飼育室から | 蝶・カミキリ・昆虫を楽しむ!(九州・沖縄を中心に)

レインボーセンチ達の処分はどうしよう・・・(2013.2.15)

引っ越しに当り、飼育中(実際は放ったらかし^^)だった大黒様には、既報のとおり仕方なく成仏して
もらったところです。

越冬中のこのヒト達の処遇(処分)は・・・(2013.2.1)

同様に困るのが(半)越冬中のレインボーセンチコガネ達です。
もう標本はいらないし、この近辺にポイ捨てするわけにもいかんしなあ。

100均カゴの木屑の中に10匹前後が潜っているのですが、暖かい日だと這い出して多少は摂食して
いるようです。
あ、一匹死んでる・・・

果物を問題無く食べることが分かったため、たまにリンゴの芯や昆虫ゼリーを入れてやっています。
下は晩秋のまだ温かい頃、バナナの輪切りの上に乗って齧り付いている場面です。

(参考)
レインボーセンチは果物もお好き^^(2012.10.23)

しかし、この大凡品のタダセンチでさえ、飼育(累代)ノウハウは断片的にしか存在しないようですね。
細かい周年経過や、幼虫、蛹の実態等を紹介した報告等を見た記憶は殆どありません。

本当は糞で飼うのが良いとは思いますが、ダイコクと違っていろいろと代用食が効くわけなので、
オオセンチも含めて誰か周年(累代)飼育をやってみた人は居ないのかしら。

僕の場合、1年中糞で飼える環境はあるのですが、千手観音様並みに手の数がないと(^^)
とてもコレの累代飼育なんてやっていられません。

日本で最もレインボーセンチを採り易い位置に住んでいるし、個体数の多いポイントも押さえているので
今は累代までやる気にはならないなあ。

そんなことはいいけど、このヒト達、本当にどうしようか。
とりあえず見なかったことにするか・・・

ハイイロチョッキリの「ゆりかご」の今(2013.1.28)

引っ越しに備えて、現在家の中で飼っている虫達の整理も行っています。
今日片付けたのは、切り落とされたドングリの中で育成中のハイイロチョッキリの幼虫です。

ハイイロチョッキリを紹介したブログ記事はこちらから^^

今僕の手元にはその時に採取したドングリがたくさんあるんですよ。
卵からどのように成虫になるのか、ちょっと観察してみようと思ったわけです。

でも他の虫で多忙なため、シーズン中はずっと忘れたままになっていました。
勿論ドングリをそのまま放っておいたら乾燥してしまうため、湿らせた土を張った植木鉢の上に置いて
冷暗所に保管していました。

その幾つかを割って内部を確認してみました。

ご覧の通り、もうドングリの中身はすっかり食べ尽くされていますね。
幼虫もほぼ最大限まで成長しているようです^^

本来は秋に地中へ潜って蛹化するようですが、何故、現時点でドングリ内に留まっているのでしょうか?
ドングリは常に土に接していたのに不思議です@@

これからどのような経過を辿って、何時頃何処で蛹化し、そして何時頃成虫になるのか。
それが知りたいところですね。

でも、僕にはその確認が出来ません。
仕方が無いので、その確認も含めてこれも友人に託すことになりそうです。

ツヤハダクワガタ幼虫の山上げ準備(2013.1.25)

遅ればせながら、今日はミナミツヤハダクワガタ幼虫の山上げ準備を行いました。
これは、終齢幼虫に夏一杯を高標高の地で過ごさせ、新成虫になった秋季に回収する方法です。

高冷地帯に住むツヤハダの幼虫を相対的に気温が高い低地で飼育するのは甚だ難しく、
特に真夏の時期には殆どが死滅してしまいます@@

よって、夏場は生息地もしくは同等の高標高に避暑に出す必要があるわけです。
これが上手く行くと、全く手を掛けることなく自然界ではなかなか得難いツヤハダ成虫を多数得ることが
出来ます^^

参考まで、去年の新成虫回収の様子を紹介しておきます。
昨年は最高の回収率でした。

九州のツヤハダクワガタ、プチ長者^^(2012.10.5)
二回目のツヤハダクワガタ回収、またまた大成果^^(2012.11.13)

もっとも、これにはまず幼虫を多数確保する必要があります。
ただ、いくら少ないミナミツヤハダと言っても、成虫よりは幼虫の方が遥かに数が多く採集し易いので
この山上げ方式は理に適った方法とも言えます^^

容器飼いではありますが、本来の生息地で成長させればほとんど野外産と言っても良いでしょう。
今回は幼虫を30頭弱しか確保できなかったので、1セットのみの作成です。

写真は滅多に行き当らない九州高所での赤腐れ材です。
この木は内側の一部のみしか赤腐れしておらず、成虫はおろか幼虫もごく少数しか見られませんでした。

ナタ先端のちょっと先に幼虫が見えます^^
もっと腐食が進むことを期待し、これ以上の深追いはしませんでした。


ただ、セッティングは完了したものの本来の生息域である標高1千5百メートルの山奥へはもう雪で
近付けません。

僕は今年、夏以降にしか彼の地へ行けないので、友人にお願いして春になっての現地設置を
お願いしてきました^^

料理ブログへ転身?(2012.12.12)

これは現在室内で育てている熊本産シルビアシジミの餌交換の様子です。

まずはスーパーで調達できる「豆」類を餌として利用しているグループ。
豆の種類は先般のインゲンからスナックエンドウに切り替えました。
(前者は豆の粒が小さく、コストパフォーマンスが悪いため^^)

料理ブログではありませんよ^^
まず、スナックエンドウの「へた」を切除します。

左右に割ると、大小の瑞々しい種子が現れます^^

それらを取り出したところ。
大きい粒は弱齢幼虫が食べ易いように半分にカットしてあります。

「さや」本体は勿論僕がいただきます^^
虫が最も栄養のある部分を食べ、残りカスを人間様が食べている構図ですね^^

ちなみに、さやの両側の堅いスジを取るのをお忘れなく^^
そうしないとスジっぽくて食べられません@@

次にカレーに使う場合の下ごしらえですが・・・
おっと省略^^

プラシャーレにセットした餌にシルビアシジミの弱齢幼虫を播いたところです。

これはその拡大。
我が家は予算不足で室内が低温のため(^^)、ゆっくりゆっくりと成長しています。

次は近くの河原から採ってきたシロツメクサで飼育しているグループ。
僕の飼育法の真骨頂である「手抜き」を主眼とした方法です。

なお僕が言う「手抜き」とは、いい加減にやることではありません。
ツボを押さえてムダを省き、野外より良好な個体を多く作出する。
これを常に念頭にノウハウを作り上げています。

ですので、ご参考にしていただくのは嬉しいですが、決して本当の「放ったらかし」になってしまわない
ようにお願いしますね。

手間暇を掛けて野外より小さな成虫を羽化させるのは本末転倒ですから。

手抜き飼育の最も大事なツボは、出来るだけ「水揚げ」の良いホスト、代用食を使うこと。
これはどんな種類を飼育する場合にも共通した極意です(キッパリ^^)。

水揚げの悪いホストしか食わない種類の場合はまたいろいろと考えます。
そこがまた面白いところ^^

で、シロツメクサは相当に水揚げが良いのでとても楽チン。
写真のように水を満たしたフィルムケース等にぎっしりと詰め込みます。

念のため、スキマには幼虫が落ちて溺死しないようティッシュを軽く詰めておきます。
幼虫はあまり動き回ることも無いのでまず事故は起きませんが。

これを小型コンテナ等に入れ、部屋の適当な場所に置いておくだけ。
庭に置いたミヤコグサのプランター植えにたからせておくより早く大きな成虫になるでしょう^^


結構長い間枯れることなく餌として良好な状態を保ってくれますよ^^
ただ、水の補充は忘れないことが大事。
そして暖房がガンガン効いた場所に容器を置くのは避けた方が良いでしょうね。

逆に、我が家のように寒過ぎるのも問題か・・・
出来るだけ早く親にする、という意味でですけどね^^

シルビアシジミの若齢幼虫回収中(2012.11.29)

この秋に人工採卵を行なった熊本産シルビアシジミ。
既に全てが孵化し、最も成長が早い幼虫は体長3ミリほどに成長しています^^

でもその成長スピードの遅いこと@@
まあ、この時期なので仕方ないのでしょうけど・・・

写真は食い尽くされたミヤコグサから、ポットに植え込んだシロツメクサに若齢幼虫を自力で移動
させているところです。

若齢幼虫は余りにも小さいし、何処に隠れているか分からないので、回収にはこうした手段を取るしか
ありませんでした。

元々母蝶が産卵したミヤコグサの残骸です。もう可食部分が全くありませんね。
このメインの鉢の若齢幼虫はもう殆ど拾い上げ済です^^

予備で作っていた小さな鉢でも同様の作業をしています。
こちらからは全く回収していないので、あちこちの葉上に若齢幼虫の姿が見えます^^

葉の表面から舐め取るように葉肉を食し、透明の薄皮を残しているのがよく分かりますね。


メインの鉢から一足先に回収した幼虫達です。
まず、引き続きシロツメクサを与えているグループ。


そして、回収と共にインゲンマメに切り替えたグループです。


成長スピードの違いを確認しようとしているのですが、今のところ、両者間での差はほとんど無い
ようです。
総じてインゲングループの方がちょっとだけ大きいような気がする程度かな。

でも、もう少し早く大きくなってね^^
そうじゃないと、来年2月までに展翅が終わらなくなっちゃうから。

熊本産シルビアシジミの人工採卵終了^^(2012.11.5)

作日、自宅で行っていたシルビアシジミの人工採卵が終了しました。
本種は全国で急速に生育地が減少している人気ブルー系シジミで、今回飼育を行うのは先月に
地元熊本で発見したばかりの新産地のものです。

蝶の飼育は春のゼフィルス以来およそ半年ぶり。
秋から冬にかけてのブルー系シジミの飼育は、一昨年のルリウラナミシジミ以来となります。

ルリウラの時は9月から用意周到に行ったため、低温期型の美しい雌雄が標本箱一杯分出来ました^^
展翅して標本箱に詰め込んだのは5百頭程度ですが、計算すると7百頭は飼育したようでした。

ただ今回は母蝶の採集時期が遅かったため、気温の低下と相まってほとんど産卵数が伸びず、
ようやく3ケタに乗ったあたりで止まったようです。

人工採卵に使った装置です。
大型の鉢に食草のミヤコグサを植え込みザルを被せ、日光の入る玄関先に設置しました。
外気温は20℃そこそこでも、天気が良いと此処は30℃を越えるほどになります^^

ザルを外したところです。この中に3頭のシルビアシジミ母蝶を放しました^^
餌にはポカリスウェット10倍希釈液を与えました。

ミヤコグサに産卵中の母蝶。
ボロボロになるまで頑張ってくれました^^

本種は一度に続けて何個も卵を産むタイプではなく、飛び回って着地した所にミヤコグサがあると
産卵行動が誘発され、やっと1卵を葉裏に産み付けます。
そして暫しの休息に入ります。

連続して二個目の卵を産まないため、次の産卵を誘発するにはまた飛翔行動が必要になります。
なんとも面倒な産卵プロセスを取る蝶です。
これが個体数が少ない理由の一つなのでしょうね。

良い位置(着地点として)にあったサヤに産み付けたケースもありました^^

そして今日見てみると、最初に産み付けられた卵には孵化するものも出てきました^^
本種は国産蝶の中でも下から数えてベスト3に入るほどの小ささなので、孵化直後の幼虫は
やっと肉眼で分かる程度です@@

長丁場にはなりそうですが、折に触れてこれからの生育過程を紹介していきたいと思います。

2月までには頑張って展翅まで終了せねば(汗)。
3月にはアレが動き出すし・・・

ミドリシジミ、疑似野外環境下での飼育における蛹化場所(2012.6.3)

先月中旬に飼育が終了した熊本産ミドリシジミ(タダミドリ)の比較的野外に近い飼育下での
蛹化場所について記しておきたいと思います。

これまで容器でしかタダミドリの飼育をしたことがなかった私は、昔からの生態関係書籍に
書かれているように、本種は老熟するとホストの幹を降り、地面の落ち葉や土くれ、雑ゴミ等の
下面で蛹化すると思い込んでいました。

ところが今回、 5月21日(ミドリシジミの手抜き飼育法)のブログ記事に書いたように自ら考案した
飼育法をとったところ、それとはかなり異なる結果を得ました。

すなわち、せいぜい1メートル下の地面に降りず、枝に付いた生葉裏で蛹化したものが続出したのです。

最近の知見ではもう一般的な事実なのかもしれませんが、私と同様に目からウロコという方のために
断片的ですが事実を書き残しておきますね^^

これから示す写真は、蛹化場所を探して移動している老熟幼虫2頭を除き、全ての幼虫が蛹化
し終わった時点のものです。

これが飼育セットの最後の状態です。

ちなみに、飼育セットを解体しつつ写真を撮ろうと鉢を屋外に運び出す際、蛹化場所を探して
主枝を降下中の最後の老熟幼虫(Ⅰ)がいました^^

左に伸びた枝を見てください。
この枝に付いた葉に合計4つの蛹が見えると思います。

2個ずつの拡大写真です。


そしてこれらは別の枝の葉に付いていた蛹です。


幹及び幹と間違えて(?)ペットボトルの側面で蛹化したものも。


以上が地上に降りずに幹より上の位置で蛹化した個体群です。

これから飼育セットを解体して、鉢に張った土の上のゴミ等の下で蛹化したであろう幾つかの蛹を
回収しようとしていたところだったので、こんなに多くの蛹が葉や枝に付いていたのは本当に
意外でした@@

一方、教科書通りに地上まで降りて蛹化した幼虫も勿論多く居ました。

下の写真は偶然チャンスを捉えたものですが、鉢の内側に沿って出来た土面の亀裂に入り込んで
蛹化場所を探している幼虫(Ⅱ)です。
しばらく見ていましたが、さすがにこの深さでは足りずに最後はそこでの蛹化は諦めたようでした^^

鉢の内側の土上で蛹化したもの。実はこの部分はティッシュで隠れていた部分です。

一個だけ入れておいた平坦な石の裏側で蛹化したもの。

そして鉢の内側の土上に落ちていた枯葉の下で蛹化したものです。

下は当初に植え込んだ幼木の一部を残してすべてを取り去った状態です。

幼木の根元に寄ってみると、地面との隙間付近に二個の蛹が見えますね。

さらに寄って覗き込むと、地中奥にもう一つの蛹があるのが分かりますね。
タダミドリは相当穴ボコが好きなんですね^^

以上が地上に降りて蛹化した一群と見なします。

もう一つの鉢もあったため正確な数値は取っていませんが、蛹化場所として幹より上を選んだ群と
地表を選んだ群の割合は概ね4:6(5:5寄りの)程度でした。

先に触れたように飼育に使った枝の長さはせいぜい1メートルですから、その距離を降下するのを
幼虫が「億劫がった」とは思えません。
何しろ、僕が実際に採卵したケヤマハンノキの下枝までは4メートルの高枝鋏がようやく届く
高さだからです。

もちろん人工下での環境なので、幼虫の本能の「何か」が狂った可能性はあるのかもしれません。
でも、この比率は決して無視はできないものでしょう。

以上の事実から考えた私の推論は、タダミドリの少なくとも何割かは蛹化の際に地上に降りず、
葉裏や枝の何処かで蛹になっているというものです。

実際の発生木でこれを裏付けられたら、ウラキンなども(パラシュートでも、幹を這って降りるでも
何でもいいですが)地表には降りず、想像以上の割合の個体が樹上に止まったまま蛹化している
のは間違いないと思います。

考えてみるとシオジのような巨木から何が何でも降りなきゃならない理由なんてないですからね^^
それ自体が幼虫にとってはとても危険な冒険であるわけです。
逆に、下に降りて蛹化する奴の方が本当は少ないのかもしれないなー、
なんて思わずにはいられません。

まあ、これは戯言ですが^^

いずれにしても、以上述べた事は飼育下ながらシャーレ等の容器飼いに比べて自然に近い
環境下での現象なので、本種の生態を考える際、何らかの示唆を与えてくれるものと考えます。

本種をはじめとするゼフや、その他の蝶の生態に興味をお持ちの方のご参考になれば幸いです^^

オオムラサキ、エノキの葉の表と裏で(2012.5.27)

庭のエノキに袋掛けして放ったらかしにしている熊本産オオムラサキ幼虫の生育状況を
確認してみました。

丸々と太った終齢幼虫。生育は順調のようです^^

袋の中を覗き込んでいると、面白い事が・・・

なんと1枚の葉っぱの表に終齢幼虫、裏に蛹が付いているではありませんか@@
両者の重みで葉は完全に垂直に垂れ下がっています。

幼虫は葉上で葉柄側を向いて台座を作り、蛹は葉裏で葉柄寄りに垂下するのでこのように
逆向きになるわけですね。
数ある中で二頭に選ばれるのだから、よほど居心地の良い葉っぱなんでしょうね^^

右後方には別の終齢幼虫も見えます。

そろそろオオムラサキの羽化準備も始めないとなあ。

雨の日はキリシマミドリシジミの展翅三昧(2012.5.25)

九州地方は朝から鬱陶しい雨が続いています。
予報によると、3~4日は曇りや雨が続く見込みとか。
こんな虫採りに良い時期に連日フィールドに出られないとウップンも溜まりそうです・・・

でも、現実的には家に居る日が必要なのも事実。
こんな日は溜まったゼフの羽化個体の展翅をどんどん片付けなければなりません。

現在はキリシマミドリシジミ(熊本産、鹿児島産)の羽化がピークを迎えているところで、
毎日せっせと羽化個体を取り込み、冷蔵庫(冷凍庫ではない)に一時保管しています。
冷蔵庫の中は低温で暗いので、暴れず羽も傷付きません。
5日位は平気で生きていますから、時間が出来た時に少しずつ殺虫して展翅していくわけですね。

ゼフは羽化してあまり早く殺してしまうと、いわゆる「飼育色」と言って♂の緑のl金属光沢が
紫色に変色してしまいます。
ですから、冷蔵庫の中で生かしたまま2日位は放置しておいた方が良いです。

今朝の展翅ノルマです。

先日は念願のAB型(ちょっと薄いけど)の♀が羽化しました^^

ミドリシジミの手抜き飼育法(2012.5.21)

3ケタを軽く超えるゼフの飼育がようやく終了しました。
現在は続々と羽化する成虫の展翅に日夜取り組んでいます^^

これだけ多くのゼフを飼っていると、手抜き出来るところはしたくなるのが人情です。
それに天気が良い日は大体フィールドに出ているので、そうしないと物理的にも不可能なのです^^

ただ、単なる手抜きをして小さな親をたくさん作っても本末転倒。
コンセプトは最低限でも野外品より大きな成虫を作る、です。

今回飼育法を開発したミドリシジミ(タダミドリ)の食樹であるハンノキ類は水揚げが悪く、「モチ」が
あまり良くありません。地植えのハンノキがあればいいのですが、そんな恵まれた方は少ないでしょう。
それに幼虫が巣を作るので、シャーレで飼って頻繁に餌換えすると消耗するのであまり大きな
成虫が期待できません。

熊本の阿蘇のタダミドリはケヤマハンノキ食いで、大分の九重周辺におけるハンノキ食いの
個体群のようには多産しません。
しかも近年は数が減っているのであまり卵も採れないだろうと思っていたのですが、
予想に反して結構採れてしまいました^^
そこでこの方法を考案せざるを得ない状況に追い込まれたわけです。

前置きが長くなりましたが、早速本題に入ります。

まず、採卵のついでにハンノキ類の幼木(現地にはたくさんある)を必要に応じて引き抜いてきます。
運ぶ手法にもよりますが、せめて地上部は1メートルは欲しいところです。
本種に限らず、採卵に車で行くなら幼木確保のためにショベルを積んでおくと良いでしょう。

帰宅したら大径の鉢に3本程を植え込みます。僕は今回、こんな鉢を2セット用意しました。
この作業はちょっと大変かもしれませんが、準備はこれだけなので春が来るまでにやっておきます。

そして芽吹きの状況を見ながら、同時に孵化させた幼虫をどんどん芽に付けていきます。
一つの芽に1幼虫が妥当でしょう。
後は当然、放ったらかしです^^

ミドリシジミで大変なのはいわゆる「食い付き」ですが、この方法だとほぼ自然状態なので
孵化幼虫はうろうろすることなく芽に取り付いてくれます。

幼虫が次第に大きくなる様子や、巣を作る様子を楽しんでください^^

なお、この鉢は出来れば屋外ではなく家の中の暗目の所に置くのがベストです。
日光に当たらないので葉がずっと柔らかいままですので^^
糞が落ちても大丈夫なように、下には新聞紙等を敷いておきましょう。

暫くすると、幼虫の成長とともに当然葉が足りなくなってきます。
そうなったら、初めて野外からハンノキの枝を採ってくることになります。

この時の注意点ですが、現場には水を満たしたペットボトルなどを持参し、
枝を切り取ったらすかさず切り口を水に浸すこと。
15分でもこれを怠ると、新しい枝も翌日には萎れてしまい手抜き飼育が継続できません。

もう一つの注意点は、幼木を採った時と同様に長い枝を確保することで、せめて1メートル位の
長さで枝を切って下さい。
飼育用の枝を長く採る、というのは意外と盲点で、これを応用すればオナガシジミ
のような種類でも大きな成虫を羽化させることができますよ^^

そして、この新しい枝をペットボトルに挿したまま鉢の上に置きます。
この際、新しい枝の葉が古い枝に何か所も接するように配置します。
幼虫が自然と新しい枝に移っていくようにするわけです。

写真は新しい枝を挿したペットボトルを鉢にセットした様子です。

ただ、ミドリシジミの場合は巣にこだわって新しい枝になかなか移動しない個体もいるため、
巣ごと切り取って新しい枝に引っ掛けてやっても良いです。

以上の注意点を守れば切り枝も1週間~10日程は十分に持つので、さらなる枝を採りに行く
のはほんの1~2回で済みます。今回はトータル2回で済みました^^
なお、飼育する幼虫の数が少なければ、最初の幼木だけで飼育を全うすることも可能です。

枝換え時に確認した終齢幼虫達です^^


幼虫は老熟すると枝から幹を伝って地上に降り、根元の土くれや落ち葉の下で蛹化することに
なっています。
「なっています」と書いたのは必ずしもそうした蛹化体制を取らないものが続出したためですが、
とりあえず昔からの生態教科書に従ってペットボトルの回り等に目隠しのためのティッシュを
配置します。

下の写真では、最初の幼木の残骸も見えます(葉が食い尽くされたため剪定済み)。
このティッシュの内部で相当数が蛹化すると思ったのですが、なんと1頭のみでした@@

なお、かなり注意して見ていましたが、鉢の外側に出て行ってしまう幼虫は見られませんでした。
見逃した可能性もありますが、心配な方は幼虫が老熟しきったら容器に移してその中で蛹化
させるとよいでしょう。僕も最初はそうしていたのですが、後では面倒になって幼虫が蛹化したい
所で蛹化させる、いわゆる最後まで文字通りの放ったらかしになりました^^

幼虫がすべて蛹化したら、一連の飼育セットを解体して蛹を回収するのですが、前段に述べた
ように蛹化場所について今回面白い結果が出ました。
その詳細はまた後日に^^

この飼育法は手間が掛からない上に、少なくとも野外品より大きな成虫を多く作ることができます。
以前に記事にしたフチグロトゲエダシャク飼育法と同様に色々な蝶や蛾の飼育に応用できますので、
是非参考にしてくださいね^^

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