タマムシ | 蝶・カミキリ・昆虫を楽しむ!(九州・沖縄を中心に)

近所のジテコン採集^^成虫越冬中の素敵なタマムシ(2013.1.8)

今日はお金が一切掛からない近所のジテコン採集(お使いのついで^^)です。
体力もほとんど使わない散策みたいなものですが、これでも結構良い虫が採れるんですよ^^

ここは自宅から数分の一級河川沿いの一帯です。
ポイントは極めて限られますが、昔から残る大木が僅かに保存されている一画です。

高校生時代、ここをジテコンで通りながら見つけたのが初めて採ったオオシロカミキリ。
民家脇にあったムクノキ大木から垂れ下がった小枝の葉裏に、特有の食痕を伴って「ベッタリ」と
2頭が留まっていました。
それを目にした時の胸の高鳴りは今でも忘れられません。

運良く手の届く高さだったので、震える手でゆっくりと葉から引き剥がした時の指の感触は
今でもはっきり覚えています。

当時は山へ行かなければそんなものは採れないと思い込んでいましたが、その時以来、
幅広く採集ポイントを見渡せる視野が開けたような気がします^^

さて、今日はオオシロの話ではないのですが、その頃この一画は整備が全くされておらず、
昼なお薄暗いジャングルのようで、全くのド平地であるものの実に色々な昆虫が見られました。

現在は写真のように整地されてしまったため、この時期のムクノキ大木の樹皮下には越冬中の
多数のナミガタチビタマムシ程度しか見られません。

あ、これが表題の「素敵な」成虫越冬中のタマムシではありませんよ^^

少し進むと今日の主役のホストであるエノキのド大木が現れます。
この中に3本のエノキが見えますが、最大のご神木は樹高30mを超えます^^

根元に溜まった枯れ葉には、もちろんゴマダラチョウの越冬幼虫が見られます^^
九州の春型♀は大きくてカッコイイんですよねえ。

このエノキの枯れ枝にはムネアカナガタマの幼虫も入っており、春先には多数が羽脱して来ますが、
もちろんこれも本日の主役のタマムシではありません。

エノキ大木の根元付近を探し回ること15分。
ようやく当のタマムシが蛹室内で越冬している枯れ枝が見つかりました^^

剪定鋏で食痕を追い掛けながら削っていくと・・・
お目当ての虫の腹端が見えました^^


一気に蛹室付近の朽木塊を削り取ると、腹面を向けた格好の♂が現れます。
もう何だか分かりますね^^

ひっくり返すと、そう、クロマダラタマムシです^^

本種は局地的な珍品として知られますが、生息域ではツボさえ掴めば採集出来ない虫ではありません。
ただ条件がキツいので、今年はこの1頭しか得る事は出来ませんでした。

確かに多い虫ではありませんが、現に僕は今、買い物ついでのジテコン散策でゲットしています^^
しかも自宅からわずか数分のところで^^

まあ、虫なんて○○さえ守られていれば何処にでも居るってことですね。
(○○は今日の宿題です。すぐ分かりますよね^^)

今度は町の裏山に、同様に成虫で越冬中のアオマダラタマムシも採りに行こうかな^^

ハエは見た!(2012.11.28)

僕は鹿児島県の薩摩半島南部に住んでいる「ハエ」です。
家政婦ではありません^^

今年4月のこと、飛ぶのに疲れた僕は翅を休めようと、農家の庭先にあった梅の木の葉っぱに
留まりました。

ふと気付くと、枝先にモンキタマ男さんとモンキタマ子さんが居たんですよ。

「ああなるほど、ウメは彼らの棲家だもんな」と思っていると、二人は何やらアヤシイ様子。
次第に近付いてじっと見つめ合うような格好で留まっています。

二人は体勢を入れ替えながらぐるぐると動いていましたが、いつしか同じ方向を向くように近付きました。

おや、ヤバイですよ、公衆の面前でタマ男さんは大胆な行動に出るようです@@
おもむろにタマ子さんの背中に乗り始めましたよ。

タマ子さんは特に逃げる様子でもありません。
そして一瞬のうちに合体完了^^

二人は何事も無かったような澄まし顔です。
これもこの時期、彼らの何ら変わらぬ日常なのでしょうね。
僕がこっそり見ていたことを除いては・・・

以上、ハエ目線の出来事でした^^

シイをホストにするカラカネナカボソタマムシ(2012.8.24)

九州や熊毛諸島等の夏のタマムシとして馴染み深いのがカラカネナカボソタマムシです。
盛夏にホストであるシイをスウィーピングすると採集することができます^^

僕の地元にも居るのですが、熊本市から車で3時間以上かかる天草周辺まで行かないと見られません。
多いのはやはり屋久島や大隅半島ですね。

でもこれを採るのが一苦労。
真夏の炎天下の中、平地のシイ大木の梢を掬いまくるのでもう汗がダラダラ。
本種に限りませんが、南方のタマムシ採集は暑さとの戦いでもあります^^

そんな苦労の中でネットに入ったカラカネナカボソタマ。
良い木に当たると何頭も一度に採れることがあります。
デカイ♀が入ると感激しますよ^^

初夏の爽やかな阿蘇の高原でサビナカボソタマやミヤマナカボソタマを採るのも良いですが、
暑さにクラクラしながらもネットの底に転がったパープルに光るコラエブスを見るのもオツなものですよ^^

日陰のホウロクイチゴ葉上のルリナカボソタマムシ(2012.8.3)

7月の屋久島遠征で昼間の空いた時間によく探したのがルリナカボソタマムシです。

コラエブス属の中では最普通種のシロオビナカボソタマムシと同程度と小さく、同様にバラ科を
ホストとしているので割と近縁なのかもしれませんが、はるかに少なくより格調高いです。

屋久島の低地の林縁には食樹のホウロクイチゴが多く、木漏れ日の当たる日陰の葉を注意深く
探すとブルーにキラッと光る可愛い姿を見つけることが出来ます^^

本来なら7月はもう数が少なくなる時期なのですが、今年は結構な数が見られました。

集まる葉は割と限られるようで、少しずつ齧りながら食痕をどんどん大きくしていきます。

今年は交尾中のペアも結構見られました^^

ルリナカボソタマムシの幼虫(2012.7.11)

ルリナカボソタマムシは熊本県の天草地方や鹿児島県本土でも見られますが、やはり多いのは
屋久島や種子島です。

コラエブス属タマムシの中では小型種であまり目立つ存在ではありませんが、ミヤマナカボソタマ
にも似た強い青色の金属光沢はとても魅力があります^^

この綺麗なタマムシは林縁に生えたホウロクイチゴに付きます。
二年前に屋久島で確認した本種の幼虫をご紹介します。

ヤマトタマムシやウバタマムシ等の大型タマムシ類と違って、コラエブス属の幼虫を見たことが無い
方も多いと思います^^


これは幼虫が居たホウロクイチゴの生蔓の断面ですが、髄と材部の境に楕円形の食痕が見えますね。

成虫は4月下旬から現れますが、屋久島では7月でもまだ少数を見る事が出来ます。
管理人も今頃は林縁のホウロクイチゴの葉を凝視していることでしょう^^

※現在管理人「自由人」は屋久島・大隅半島遠征中です^^ 本記事は事前投稿です。

梅雨の晴れ間に草原で光るミヤマナカボソタマムシ(2012.6.30)

熊本県に分布するコラエブス属タマムシは7種を数えますが、その中でも最も美しいのが今の
梅雨期に現れるミヤマナカボソタマムシです。

大学の夏休み 、原付バイクで九州脊梁山地の山深い林道を走っていた時に飛翔中の個体を
見つけて掬ったのが本種の初採集でした。
従って、本種を森林性のタマムシと長い間思い込んでいました。

ところが、今ではその考えは一変しました。
と言うのもミヤマナカボソタマムシは山間部で採れるケースは極めて稀で、阿蘇のような草原地帯
で比較的採集できることを知ったからです。

阿蘇の草原の疎林には本種のホストであるサワフタギが多く生えています。
それらを梅雨期の晴れ間に見に行くと、葉上で「キラッ」と光る本種を見つける事ができます^^
もちろん何処にでも居るわけではありませんが、場所によっては密度が濃い所もあります。

時期的には、ほぼ同様の環境で見られる同族のサビナカボソタマムシが減って来るタイミングで
数を増すようなイメージですね。

ただ、言うまでも無くこの時期は梅雨真っただ中ですから、本種に出会う機会もなかなか得難い
のも事実で、今年は一回しかポイントに出向けませんでした。

今年は発生数が少ないようでなかなか見つかりませんでしたが、ようやくサワフタギの茂みに
その姿を見つけました^^

サワフタギは背丈が低いので目の高さでミヤマナカボソタマを観察できるのは良いのですが、
少し近付いて撮った瞬間、敏感な本種は「プン」と飛び去ってしまいました(泣)。

別の木に居た個体です。

この時は快晴の昼間で日差しが厳しかったため、強風も相まって金属光沢が極めて強い
ミヤマナカボソタマの撮影にはちょっと不向きでした。

なんとか本種独特の色合いが写せた1枚です^^

ヤマボウシの花とサビナカボソタマムシ(2012.6.6)

梅雨直前の阿蘇草原での楽しみの一つがこれ。
満開のヤマボウシに集まるサビナカボソタマムシです^^

九州では今まさに発生のピークを迎えたところで、ヤマボウシの大きめの木がまとまって
生えている所を探せばかなりの確率で出会うことが出来ます。

僕は何か所かポイントを持っていますが、その中の一つに目の高さで本種を観察できる
素晴らしい一画があります^^
これまで生態写真をじっくり撮った事がなかったため、今回半日を費やして本種と顔を
付き合わせてきました。

「サビナカボソタマムシはヤマボウシの花に来る」とはよく言われる事です。
それは間違ってはいませんが、多くの人が花の蜜を求めて集まっていると勘違いしているようです。

正解は、「花を包んでいた総包片を後食に来る」、です^^

ヤマボウシは満開になると遠目から真っ白に見えるほどになりますが、実はアレは花ではなく、
つぼみを包んでいた総包片(葉の一部)なのです(実際の花は小さな球状であまり目立たない)。

サビナカボソタマはもちろん緑の葉も食べますが、柔らかいこの総包片が大好物なのです。

サビナカボソタマがヤマボウシの花に来ている「絵に書いたような」写真が撮れました^^
4枚の総包片のうち、上下の2枚に後食痕があるのがお分かりでしょうか?

別の場面ですが、新しい花の総包片を今まさに齧ろうとしている個体です。
これも良い写真だなあ(自画自賛^^)。

意外と低い位置で交尾しているペアがいました。
この日は曇りで気温もあまり高くなく不活発だったため、かなり近くまで寄ることが出来ました^^


本種にも幾つかの変異パターンがあり、このような深紫の個体に出会うと唸ります。

初夏の草原のハムシ採集(2012.5.31)

友人のハムシ屋、コメツキ屋から九州の虫を頼まれていることもあり、天気は悪いものの
自宅から40分ほどの灌木を交えた草原へ昨日行って来ました。

ここは近い割にはかなり良い虫が色々と採れるスゴイ所なのですが、今日はとりあえず
ハムシの話です^^

ハムシにも湿地性、草原性、森林性などいろいろなパターンがあって面白いですね。
近年は僕も割と精力的に採るようになって来ました。
もう少しタレント性の高い種類が多ければ良いんですけどね^^

さて、ここは草原の代名詞である阿蘇からはかなり離れているので、分布する虫達も大分異なり
その点でも面白い所です。

草原の中を抜ける小道を歩きながら周りの草本、木本を叩きます。

サルトリイバラからはお馴染みのフタホシオオノミハムシに交じってカタクリハムシが落ちます。
カタクリハムシは前者に比べて少ないのですが、今回は割と発生数が多いようです。
僕も好きなハムシだし、今年はたくさん送ってやれそうです^^


路傍にひっそりと生えたギボウシの葉裏には綺麗なナガトビハムシがいます。
ここでは結構採れますが、食草がちょっと特殊なので何処でも採れるというわけではないようです。

以上3種は保育社甲虫図鑑のハムシplate38の最後に並んで図示されていますね^^
図鑑では年数の経った標本なので違いが良く分かりませんが、生きている時の色彩はいずれも
鮮やかで美しいです。

普通種が多いですが、注意すると他にも色々なハムシ類があちこちから見出せます。




ここでは美しいキガシラアオアトキリゴミムシもよく落ちてきます。
本種は樹上性ですが、本来こうした草原の中に生える灌木に多いのかもしれません。

作りモノのような美しいコロギスがいました。
茶色の種類は何種も見ますが、緑色のものは初めてです。
標本に残せないのが惜しい・・・

そしてここにはサビナカボソタマムシが割と採れるヤマボウシのご神木があります。
花のガクが開いて丁度良いタイミングなので、枝先を丁寧にスウィーピングしていきますが
今回は1頭しか採れませんでした。
時期はバッチリなので天気が良ければ5~6頭は採れる良い木です^^


半日の採集でしたが、この時期のハムシ採集を十分に堪能できました。

次回は阿蘇草原に今私が最も注目している珍奇なハムシがいるので、それを紹介しますね^^

南限フクチコブヤハズカミキリと阿蘇草原の物色(2012.5.24)

昨日は悪天に向かうという予報の中、南限のフクチコブヤハズに会いに熊本北部の渓谷へ
行って来ました^^

九州中北部のフクチコブヤハズと中南部のソボコブヤハズは、大まかに言えば阿蘇の草原一帯
で分断されます。
本日行く産地は阿蘇より北にありますが、実は阿蘇の南方に半分が原生林で覆われた山があり、
そこにもコブが居ます。人によってはそれが南限のフクチコブとされることもありますが、
僕がそこで採れた20個体あまりを確認した限り黒いソボコブです。
ですので、僕は暫定的にこの渓谷で採れるフクチコブを南限としています。

さて、ここには我が家からゆっくり走っても1時間半で到着します。
山は既に雲で覆われて林内の視界は良くありません。

遊歩道を歩きながらブナ等の立ち枯れや倒木を探しますが、そうなかなか良い木には
巡り合いません。それにやはり夜以外はコブは物陰に隠れているケースが多いんですよね。
でもじっくり探せば昼間にも採れないことはありません。
ですから、コブが居る産地に採集に行く時には物陰を照らす懐中電灯を持って行きましょう^^

しかし、写真を撮ろうと探す時ほど居ないものですね。
いつもなら運が良いと2~3コはすぐ見つかるのですがなかなか姿を現しません。

林道脇の大きなブナ立ち枯れの後ろを覗きこんだ時、やっと居ました。
でもまた目が合うパターンだ・・・

すぐ後ろは谷底だし今回は殆ど近付けません。それにコブはかなり敏感で、すぐに落ちてしまうのです。
ズームアップしてもこの程度・・・

撮影後、自分が崖から落ちないか、そしてコブが落ちないか、冷や冷やしながら手を伸ばして
なんとか御用にしました^^

この林道には去年の夏にカスガキモンカミキリの♀が幾つか止っていたシデの枯れ枝があります。
その時の写真です。

少し樹皮を剥いでみると食痕が現れました。予想通りに産卵してくれたようです^^
でも幼虫はまだ小さく、親になるのは来年以降です。
持って帰るか、残しておくか・・・ ちょっと悩むなあ。

実は今日はもう一つの目的があります。
それは初夏の阿蘇草原の様子を確認しておくこと。
予報では明日から4日程悪天が続くので今日しかチャンスがありません。

直ちに渓谷を離れ、峠を経由して阿蘇方面へ回ります。
うーん、1日に何か所も回れるなんて、つくづく良い場所に住んでいるなと感じます^^

峠付近はカシワの疎林となっていてハヤシミドリシジミが結構います。
今夏は母蝶から採卵してみよう。
大分の飯田高原のカシワ林からムモンベニ、チャバネクロツツ等のカミキリが姿を消して
久しいですが、今となっては熊本の北部一帯のカシワ林で採るしかないのかもしれません。
(ただ、未だ多産地は見つかっていない)

少しマニアックですが、草原性のハムシやゾウムシ等にも面白い種類が多く、虫屋の中には
それらの絶好の採集地である阿蘇に通い始めている人もいます。
僕も大いに興味を持っているのですが、なかなか手が回らない(苦笑)。

1~2時間草原の中をビーティングして、虫達の発生状況が大体掴めました。
面白い種類はまた個別に紹介しますね。

そして最後にこれが発生し始めた事を確認して帰路に着きました^^

近郊の低山で半日ビーティング採集(2012.5.17)

3日ほど前に行った近郊の半日ビーティング採集の様子を記事にしていなかったことに
気付きました。ちょっと遅くなりましたが簡単にレポートしておきます。

採集地は自宅から20分位の所にある熊本市の裏山で、原生林が一部残っていることから
オオムツボシタマムシやオオシロカミキリ、ベーツヒラタカミキリ、オオキノコゴミムシなどが
採れる手ごろな低山です。

標高はせいぜい2百メートルちょっとで、熊本市の外れの方を見渡すとこんな感じ^^
竹やぶの昆虫が一通り採集できることからこの時期には大抵一、二度訪れます。

竹林の枯れ竹をビーティングすると、ウスアヤカミキリやハイイロヤハズカミキリ、
ニホンホホビロコメツキモドキやササセマルヒゲナガゾウ、ホオアカオサゾウ、
タケトゲハムシ、そして竹林性のコメツキなど結構色々な昆虫が採集できます。

ビーティングで落とした虫の写真を撮り忘れたので^^、今春にまだ枯れ竹の中で越冬中だった
これらの虫の一部を紹介しておきます。



薄暗い山道にはシダ類が生えていて、さんざんビーティングするとやっとキンイロエグリタマムシが
落ちました。

そして路傍の草に止っていたウシカメムシを偶然見つけました。僕はカメムシフリークでもあります。
割と珍種ですが、この山では結構遭遇しています。
正面から見ると、ガッチャマンのベルクカッツェみたい(昭和30年代後半~40年代前半生まれ
の方限定^^)。

やや暗い山道から少し踏み込んでアオキなどの生木を叩くと、ルイスコメツキモドキがかなり
落ちてきます。


この様な枯れ蔓や枯れ枝があったら必ず叩きましょう。

この時期ならこんな普通種などがよく落ちます。

なお、このドウボソカミキリのように触角が細長くもろい種類は、毒ビンで殺虫したら下のように
クッションを敷いたケースなどに直ぐ移しましょう。そうすることで他の虫の干渉による破損を防ぐ
ことができます。たとえ普通種でもこうしたことに気を付けることで完全な標本を残せますよ^^

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