもあり、また蛾屋でもあります^^
しかし甲虫とレピは一緒には取り組めないため、今は基本的に手を出すのを泣く泣く御法度にしている
のが蝶であり、蛾であるわけです。

前からコレクションに加えたかった蝶や蛾が目の前を飛んでいたり、ナイターの幕に留まったとしても
指を咥えるだけ。
「どうせ展翅している時間は無いしなあ・・・」ってな感じで。
現実には後で軟化展翅をすることは可能なのですが、生展翅に比べると時間も相当掛かるし、
標本の出来上がりにも雲泥の差が生まれるので嫌なんですね。

そうした中、今夏の屋久島で初めて見たのがクロシオキシタバ。
本種が屋久島に居るとは思わなかったのでちょっとびっくりしました。

今では珍品のイメージは無くなりましたが全国的に見ると極めて局地的なカトカラで、九州本土では
確か大分と宮崎の太平洋側の海岸にしか分布していなかったと思います。

なぜ海岸線かと言えば本種のホストが海沿いに多いウバメガシであるからです。
今回はナイター場所に川が海に流れ込む地点を選んでみたのですが、図らずもウバメガシのある
本種の分布域だったわけです。

前述のとおり今は、時間的にも体力的にも生展翅の出来ない遠征先での蛾の捕獲は控えている
のですが、特に初めて見るカトカラ等はこの限りではありません^^
ただ残念ながら、撮影後に毒ビンとアンモニアを用意している間に姿が見えなくなっていました・・・
その後はボロが幾つか飛来しましたが、もともと7月中旬以降は採集適期ではないので仕方ありませんね。

しっかり分布は確認出来たし、他の産地の標本では見たことのない白化型も見られたので、いずれは
(老後には^^)ヤクシマヒメキシタバも併せて綺麗な生展翅標本をイッパイ作りたいと思います。

おまけ。
黄色~茶色っぽいことで知られるオオミズアオ屋久島亜種。

「あれ、ほとんど普通のオオミズアオじゃない?」と言われそうですが、当写真を見て僕も驚きました。
近くでストロボの光を強く当ててしまうと、本亜種独特の黄色っぽさがほぼ抜けて見えてしまうようです。
でも陽の下で見れば青くはなく、普通のオオミズアオを見慣れている人は相当な違和感を覚えると
思います。
野外で採るとスレやカケが目立つので、いつか飼育してみても良いかなと思ったりもしています。

そして屋久島のナイターでは比較的飛来するキマエコノハ。

独特のカラーリングで知られるアケビコノハの仲間ですが、なかなか多数は得られない遇産蛾です。
飛んで来てもせいぜい1頭で、単純に美しく珍品度も高いため人気も高いです。

(参考)
キマエコノハの展翅写真

静止した姿も大変特徴がありますね。
左右の前翅端にちょっとだけカケがあり、取り込みは断念しました。

石垣島、今どきの蝶達(2014.4.13)

当ブログを見てくださる蝶屋さんのために、石垣島で最近見かけた蝶について報告します。
ただし、現在僕は甲虫を主体に採集しているので、これらはその合間に見たもののみです。
蝶に特化した採集を行えばもっと鋭い種類が発生しているかもしれないことを付記しておきます。

まずセセリの仲間はほとんど目に付きませんね。よく行くポイントの林縁にソメモノイモの群落があり、
行く度にコウトウシロシタが数頭見られますが時期的に翅が傷んだ個体が多いですね。

蝶専門のブロガーと違い、遠景写真であるのはお許し下さい。
僕のような甲虫を専門とした採集スタイルで、時間と手間を掛けてここまで蝶に迫って写真を撮るのは
実は大変なことなんです。

コウトウシロシタ、および占有行動をとるタイワンアオバ。


アゲハで気付くのはこの時期でもまだ結構ミカドアゲハが見られることで、2月頃の蝶が4月10日頃
にも頻繁に目に出来るというのは不思議ですね。
よほど冬から春にかけての低温が影響したということでしょうか。

もちろん殆どがボロですが、♀ではこのように十分標本に出来る個体も居ます。
腹部がデカイ良好な♀で、これは当然マイコレです^^

他は低山でヤエヤマカラス、ジャコウ、田園地域ではシロオビアゲハが多いもののクロは全く見ません。
ただ一つ、ヤエヤマカラスがエゴノキの葉裏に誤産卵する面白い場面に遭遇しました。

シロチョウで目立つのはやはりナミエシロで、ツマベニもたまに見ますが個体数は与那国よりかなり
少ない印象です。
タイワンキorミナミキはそこそこ飛んでいます。

タテハは林道上でルリタテハが占有行動を取っている他はイシガケが多いくらいで、ダモノも含め
あまり見ません。
ただ昨年は消滅が危惧されたキミスジが健在、多少は増えているようで安心しています。

テングチョウが意外と目に付くのが印象的です。
やはり八重山産はちょっと変わっていて良いですね。

ジャノメは低山にマサキウラナミが目に付きます。リュウキュウウラナミも居ますが今はボロ多し。
シロオビヒカゲは今年は未だ見ていません。ウスイロコノマは稀に見る程度。

ジャノメ類は人に頼まれているのですが、甲虫採集に忙しくなかなか採る機会が無い・・・
5月上~中旬にはヤエヤマウラナミが出て来るので、そこが採り時かな。
写真は結構多いマサキウラナミジャノメ。

シジミは細々したものが結構飛んでいますが、さすがに追いかけて種類までは確認出来ません。
大まかに言えるのはその殆どはタイワンクロボシです。
以前はあっちこっちの枝先でヒメウラナミやアマウラが占有行動を取っていたものですが、昨年も
こうした場面はあまり見ませんでしたね。

オモト登山道で出くわした産卵中のヤクルリ。

また、今はマダラチョウ類があまり目に付きません。迷蝶シーズンになったら、今年は1日くらい
三角カンを付けて、蝶のみの採集を楽しんでみようかな^^

なお蝶ではないのですが、飛翔中の甲虫を探す目的で上方を見上げていると、サツマニシキが
結構飛んでいるのを目にします。
飛翔スピードは決して速くはないですが、かなり高い位置を飛ぶのでネット出来ないのが残念です。
まあこの時期になるともうボロになっているのですが。

サツマニシキに関してはやはり飼育ですね。 いずれ箱にビカビカ個体をいっぱい並べる予定です。
欲しい人はそれまで待ってね^^

与那国で美しい昼蛾達に遭遇(2014.3.7)

もう三日連続で寒い雨天が続いている与那国島です。
宿ではまだ度々ストーブが活躍中^^

今日は美蛾を中心とした一群、「昼蛾」のお話です。

先日林内で採集していると、シャツの裾にオキナワルリチラシが留まっているのに気付きました。
本種はサツマニシキと並び、我が国で最も「昼蛾」らしい様相を醸しています。
後者と異なり、本種は夜間ライトに寄って来る事もままあります。

(参考)石垣・屋久島のサツマニシキ

指に留まらせたりして暫く遊んでみます^^
後翅はこのように煌びやかな青鱗で彩られています。
触角の表面や頭部、前翅の一部や付け根等にも同様の色合いのアクセントがあり、これはこの手の
美しい昼蛾のほぼ共通の特徴になっています。

それにしても後翅の純白さが際立ちますね。九州産辺りとは何か異なる気がする・・・
サツマニシキも本州西部から琉球列島にかけて4亜種ほどに分けられているし、たぶん本種も
全国的にはそれなりの変異があるのでしょう。

美蛾への想いは尽きないなあ・・・
僕の昼蛾に関する最大の夢は、何時の日か「オオサマアゲハモドキ」を飼育することなんですよ^^
♀標本を見ると、どの個体も腹部は巨大で卵を一杯抱えていそうです。人工採卵は恐らく難しくないと
睨んでいますが、さぞかし巨大で変わった幼虫なんだろうなあ。

そんな妄想に耽っていたら、オキナワルリチラシは緑の前翅とアクセントを伴った純白の後翅を
羽ばたかせながら、ひらひらと優雅に飛び去って行きました。

一方、こちらは蝶採集の際、林縁のやや高い所を飛んでいたクロツバメ。
食樹は与那国ではアヤミハビル(ヨナクニサン)も食っているアカギですが、それがたくさんある割には
クロツバメ自体の姿は何故かほとんど目にしません。これは石垣等でも感じるところです。

頭・胸部および腹節の鮮やかな「赤」は一種の警戒色で、虫体を摘むと強烈な不快臭を放ちます。
これも美蛾たる多くの昼蛾に備わる特徴のようです。

後翅の色合いには変異があり、宮古島産は緑っぽく趣がまた異なるものでした。
日本産はタイ産等が全体的に黒っぽい中でとても美しい個体群です。

そう言えば与那国で昼蛾に出会ったのは今回が初めてだ^^

石垣島ナイターに集まったイイ蛾達^^(2013.11.1)

今年の石垣遠征では度々ナイターを行ったのですが、以前から欲しかった蛾達もとりあえず集まって
くれました。

僕は本土各地でナイターを行っていますが、それらと比較して八重山で蛾が大量に集まることは
まずありませんね。
本土では狙った種類が珍品でも一晩に10頭以上飛来することは珍しくありませんが、八重山だと
せいぜい1~数頭で終わってしまいます。

他の虫も同様で、基本的に虫の発生個体数が本土と比較すると少ないと感じます。
八重山初心者は、本土でもあれだけナイターに虫が集まるのだから、南の島でのナイターって
さぞかしパラダイスなんだろうなあと妄想されるかもしれませんが、それは幻想なのです。

で、これらが冒頭に述べたイイ蛾達です^^

まず、最も欲しかったミドリモンコノハ。
コイツはさすがに九州までは北上してくれませんねえ。数も極端に少ないです。

これはサビモンルリオビクチバ。
近似のルリオビクチバは九州まで遠征(北上^^)してくれることがありますが、本種もミドリモンコノハ同様
まず九州以北で捕獲されることがありません。
多くありませんが、何度かパラパラと飛来してくれました。

九州脊梁山地のマイフィールドでも数頭採集できたキマエコノハ。
こっちが本場のはずですが、結局この1頭だけでしたねえ。
僕の中ではトップ3に入るイイ蛾です^^

そしてこれも特に欲しかったハグルマヨトウ。
本種も多くはなく、3頭程飛来した夜もありましたが、来ない日の方が多かったですね。
将来の八重山定住時には思い切り飼育してビカビカの標本をしこたま並べてやろうと思います^^

クロツバメと食樹アカギ(2013.3.12)

ヨナグニサンの主要ホストとして知られるアカギ。
ここ石垣島にもあちこちで見られます。


確か奄美ではラデンキンカメムシのホストでしたね。
石垣にはまだ住み着いていないのかしら。

その根元でヨレヨレのクロツバメを見つけました。
これもまたアカギを食樹としています。

今回の長期遠征では基本的に蝶および蛾の比重は低いのですが、サツマニシキや本種といった
美麗昼蛾は別格です^^

いずれ新鮮な個体も一杯見つかるでしょう^^

美蛾の極致、クロモンシタバ(2013.1.30)

虫屋さんでもほとんどの人が不得意な、「蛾」。
既知種だけでも蝶の数十倍はあり、採集・コレクションの対象としてはこの上無い対象なのに
全く関心を示さない虫屋さんが多いのは実に残念。

あなたがもし蝶屋さんなら(もちろん甲虫屋さんでも^^)、楽しみの分散の意味で目を向けてみては
いかがでしょう。
蝶は各地で採集に規制が掛かる種類が多くなっていますが、蛾にはそれがまずありません。
誰に文句を言われること無く、好きなだけ採集できるのですから、ホントやらない手は無いと思います。

まあ、おせっかいはほどほどにしておきましょう^^

さて、数千種の国産蛾の中で、美しさで群を抜いている種類の一つがクロモンシタバです^^
上の写真が♂、下が♀です。


虫の美しさの定義にもいろいろあると思います。
どの角度から、どういう好みを持って、どんな視点で見るかでまた違ってくるので、「美しい」を
共有するのって難しいんですよね。

蛾の模様の魅力とは蝶には無い奥深さだと個人的には思っていますが、このクロモンシタバは実に深い。
一般に国産蛾の翅の基調色はダーク系なのですが、本種は根本的に違います。

グリーン掛かったシックなクリーム色の前翅は実に見事。
オシャレなパステルカラーはとても蛾の翅とは思えません@@
moth green(とんでもない当て字^^)とは本種のためにあるような言葉だなあ。

そして墨汁が少し滲んだような後翅の「逆ハの字」。
まるで力強い「書」を感じさせます。

ビビッドな「ヨーロピアンテイスト」と奥深い「和テイスト」が混在している非凡な種類なんですね^^
前翅サイドには「枯れ葉」の一部に似せた擬態色をまとい、これも和洋折衷の配色を醸しています。

南方系の準遇産蛾であり、「何時でも何処でも」採れる種類ではなく珍品度をそれなりに保っている。
そういう所も良いです^^

国産の蛾の中で、本種ほどスクリーンに飛来した際に胸がときめくものも他に無いように思います。
僕にとってはやはり特別な蛾ですね^^

さて、本種も年に1度あるか無いかの「大フィーバーの夜」に現れるケースが多いのですが、
3年前のそんな夜に多数飛来したクロモンシタバ達です。


本種がこれほどまとめて飛来したのは僕のナイター史上この時だけで、完品のみ採集しました。
この時はラッキーにも滅多に採れないヒロオビクロモンシタバも1頭だけ混じっていました。
(標本箱右下の個体。ただし琉球ではクロモンシタバより多いらしい)

なお、左の2列は近年北上傾向が顕著で各地で採り易くなったツキワクチバです。
普通種になったとは言え、幻想的ないわゆる「月の輪」にはいつも目を奪われます。

魅惑の「月輪」の写真はこちらから^^

今年の夏~秋も、大フィーバーの夜に当たりたいものですねえ。

その時はこれらの大型南方系蛾ばかりではなく、カトカラやその他多くの美麗・珍品蛾が乱舞して
一睡も出来ない狂喜したオールナイトになるのです^^

サツマニシキのブクブク^^(2013.1.13)

蛾はもっぱら夜間に活動する種類がほとんどを占めますが、ごく一部に昼間に活動する一群が
居ます。

いわゆる「昼蛾」として一括りにされる連中ですね。
昼蛾は世界各国に多くの種類が知られており、何故か美麗な種類が極めて多いグループです。

それ故かファンは意外と多く、蝶に興味は無いが昼蛾は好きで集めているという「昼蛾コレクター」は
結構多いような気がします。
かつて出版された昼蛾の図鑑もかなり話題になりました。

さて、我が日本にも少ないながら昼蛾にカテゴライズされる種類は知られています。
その中でも最も美しいのがサツマニシキです^^

地名(サツマ)はともかくとして、「ニシキ(錦)」と命名した人、チョー偉い^^
日本ならではの味わい深いネーミングで、実にこの日本最美蛾の特徴を捉えていると思います。

さすがに注目度が高いと見えて4亜種に細分されており、本州から八重山に向かって白化が
進むことが知られます。

決して珍品ではなく、この仲間は生育が斉一で羽化が一斉に行われることから、生息地では
食樹のヤマモガシがある一画でまとめて見られる場合もあります。
羽化直後のビカビカの時期だったらウハウハですね^^

昨夏の屋久島には割と多く、リョウブの花に吸蜜に訪れる個体を幾つも見ました。
残念ながらスレの時期に入っていたので採集はしませんでしたが。
位置が高く、かつ逆光になるのでちょっと見難いですがお許しくださいませ。

本種でよく知られているのが、捕えられた際に胸の両側、主脈の付け根辺りから噴出させる
泡状の体液、いわゆる「ブクブク」です。

人間の皮膚に付いても特に害は無いのですが、不快臭はするし、息で吹き飛ばしてもなかなか放出が
止まらないので採集時にはちょっと厄介ですね。

下は数年前の春に撮った八重山亜種のブクブク。
八重山亜種は白っぽくてこれまた味のあるグループです^^


次は昨夏、屋久島で撮った屋久・種子亜種のブクブク^^
何度も吹き飛ばしていると、終いには泡も出尽くしてしまいました。

これぞ本当の「バブル崩壊^^」
(この言葉もいつの間にか古くなったなあ)

サツマニシキの場合、新鮮な個体が採れるかはタイミング次第ですが、今年は八重山亜種の
採集チャンスは結構ありそうで楽しみです^^

あっ、よく考えたら採集チャンスが無いのは沖縄亜種だけだ^^

蝶・カミキリ・昆虫を楽しむ!(九州・沖縄を中心に) TOP » 蛾