蛾 | 蝶・カミキリ・昆虫を楽しむ!(九州・沖縄を中心に)

与那国で美しい昼蛾達に遭遇(2014.3.7)

もう三日連続で寒い雨天が続いている与那国島です。
宿ではまだ度々ストーブが活躍中^^

今日は美蛾を中心とした一群、「昼蛾」のお話です。

先日林内で採集していると、シャツの裾にオキナワルリチラシが留まっているのに気付きました。
本種はサツマニシキと並び、我が国で最も「昼蛾」らしい様相を醸しています。
後者と異なり、本種は夜間ライトに寄って来る事もままあります。

(参考)石垣・屋久島のサツマニシキ

指に留まらせたりして暫く遊んでみます^^
後翅はこのように煌びやかな青鱗で彩られています。
触角の表面や頭部、前翅の一部や付け根等にも同様の色合いのアクセントがあり、これはこの手の
美しい昼蛾のほぼ共通の特徴になっています。

それにしても後翅の純白さが際立ちますね。九州産辺りとは何か異なる気がする・・・
サツマニシキも本州西部から琉球列島にかけて4亜種ほどに分けられているし、たぶん本種も
全国的にはそれなりの変異があるのでしょう。

美蛾への想いは尽きないなあ・・・
僕の昼蛾に関する最大の夢は、何時の日か「オオサマアゲハモドキ」を飼育することなんですよ^^
♀標本を見ると、どの個体も腹部は巨大で卵を一杯抱えていそうです。人工採卵は恐らく難しくないと
睨んでいますが、さぞかし巨大で変わった幼虫なんだろうなあ。

そんな妄想に耽っていたら、オキナワルリチラシは緑の前翅とアクセントを伴った純白の後翅を
羽ばたかせながら、ひらひらと優雅に飛び去って行きました。

一方、こちらは蝶採集の際、林縁のやや高い所を飛んでいたクロツバメ。
食樹は与那国ではアヤミハビル(ヨナクニサン)も食っているアカギですが、それがたくさんある割には
クロツバメ自体の姿は何故かほとんど目にしません。これは石垣等でも感じるところです。

頭・胸部および腹節の鮮やかな「赤」は一種の警戒色で、虫体を摘むと強烈な不快臭を放ちます。
これも美蛾たる多くの昼蛾に備わる特徴のようです。

後翅の色合いには変異があり、宮古島産は緑っぽく趣がまた異なるものでした。
日本産はタイ産等が全体的に黒っぽい中でとても美しい個体群です。

そう言えば与那国で昼蛾に出会ったのは今回が初めてだ^^

石垣島ナイターに集まったイイ蛾達^^(2013.11.1)

今年の石垣遠征では度々ナイターを行ったのですが、以前から欲しかった蛾達もとりあえず集まって
くれました。

僕は本土各地でナイターを行っていますが、それらと比較して八重山で蛾が大量に集まることは
まずありませんね。
本土では狙った種類が珍品でも一晩に10頭以上飛来することは珍しくありませんが、八重山だと
せいぜい1~数頭で終わってしまいます。

他の虫も同様で、基本的に虫の発生個体数が本土と比較すると少ないと感じます。
八重山初心者は、本土でもあれだけナイターに虫が集まるのだから、南の島でのナイターって
さぞかしパラダイスなんだろうなあと妄想されるかもしれませんが、それは幻想なのです。

で、これらが冒頭に述べたイイ蛾達です^^

まず、最も欲しかったミドリモンコノハ。
コイツはさすがに九州までは北上してくれませんねえ。数も極端に少ないです。

これはサビモンルリオビクチバ。
近似のルリオビクチバは九州まで遠征(北上^^)してくれることがありますが、本種もミドリモンコノハ同様
まず九州以北で捕獲されることがありません。
多くありませんが、何度かパラパラと飛来してくれました。

九州脊梁山地のマイフィールドでも数頭採集できたキマエコノハ。
こっちが本場のはずですが、結局この1頭だけでしたねえ。
僕の中ではトップ3に入るイイ蛾です^^

そしてこれも特に欲しかったハグルマヨトウ。
本種も多くはなく、3頭程飛来した夜もありましたが、来ない日の方が多かったですね。
将来の八重山定住時には思い切り飼育してビカビカの標本をしこたま並べてやろうと思います^^

クロツバメと食樹アカギ(2013.3.12)

ヨナグニサンの主要ホストとして知られるアカギ。
ここ石垣島にもあちこちで見られます。


確か奄美ではラデンキンカメムシのホストでしたね。
石垣にはまだ住み着いていないのかしら。

その根元でヨレヨレのクロツバメを見つけました。
これもまたアカギを食樹としています。

今回の長期遠征では基本的に蝶および蛾の比重は低いのですが、サツマニシキや本種といった
美麗昼蛾は別格です^^

いずれ新鮮な個体も一杯見つかるでしょう^^

美蛾の極致、クロモンシタバ(2013.1.30)

虫屋さんでもほとんどの人が不得意な、「蛾」。
既知種だけでも蝶の数十倍はあり、採集・コレクションの対象としてはこの上無い対象なのに
全く関心を示さない虫屋さんが多いのは実に残念。

あなたがもし蝶屋さんなら(もちろん甲虫屋さんでも^^)、楽しみの分散の意味で目を向けてみては
いかがでしょう。
蝶は各地で採集に規制が掛かる種類が多くなっていますが、蛾にはそれがまずありません。
誰に文句を言われること無く、好きなだけ採集できるのですから、ホントやらない手は無いと思います。

まあ、おせっかいはほどほどにしておきましょう^^

さて、数千種の国産蛾の中で、美しさで群を抜いている種類の一つがクロモンシタバです^^
上の写真が♂、下が♀です。


虫の美しさの定義にもいろいろあると思います。
どの角度から、どういう好みを持って、どんな視点で見るかでまた違ってくるので、「美しい」を
共有するのって難しいんですよね。

蛾の模様の魅力とは蝶には無い奥深さだと個人的には思っていますが、このクロモンシタバは実に深い。
一般に国産蛾の翅の基調色はダーク系なのですが、本種は根本的に違います。

グリーン掛かったシックなクリーム色の前翅は実に見事。
オシャレなパステルカラーはとても蛾の翅とは思えません@@
moth green(とんでもない当て字^^)とは本種のためにあるような言葉だなあ。

そして墨汁が少し滲んだような後翅の「逆ハの字」。
まるで力強い「書」を感じさせます。

ビビッドな「ヨーロピアンテイスト」と奥深い「和テイスト」が混在している非凡な種類なんですね^^
前翅サイドには「枯れ葉」の一部に似せた擬態色をまとい、これも和洋折衷の配色を醸しています。

南方系の準遇産蛾であり、「何時でも何処でも」採れる種類ではなく珍品度をそれなりに保っている。
そういう所も良いです^^

国産の蛾の中で、本種ほどスクリーンに飛来した際に胸がときめくものも他に無いように思います。
僕にとってはやはり特別な蛾ですね^^

さて、本種も年に1度あるか無いかの「大フィーバーの夜」に現れるケースが多いのですが、
3年前のそんな夜に多数飛来したクロモンシタバ達です。


本種がこれほどまとめて飛来したのは僕のナイター史上この時だけで、完品のみ採集しました。
この時はラッキーにも滅多に採れないヒロオビクロモンシタバも1頭だけ混じっていました。
(標本箱右下の個体。ただし琉球ではクロモンシタバより多いらしい)

なお、左の2列は近年北上傾向が顕著で各地で採り易くなったツキワクチバです。
普通種になったとは言え、幻想的ないわゆる「月の輪」にはいつも目を奪われます。

魅惑の「月輪」の写真はこちらから^^

今年の夏~秋も、大フィーバーの夜に当たりたいものですねえ。

その時はこれらの大型南方系蛾ばかりではなく、カトカラやその他多くの美麗・珍品蛾が乱舞して
一睡も出来ない狂喜したオールナイトになるのです^^

サツマニシキのブクブク^^(2013.1.13)

蛾はもっぱら夜間に活動する種類がほとんどを占めますが、ごく一部に昼間に活動する一群が
居ます。

いわゆる「昼蛾」として一括りにされる連中ですね。
昼蛾は世界各国に多くの種類が知られており、何故か美麗な種類が極めて多いグループです。

それ故かファンは意外と多く、蝶に興味は無いが昼蛾は好きで集めているという「昼蛾コレクター」は
結構多いような気がします。
かつて出版された昼蛾の図鑑もかなり話題になりました。

さて、我が日本にも少ないながら昼蛾にカテゴライズされる種類は知られています。
その中でも最も美しいのがサツマニシキです^^

地名(サツマ)はともかくとして、「ニシキ(錦)」と命名した人、チョー偉い^^
日本ならではの味わい深いネーミングで、実にこの日本最美蛾の特徴を捉えていると思います。

さすがに注目度が高いと見えて4亜種に細分されており、本州から八重山に向かって白化が
進むことが知られます。

決して珍品ではなく、この仲間は生育が斉一で羽化が一斉に行われることから、生息地では
食樹のヤマモガシがある一画でまとめて見られる場合もあります。
羽化直後のビカビカの時期だったらウハウハですね^^

昨夏の屋久島には割と多く、リョウブの花に吸蜜に訪れる個体を幾つも見ました。
残念ながらスレの時期に入っていたので採集はしませんでしたが。
位置が高く、かつ逆光になるのでちょっと見難いですがお許しくださいませ。

本種でよく知られているのが、捕えられた際に胸の両側、主脈の付け根辺りから噴出させる
泡状の体液、いわゆる「ブクブク」です。

人間の皮膚に付いても特に害は無いのですが、不快臭はするし、息で吹き飛ばしてもなかなか放出が
止まらないので採集時にはちょっと厄介ですね。

下は数年前の春に撮った八重山亜種のブクブク。
八重山亜種は白っぽくてこれまた味のあるグループです^^


次は昨夏、屋久島で撮った屋久・種子亜種のブクブク^^
何度も吹き飛ばしていると、終いには泡も出尽くしてしまいました。

これぞ本当の「バブル崩壊^^」
(この言葉もいつの間にか古くなったなあ)

サツマニシキの場合、新鮮な個体が採れるかはタイミング次第ですが、今年は八重山亜種の
採集チャンスは結構ありそうで楽しみです^^

あっ、よく考えたら採集チャンスが無いのは沖縄亜種だけだ^^

闇夜の九州脊梁山地に現れたステルス戦闘機(2012.11.22)

今夏、ヨシノキシタバ等のカトカラや南方の遇産蛾を狙って、九州脊梁山地の高標高地点で
何度かナイターを行いました。

そこは熊本県でも標高1、500メートル近くまで車で上れる林道で、九州でも多くの高山性の
珍種昆虫を産する所です。

もちろんこの場所はブナ帯の一画なのですが、それにも拘らず数年前はオオルリオビクチバや
キマエコノハ等の南方系大型遇産蛾が乱舞して狂喜した夜がありました。

今年は残念ながらそうした光景は見られなかったのですが、その代わりステルス戦闘機(^^)が
現れたのでご紹介します。

ツキワクチバです^^

全くスレの無い美しい個体ですね。翅の縁毛も全て生え揃っており羽化直後なのでしょう^^
コレクションする場合、蛾は蝶以上に新鮮でなければならないので(翅の傷が目立つため)、
数は採れても美しい標本を残すのが結構難しいんですよ。

僕が中学生の頃は九州でも記録が少ない珍種だった本種も、温暖化が進んだ現在は本州でも
比較的目にする種類となってきたようです。

ちなみに僕は中学生の頃、地元の蛾屋さんに付いて二年程は蛾を専門に採っていた時期が
あります^^

さて、地面に留まったツキワクチバを見ていると、不意にパッと上翅を開きました。
すると名前の由来となった後翅の月輪状の綺麗な白紋が現れました。

ビジュアル的にもなかなかシブい良い蛾でしょ^^
言うまでもなく、この白紋は外敵に対する威嚇手段として機能しているわけです。

折角なので、同夜に現れた比較的珍しい幾つかの蛾もご紹介しておきます。

まずは、これも最近では各地で見られるようになった「準」遇産蛾のネジロフトクチバ。
かつては幻の蛾で、中学生の頃は図鑑を見てため息を漏らしていた種類です。
これもまあまあ新鮮な美個体ですね。

九州では珍種のヒメクチバスズメ。

スズメガにもカッコ良く人気の高い種類がいろいろと居ますね。
東京在住の頃は、本州各地の高原で多くのイブキスズメの幼虫を採って飼育したものでした。
アッ、今年キョウチクトウスズメの幼虫を採りに行くの忘れた!

これは本州でも比較的採り難い美しい珍種のシロフアオヨトウ。九州産は緑味が強くなります。
本州産とは別種なのかも。

こうしたシブい蛾達の標本の集合美はとても見事ですよ。 蝶には出せない奥深さがあります^^
僕自身、今では他の虫に忙しく蛾にほとんど手を下せない状況になっているのが残念でなりません。

やることがないとボヤいている蝶屋さんなんかが移行する対象としては打って付けだと思いますよ^^
日本産の蛾は既知種だけでも1万種近くも居ますから。

蝶と違い、幾ら採ったって文句言う人なんて誰もいません^^

全種類をコレクションの対象とする必要もありません(やろうとしても不可能です^^)。
好きなものを好きなだけ摘み食いすれば良いんです^^

尽きることのない蛾の世界、あなたも是非いかがですか?

晩夏のカトカラナイター(2012.8.17)

昨晩から今朝にかけて、地元熊本の高地帯でこの時期に現れるクワガタや美麗蛾カトカラの
ナイターを行ってきました^^

ここは言わば私のホームグラウンドですが、九州脊梁山地でも比較的アクセスし易いことから
九州各県から採集者がやってきます。

早朝から高速を使ってやってくる彼らには長距離の山道も、地元民にとっては楽なもの。
午前はスポーツジムで汗を流した後、午後2時頃からナイターのみに向かうという贅沢さです^^

そろそろ日も傾いた昼下がりにゆっくり到着。
九州では珍しい手付かずの原生林が連なります。

他では見られないような巨木や立ち枯れもゴロゴロしています^^

いつもなら林内各所にライトフィットを仕掛けるのですが、今日は主にカトカラ狙いのプチナイター
なのでやりません。
点灯時間まで野鳥のさえずりを聞きながら、涼しい風に当ってうたた寝です。
うーん、ぜいたく^^

今日は月齡もバッチリ。午後7時頃からナイター開始です^^

いつものように点灯直後からキュウシュウオニクワガタがポツポツ飛来してきます。

♀ばかりですが、キュウシュウヒメオオも幾つか飛来。秋にはこれだけを採りに来ようかな。

今日は午前0時を回って気温がかなり下がったからかカミキリの飛来は少なく、コバネとヨコヤマ
ヒゲナガが1♂ずつ来ただけでした。

点灯後1時間程して、今日本命のヨシノキシタバ♂が現れました。
発生初期でビカビカの個体です^^
カトカラはこのように「矢尻」状に留まるんですよ。

まだ早いかなと思ったものの、気の早い♀も出現。


本種はカトカラの中では唯一、♂と♀の羽の模様が異なる種類です。
珍品度も手伝って毒々しげな♀の美しさには魅了されます。結構変異もあるんですよ。

ブナ食いの珍品、かつ美麗カトカラである本種の人気は高く、本州以北のコレクターにとって
大型かつ美しい九州産は喉から手が出る程欲しいものでしょう^^

早朝まで粘り、♂♀併せて二桁近くを得ることが出来ました。
本州の高地帯でも一晩に採れるのはせいぜい数頭ですから、大成果と言えます^^

他に現れたカトカラです。
まずは同じブナ食いのエゾシロシタバ。今年は結構多いようです。

次いでケヤキ食いのジョナスキシタバ。
本州産に比べて白化傾向が見られます。結構珍です。

月齢が良いのでこの日は一夜を通して大量の蛾が集まりましたが、例年は結構多い遇産蛾が
ほとんど見られず、ちょっと寂しい気がしました。
ただ、ナイターはその時の気象条件等で飛来する顔ぶれが結構変わるので、これらは次回に期待
したいですね。

月齡が良いうちに、あと数回はナイターをしてみようと思っています。

そろそろ此処ではソボセダカコブヤハズカミキリ(クロコブ)の新成虫も出始めるので、
そっちもやらなきゃな。

どうしても採りたかった南方の美麗蛾、キマエコノハ(2012.7.20)

若い時からどうしても欲しかった南方の蛾にキマエコノハがありました。

すっきりとしたフォルムに奇抜なデザイン、そしてカラーリングの妙。大きさも適当^^
珍品度も相まって、個人的に好きな国産蛾のベスト3には入りますね。

昔は採集例が少なかったため中学生の頃に眺めていた保育社の図鑑には載っていませんでしたが、
講談社の蛾類大図鑑からは標本写真が図示されるようになりました。

近年になって一部の南方の虫が北進する動きが現れていますが、キマエコノハも他の遇産蛾と
ともに九州や本州でも極めて少数ながら採集例が出るようになってきました。
僕も初めて行った夏の屋久島でのナイターで本種を採り損ね、地団駄を踏んだものでした。

それから数年間は本種を見るチャンスはありませんでしたが、九州高山のマイフィールドで秋に
ナイターを行ったところ、他のたくさんの遇産蛾とともに本種が4頭も飛来したのです。
(1頭は友人の蛾屋に直ぐ略奪されました^^)

南西諸島に住む虫屋さんに聞くと、本場でも一度に4頭が採れるようなことはまず無いとのことで、
何故こうした所(九州のブナ帯)で複数が採れたのかはナゾです@@

蛾のナイターでは、諸条件が揃った時に所謂「大フィーバー」の状態になることがあり、
僕のポイントでは千数百メートルの標高にも拘らず、年によって南方系の大型美麗遇産蛾が
多く飛来します。
いずれそうした面々も当ブログで紹介しますね。

現在管理人が遠征中の屋久島や大隅半島でも面白い蛾類が採れるのですが、
移動中の標本作製や保存等の関係で全く手が下せていません(泣)。
こうした地域の蛾にまで手が回るのは一体何時になるんだろうか・・・

※現在管理人「自由人」は屋久島・大隅半島遠征中です^^ 本記事は事前投稿です。

九州脊梁山地の黒いソボコブヤハズカミキリ(2012.6.8)

6月6~7日の二日にかけて、熊本の山奥へセダカコブヤハズカミキリの最南端の亜種である
ソボセダカコブヤハズを採りに行って来ました。

越冬コブ採集は前2回のフクチコブヤハズに続き3回目(たぶん最後^^)となります。

今月に入って梅雨前線が九州に近付いており(南部は既に梅雨入り済)、その影響で熊本も
連日悪天が続いています。
週間予報を見ると、その二日間だけにポッカリと晴れマークが。
これは行くしかないでしょう^^

採集に向かったのは私の庭たる原生林。この一帯はポイントさえ押さえていればソボコブをはじめ
九州では珍しい様々な森林性昆虫が採集できる場所です。

標高が1,500メートルに近いので、6月に入ったとは言えまだ多くの種類は期待できないでしょう。
今回はほぼコブに絞った採集となりそうです。

1日目。

前日は終日雨だったため、その影響で少なくとも午前中は採集にならないのは分かっていました。
そこで、まだ行っていなかった熊本産ツヤハダクワガタ幼虫の山上げ(避暑^^)を実行。

じっとりと濡れた林内を物色し、生育に良好な場所を選んで容器の設置完了です。
上手くいけばこれで秋にはツヤハダ長者だ^^

正午前には日差しが出て周りが乾いてきたので、目に付いたミズキの花を掬います。
でもネットの中はトゲヒゲトラ、駄ピドニア等のオンパレード。

摘まみたくなるのは熊本では珍品のカラカネハナくらいしかいません。
時間帯が悪いとは言え、九重方面とは異なりやはり九州山地のミズキはあまり使えませんね。

それでも何度か掬っているとヘリグロホソハナ九州亜種が入りました。
材からは相当出してきましたが、野外で成虫を採ったのは初めてです。
英彦山のヘリウスハナ成虫といい、今年は真面目に採集をしていることの証でしょう^^

午後になり、手にはビーティングネット、背中にはフィットトラップ゚用の水(1.5Lペットボトル3本)を
しょって未だ乾ききっていない林内に踏み込みます。

立ち枯れの表面では、ルリクワガタ♂がこの時期でもまだ活動していました。
そう言えばここではニセコルリはまだ多いけど、タダルリは随分減ってきたなあ。

洞のある立ち枯れに近付いた時、ブーンという羽音と共に大きな甲虫が飛んできて
その根元に止りました。
見るとムラサキツヤ(orミヤマオオ)ハナムグリです。
拾い上げたものの、ツルッと滑って飛んで行ってしまいました(泣)。

屋久島や鹿児島のものは完全にムラサキツヤだと分かりますが、これまで九州脊梁山地で
採集したものはどうもそれとは異なった個体がいるようです。
九州でのこのグループは疑問点が多く、特に九州山地以北のものは注意が必要と思います。

林内を歩き周り、良さそうな立ち枯れや倒木を探します。
それらをじっくりと見ていくと、立ち枯れの樹皮が剥がれて影になっている部分にソボコブが潜んでいる
のを見つけました。

昼間にも係わらず、比較的日光が当たる部分で見つかったものも結構いました。
雨の翌日で林内が湿っており、かつ今日の午前中は曇りで林内が暗かったためでしょう。



じっくりとコブを探していたらあっという間に3時を回ってしまい、慌てて準備を始めます。
今夜原生林内を徘徊するためのベースキャンプとなるナイター設備一式を林内に運び込むのです^^

いやー、大変でした。
原生林の取り付きまでは車道から数百メートルは離れています。
そこまで発電機、安定器、支柱、水銀灯(ソケット含む)、幕や留め金等を運ばなければなりません。
しかも今回はフィットを数か所仕掛けるので、バットや光源類も必要です(フィット水は運搬済み)。
追加のガソリンは諦めました・・・

これらを全て林内に運び込むのに3往復掛かりました@@
もちろん平坦な道ではなく、岩ゴロゴロの沢を上って行くのです。
こんなことする奴なんて絶対いないよなあ。

気付くともう夕方。
慌ててマイ・オヒョウのポイントへ向かい、キバネニセリンゴ、クロニセリンゴ、セミスジニセリンゴを
数匹ずつ掬い、すぐに食糧や水、残りの電灯類を持って林内に上がりました。
ここまででもうヘトヘト。

まだなんとか明るい内にフィットを仕掛けてナイター設備を組み立てます。
そしてハラにメシを流し込み、林内の探索開始です。

この林内は慣れているとは言え、起伏も多いし足を踏み外すと滑落する箇所も多いため
5~6か所にカンテラを灯しました。
かすかに左奥にも光が見えるのが分かるでしょうか。

発電機のガソリンやカンテラ類の電池が切れるのが午前0時頃。
それまでの数時間、林内を歩きに歩きました。
斜度40度の斜面を数百メートル上がったり下りたり・・・
沢を奥まで詰めたり戻ったり・・・

夜間に見つけたソボコブ達です(フラッシュ使用)。



これはラッキー^^

夜行性の雑虫にも期待しましたが、まだこの時期は色々な種類が活動するには早過ぎるようで、
たいした種類には遭遇しませんでした。

ナイターにはコブ、そして多くのオオキイロコガネやビロウドコガネ類が来た程度でしたが、
蛾ではウスマダラカレハが2♀飛来しました。

講談社の蛾類大図鑑によると、その時点で日本で4例しか採れていません。
現在でも恐らく九州で数例目でしょう。蛾コレクションに良いアイテムが加わりました^^

そして、午前0時前にはもうグッタリ。
ガソリンが切れる前にこっちの体力が切れてしまいました。

あとは光源類に頑張ってもらいましょう。
車に戻り、爆睡。

2日目。

まだ暗いうちに寒さで目が覚め、朝食を頬張ります。
そして何とか視界が利く明るさになるのを待って林内に入って行きます。
ああ足が棒のようだ・・・

昨夜活躍してくれたカンテラの一つ。
有難うね。

ちなみに、この谷の傾斜は前段に触れたように40度はあります。こんな感じ。
ここを上がったり下りたりするわけです^^

写真では上下感覚が分かり難いですが、途中から見上げた場面と、

見下ろした場面です^^

フィットの一つです(このランタンはこの時点でも灯りが点っています)。
山のように入った蛾やジョウカイ等の中に・・・


ソボコブの姿が^^

こっちのフィットにも入っていました^^

前夜活動していたコブも幾つか発見(まだ暗いのでフラッシュ使用)。

こんなことをしていたら午前8時前には雨が降り始めました。
予報では本日までは天気が持つはずでしたが、高山ではやはりアテにはなりません。

急いでナイター設備等を解体して車まで運び降ろします。
前日は合計4往復ですべてを運び上げたのに、今日はなんと2往復で済ませました。
(手とザックがちぎれそうでした・・・)

本当は午前のミズキの花でヨコヤマトラを狙っていたのですが、雨は何とか上がったものの
9時半時点で気温は12℃。花は濡れているしこれではどうにもなりません。

まあソボコブにはそこそこ会えたしヨシとしましょう。

そして帰路の途中にあるムネホシシロのクワ畑跡地に向かったのでありました。

エダシャク繋がりで・・・ウメとキオビ(2012.5.26)

先ほどフチグロトゲエダシャクの記事を投稿して外出したところ、ヒラヒラと幾つか白いものが
飛ぶのが見えました。

フチグロと「エダシャク繋がり」ということで(?)、これもアップしておきましょう。
ウメエダシャクです。
山手に行くと似たトンボエダシャクがよく飛んでいますが、本種は平地専門のようです。

発生源のカナメモチの生け垣には羽化直後の個体が幾つも止っていました。

単純な色彩ですが、すっきりした紋様でイイ蛾だと思います(僕にはどんな虫も良く見える^^)。
新鮮なので少し標本用に持って帰ろうとしましたが、今日のゼフ展翅のノルマ数を思い出して
すぐ諦めました^^

カナメモチの葉には吐糸で自分をがんじがらめにした蛹が幾つも付いています。

こんなのを見るとクスサンの繭(スカシダワラ)とか、土中に潜る奴とか、はてはアゲハの帯蛹や
タテハの垂蛹など、蛹の体の固定法の違いってどのようにして別れてきたんだろうと思いますね。

これは10日ほど前に撮った幼虫群。
今日はもうほとんど幼虫の姿はありませんでした。

悪乗りしてもう一つエダシャク繋がりを・・・
先日鹿児島にケブカトラカミキリを採りに行った際、マキ並木の傍に止っていたキオビエダシャクです。

マキの根元で偶然に見つけた羽化直後の個体の妖艶さには見惚れました@@

本種は本来は南西諸島方面の蛾ですが、近年は鹿児島や宮崎に侵入してほぼ定着しています。
東南アジアの昼蛾の仲間には似た種類がたくさん居ますよね(僕は昼蛾も結構集めています^^)

マキの害虫という位置付けですが、マキ並木の横を何頭もヒラヒラと飛ぶ様は大変綺麗です。

フチグロトゲエダシャクもそうですが、偶然にも「ウメ」も「キオビ」も日中に飛ぶ昼蛾なんですね^^

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